日中両国の理論言語学者による新たな交流から生まれたシリーズ第二巻。一般言語学に寄与し得る学術的提言を目指した、最新の研究成果がここに。
『ナラティブ研究の実践と応用』は、「語り」すなわち「ナラティブ」の分析を通じて、社会が抱える問題の理解や解決を目指すナラティブ・アプローチの成果を一冊にまとめたものです。ナラティブ研究では、語られた人生の出来事や経験を読み解き、問題解決のために活用します。一人一人の語りを精緻に読み、解釈する手法は、質的研究の一つとして定着していますが、近年では言語コーパスの充実により、「質」と「量」の融合研究も注目を集めています。ナラティブ研究の理論と手法が日々アップデートされる中、研究領域は広がり、特に教育、医療、心理学等の分野で成果を上げています。本書は、このようなナラティブ研究の知見を、各分野の実践例とともに紹介しています。
Part 1「教師・ALTのナラティブ」には、言語教師として成長するALTおよび英語音声指導に奮闘する小学校教師の語り分析と、「教師のナラティブ」に関するコラムを収めています。Part 2「外国語学習者・グローバル人材のナラティブ」には、「英語学習」、「グローバル人材育成」、「留学」、「欧米とアジア」といった現代的テーマに関する論考とコラムを掲載しています。Part 3「社会を読み解くナラティブ」では、文学作品、ノンフィクション、高齢者のライフレビュー、そして大学生の語る「葛藤ナラティブ」の分析に加え、医療現場および現代社会における語りをテーマとするコラムが掲載されています。
本書には、教育、グローバリズム、文学、医療、人間関係等多岐にわたるテーマにおいて、ナラティブ研究の汎用性と専門の垣根を超えて学ぶ学際研究の成果が示されています。ナラティブ研究の導入・発展に加えて、外国語教育、留学指導、グローバル人材育成に関わる教師・研究者、そして文学、心理学、医療、社会学分野の研究者にとっても重要な示唆を得られる一冊となっています。
はしがきーー大野 晋
はじめに 考古学と日本語……大野 晋×金関 恕
『日本語の起源』のころ/土井ヶ浜の発掘で学ぶ/縄文日本人と米作/縄文・弥生の酒/稲・粟の種類と餅の形/弥生時代の墓と石,金属/ものを細かく見ない日本人/欧米流考古学と日本考古学/東の考古学,西の考古学/言語能力と文化/考古学者たちの思い出
形質人類学との対話……馬場悠男先生をお迎えして
日本語の起源ーータミル語と接触したのか/タミル人は日本へ来たのか/弥生人とは誰なのか/アイヌ人と縄文人/弥生人はどこから来たのか/昔の人類学は正確ではない?/渡来弥生人の拡がりかた/偶然とは考えられないタミル語との対応関係/稲作は中国から来たのか/タミル人は7000キロを旅したのか/タミルからは文化だけを受け入れたのか/沿岸地域に別の稲作文化があった?/骨から見た人類の変化
縄文学との対話……小林達雄先生をお迎えして
人間はいつから言語を持ったのか/縄文人の言語と文化/縄文文化は進んでいた/日本語とタミル語の対応関係/縄文語はどんな言葉だったのか/数詞をどう考えるか/縄文の言葉と文化はどこまで受け継がれているのか/縄文の言葉はどこまで弥生文化の影響を受けたのか/文化の伝播と東西のちがい/記号文とグラフィティの類似は偶然か
アイヌ語学との対話……中川 裕先生をお迎えして
「弥生以前」の謎/アイヌ語はどこでいつ話されていたのか/縄文人はアイヌ語をしゃべっていたか/アイヌ語と日本語は関係があるか/文明の受容と言語/アイヌにとってのカムイとは/アイヌ語にくわわった日本語/東の言葉と西の言葉/日本語はどこから来たのか
朝鮮考古学との対話……西谷 正先生をお迎えして
日本語とタミル語の関連について/考古学から見た日本・朝鮮・南インド/稲作文化の来た道をたどる/人々の流れをさぐる
おわりにーー金関 恕
本書は、困った場面・状況に遭遇したとき、どのように英語で対処すればよいのかという会話例を豊富に取り入れました。
認知言語学の基礎を押さえつつ、どのような試みがその基礎をふまえてなされているか、研究の最前線も提示する。入門と研究のギャップを埋めるべく編まれた新スタイルの入門兼専門書。
言語を人間のコミュニケーションの中にとらえ直し、戦時体験の語りからネット上の言語まで、現代の様々なコミュニケーション現象に迫る。文化・認知・社会を繋ぐ新しい言語学の試み。
プロローグ 問題解決のための言語学
第1部 多言語状況
1 標準語と方言
2 国家と言語──言語政策
