窓を再定義する60編の論考。
従来のクラシック音楽史が見落としてきた女性たちの豊かな音楽活動の歴史を、その実践がおこなわれた場ーー劇場・公開演奏会・学校・協会・家庭ーーに注目して史料から掘り起こす。女性たちによる音楽の営みを浮かび上がらせる、もう一つのクラシック音楽史。
はじめに 玉川裕子
[劇場]
第1章 ジェンダーの越境者カストラート 梅野りんこ
1 声の高低とジェンダー
2 カストラートとは何か
3 カストラートとオペラ
4 カストラートと女性歌手
5 カストラートとバロック
6 カストラートの衰退と終焉
7 ヨーロッパ社会におけるジェンダー意識の変化
[家庭]
第2章 家庭に鳴り響く音楽 玉川裕子
1 家庭で音楽を奏でる女性たち
2 ファニー・メンデルスゾーン=ヘンゼル
3 日曜音楽会
4 改宗ユダヤの一族として
[公開演奏会]
第3章 女性職業音楽家の誕生 玉川裕子
1 十九世紀の女性職業音楽家
2 クララ・ヴィーク=シューマン
3 職業ピアニストとしてのクララ・ヴィーク=シューマン
4 クララ・ヴィーク=シューマンのレパートリー
5 サロンについて
6 公と私のあいだーークララ・ヴィーク=シューマンの場合
7 女性の音楽実践の場ーー十九世紀ドイツ市民社会の場合
[協会]
第4章 開かれた連帯ーー近代イギリスの「女性音楽家協会」 西阪多恵子
1 女性運動のさなかから
2 二十世紀初めのイギリスにおける女性の職業と音楽
3 女性音楽家協会の誕生
4 女性の連帯と男性との協力
5 第一次世界大戦下のSWM
6 音楽する人々のため、女性のため
7 女性の権利
8 その後ーーSWMと男性
コラム クララ・ヴィーク=シューマンに魅せられて 川嶋ひろ子
コラム ファニー・メンデルスゾーン=ヘンゼルへの愛 中田真理子
[学校]
第5章 日本の学校教育を支えた洋楽と女性 辻 浩美
1 音楽ーー女性の領域?
2 明治期の音楽教育事情
3 女学校の音楽教育
4 女性作曲家・松島彜の生涯
5 音楽家としての彜の生き方
[家庭]
第6章 女性と音楽のたしなみの日本近代 歌川光一
1 女性と音楽のたしなみの二十世紀
2 音楽のたしなみの実態
3 「家庭」の成立と「洋楽/邦楽」--明治後期から大正期のピアノ・三味線
4 たしなみの行方ーー昭和戦前期のピアノ・長唄
5 女性音楽家と女師匠ーー職業論からみる「洋楽/邦楽」
6 女性の音楽のたしなみと日本の近代化
コラム ガントレット恒の生き方をみるーーキリスト教受容と洋楽受容の側面から 市川啓子
コラム 平和と平等を願う女性作曲家たち 小林 緑
〈女性と音楽〉参考文献案内 市川啓子
あとがき 玉川裕子
フェミニズムの「落とし物」がここにあるーー。
今世紀に入り、日本社会で大きく膨れ上がった「スピリチュアル市場」。
特に近年は「子宮系」「胎内記憶」「自然なお産」に代表されるような妊娠・出産をめぐるコンテンツによって、女性とスピリチュアリティとの関係性はより強固なものとなっていった。
しかし、こうしたスピリチュアリティは容易に保守的な家族観と結びつき、ナショナリズムとも親和性が高い。
本書は、この社会において「母」たる女性が抱く不安とスピリチュアリティとの危うい関係について、その構造を解明する。
「子宮系、胎内記憶、自然なお産。女性たちのスピリチュアルで切実な思いを分析した画期的な本だ。」--森岡正博氏、推薦!
