ー個人の学習や地域での活動をひとつの楽器の演奏にたとえると、
さまざまな人々が集う地域やコミュニティごとに豊かなハーモニーが奏でられているー
このような観点から、長年「生涯学習」研究に取り組んできた監修者のもとに集った編者・執筆者が、
「学校と地域」「共生社会」「子育て支援」「おとなの学び合い」を主テーマに編纂した実践論集。
?14名の専門家が具体例に基づき、地域づくり・コミュニティ形成と人々の学習活動について論じ、
また、地域で活躍する11名の実践家が現場での臨場感ある実例をコラムで紹介。
学習と地域が互いに影響を及ぼし循環的に発展していくこと、
その礎となる社会教育の可能性について、多彩な事例から学べる一冊。
第1部は、地域と学校の関係に着目、
第2部は、共生社会をテーマとし、
第3部は、子育て期の母親の講座受講や、自主グループ活動における学び・地域活動・地域連携と、
母親を支えるボランティア活動に焦点を当て、
第4部では、おとなによる主体的な学び合いが、地域社会を発展させる可能性について論じていく。
【執筆者】
宮地孝宜、戸澤真澄、藤田清子、石野由香里、高梨宏子、長岡智寿子、井出祥子、井出(田村)志穂、
中村(足利)志保、山澤和子、倉持伸江、坂口 緑、北澤季奈、柴田彩千子、田中雅文
大学の国際化に伴い、留学生と日本人学生がともに学ぶ「国際共修授業」の制度化が日本の各大学で進められている。北海道大学での「多文化交流科目」の実践をもとに、授業設計についてまとめ、教育における多様性を問い直す、国際共修授業の入門書。
はじめに
第1章 多様性と教育ーー市民教育の視点から考える[永岡悦子]
はじめに
1.多様性とは何か
2.多様性と大学教育の事例
3.多様性と市民教育
おわりにーー多様性を活かした社会に向けて
第2章 国際教育交流と多様性[高橋彩]
はじめに
1.多様性を再考する
2.考え感じる教育空間
おわりに
第3章 多様な視点と表現から学ぶ科学技術コミュニケーション[奥本素子・朴ゲン貞]
はじめに
1.理論的背景
2.授業実践
おわりにーー本授業を振り返って
第4章 多様性を資源とする批判的思考の育成[小林由子]
はじめに
1.理論的背景
2.授業実践
おわりに
第5章 社会の多様性と言語バリエーション[鄭惠先]
はじめに
1.社会言語学から見る「ことばの多様性」
2.社会の多様化を支える「ことばの多様性」
3.教室活動を通して考える「ことばの多様性」
おわりに
第6章 フィールドワークにおける多様性[青木麻衣子]
はじめに
1.フィールドワークと多様性
2.多様性を活用した授業実践ーー「札幌をフィールドワークする」
おわりに
第7章 異文化コミュニケーションにおける多様性[式部絢子]
はじめに
1.多様性の捉え方
2.授業実践「多文化共生入門ゼミ」
おわりにーーこの実践の先にあるもの
第8章 これからの日本語教育・教師教育における多様性を考える[小河原義朗]
はじめに
1.日本語教育における多様性
2.教師教育における多様性
おわりに
第9章 アクティブラーニングが求められる背景[山本堅一]
1.アクティブラーニングとは何か
2.なぜアクティブラーニングが求められているのか
3.アクティブラーニングと多様な他者との学び合い
4.オンライン授業導入による変化と展望
あとがき
索引
留学生がホスト国の学生と良好な関係を築くことが異文化適応においては重要だが、友人形成には様々な困難が伴い、多くの留学生が期待と実際の経験にギャップを感じ、友人を作る難しさを実感している。本書では、世界的および日本国内での留学生の増加とその異文化適応に関する課題を概説した上で、質的、量的分析を踏まえ、その改善策として教育的介入の有効性を検討する。
序 問題の所在と研究目的
第1部 研究背景と先行研究
第1章 留学生交流の現状と動向
1.1 世界の留学生交流の現状と動向
1.2 アメリカ・中国の留学生交流の現状と動向
1.3 日本の留学生交流の現状と動向
第2章 異文化接触に関連する諸理論と研究動向
2.1 異文化適応
2.2 異文化間交流
