攘夷論も守旧論も、対する和親論や開化論と同じく、ひとつの現実主義である。一見無謀で頑迷に見える主張が、いつの世にもなくならないのは、世のいわゆる「現実主義」的思考に根本的な盲点があるからだ-。本書では、従来の通念を超えた地平に立って、近代東アジア三国の事例を通観する。
解放以後、半世紀にわたる韓国の歴史学および歴史教育を国内外の政治状況と照らして緻密に分析。「民族意識」や「反日意識」を規定してきた要因を徹底的に検討する。
中国農村に導入された直接選挙を特徴とする村民自治制度の実施実態(村長候補者と村民委員会メンバーを自主的に選出できる「海選」方式を中心に)とその影響を現地調査で初めて究明。
美的経験の“否定性”とは何か。芸術の自律性と至高性の二律背反は解消できるか。フランクフルト学派の新世代がアドルノ美学の核心を記号論・解釈学・分析哲学を駆使して明快に読み解き、デリダの脱構築理論と対決させた先駆的研究。
第二次大戦後に社会研究所を再建し、フランクフルト学派を形成したホルクハイマーとアドルノは、急速に西欧(アメリカ)化していく西ドイツ社会において、『啓蒙の弁証法』の「野蛮/啓蒙」図式とは異なる位相の問題に直面し、「真理政治」の戦略を組み替えることを余儀なくされた。彼らは、管理社会化していく西ドイツの状況をどのように捉え、その中でどのような理論的実践を試みたのか?戦後の彼らの主要著作とそれに対する公共圏での反応、大学でのゼミやシンポジウムの記録、哲学会の内部資料、書簡など、多様な資料を駆使しながら、フランクフルト学派第一世代の真理政治の全体像を再構成し、「批判理論」の意味を問い直す。
茶の疾病予防機能を中心にした最新の研究成果を集大成。
女性教師はなぜ問題視されねばならなかったのか。そのまなざしに彼女たちはどのように対処したのか。20世紀というタイムスパンで、日本の女性教師がおかれた状況を読み解く。
本書の目的は、神話と首長制それ自体というよりも、ナヌメアの人々による神話と首長制をめぐる探求について記述、分析、考察することである。ここでいう探求とは、神話や首長制をめぐる「真実」を明らかにしようとする意図的な実践を指す。そして、それには「真実」はどうあるべきかを提言し、また、それに関する合意を形成しようとする活動をも含む。私がここで書こうとしている民族誌とは、ナヌメアの社会や文化それ自体ではなく、ナヌメアの社会や文化をめぐる探求について記述、分析、考察するものである。