◆目次◆
第1章 妊娠・出産のスピリチュアリティとは何か
第2章 「子宮系」とそのゆくえ
第3章 神格化される子どもたちーー「胎内記憶」と胎教
第4章 「自然なお産」のスピリチュアリティ
第5章 女性・「自然」・フェミニズム
第6章 妊娠・出産のスピリチュアリティとその広まり
◆著者略歴◆
橋迫瑞穂(はしさこ・みずほ)
1979年、大分県生まれ。立教大学大学院社会学研究科社会学専攻博士課程後期課程修了。立教大学社会学部他、兼任講師。
専攻は宗教社会学、文化社会学、ジェンダーとスピリチュアリティ。また、ゴシック・ロリータやゲーム、マンガなどのサブカルチャーについても研究している。
著書に『占いをまとう少女たちーー雑誌「マイバースデイ」とスピリチュアリティ』(青弓社)がある。
国内外の気鋭の研究者が『BTSJ日本語自然会話コーパス』を分析。ポライトネスなどの点からコミュニケーションの解明をめざす。
■編者による紹介文
会話は、人間のコミュニケーションの原点である。本書は、国内外で活躍する気鋭の研究者が、世界最大規模の国立国語研究所『BTSJ日本語自然会話コーパス』という材料を、それぞれの観点と方法で自由に料理してコミュニケーションの解明に迫るというユニークな試みである。このコーパスは、「間」、「沈黙」、「発話の重なり」「笑い」など、語用論的分析に必須でありながら、多くのコーパスでは記されていない周辺言語情報も記述し、且つ、定性的分析だけでなく、定量的分析もできるように考案された「基本的な文字化の原則(BTSJ:Basic Transcription System for Japanese)」という文字起こし方法で記述されている。それによって、より細やかに、コミュニケーションの本質に迫っている。語用論的分析に適した『BTSJコーパス』の分析から得られた知見は、日本語教育における「会話教育」にも新しい息吹きを吹き込むものばかりである。語用論研究者だけでなく、日本語教育の研究者、実践者にも是非読んでもらいたい一冊である。
現代哲学を「政治的正しさ」の呪縛から解放する快著
──帯文・東浩紀
ポリティカル・コレクトネス、差別、格差、ジェンダー、動物の権利……いま私たちが直面している様々な問題について考えるとき、カギを握るのは「道徳」。進化心理学をはじめとする最新の学問の知見と、古典的な思想家たちの議論をミックスした、未来志向とアナクロニズムが併存したあたらしい道徳論。「学問の意義」「功利主義」「ジェンダー論」「幸福論」の4つのカテゴリーで構成する、進化論を軸にしたこれからの倫理学。
哲学といえば、「答えの出ない問いに悩み続けることだ」と言われることもある。だが、わたしはそうは思わない。悩み続けることなんて学問ではないし、答えを出せない思考なんて意味がない。哲学的思考とは、わたしたちを悩ませる物事についてなんらかのかたちで正解を出すことのできる考え方なのだ。(…)
この本のなかでは、常識はずれな主張も、常識通りの主張も、おおむね同じような考え方から導きだされている。それは、なんらかの事実についてのできるだけ正しい知識に基づきながら、ものごとの意味や価値について論理的に思考することだ。これこそが、わたしにとっての「哲学的思考」である。(…)倫理学のおもしろさ、そして心理学をはじめとする様々な学問のおもしろさをひとりでも多くの読者に伝えることが、この本の最大の目的である。(「まえがき」より)
【目次】
■第1部 現代における学問的知見のあり方
第1章 リベラルだからこそ「進化論」から目を逸らしてはいけない
第2章 人文学は何の役に立つのか?
第3章 なぜ動物を傷つけることは「差別」であるのか?
■第2部 功利主義
第4章 「権利」という言葉は使わないほうがいいかもしれない
第5章 「トロッコ問題」について考えなければいけない理由
第6章 マザー・テレサの「名言」と効果的な利他主義
■第3部 ジェンダー論
第7章 フェミニズムは「男性問題」を語れるか?
第8章 「ケア」や「共感」を道徳の基盤とすることはできるのか?
第9章 ロマンティック・ラブを擁護する
■第4部 幸福論
第10章 ストア哲学の幸福論は現代にも通じるのか?
第11章 快楽だけでは幸福にたどりつけない理由
第12章 仕事は禍いの根源なのか、それとも幸福の源泉なのか?
終章 黄金律と「輪の拡大」、道徳的フリン効果と物語的想像力
本書は、人々が生涯を通していかにジェンダー化されていくのかを明らかにし、社会の中で人々の意識や行動がいかにジェンダーの影響を受けているのかを明らかにすることで、ジェンダーのとらわれから解放される方途を探ろうとするものである。
小論文受験の圧倒的ロングセラーが一新! AIなどの最新トピックも満載。
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[本書の特長]
すべての受験生に、いま必要な頻出テーマが面白いほどわかる!
■わかりやすい解説と豊富な意見例で、小論文に自信がつく!
■一目でわかる要点ページで、すばやく出題傾向をチェック!