3 バイリンガルは悪か
4 外国語教育
5 手話という言語
第2部 社会の中の言語
6 言語と文化
7 無意識への働きかけ──政治・メディアのことば
8 法と言語
9 言語障害
10 言語情報処理はどこまで来たか
あとがき
用語一覧
参考文献
本書は多様化した現在の言語学界の状況を踏まえ、言語理論、言語獲得理論から厳選したキーターム解説と名著解題を企図した書である。執筆者は2023年3月を以って宮城学院女子大学英文学科を退職される遊佐典昭教授及び厚誼のある46名。取り上げられている項目はどれも必須のものであり、読者には「簡にして要を得た」キータームや名著解題を読了することによって、現在の言語理論、言語獲得理論の眺望が容易に理解できるはずである。
執筆者(五十音順):磯部美和、稲田俊明、梅田真理、大滝宏一、大津由紀雄、大庭明莉、小野創、小畑美貴、川原繁人、木口寛久、岸本秀樹、木戸康人、金情浩、小泉政利、小町将之、斎藤衛、里麻奈美、杉崎鉱司、鈴木英一、スネイプ ニール、高橋久子、高橋真彦、都築雅子、寺尾康、外池滋生、中島平三、中山峰治、那須川訓也、西岡宣明、西山佑司、野村忠央、長谷川信子、平川眞規子、福井直樹、藤田耕司、本間伸輔、幕内充、増冨和浩、松岡和美、宮本陽一、桃生朋子、柳田優子、山腰京子、遊佐典昭、遊佐麻友子、吉村紀子、ルプシャ コルネリア。
最新の情報を盛り込みながら、日本語や英語を中心に「ことばの不思議」を紐解く言語学入門。音声・文法・意味から言語と文化の関連までを解説する。欄外にポイントやキーワードをまとめるなど、学習しやすさへの配慮を施し、知識の確認ができる練習問題も充実させた。
長く日本語学の研究全般にわたり多くの業績を積み重ねてきた編者のもと、気鋭の研究者全36人の寄稿になる論集。すべての人間活動の基底にある言葉を、日本語の歴史総体の中で様々な視点からとらえる重厚な論考。
本書は「やさしさ」を共通のキーワードにしながら、日本語教育、医療のことば、ろう教育、言語景観、震災と原発などのさまざまな事象にアプローチしている。言語や社会現象を研究の対象とするものが、それぞれの実践や思索、具体的な調査に基づいて、「やさしさ」という、古くて新しい価値を再評価し、対話の可能性を提供する。
荷物運びを手伝ってもらいたいとしたら、どのような頼み方をするだろうか。おつりが間違っていることを注意するときはどうだろう。本書は、そうした言語行動の地域差を全国1000地点規模の調査によって明らかにする。目的別に分類されたさまざまな言語行動のデータを分析することで、この分野の方言学の基盤づくりをしようというのが本書のねらいである。
執筆者:井上文子、尾崎喜光、櫛引祐希子、熊谷智子、小林隆、佐藤亜実、椎名渉子、篠崎晃一、武田晃子、津田智史、中西太郎、松田美香
まえがき
I 概説編
言語行動の全国調査
小林 隆
2 分析編
依頼・受託の言語行動
ー配慮性と主観性の観点からー
小林 隆
買い物場面における言語行動の地域差
ーレジでの声かけ・少額の会計への高額紙幣支払いー
篠崎晃一
はがきを買うときの言語行動 -頼む・礼を言うー
井上文子
「申し出る」と「受け入れる」 -恩恵表現と機能的要素から見る分布の特徴ー
松田美香
勧めの言語表現にみる地域差
竹田晃子
おつりが足りないとき、何と言うか -近畿の言語行動についての仮説ー
熊谷智子
不利益を被る場面における非難の言語行動の地域差 -東北と近畿に注目してー
椎名渉子
相手に寄り添う言語態度 -のど自慢をめぐる言語行動の地域差を追うー
津田智史
喜び・落胆の地域傾向
佐藤亜実
連絡を伝える言語行動の地域差 -話し手と聞き手の関係性に注目してー
櫛引祐希子
忘れ物を注意する場面における言語行動と言語表現
尾崎喜光
新年のあいさつ・不祝儀のあいさつの定型性
中西太郎
3 総合編
言語行動の地理的傾向 -本書のまとめとしてー
小林 隆
索引
執筆者紹介
理論言語学と英文法学習、英語教授法の橋渡しを試みた一冊。英米語の文法的な違いに始まり、欧米の英文法書と日本の学校英語文法との違い、5文型に関する議論や意味順の紹介、時制、相(語彙的相、視点相)、法の他、名詞句の解釈、代名詞類、比較、否定繰り上げ、否定極性項目などを解説する。英語のからくりについてもう一歩理解を深めたい、理論言語学を勉強してみたい人への招待状である。
第1章 基本的な概念に関して
1.1. アメリカ英語とイギリス英語の違い
1.2. 冠詞と名詞
1.3. 定形性
1.4. 文って何?
