メディアは、メッセージとともに既存の力関係も流通・補強しつつ、「意味をめぐる闘争」の場となるー発信の場からの排除や表現における差別は、構造的な歪みを可視化させ、「女性向け」商品は、受け手の能動的な読み替えで、新たな市場や回路も拓くー。カルチュラル・スタディーズや構築主義以降、メディアのジェンダー分析の新たな到達点も紹介。
ソビエトで生まれ、パリで画家、デザイナーとして活躍したソニア・ドローネ。夫・ロベールを取り巻く画家、詩人たちとの華やかな交流。ソニアの膨大な日記をもとにした書き下ろし。
美術における政治性、特にフェミニズムの視点から捉えた鋭い論評で美術史界の流れを変えた気鋭の美術評論家リンダ・ノックリンの、19世紀絵画についての私激的論文集。
二つの大戦を描き、生きたドイツの画家。社会派といわれ続けたケーテを再評価する、揮身の書き下ろし。
大英帝国の女性たちは、19世紀後半、フェミニズムを追い風に中・高等教育を獲得し教師となって、男子進学校と同等レベルの、女性による女子教育という領域を切り開いた。さらに植民地拡張の時流に乗って、単身オーストラリアやアフリカなどへ渡っていく。2つの大戦期までの女教師たちの姿を追いながら、彼女たちが女子教育にかけた夢、その光と影を浮き彫りにする。
女性の政治・経済参画は先進国中で依然低く、男女賃金格差も突出する日本。女をあらかじめ劣位に置く権力ーとくに雇用や社会政策など生活を決定する多様な権力の分析は、問題の発見と理論化、実証分析の蓄積へと、フェミニズムの運動/研究の両方の実践が切り開いた。その軌跡と現在の位置を指し示す格好の文献を紹介。
「国家」と「わたし」の関係はどうあるべきか。過去のシティズンシップ(「市民権」)論、主にリベラリズムの議論を批判的に再検討しながら、「平等で自由な人格」がよりよく尊重されるための新たな理念を構想する。いかなる者の視点をも排除しない可能性を秘めたフェミニズム・シティズンシップ論につづき、誰かに依存せざるを得ない存在であるわたしたちにとって不可欠の「ケア関係」に着目した章を増補。本書は、「シティズンシップ」論入門として最適であると同時に、社会科学の新局面をひらく挑戦の書である。
「母」「主婦」…「女」役割の固定化の構造を解読し、解放をめざしてきた女性学のメインテーマ、性役割研究。共働きの増大や非婚・少子化の進むいま、雇用やケアをめぐって、性別役割分業が再編成されているー70〜80年代から現在まで蓄積された研究成果が、この社会のジェンダー力学をより鮮明に浮き彫りにする。フェミニズムの根本課題は、まだ大きい。
「国家」と「わたし」の関係はどうあるべきか。過去のシティズンシップ(「市民権」)論、主にリベラリズムの議論を批判的に再検討しながら、「平等で自由な人格」がよりよく尊重されるための新たな理念を構想する。最終章で展開される、いかなる者の視点をも排除しない可能性を秘めたフェミニズム・シティズンシップの議論は、フェミニズム、ジェンダー論にとって必見。本書は、「シティズンシップ」論入門として最適であると同時に、社会科学の新局面をひらく挑戦の書である。
シュルレアリスムの巨星マックス・エルンストとともに過ごした30余年。女流画家ドロテア・タニングが自ら語る、二人の愛と芸術。
古いケルト族の神話と民話、魔女伝説に魅せられて特異なイメージを表現する画家レオノーラ・キャリントン。インタヴューをまじえた。
ジェンダー化された存在としての男性とその男性性が、当事者によって、さらに多様に再検討されている。解放運動としての自己省察=メンズ・リブ、DVやさまざまな暴力への取り組み、ゲイムーブメント、学問領域における展開まで、フェミニズムのインパクトを受けて切り拓かれた、実践的再定義の数々を紹介する。
平安文学研究者出身の作家・奥山景布子が、「フェミニズム」「ジェンダー」「ホモソーシャル」「おひとりさま」「ルッキズム」など、現代を象徴するキイワードを切り口に「源氏物語」を読み解く。そこに浮かび上がってきたのは、作者・紫式部の女性たちへの連帯のまなざしだった。時空を超えて現代の読者に届くメッセージーー希望ある未来へとバトンを繋げる新解釈。著者初の古典エッセイ。
<目次>
はじめに 「サブカル」、そして「ジェンダー」「フェミニズム」
--紫式部の追究した「人間の真実」
第一講 「ホモソーシャル」な雨夜の品定め
--平安の「ミソジニー」空間
第二講 「ウィメンズ・スタディズ(女性学)」を古典で
--「女の主観」で探る夕顔の本心
第三講 ほかの生き方が許されない「玉の輿」の不幸
--「シンデレラ・コンプレックス」からの解放
第四講 「サーガ」としての「源氏物語」
--光源氏に課せられた「宿命」と「ルール」
第五講 「境界上」にいる、破格な姫君・朧月夜
--「マージナル・レディ」の生き方
第六講 宮家の姫の「おひとりさま」問題
--桃園邸は平安の「シスターフッド」?