■ミニ用語事典として使える「関連キーワード集」ページつき。
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■プロローグ:小論文の書き方
■テーマ1:グローバル化
■テーマ2:少子高齢化・人口減少
■テーマ3:環境・科学技術
■テーマ4:人権
■テーマ5:教育
■テーマ6:女性・ジェンダー
■テーマ7:ボランティア・福祉
■テーマ8:大学・学問
■テーマ9:現代における他者とのつながり
■テーマ10:現代の医療
■テーマ11:食
オウム、サイード、アフリカン・アメリカン、ジェンダー、靖国、ゲットー、廃墟…本書は、建築を通じて「世界」を測定する試みである。世界中の都市を歩き回った著者の人文・社会の集大成。
「女らしさ」「男らしさ」のとらわれから自由になるために!「ジェンダーフリー教育」のための待望の実践報告集。
日本では、政治の世界も経済の世界も、意思決定層は「日本人、男性、シニア」と極めて均質である。二〇一九年一二月、世界経済フォーラムから発表されたジェンダー・ギャップ指数で、日本は調査対象の153カ国中121位、過去最低の順位となった。女性リーダーの少なさが、下位低迷の大きな要因だ。海外各国では働く女性の現況に危機感を抱き、変化を加速させている。意思決定層に女性を増やさないと、日本は変わらない。いや、それどころか、このまま沈んでしまうー。四半世紀にわたって女性リーダーの取材を続けてきた著者が、国内外の女性役員にインタビュー。「生の声」には、これからの時代を生き抜くヒントが眠っている。
'なぜこれほどまでに女性差別がなくならないのか。
「森発言」とその経緯は日本社会の女性差別の根深さをあぶりだし、世界中にさらけ出しました。ジェンダーギャップ指数でも、とりわけ政治や経済活動の意思決定の場に女性が非常に少ないことから、日本は156か国中120位と低迷を続けています。
医学部入試で全国的にあからさまな女性差別が行われていたことは衝撃でした。「女性活躍」と言いながら女性に家事・育児・介護労働を押し付け、非正規雇用で安価な労働力として駆り出し、コロナ禍では女性の失業や、女性へのDV、女性の自殺も増加しました。選択的夫婦別姓も進まず、性暴力犯罪に関しても、加害者免罪・被害女性バッシングが続いています。主従関係を表す「主人」という言葉が夫を指す丁寧語として通用しているのが日本社会の現状です。
どうしたら女性差別をなくせるのか、改めて考えたいと思います。
<巻頭グラビア>ひめゆり平和祈念資料館がリニューアルオープン <特集>・山崎摩耶 政治の場におけるジェンダー平等の現状と展望 ・竹信三恵子 コロナ禍で女性たちに何が起きたか ・杉浦浩美 なぜマタニティ・ハラスメントはなくならないのか ・インタビュー 周藤由美子さん「不同意性交を犯罪に」 ・インタビュー 佐藤倫子さん「医学部入試における女性差別は絶対に許さない! ・「森発言」を改めて検証する〜特集解題にかえて〜 ・書評『女性のいない民主主義』『なぜ女性管理職は少ないのか』 ・映画紹介「SNS」 ・動画紹介「セーフアボーションデー 堕胎罪なくそ!」 <連載>康玲子「時代の曲がり角で」 ほか
ハビトゥスからジェンダー論まで。修道士もおこなっていた看護がいつか母性という評価にすり替り、そこに「女性」がとりのこされた理由を、ブルデュー理論と、フランス社会史を遡行しながら探る。
歌右衛門・藤十郎・玉三郎・・・徳川幕府が歌舞伎に女優が出演することを禁じたため誕生した女形は、その特異な運命をくぐりぬけて今や歌舞伎の最大の魅力となっている。人気サイト「歌舞伎素人講釈」の著者が歌舞伎の歴史全体の流れを踏まえ、ヨーロッパ美学論を駆使しながら女形の魅力を語る、まったく新しい歌舞伎論!!
私たち家族を呼び寄せるために母はインドを離れた……。稼ぎ主(breadwinner)としての女性の先行型移住は,移住後の労働,家庭,コミュニティにおけるジェンダー関係をどう変容させたか。国際社会学会会長M・ブラウォイによる緒言,監訳者による訳者解題も収録した充実の一冊。
第1章 女が先に移り住むときのジェンダーの矛盾
第2章 労働ーー看護、女のネットワーク、そして「杭につながれた」男たち
第3章 家庭ーー移民家族におけるジェンダーのやりなおし
第4章 コミュニティーーリトル・ケーララの創造と教会で「遊びに興じる男」のパラドクス
第5章 トランスナショナルなつながりーー移民コミュニティの双面神的生産
第6章 結論
訳者解題
貧困については、原因とその対処法、子ども・高齢者・非正規(特にシングルマザー)の貧困の実態、生活保護制度と社会保障制度の境界を探る。格差については、教育・所得・雇用・社会保障・住宅の格差の実態とその是正策を探る。さらに貧困解消と格差解消は同時並行的に行えるのか、優先順位はあるのか。これらの課題に社会福祉・社会保障の専門家が大胆に提案する。