芸術文化には教育や福祉、医療などの領域で生きる力を育み、よりよい生を送ることができるようになる「人づくり」と、人々が暮らす地域や都市で芸術文化によって課題解決が図られ、経済効果がもたらされる「街づくり」の作用がある。
「芸術文化は、人を元気にし、まちを活性化する」
各地の事例をもとに芸術文化と地域、そして社会の関係性を整理し、その担い手たちの活動を紹介。アートNPOとして地方都市で約20年活動し、文化政策・アートマネジメントの研究者でもある著者が、志ある人の背中を押す書。
はじめに
第1章 芸術文化と地域づくりの関係
1. 「文化芸術」と「芸術文化」
2. 「地域」と「社会」
3.芸術文化と地域づくり
4.芸術文化と地域づくり〜二つの側面〜
5.芸術文化による地域づくりの多様な担い手
第2章 芸術文化と人づくり1
1.学校にアーティストがやってくる〜アーティスト派遣の意義〜
2.アーティストによる学校での取り組みの広がり
3.海外における取り組み
第3章 子どもの芸術体験の意義 〜ドラマスクール&ミュージカル制作「子どもの時間」〜
1.教育のための演劇的活動
2. 「子どもの時間」
3.大人になった参加者は今
4.ドラマと人間の成長
第4章 芸術文化と人づくり2 〜医療・福祉と芸術文化〜
1.医療と芸術文化の関わり〜その事例〜
2.福祉と芸術文化の関わり〜その事例〜
3. 「文化権」の考え方
第5章 芸術文化と街づくり
1.廃校・空き家の再生とアート
2.過疎地域を国際芸術祭で活性化
3.まちと人のバリアフリー化
第6章 創造都市論
1.創造都市論とは?
2.ヨーロッパにおける創造都市の象徴的事例
3.日本における創造都市への取り組みの事例
4.創造都市の展開
5.創造都市の条件
第7章 創造的な地域づくり
1.やねだん(鹿児島県鹿屋市柳谷集落)〜空き家を活用したアーティスト誘致と地域再生〜
2. 「やねだん」地域再生のポイント
第8章 文化ホールの役割
1.文化ホールの役割
2.芸術文化振興と芸術文化を通じた地域振興
3.文化施設の運営手法
4.文化ホールの運営事例
第9章 文化政策と文化行政
1.文化政策の流れ
2.法制度の整備
3.文化「行政」から文化「政策」への転換
4.文化行政の今
第10章 企業メセナの動向
1.企業メセナとは
2.CSR とSDGs
3.企業メセナ活動の動向 〜「企業メセナ活動実態調査」から〜
4.公益社団法人企業メセナ協議会の活動
第11章 アートNPO とアートボランティア
1.NPO とは?
2.アートNPO
3.アートボランティ
第12章 芸術文化と社会づくり
1.社会包摂とアート
2.地域共生社会とアート
むすびにかえて
平安朝から鎌倉時代にかけて制作された阿弥陀来迎図・六道図・十界図などの浄土教美術の優品。これらの作品を、『往生要集』の思想や迎講・仏名会等の宗教行事と関連させ来迎芸術の真実に迫った名著。解説=山折哲雄・須藤弘敏
〈目次〉
来迎芸術ー五色の糸をたぐって
来迎芸術論
十界図考
地獄絵
浄土教の思潮と絵画ー恵心・法然・親鸞の芸術観
解説 山折哲雄
大串純夫論文目録
解説「来迎芸術論」以後 須藤弘敏
来迎芸術ー五色の糸をたぐって
来迎芸術論
十界図考
地獄絵
浄土教の思潮と絵画ー恵心・法然・親鸞の芸術観
解説 山折哲雄
大串純夫論文目録
解説「来迎芸術論」以後 須藤弘敏
本阿弥光悦、長谷川等伯、尾形光琳、葛飾北斎など、国内外に知られる巨匠たちは、なぜそろって法華衆だったのか。一見すると彼らの作品に宗教的な色合いはない。日蓮生誕800年の節目に「法華芸術」という新しい視点から概観する日本美術史論。宮島達男氏(現代美術家)との対談、河野元昭氏(東京大学名誉教授)へのインタビューも収録。