第七講 「教ふ」男の「マンスプレイニング」
--紫の上の孤独な「終活」
第八講 「都合の良い女」の自尊心
--花散里と「ルッキズム」
第九講 平安の「ステップファミリー」
--苦悩する母たちと娘の「婚活」
第十講 宇治十帖の世界と「男たちの絆」
--「欲望の三角形」が発動する時
第十一講 薫の「ピグマリオン・コンプレックス」
--女を「人形」扱いする男
第十二講 「自傷」から「再生」へ
--浮舟と「ナラティブ・セラピー」
おわりに 古典を現代に
<著者プロフィール>
奥山景布子(おくやまきょうこ)
1966年生まれ。小説家(主なジャンルは歴史・時代小説)。名古屋大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。主な研究対象は平安文学。高校講師、大学教員などを経て、2007年第87回オール讀物新人賞を受賞し作家デビュー。2018年、『葵の残葉』(文藝春秋)で第37回新田次郎文学賞、第8回本屋が選ぶ時代小説大賞をダブル受賞。古典芸能にも詳しく、落語や能楽をテーマにした小説のほか、朗読劇や歴史ミュージカルの台本なども手掛ける。また、「集英社みらい文庫」レーベルでは、児童向けの古典案内・人物伝記も精力的に執筆。著書多数。
戦争、移民、家族と食。朝鮮半島にルーツをもつ母娘の記憶から、現代社会の論点が浮き彫りになる。2021年全米図書賞ノンフィクション部門最終候補となった、コリア系アメリカ人社会学者が紡ぐ、珠玉の回想録。
【目次】
日本の読者への序文/凡例
プロローグ
第一章 戦争みたいな味がする
第二章 アメリカン・ドリーム
第三章 フレンドリー・シティ
第四章 オンマ
第五章 キムチ・ブルース
第六章 マダム・マッシュルーム
第七章 統合失調症起源
第八章 ブラウン
第九章 一月七日
第一〇章 クラスト・ガール
第一一章 いちどだけでは、愛ではない
第一二章 オーキー
第一三章 クイーンズ
第一四章 亡霊たちをカウントする
第一五章 チーズバーガーの季節
原注/初出一覧/謝辞/訳者あとがき
【著者プロフィール】グレイス・M・チョー (Grace M. Cho)/Tastes Like War: A Memoir『戦争みたいな味がするーーある思い出の記』(Feminist Press, 2021)は、2021年全米図書賞ノンフィクション部門最終候補作、2022年アジア・太平洋諸島系アメリカ人文学賞成人ノンフィクション部門受賞作。第一作Haunting the Korean Diaspora: Shame, Secrecy, and the Forgotten War『コリアン・ディアスポラにつきまとうものーー恥辱、秘密、忘れられた戦争』(University of Minnesota Press, 2008)は2010年、アメリカ社会学会より図書賞を受賞。The Nation、Catapult、The New Inquiry、Poem Memoir Story、Contexts、Gastronomica、Feminist Studies、Women’s Studies Quarterly、Qualitative Inquiry などに寄稿。ニューヨーク市立大学(CUNY)スタテンアイランド校、社会学・人類学教授。