2.3 原因帰属
2.4 留学生のホスト社会に対する認識と日本・日本人イメージ
第3章 友人関係に関連する諸理論と研究動向
3.1 友人関係と適応
3.2 留学生の友人関係に関連する問題
3.3 留学生の友人関係期待
3.4 コミュニティ援助に関する諸理論
3.5 問題の所在と本研究の目的
3.6 研究課題
第2部 友人関係に関する期待と体験の否定的認識及び関連要因
第4章 中国人留学生の友人形成及び不形成過程はどのようなものか(研究1)
4.1 研究目的
4.2 方法
4.3 結果
4.4 考察
4.5 結語
第5章 中国人留学生の友人関係における期待と体験の否定的認識及び友人関係への不満の関連(研究2)
5.1 研究目的
5.2 方法
5.3 結果
5.4 考察
5.5 結語
第6章 中国人留学生の友人関係に関する体験の否定的認識と友人関係への不満の原因帰属の関連について(研究3)
6.1 研究目的
6.2 方法
6.3 結果
6.4 「友人関係に関する体験の否定的認識」と「友人関係不満の原因帰属」の関連についての考察
6.5 結語
第7章 中国人留学生の友人関係不満に関する原因帰属と日本人イメージの関連について(研究4)
7.1 研究目的
7.2 方法
7.3 結果と考察
7.4 結語
第3部 友人形成に向けた教育的介入
第8章 教育的介入によって日本人学生と中国人留学生はどのような学びを得たか(研究5)
8.1 問題の所在と研究目的
8.2 方法
8.3 結果と考察
8.4 結語
第9章 中国人留学生と日本人学生の交流の継続と関連要因について(研究6)
9.1 問題の所在と研究目的
9.2 方法
9.3 結果と考察
9.4 結語
終章 総合的考察
10.1 研究結果の概要
10.2 友人形成を阻害する要因
10.3 友人形成を促進する要因
10.4 大学に求められる制度的支援
10.5 本研究の意義
10.6 本研究の今後の課題
引用文献
あとがき
本書は、日本の各地で多様な学習者の学びや人権保障のあり方に関心をもつ人々に、多文化教育を多面的に把握してもらうことを意図して書かれている。また、はじめて多文化教育について学ぶ人にも、その広がりと奥行きが伝わるようにと構成されている。
アフター・コロナを見据えて、大学はいま何をすべきかーー。
在籍学生数1,000人足らずの小規模大学に注目し、その留学生政策の実態を検証するとともに、留学生の満足につながることが期待されるエンロールメント・マネジメント(学生が大学に入学し、在学し、卒業するに至るまで、学業面、生活面を大学側がフォローする試み)と日本語教育の役割について考察する。
留学生への教育・支援に携わる大学関係者、必読。
第1章 留学生を取り巻く現況
1.1 「2018年問題」と定員充足
1.2 マクロレベルの留学生政策
第2章 日本語教育とエンロールメント・マネジメント
2.1 日本語教育と留学生政策
2.2 アーティキュレーション
2.3 エンロールメント・マネジメント
2.4 リサーチ・クエスチョンと本研究の意義
第3章 調査対象
3.1 対象大学
3.2 収集データと調査協力者
3.3 国際交流・留学生施策史
第4章 留学生獲得のために
4.1 マーケット・リサーチ
4.2 リクルート
4.3 アドミッション
第5章 受け入れたその後に
5.1 学生生活支援
5.2 経済支援
5.3 教学支援
5.4 リテンション
5.5 卒業
5.6 考察ーー留学生EM確立のために
第6章 日本語教育が持つ可能性
6.1 「キャリア日本語」と市民リテラシー型アーティキュレーション
6.2 「日本語教員養成講座」とグローバル・アーティキュレーション
6.3 修了生の協定校での活躍を通して
第7章 留学生エンロールメント・マネジメントを目指して
7.1 リサーチ・クエスチョンへの解
7.2 理想的な留学生EMに向けて
7.3 日本語教育中心のアーティキュレーション
7.4 アフター・コロナを見据えて
あとがき
参考文献
索引
英文要旨
セルフスタディで、教師教育を耕す日本発!
