本書は、メキシコのフェミニズムの歴史を女性たちの言説により再構築しようとしたメキシコ・フェミニズム運動の資料集である。
本書は、抽象的説明に終始しがちな道徳哲学の諸学説を、安楽死・同性愛・中絶・動物の権利・死刑制度など現代社会のさまざまな現実と引き合わせることによって、他に類をみないほど鮮やかに描き出している。これらの豊富で適切な実例によって、倫理学上の問題とは、書物の中に閉じ込められた空虚な理論ではなく、我々の眼前で生起している生々しい出来事に他ならないということが実感されるであろう。
「ポストモダン派」マルクス経済学者たちの知の越境と経済学の新地平。
フェミニズムは男を排除しない。男にある、いや女自身にもある「内なる女性蔑視」を鋭く剔扶(てつけつ)する。学校で、会社で、そして家庭で偏見と差別にとりかこまれた「女」についての男が語るディスクール。
動物や昆虫の図鑑、読みものに夢中になった子ども時代がある。そこには、性役割の思いこみや偏見から解き放たれた自由な小宇宙がある。豊富で実に興味深い動物の多様な性行動を通して、本書は、私たち人間社会が抱えこみ、再生産してきた性役割の固定概念をみごとに打ち破ってくれる。
半世紀にわたり全国の女性の声を集め続けた情報誌『あごら』とその運動の軌跡。
半世紀にわたり全国の女性の声を集め続けた情報誌『あごら』とその運動の軌跡。
半世紀にわたり全国の女性の声を集め続けた情報誌『あごら』とその運動の軌跡。
「フェミニストになる」とはどういうことか?
美容行為、サドマゾヒズム、ケア労働などのテーマを通して内面化された男性支配を暴いていく。第2波フェミニズムの金字塔、待望の邦訳。
フェミニズム理論と現象学を融合させ、女性が日常生活の中でどのように抑圧されているかを鋭く分析。身体、感情、自己認識にまで及ぶ「女らしさ」の規範が、女性に内面化された支配の形であることを明らかにする。特に、ミシェル・フーコーの権力論を応用し、女性の身体がいかに社会的に形成され、管理されているかを論じる。第2波フェミニズムの名著とされる本書は、性差別の構造を深く理解したい読者にとって必読の書。
序論
第一章 フェミニスト意識の現象学へ向けて
第二章 心理的抑圧について
第三章 ナルシシズム、女らしさ、疎外
第四章 女性的マゾヒズムと個人変容の政治学
第五章 フーコー、女らしさ、父権的権力の近代化
第六章 羞恥とジェンダー
第七章 自尊心を養い、傷を癒すーー女性の感情労働における服従と不満
注
訳者あとがき
人名索引
妊娠や出産、育児は決して「自然の営み」ではない。育児負担の歪みがもたらす少子社会、出産の医療化の果ての産科医不足、テクノロジーが揺るがす生命観・家族観、生殖や再生産労働の商品化がひろげるグローバルな格差。フェミニズムの試金石でもありつづける〈母性〉=近代の性と生殖をめぐる危機の現在を見渡す論集。
フランス革命の衝撃がひろがる英国で、保守陣営と果敢に論争する女性論客として一躍有名になったメアリ・ウルストンクラフト。彼女がわずか3カ月で書きあげた義憤と希望の書『女性の権利の擁護』(1792年)は、フェミニズムの古典の筆頭にあげられる。フェミニズムという言葉すらなかった時代、18世紀末イギリスでウルストンクラフトは、どのような「女性」の、どのような「権利」を、どのように「擁護」しようとしたのか。気鋭の思想史研究者が丹念に読み解く。
メディアは、メッセージとともに既存の力関係も流通・補強しつつ、「意味をめぐる闘争」の場となるー発信の場からの排除や表現における差別は、構造的な歪みを可視化させ、「女性向け」商品は、受け手の能動的な読み替えで、新たな市場や回路も拓くー。カルチュラル・スタディーズや構築主義以降、メディアのジェンダー分析の新たな到達点も紹介。
ソビエトで生まれ、パリで画家、デザイナーとして活躍したソニア・ドローネ。夫・ロベールを取り巻く画家、詩人たちとの華やかな交流。ソニアの膨大な日記をもとにした書き下ろし。
美術における政治性、特にフェミニズムの視点から捉えた鋭い論評で美術史界の流れを変えた気鋭の美術評論家リンダ・ノックリンの、19世紀絵画についての私激的論文集。
二つの大戦を描き、生きたドイツの画家。社会派といわれ続けたケーテを再評価する、揮身の書き下ろし。
大英帝国の女性たちは、19世紀後半、フェミニズムを追い風に中・高等教育を獲得し教師となって、男子進学校と同等レベルの、女性による女子教育という領域を切り開いた。さらに植民地拡張の時流に乗って、単身オーストラリアやアフリカなどへ渡っていく。2つの大戦期までの女教師たちの姿を追いながら、彼女たちが女子教育にかけた夢、その光と影を浮き彫りにする。
女性の政治・経済参画は先進国中で依然低く、男女賃金格差も突出する日本。女をあらかじめ劣位に置く権力ーとくに雇用や社会政策など生活を決定する多様な権力の分析は、問題の発見と理論化、実証分析の蓄積へと、フェミニズムの運動/研究の両方の実践が切り開いた。その軌跡と現在の位置を指し示す格好の文献を紹介。