世の中の理不尽と女の快楽のあいだ-あっちで悩み、こっちで怒り、それから笑う。ノーブラ、スッピン、冷蔵庫なしで生きる貧乏フェミニストが読む、日常・身体・本。
フェミニズムをまともに語り直すために。法を社会的差別の隠蔽装置とする短絡を戒め、法の役割を真剣に考える。安逸と独断のまどろみを衝く、法哲学の鋭鋒。
「国家」と「わたし」の関係はどうあるべきか。過去のシティズンシップ(「市民権」)論、主にリベラリズムの議論を批判的に再検討しながら、「平等で自由な人格」がよりよく尊重されるための新たな理念を構想する。最終章で展開される、いかなる者の視点をも排除しない可能性を秘めたフェミニズム・シティズンシップの議論は、フェミニズム、ジェンダー論にとって必見。本書は、「シティズンシップ」論入門として最適であると同時に、社会科学の新局面をひらく挑戦の書である。
本書のタイトルは「フェミニズム法学」である。本書によって、性差別社会をなくす営みの一翼を担いたいという思いから、また、性差別と人権侵害への闘いのために法を必要としているすべての人たちへの支援となることを願って、あえて「フェミニズム法学」を名乗ることにした。本書によって、法律学が社会の中心に位置してきた男性による「知の世界」であったことを批判しつつ、ジェンダー視点から、新たな法律学を構築しようと試みるものである。本書では、生活と法の新しい関係を創り出すために、「労働」、「家族」、「身体・性」という三つの領域を対象として設定している。
旧ユーゴスラビア紛争下で、民族や宗教の違いを越えて女性の戦争被害者を支援したフェミニストNGOがあった。民族紛争といわれたものの実態は、民族の名のもとに暴力化していったナショナリズムではなかったのか。現地にいく度も足を運び、被害者救済や平和な社会をつくるために活動する人々と交流を続けている著者が、いかなるナショナリズムにも与しないフェミニストNGOの活動から、ナショナリズム克服の可能性を探る。
「帝国」の暴力に抗し「帝国のフェミニズム」を越える、女性国際戦犯法廷。
20世紀最後の四半世紀に、われわれは、国連の主催する一連の国際会議を通じて、国際法秩序のあり方が、ジェンダーを機軸に大きく転換しつつあることを経験した。女性差別撤廃条約と選択議定書は、そうしたなかで、ジェンダー視点から国際法学を再構築するための重要なトゥールと位置づけることができる。本書は、このような認識の下に、ジェンダー視点を縦軸に、女性差別撤廃条約選択議定書を横軸にして、フェミニズム国際法学の構築を試みるものである。
本書の直接的な問題関心は、二〇〇五年から二〇一五年までの時期を中心とした女性のM字就業の解体を中核的内容とする日本におけるジェンダー革命の端緒的展開の予測と二一世紀の世界史的なジェンダー革命の展望を明らかにするための歴史的・理論的考察である。そのためにフェミニズムの古典としてのボーヴォワール『第二の性』と、マルクス経済学の古典としての『資本論』とを比較検討しつつ、マルクスが検討しえなかった歴史と現状の資料、とくに性・生殖史と近現代の人口史の資料によって『資本論』を再検討する。
日本の現実と財界の思惑ーその関係を読み解く。よりマシな社会のために考えてきたこと。
中絶の権利の承認と胎児の生命に対する配慮は両立できるのか。フェミニズム思想の深化をめざして、リベラリズムとの差違を明らかにする。
スニーカー縫製工場と国際政治、女性兵士と家父長制、日常生活と国家安全保障の関係とは?“フェミニスト的好奇心”で加速する軍事化のしくみを照らし出す。
ヒステリー患者「アンナO嬢」ことベルタ・パッペンハイムの生涯。ユダヤ女性解放運動を進めた指導者の全体像と時代との相克を明らかにする。
映画・文学・女性学等身大の女性たち。社会主義は女たちに何をもたらし、何をうばったか。丁玲、蕭紅ほか革命の時代を生きた作家たちや新世代による文学、映画などにみる女性の表象を通じて、中国女性の自由と解放への模索を、筆致豊かに描きだす。
フェミニズムの今日の課題は何か。欧米のフェミニズム論争の主要な見解を明示、対立と不一致を丹念にときほぐして進歩の可能性を探る。
第3の年齢、サードエイジと呼ばれる50歳からの季節は、すべてのしがらみから解放され、ありのままの自分としてもっとも輝くすばらしい時だ、と著者パトリシアは語る。ところが現実は、思春期の悩みにも似て、迫り来る夕闇に慄きつつ、揺れ動く心。巷に溢れるアンチエイジングの情報を追いかけても、置き去りにされた心はどこか空虚だ。ワインのように、年を重ねるなかで熟成され、芳醇な味のある人生への糸口は、裸の自分自身と向き合うことであると著者は諭す。心理学者である彼女の視点は、あなたの奥深くに眠る人生のもうひとつの扉を開けるヒントを与えてくれるに違いない。高齢化社会・フェミニズムの先進国スウェーデンで評判の書である。