「教師教育におけるセルフスタディ」解説書&研究事例集。
広島大学教育ヴィジョン研究センターを拠点に積み重ねられてきた研究成果をここに公刊。
欧米の教師教育者の間では、1990年代あたりから、教師教育実践とその実践をしている自己を対象に、
ジレンマや葛藤の視点から協働的に探究する「セルフスタディ」と呼ばれる学術研究が発展してきた。
この研究を進める過程そのものが、個々の教師教育者の専門性開発とも重なるものだった。
日本では、セルフスタディの具体的な研究方略はまだまだ十分に認知されているとは言い難いが、
本書に巻頭言を寄せたジョン・ロックラン(J Loughran)氏と武田信子氏による
『J.ロックランに学ぶ教師教育とセルフスタディ』(学文社,2019)の刊行以来、
広島大学教育ヴィジョン研究センターを拠点にセルフスタディに関する研究会が数多く開催され、
日本におけるセルフスタディの実践を追究してきた。
本書は、その研究蓄積を形にした、日本発の「日本の教師教育」におけるセルフスタディを探究した書となる。
【執筆者一覧】
(執筆順)
ジョン・ロックラン、武田信子、草原和博、齋藤眞宏、大坂 遊、渡邉 巧、西田めぐみ、
岡田了祐、斉藤仁一朗、村井 大、山内敏男、大西慎也、内田千春、岡村美由規、祝迫直子、
前元功太郎、山本佳代子、河原洸亮、宮本勇一、粟谷好子、石川照子、西村 豊、深見智一、
両角遼平、泉村靖治、櫻井良種、田中雅子、八島恵美、河村真由美、服部 太、上園悦史、
清水智貴、岩渕 満、迫 有香、大杉昭英、霜川正幸
人間科学としての現象学的研究において我々が試みているのは、実践知や経験知といった言葉にし難いと思われるものの理解を、注意深い仕方で言語を用いて呼び覚ますことである。教育、医療・看護、福祉、カウンセリングなど他者との応答的関係を基盤とする専門家の実践には、訓練可能な技能や知識だけでなく、思慮深さ、直観、情念、そしてタクト豊かな受容力といった能力が求められる。それゆえ本書で展開される解釈学的現象学は、こうした専門家の実践的思考および熟達に深く関わり、寄与するものといえよう。
序 章 父親たちのいまー本書の目的ー
PartI 【調査編】現代の父親の養育性と役割意識・育児行動
第1章 父親の養育性・育児行動と役割意識に関する実態調査
第1節 調査の目的と方法
第2節 父親の子育ての背景ー調査結果I
第3節 父親の子育て生活ー調査結果II
第4節 調査結果から示唆されること
第2章 父親の養育性・育児行動と役割意識の形成の背景
第1節 父親の安定的愛着と育児行動
第2節 父親の回避的愛着と育児行動
第3節 父親の育児行動に影響を与える妻の要因ー夫婦関係に焦点を当てて
第4節 父親の育児ストレスを規定する要因
第5節 父親の育児ストレスと育児参加・夫婦関係を規定する要因ー親の年齢・就労形態と子どもの年齢・性との関連
第6節 父親の養育性・役割意識の形成を規定する要因とその構造
第7節 養育性の発達および役割意識の変化の父親と母親の差
第3章 父親たちの声
第1節 インタビュー調査I-育児,親子・夫婦関係,地域とのつながりに関する認識
第2節 インタビュー調査II-父親の養育性・役割意識・育児行動とその背景
PartII 父親の背景と養育性・養育行動と役割意識を高めるために
第4章 子ども・家庭福祉と父親・母親の役割
第1節 命と発達の観点からみる子ども観の変化
第2節 夫婦関係のあり方と子どもの福祉
第3節 協同的育児を通して育まれる父母の親性
第5章 親になるまでの体験が親役割に及ぼす影響
第1節 子ども時代〜青年期の「子どもの世話体験」の影響ー大学生への調査と本研究の調査結果から
第2節 養護性の育成と教育の関係
第3節 反面教師としての親の影響ーインタビュー調査での父親のデータから
第6章 妊娠出産体験が親役割の獲得に及ぼす影響
第1節 子どもを持つ意識の変化と親意識の形成
第2節 妊娠期の精神的揺らぎと妊娠の受容
第3節 父親にとっての妊娠出産体験と親性の発達
第7章 父親の養育性と育児行動について考えるー愛着を中心にしてー
第1節 愛着理論からみた父親の養育性と育児行動
第2節 父親の養育性と育児行動を促すことができるのか?