はじめに
第1章 法華衆とその作品
本阿弥光悦──法華芸術の"プロデューサー"
俵屋宗達──「琳派」の光源
狩野永徳──天下人に愛された絵師
長谷川等伯──桃山画壇の雄
樂道入──型の中で型を破る
狩野探幽──江戸狩野派の礎を築く
尾形光琳──「琳派」の大成者
尾形乾山──誇り高き陶工
葛飾北斎──変わり続けた絵師
歌川国芳──奇想天外の絵師
河鍋暁斎──即興の名手
神坂雪佳──今につながる「琳派」
速水御舟──世界的な大芸術を
第2章 西洋との出会い
西洋に広がった法華芸術
「北斎」から「HOKUSAI」へ
第3章 「法華衆の芸術」をめぐって
対談 宮島達男(現代美術家)
インタビュー 河野元昭(東京大学名誉教授)
おわりに
法華衆関連年表
今や文化事業にも不可欠のマーケティング。
文化施設関係者や学生にも必読書の書ー慶應義塾大学 文学部 中尾知彦教授
文化施設の存在意義やその機能を俯瞰し、主として「公演」を対象に鑑賞者の満足を生み出すための基本戦略から人材育成についての実践的事例も紹介。さらにそれらに必要なマーケティング戦略や今後の指針を、Bunkamuraを例に、広告会社でマーケティング経験の豊富な著者が解説する。
1章 文化施設について
第1節 文化施設の公共性
第2節 「文化」「芸術」そして「経済」
第3節 事業としての文化施設
第2章 文化施設のマーケティング戦略
第1節 文化事業の歴史
第2節 文化施設がめざすもの
第3節 鑑賞者の“満足”を生み出すため
のマーケティング戦略
第4節 マーケティング活動を支える人材育成
第3章 “満足”を生み出すマーケティング活動
第1節 提供価値と顧客理解
第2節 販売部門の活動
第3節 広報部門
第4章 その先の“満足”へ
第1節 ファスト化する鑑賞スタイルへの対応
第2節 文化施設と学校教育との融合
第3節 文化施設と地域社会とのかかわり
<巻末資料>
Bunkamuraの概要
画家、デザイナー、建築家、作家、音楽家……時代とジャンルを超えたアーティストの家250軒!
アーティストが自分自身のためにデザインした家。そこは、生活の場であり、技術や思想が反映された芸術作品であり、インスピレーションを与えてくれる場所でもあります。本書では、歴史上の人物から現役のアーティストまで、世界的クリエイターたちの自宅を紹介。美しいインテリアの中に込められたストーリーを紐解くと同時に、アーティストの知られざる一面も見えてきます。
〈収録アーティスト〉
【アート】
レオナルド・ダ・ヴィンチ
ポール・セザンヌ
クロー・ド・モネ
パブロ・ピカソ
フランシス・ベーコン
ルネ・マグリット
サルバドール・ダリ
ラファエロ
ルーベンス
フリーダ・カーロ
マルク・シャガール
ジョアン・ミロ
サイ・トゥオンブリー
ジャクソン・ポロック
ウィリアム・モリス
河井寛次郎
イサム・ノグチ
ドナルド・ジャッド
【建築・デザイン】
ル・コルビュジエ
チャールズ&レイ・イームズ
テレンス・コンラン
ザハ・ハディド
坂茂
オットー・ワーグナー
フランク・ロイド・ライト
オスカー・ニーマイヤー
ヘリット・リートフェルト
アルヴァ・アアルト
フランク・ゲーリー
【ファッション】
ガブリエル・シャネル
クリスチャン・ディオール
ユベール・ド・ジバンシィ
イヴ・サンローラン
ジョルジオ・アルマーニ
マーク・ジェイコブス
アレキサンダー・マックイーン
