ハワイ生まれのエイズ患者ショーンを介してエイズ・ボランティアに深く関わった著者。彼の死を通して、異質なものを排除する日本社会を抉る。
兄の広太は1980年9月5日、弟の健は1983年9月24日に生まれた。二人は、血友病と診断されたが、明るく仲良く育っていった。しかし、兄弟は薬害エイズの犠牲となる。だれもが信じていた未来は、ともに12年という短さで閉ざされてしまった。ただ、その12年間、二人の一瞬一瞬は常に輝いていた。未来を信じ、今を懸命に生きていた。全力疾走で生きぬいたのだ。本書は、残された絵画や作文、写真を紹介しながら、つらい病気と闘いながらも輝いていた兄弟の日々と、二人を見守った両親の苦悩、悲しみ、怒りをつづった記録である。
クライエントとの相互作用的な関係を基盤とし、声なき声を代弁する臨床心理士・カウンセラーのアドボカシー活動を紹介。多様な実践事例から理論的・実践的問題を提起する。
日本中が団結し、政府を動かした薬害エイズ裁判からもうすぐ20年。当時、初めて実名を公表し、原告として闘った川田氏は、社会を変えるには政治しかない、と国政の場に立った。しかし東日本大震災後に彼がみたのは、あのときから何も変わらぬこの国の姿だったー。放射能の被害から子どもを救うため、必死の思いで成立させた「子ども・被災者支援法」に、なぜ国は1円も予算をつけないのか。そこには、利益のためにいのちがやすやすと切り捨てられるカラクリがある。「時代は変わるのではなく、変える」。日本の未来を担う「子ども」を守り抜くために、いますぐ私たちができること。
温故知新ー。私たちは、HIV/エイズから何を学び、そしてウィズ・ポストコロナの時代に、どのように生かし、発展させていくことができるだろうか。「病者が病者でいられる社会」を。一人のエイズ患者の遺した言葉だ。このような社会を私たちがコロナの時代にどう創っていくか、今、問われている。
広大なアフリカのサバンナに魅せられた一人の日本人助産師が、現地での30年におよぶエイズ患者支援の中で出会った忘れ得ぬ人々を、追憶と深い共感を込めて綴る珠玉のエッセイ。経済的に豊かでなく、治安においても安全とは言えないアフリカに生きる人びととの出会いには、現代の私たちが決して忘れてはならない「何か」がある。
現代文明病とも考えられている「エイズ」をいかにして克服していくのかー本書は、この点を中心に、さまざまな観点、とくに「宗教者のかかわり方」に関する議論を提示したものである。
〈死に至る病い〉に感染した、仏女性ジャーナリストの沈痛な叫び。世界14ヵ国で緊急出版。
いわれなき輸血感染。-医師は宣告をどう受けとめたか、以後、彼の生き方はどう変わったのか-。凄絶な心理的葛藤を赤裸々につづった衝撃の書。スウェーデンで反響をよんだ問題作。
輸血は、事故によるケガや難病の治療に際して、重要な役割をになっている。血液学の発展と、輸血技術の飛躍的な進歩によって、現在では、献血も輸血も、われわれが抱いているイメージからは大きく異なったものになっている。本書では、血液とはそもそもどういうものなのか、血液検査をどう健康管理に役立てるのかなど、血液全般についての基本的な理解を深めながら、エイズ・C型肝炎検査、成分献血・成分輸血、自己血輸血など、輸血をめぐる最新の研究成果を紹介する。
エイズが猖厥をきわめている。その感染者は、世界で1200万人ともいわれ、日本でも1万人に迫る勢いで増えている。初の発病者発見が1979年-以来、たった十数年でこの現状なのだ。「朝に紅顔あって、夕に白骨」という命のはかなさを思い知らせてくれるエイズとは何なのか?最新のデータをもとにエイズウイルスの謎を解明し、ほかならぬ人間の生と死を問い直す。
人類を滅亡に導く恐怖の病原体エイズ。そのウイルスは米国防総省の実験室(フォート・デトリックの550番建物)で密かに製造されていた。
日本初公表、全米60名のエイズ患者の素顔と真実の言葉。ビリー・ハワード撮影による60余点の写真が、ここに一挙に掲載され、せまりくる死をみつめる人々の魂の圧倒的な力が、感動的なまでに描きだされました。本書は、現代を綴る、永遠に残る記録なのです。