第8章 子育て家庭の父親のストレスと精神的健康
第1節 父親の家事・育児に対する態度
第2節 家事・育児と父親のメンタルヘルス
第3節 男女の精神的健康を支える親子保健という視点
第9章 これからの家族形成と親支援の視点
第1節 親になることの難しさ
第2節 親支援の動向
第3節 これからの家族を支援するために
PartIII 父親の養育性・養育行動と役割意識を高めるプログラム
第10章 講座型・対話型プログラムの実践とその効果
第1節 夫婦参加による講座型プログラムの実践とその効果
第2節 家族参加による講座+対話型プログラム
第3節 父親参加による対話型プログラム
第11章 父子の関わりを深める体験型プログラム
第1節 父親の養育性の向上と役割取得を促す支援プログラムの枠組み案(試論)
第2節 プログラムの目的と内容
第3節 結果と考察
Part III 実践の総括
終 章 現代の父親の養育性・育児行動と役割意識の形成とその支援
第1節 今日の父親
第2節 父親の役割意識・育児行動と養育性を高めるための課題
第3節 父親支援プログラムの構成と展開
付録【体験型講座ワークブック】
女子大の観光学部は、なぜ生まれどこへ向かうのか?実践教育を重ねて12年。数々のデータと経験から、明日に向かうヒントを読み解く。
関東平野本来の自然である常緑広葉樹の森。その姿を今日に残す国立科学博物館附属自然教育園に生息する動植物や菌類の多様性、そして無機的環境を説明する。
スキルや態度、倫理、学びの「場」づくり、コンフリクトなど、協同学習のファシリテーションにおける重要ポイントを取り上げ、文化的多様性を学びに活かすヒント、実践の向上につながる具体的な方法を提案する。組織のファシリテーションの事例も紹介する。
巻頭の座談会では「本人の『思い』と向き合い、『可能性』を紡ぐキャリア発達支援」をテーマに、障がいのある人たちの「思い」を表すための支援や、地域社会との「つながり」について考察した。第2部では令和元年に開催された「キャリア発達支援研究会第7回年次大会金沢大会」での渡辺三枝子氏、佐藤伸彦氏による講演内容と、グループセッションを5本報告。このほか、第3部は「協働」をキーワードに、児童生徒や教職員と地域との間で展開される学びのデザインについての実践7本、第4部では「キャリア発達を促す実践」として学校現場でのキャリア教育の充実を図るための実践報告9本と投稿論文1本を掲載。
「手話を教育現場に導入してほしい」と望んできた当事者の主張は、なぜ聾教育の現場に反映されてこなかったのか?手話を自らの言語として生きる聾者は、「耳が聞こえない」存在としての聴覚障害者と同義ではない。手話を獲得し聾文化を体得して、聾者に「なる」のである。「聾者が聾者であること」の生命線とも言える、教育現場における手話の導入をめぐる意思決定のパワーポリティクスに焦点をあて、聾者にとっての手話の存否に関わる本質的問題に迫る。