【文学】
アガサ・クリスティ
アーネスト・ヘミングウェイ
ヴァージニア・ウルフ
マーク・トゥエイン
ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ
ヴィクトル・ユーゴ
チャールズ・ディケンズ
エミリー・ブロンテ
ジャン・コクトー
ジャン・ジャック・ルソー
ヘンリック・イプセン
【音楽・映画】
ルイ・アームストロング
ジミ・ヘンドリックス
フランク・シナトラ
デヴィッド・ボウイ
エルヴィス・プレスリー
ジュゼッペ・ヴェルディ
ピョートル・チャイコフスキー
ジャコモ・プッチーニ
フランツ・リスト
チャーリー・チャップリン
他
目次より
【第I部 創造と想像】
第1章 対談芸術と科学の邂逅 対談:千住博×酒井邦嘉
第2章 ベートーヴェンはなぜすごいのか 曽我大介
第3章 マンダラ:視覚化された最高真理ーそして芸術への傾斜ー 正木晃
第4章 理学・工学・アート・デザインとウェルビーイング 前野隆司
【第2部 人と生物】
第5章 「温故知新」の普遍性 〜能と論語とbeyondAI 〜 安田登
第6章 歩行について:界例からのライヴ・アート(生の芸術)考 外山紀久子
第7章 科学論の中の美と芸術ー近代日本の見た「実在」 岡本拓司
第8章 科学と芸術をめぐる近代のパラドックスーゲーテ自然科学における形態学と菌類生物の〈ポリネーション〉/試論 前田富士男
第9章 生命を主体とする哲学ー南方熊楠とユクスキュル 松居竜五
第10章 四次元の芸術ー南方熊楠と鈴木大拙からはじまる 安藤礼二
【第3部 都市と自然】
第11章 都市・まち・建築の熱環境の可視化 梅干野晁
第12章 科学と芸術をつなぐ多孔性モデルー生態学的都市論から見た世界 田中純)
第13章 庭園芸術が問う技術時代の総合 後藤文子
第14章 人間と自然の関係の文化「庭」の今 岡田憲久
近代はそれまでの西欧社会のパラダイムを決定的に覆した。古代への憧憬、自然回帰、産業革命、怪奇趣味……「我々の時代の幕開け」を多面的に考察する芸術論集。
水(源流)木(森林)土(地殻)空(天候)
アートと風土が交感する国際芸術祭
3000メートル級の山々が連なり、清冽な源流がほとばしる長野県大町市を舞台に、3 回目とな る「北アルプス国際芸術祭」が開幕します。11 の国と地域から参加する 36 組 のアーティストによって、土地の成立のダイナミズムに触発された作品群が制作されます。
全作品・イベントの紹介を網羅する作品ページでは、アーティストからの手紙のように、作品への思いや土地の背景などを丁寧に紹介。作品鑑賞をより深めるガイドとなります。そのほか大町市の見どころや芸術祭の巡り方情報などをコンパクトにまとめた、北アルプスへのアート旅必携のガイドブックです。
[参加アーティスト]
アオイツキ、淺井裕介、ダナ・アワルタニ、磯辺行久、小内光、蠣崎誓、KASA(アレクサンドラ・コヴァレ ヴァ&佐藤 敬)、マリア・フェルナンダ・カルドーゾ、川俣正、北アルプス林研グループ、木村崇人、ポウラ・ニチョ・クメズ、イアン・ケア、小鷹拓郎、コタケマン、佐々木類、スクリプカリウ落合安奈、鈴木理策、ソ・ミンジョン、千田泰広、Torus Vil.、平田五郎、布施知子、船川翔司、ケイトリン・RC・ブラウン&ウェイン・ギャレット、マームとジプシー、松本秋則、宮山香里、村上慧、ムルヤナ、エカテリーナ・ムロムツェワ、目[mé]、ルデル・モー、山本 基、ヨウ・ウェンフー〈游文富〉、ジミー・リャオ〈幾米〉
幅広い読者を持つ代表的な芸術総合雑誌
