クルマの免許取り立てでデパートに買物に出た中年女性歯科医が、緊張のあまりいつしか帰路を見失い、二昼夜東京近県を彷徨う「ちりぢごく」。肥大化したブルドッグに悩まされる飼い主の滑稽と悲惨「死者の鼾き」。住宅展示場でまんまと一杯食わされた一家の嘆き「しあわせ家族」。他に「俗物行進曲」「銀輪の檻」「物いわぬ海」等々、昭和最後の鬼才が放つ恐怖のお楽しみバラエティ十二夜。
アラフラ海に浮かぶリゾート・アイランド、パウイ。アメリカの鉱山会社ネクサスの最高幹部は、毎年恒例のバカンスに、夫人同伴でこの地を訪れた。が、政情不安なこの島にクーデターが発生、重役たちは射殺され、それを目撃した妻たち5人は、未開のジャングルに逃げ込んだー。上流階級の女たちは、未開のジャングルで生き残ることができるか?迫真の大型サバイバル・ストーリー。
今井夏実は平凡なOL、25歳。心のすき間にとりついた悪夢と現実との区別がつかないまま次々とかかわった男を殺していく。はたして、彼女が平穏な心をとり戻す日は来るのか…。
スプリングウッドのエルム街に住む女子高生ナンシー・トンプソンは、奇怪な男の現われる悪夢に悩まされ始めていた。焼けただれた肌、ナイフ状の鋭い鉄の爪、そして薄気味悪い笑いを浮かべたその男の名は-フレディー・クリューガー!フレディーは、古ぼけた地下のボイラー室で獲物を待っている。…鋭い千本の爪が鉄パイプをこする、キーキーといやらしい音。そしてフレディーは、突然物陰から姿を現わし、彼女を追いつめる。いつも間一髪のところで身をかわし、目をさますナンシー。しかし「ああ、よかった」と思う間もなく、またフレディーが…!二重三重の悪夢の中、ナンシーに逃れる術はあるのか?全米、そして世界で超人気のショッキング・ホラー・ムービーを完全小説化。「エルム街の悪夢2・フレディーの復讐」縮訳版も併録。
あの悪夢から6年-、ナンシー・トンプソンは心理学の研究生となって帰ってきた。市立病院で、クリステン・キンケードら子ども達の治療にあたるナンシーは、あの惨劇がふたたび起りつつあるのを知った。同僚の青年医師ニールと共に調査にのり出したナンシーの前に、やがてフレディーの出生に隠された忌わしい秘密が明らかになる。ついにナンシーは、ニールと共に子ども達を率いて、夢の中のボイラー室に乗り込んだ。そして、フレディーとナンシーの、最後の対決の火ぶたが切っておとされた。生き残るのはフレディーか、ナンシーか。それとも…。大人気のショッキング・ホラー・ムービー第3弾「エルム街の悪夢3・惨劇の館」を、完全小説化。マニアならうれしい未公開写真も多数収録。最新作「エルム街の悪夢4」“ザ・ドリームマスター”〜最後の反劇〜の情報満載。
それは、夏のある昼下がりのことだった。メレディスはプリーリの木陰で、葉ずれの音に身をまかせるように、静寂の中にまどろんでいた。ふと人の気配がして、目を開ける間もなく影が顔にかかり、そして…やさしく唇が奪われた。ああ、やっとこの人は私のもとに帰ってきた。幸せに酔いながらメレディスは、慎み深く、やがて熱い情熱に翻弄されて彼の口づけにこたえた。「マイケル、あなたなのね?」彼女はささやいて目を開いた。じっと見つめるブロンドの男性は…マイケルではなかった。
「すごく忙しいの。会社を出るのは毎晩7時過ぎよ」ステファニーが疲れた顔でこぼした。同僚のジェシーは、ちらりと意味ありげに彼女を見て言った。「いつも社長が送っていくんですってね」ステファニーはどきっとし、必死に心の乱れを隠そうとした。ジェシーが笑って言葉を継いだ。「ロマンチックね、社長が秘書に恋をするなんて」「いやだ、勝手な想像されちゃ困るわ」「でも普通は、残業したからってだれも送ってくれないわよ」ステファニーは黙った。あの事件のせいで、社長との間柄は…。
海上の訓練校・ルティアナ号で、女神“ミスティア”として5人の騎士“ミタス”と共に船を指揮するエダ。船の修理のため立ち寄った火山岩の島で敵兵に遭遇したエダは、敵国に連れ去られてしまう。死を覚悟するが、敵国の少年王・カルツェは彼女を周囲から隠し巫女殿で過ごすよう指示をしていてー。一方、ライハルトたちはエダを救出するためカルアシャに向かうのだが…。海を駆け歴史を変える乙女の物語、第7弾。
「出ていって、悪いことが起こらないうちに」これが、念願のマイホームを手に入れて、はしゃいでいた母のつぶやきとは思えないー。このときから、翠の身辺で怪現象が始まる。なんのためにか、鏡を嵌め込み、塞いだ窓からは、いつも誰かがのぞいている。家の中には姿なき住人の気配。立ちこめる腐臭…。調査にのりだした渋谷サイキック・リサーチだが、そこで麻衣が姿見の向こうに見たコソリの正体とは。迫真の本格ホラー堂々登場。
未曾有の不況の中で、苦しくなる一方の国民生活。しかし強欲な役人は、この期に及んでも自分たちの利権を主張するだけ。まさに「官僚栄えて国滅ぶ」。こんな状況を、いったい誰が救えるのか?気鋭のジャーナリストが霞が関を斬る。
米国で過去30年、日本でも小泉政権以降“構造改革”という名で推進された新自由主義的改革。しかしその帰結は超格差社会、そして“リーマン・ショック”に始まる世界同時不況だった。本書は今日の状況を恐ろしいまでに言い当て、また未来への指針を明確に示している。
豊かさと平等を標榜する「理想の国」アメリカ。しかしこの国は、その理念・理想とは裏腹に、複雑かつ困難な問題をいくつも抱え込んできた。そうした現実に、アメリカ文学はどう立ち向かってきたのか。作家の想像力が描き出す「アメリカ」は、いかなる貌を見せるのか。文学が描く「アメリカの夢」の裏側。