1.5. 文法の整理法
第2章 文型に関して
2.1. 5文型ってダメですか?
2.2. 文型がわかれば意味がわかるか?
2.3. 補部と付加部という考え方
2.4. 自動詞と他動詞、2種類の自動詞
2.5. 他動詞に目的語がない時、自動詞に目的語がある時
2.6. SVC文型:措定文と指定文
2.7. SVOC文型
2.8. 理論言語学で扱われているSVOC文型
2.9. 「意味順」
第3章 定形性に関して
3.1. 節
3.2. tough構文とwh移動
3.3. 繰り上げ構文とコントロール構文
第4章 時制・相・法に関して
4.1. 動詞の形が変わる要因
4.2. 相
4.3. 完了相
4.4. 相についてもっと詳しく
4.5. 結果状態に関する日英比較
第5章 意味に関して
5.1. 裸複数名詞の解釈と量化
5.2. 定性
5.3. 代名詞・再帰代名詞・否定極性項目
5.4. 否定極性項目についてもっと詳しく
5.5. 否定繰り上げ
5.6. 比較構文
5.7. 尺度推意
読む、書く、聞く、話すーー私たちは何気なくことばを使って意思疎通をしている。古代ギリシャ時代から始まったともいわれる言語学研究は、音韻論、形態論、統語論、意味論、語用論、応用言語学など、人間の営みにかかわる様々な分野に広がってきた。本書ではそんな言語学という不思議の国に魅せられた3人の英語教育の研究者でもある言語学者たちが自分たちの追い求める「白ウサギ」=不思議を紹介。表現や声の捉え方、世界の捉え方など、普段使っている中にこそ言葉の不思議は潜んでいる。音声から学習、思考にいたるまで、言語学・応用言語学への案内役となる一冊。
はじめに ことばの国のアリス
第1章 発音変化に見る音と綴り字のズレ
第2章 魅力的な声の秘密
第3章 あいまいな日本語の私
第4章 切っても切れないことばと心
第5章 ことばを通して世界を見れば
第6章 オーストリアはオーストリア語?!
第7章 通じる英語と通じない英語
第8章 英語が上手くなるための心得
おわりに オズのことば使い
目玉焼き・メロンパン・希望の光・人生の黄昏ーー日常言語に含まれる思考手段としてのメタファーをとりあげ、人間的意味の形成のしくみを明かす。
メタファー早分かりーー「月見うどん」はメタファー、「きつねうどん」はメトニミー、「親子丼」はシネクドキ。また、「白雪姫」はメタファー、「赤ずきん」はメトニミー、「人魚姫」はシネクドキ。さらに、「たい焼」はメタファー、「たこ焼」はメトニミー、「焼き鳥」はシネクドキ。
メタファーは、類似性に基づく。より抽象的で分かりにくい対象を、より具体的で分かりやすい対象に《見立て》ること。(略)
メトニミーは、現実世界(民話のような想像世界も含める)のなかでの隣接関係に基づく意味変化である。「赤ずきん」は「赤ずきん」そのものを指すのではなく、赤ずきんをかぶった女の子(赤ずきんちゃん)を指す。(略)
シネクドキは、意味世界(私たちの頭のなかにある)における包含関係に基づく意味変化である。(略)「親子」という類で特定の種「鶏とその卵」を表し、「人魚」という類であの海に身を投げて泡と消えた「人魚姫」を表している。--本書より
●メタファーとの遭遇
●「見る」のメタファー
●「分かる」とは何か
●光と闇
●位置と運動
●人生は旅
●「道」のメタファー
●メタファーと心理
●メタファーと経済
●メタファーと科学
言葉遊びや隠喩・洒落・誤用など従来の言語学が「よけいなもの」として見過ごしてきた言葉の無意識的現象を分析して言語学の脱構築をはかる試み。
我々ヒトだけがことばを自在に操ります。このヒトのことばの大元は、人類進化史上、どのようにして(How?)、いつ(When?)起源・進化したのでしょうか。本書では、この2つの謎を解き明かすべく、最近の生成文法のアプローチに拠りさまざまな分野の最新の知見・成果を駆使して、前者については「併合語彙結合仮説」を、後者については「言語早期発現仮説」を提唱・展開します。
第1章 言語の起源と進化
第2章 ミニマリスト・プログラム/MP
第3章 音側の前躯体
第4章 意味側の前躯体
第5章 How?-併合語彙結合仮説
第6章 When?-言語早期発現仮説
第7章 まとめー結論に代えて
第8章 おわりにーあとがきと展望に代えて