気鋭の作家/キュレーター/研究者22人による論考+インタビューによって、帝国主義が隠蔽してきた“芸術”、そして“日本美術史”なるフィクションを解体=再編し、読みかえを迫る出色の論集。
ジョン・ラスキン(1819 -1900)19 世紀イギリス・ヴィクトリア時代を代表する思想家、美術評論家。
当時イギリスでは産業革命の絶頂期を迎え、それに伴い新しい社会問題が生まれていた。工業化による公害、技術革新による失業者の急激な増加。功利主義を推し進めた結果、生まれたものは環境破壊と貧富の差、人間性の欠落であった。
ラスキンが教示するのは、芸術とは人間が労働の中に見出す喜びの表現だということである。だが、労働は分断された。人間は単なる切れ端に分けられた。ラスキン去って1世紀、その状況は今日も変わらない。美がいま一度、実り多き労働の自然でかつ不可欠の随伴物となるために、国家と国民はなにをなすべきか。
全ての生産活動と社会活動に人間性を取り戻すヒントとなる名著を新訳で刊行。
序 芸術による労働の聖化
新訳版の発刊にあたって
再版のまえがき
初版の訳者まえがき
凡例
序文
第一講 芸術の発見と適用
発見
適用
第二講 芸術の蓄積と分配
蓄積
分配
補遺
一、父権
二、公的扶助を受ける権利
三、能力訓練学校
四、社会の嗜好
五、新需要の創出
六、文学の経済論
七、国家の水先案内人
八、絹と紫
〈「アートは難しい、わからん」から「わからない。だから興味がわく」へ。〉
〈アートはわからない!と思っている人にこそ触れてほしい「対話型鑑賞」。〉
1980年代後半ニューヨーク近代美術館(MoMA)で開発された対話型の美術鑑賞法(VTC)は、その後派生したVisualThinking Strategies(VTS)をふくめ、日本では「対話型鑑賞」として徐々に広まりました。近年、この鑑賞法は美術鑑賞のみならず教育現場や医療、サイエンスの分野でも評価され、さらにビジネス界にも普及しつつあります。本書は各分野の専門家が対話型鑑賞の現状を把握し、問題や課題を浮き彫りにした上で、対話型鑑賞の可能性を見つめ直す一冊です。
※2022年夏に開催されたフォーラム「対話型鑑賞のこれまでとこれから」をもとに書籍化。
ドゥルーズは芸術との格闘によって哲学を構築した。ドゥルーズの哲学における概念の創造に、芸術はいかにして重要な役割を果たしてきたのか。初期から最晩年まで取り組み続けた芸術をめぐる思考の変化とともに、その概念の生成の過程を明らかにする。
毎回100万人前後が離島などの会場に来場し100億円規模の経済波及効果をあげる芸術祭。だが、それだけではない。地域資源の再発見、誇りの醸成を促し、交流と活動の連鎖から、小商いや移住・定住の増加など、地域の変化が起きている。その企画・運営、とりわけ行政と民間・住民の関わり方を読みとき成功の秘訣を示す。
はじめに
1章 「地方消滅」の危機に対峙するーー現代アートが地域資源を呼び覚ます
1 「海の復権」を掲げた瀬戸内国際芸術祭
2 地域型芸術祭のパイオニア「大地の芸術祭」
〈この人に聞く〉 北川フラム氏 芸術祭は21世紀の社会運動であるーー美術が地域を耕す
2章 瀬戸内国際芸術祭の展開ーー「近代の汚点」を超克し、21世紀を見据える
1 日本の玄関「瀬戸内海」--地政上の優位性、多様で豊かな歴史
2 第二次世界大戦を境に海が荒れ始める
3 近代化の負の遺産に向き合うーー煙害の島/産廃の島/ハンセン病の島と芸術祭
〈この人に聞く〉福武總一郎氏ーー在るものを活かして、無いものを創る
3章 瀬戸内国際芸術祭のマネジメントーー運営と仕組みづくり
1 瀬戸内国際芸術祭ができるまで
2 本気の官民協働ーー実行組織の在り方
3 経営資源をいかに集めるか
4 ノウハウの蓄積ーー批判、失敗を含め「プロセス」を引き継ぐ
5 まちづくり計画に伴走する
〈この人に聞く〉真鍋武紀氏ーー熱意ある人材と適切な役割分担。最後は人と人との信頼関係
4章 瀬戸内国際芸術祭の参加者たち --来場者/アーティスト/住民/サポーター
1 瀬戸内国際芸術祭来場者、その半数がリピーター
2 常連アーティストの心を惹きつける場所/人々--島に眠る物語を作品に再編集する
〈この人に聞く〉王文志氏(台湾)--作品がなくなってもつながりが続く芸術祭
3 住民の関わり方が変わるーー受動から能動へ
4 ボランティアサポーター --観る側から支える側へ
〈この人に聞く〉浜田恵造氏ーー地方に何があるのだという問いへ一つの答えを示した
5章 交流から定住へーー島の暮らしに新風を吹き込む
1 島に変化をもたらす「関係人口」
2 交流から定住へ
3 芸術祭を契機に人材が集まる
〈この人に聞く〉大西秀人氏ーー新しい産業や文化を生み出しながら100年続く芸術祭を目指したい
6章 瀬戸内国際芸術祭の国際性
1 日本の芸術祭の特徴と国際化の課題
2 外国人来場者の上位は台湾、中国、香港
3 海外メディアで取り上げられる瀬戸内国際芸術祭
4 アジアに伝播する芸術祭
7章 公共政策からみた瀬戸内国際芸術祭
1 芸術祭への問題提起を考える
2 持続可能な地域をつくるーー芸術祭とまちづくり
終章 地域型芸術祭とソーシャルイノベーション
1 瀬戸内国際芸術祭の楽しみ
2 瀬戸内国際芸術祭、成功の要点
3 ソーシャルイノベーションとしての瀬戸内国際芸術祭
おわりに
注・参考文献
一流の研究者・表現者を招いた東京藝大の人気授業「メディア特論」を全2冊で書籍化。様々なアイデアや視点との相互作用はアートをひらく場となる。第1巻は8講演を収録。
序 文(澤 和樹)
1時限目 技術と芸術の狭間で
--アート+エンジニアリング(原島 博)
2時限目 動く絵の現在・未来
--夢の表象とアニメーション(山村浩二)
3時限目 空間音楽・音楽空間
--アート+形式言語(藤井晴行・古川 聖)
4時限目 「芸術の起源」の現在と未来
--絵筆をもったチンパンジー(齋藤亜矢)
5時限目 「哲学入門」
--アート+プロセス(河本英夫)
6時限目 光のアートと陰影のデザイン
--アートをひらく光と陰影(面出 薫)
7時限目 アート+社会=デザイン・テクノロジー融合表現
--アート+社会(須永剛司・鈴木太朗)
8時限目 創作活動におけるカラダの役割
--とくに感覚器官との関わりにおいて(笠井 叡)
あとがき(内海 健)
東京藝術大学 メディア特論 プログラム(2017-2019)
芸術は、単に好き嫌いで話が済むような趣味の世界のものではない。芸術は、世界の様々な素晴らしいものが沢山詰まったものであり、世界の奥深いものが凝集しているものである。本書は、芸術のこのような本質を、古代ギリシアから現代までの多くの傑作を現地に訪ねて現場でわかりやすく語っていく。文学や演劇についても言及するが、主軸は建築を含む美術とし、芸術のもっている深い意味を明らかにしていく。芸術が、好き嫌いのレベルを超え、感覚的な趣味のレベルを超えた、奥深いものであるということがわかるようになることが目標である。
1.芸術とは何か -芸術の見方・味わい方ー 2.プラトン美学 -文学の深い可能性ー 3.アリストテレス芸術哲学 -演劇の哲学的普遍性ー 4.ロマネスク美術 -超越のプラトン主義ー 5.ロマネスク美術 -輪廻転生のプラトン主義ー 6.ゴシック美術 -内在のアリストテレス主義ー 7.イタリア・ルネサンス美術 -ルネサンスの新プラトン主義ー 8.イタリア・ルネサンス美術 -ルネサンスの政治思想ー 9.北方ルネサンス美術 -宗教改革と芸術ー 10.バロック美術 -対抗宗教改革の芸術戦略ー 11.ロココ美術 -ディドロ美学と市民の芸術ー 12.19世紀美術 -革命の時代の芸術ー 13.20世紀美術 -戦争の世紀の芸術ー 14.現代の芸術 -死の影の下の芸術ー 15.今日の芸術 -危機の時代の芸術ー
学校の図工・美術教育や幼児の表現活動、美術館などの社会教育、美大における美術家養成等、美術教育の場は多岐にわたる。その美術教育にかかわる問いについて検討しつつ、実際に美術制作に取り組む芸術家たちが、作品制作と探究的思考を往復する様を浮き彫りにする。「芸術的省察による研究 Arts-Based Research: ABR」に関する日本で初めての書。
はしがき[小松佳代子]
第1部 美術教育の理論的位相
第一章 美術教育の位置づけ[小松佳代子]
第1節 美術教育の正当化論
第2節 美学者による美術教育の位置づけ
第3節 教育哲学における美術の位置づけ
第二章 美術の学びの特殊性[小松佳代子]
第1節 発見的な学び
第2節 イメージによる学び
第3節 モノとの相互作用による学び
第三章 芸術的省察と美術教育[小松佳代子]
第1節 Arts-Based Researchの理論と実践
第2節 芸術的省察による質的知性の形成
第3節 美術教育の意義と課題
第1部 参考文献
第2部 制作者による芸術的省察
第四章 リアリズム絵画における知覚と思考[橋本大輔]
はじめに
第1節 知覚と思考の場としての絵画
第2節 記号としての絵画
第3節 リアリズム絵画における知覚と思考
おわりに
第五章 「まれびと」的視点と芸術的省察[三好風太]
第1節 視野狭窄
第2節 まれびと
第3節 表現者の視点
第六章 「贈与」としての美術・ABR[櫻井あすみ]
第1節 私的な記憶によるプロローグ
第2節 美術の「贈与性」
第3節 美術制作とABR
第七章 芸術における「隔たりの思考」[菊地匠]
はじめに
第1節 楽園としてのマティス芸術
第2節 「隔たりの思考」と「オフーモダン」
第3節 今日の「オフーモダン」的作品
おわりに
第八章 もののなかで夢をみる─芸術的知性による〈解放=救済〉[齋藤功美]
はじめに──非同一的な記述へのエクスキュース
第1節 芸術作品の〈もの〉の物質性
第2節 芸術作品の浮き彫り─文化産業とキッチュ
第3節 過剰なものとしての〈真正な芸術作品〉─ためらい、謎特性、多義性〈真正な芸術作品〉
第4節 制作と鑑賞の汽水域─批評による〈解放=救済〉
第5節 もののなかで夢をみる
おわりに──〈芸術的知性〉による省察
第九章 制作活動における美術の探求の流れと、探求型学習[栗田絵莉子]
はじめに
第1節 美術制作における探求の流れ
第2節 美術制作における探求
第3節 学校教育における探求型学習の実践
おわりに
あとがき
事項索引
人名索引
2019年で生誕120年を迎える映画史上の名匠アルフレッド・ヒッチコック。「サスペンスの神様」という呼称だけではおさまらない、その特異な作品の魅力、オブセッションを考察する。
「アクション・ペインティング」という概念を生み、サルトルやドゥルーズにも影響を与えた美術批評家による、戦後の現代美術の動向を追う、パフォーマティヴな「脱」芸術批評。