【訳者プロフィール】石山徳子(いしやま のりこ)/日本女子大学文学部英文学科卒業。ラトガース大学大学院地理学研究科博士課程修了(Ph.D. 地理学)。著書に、『米国先住民族と核廃棄物ーー環境正義をめぐる闘争』(明石書店、2004年、アメリカ学会清水博賞)、『「犠牲区域」のアメリカーー核開発と先住民族』(岩波書店、2020年、河合隼雄学芸賞)、共著に、『「ヘイト」に抗するアメリカ史ーーマジョリティを問い直す』(彩流社、2022年)、『野生の教養ーー飼いならされず、学び続ける』(法政大学出版局、2022年)、『野生の教養 II --一人に一つカオスがある』(法政大学出版局、2024年)など。明治大学政治経済学部・大学院教養デザイン研究科教授。
10代のあなたが、恋や人間関係、さらにその先の「愛や性(!)」の世界に本格デビューする前に、ぜったい読んでおくべき1冊。
誰かに傷つけられないように、自分を守りたい!
誰かを傷つけてしまってからでは、遅すぎる!
そもそも自分がどうしたいのかも、わからない!?!?
そんな10代に必要なのは、「同意」の知識なんです!
●たくさんの同世代+先輩、専門家、の経験談が教えてくれる「リアルな場面で起こること!」
オーストラリアの人気MCユミと、ティーンの味方で有名な女性ドクター、メリッサが、現役10代&先輩男女のナマの声を集めて展開する、超お役立ち本! テーマは「同意」です。
何かをしたい人同士の合意、それが同意。
同じ気持ちで向き合えればいいけど、気持ちにはいつも温度差があるもの。特に経験の少ない10代は、いろんな場面で「どうすればいい?」と迷い、答えが見つからなくてモヤモヤしがち。
そんなとき、この本が役に立ちます。
自分や相手を守る、シンプルな「同意」の基礎がわかり、実際の場で役立つ言葉も学べて、気持ちのいい関係が持てる。そんな本なのです!
ハッピーで可愛いイラストはイギリス人のジェニーが担当。親しみやすい翻訳は、作家でフェミニストの北原みのり。この小さな本が、世界最先端のフェアな新常識を伝えます。
●「親密な関係」を前に、ドキドキしてる人なら今すぐ役に立つ本!
まず「同意」を知るためのお題は「Tシャツ」。
「Tシャツ貸して」「いいよ」というだけのやりとりでも、じつは意外なリスクやスレ違いが! そこから、わかりやすくお話が展開。自分の意思や同意(YES,NO)は尊重されるべきものだと、この本を読むと胸にストンと落ちます。
「はっきりしてるのは、相手が誰であっても、どんなときでも、自分の身体に関することは、自分に「いい」「いや」を言う権利があるということ。それは、ほかの人も同じです。」(本文より)
途中から始まる「セックスの同意についてのコーナー」も、全10代必読! 今すぐ予定はなくても、「いつでも必要なときに読みに来て」というこの本があるだけで、安心できます。
同意って、実は大人でもまだよく知らないもの。でも、セックスを知るときに「同意」を一緒に学べたら、それってすごく幸せなこと!
イラストやトークに登場する人たちも多種多様。肌の色や特徴、体型や人種、障がいの有無…まで、本当にさまざま。手をつないでいる絵やキスの話題も、異性同士とは限らないのがこの本らしさです。
そう、どんな人でも、みんながみんな「自分のからだのボス!」。
そんなメッセージを伝えるこの一冊、ぜひ手に取って見てみてね! その日からあなたも「同意ワールド」の一員です!
どの家にも学校にも職場にも駅にも田畑にも戦争の空気が漂っていた時代。女性、子供、捕虜の視点で描かれる、それぞれの戦争の日常。
甘美で魅力的なはずの男女関係はなぜ、今や絶望的なまでに我々を追い詰めているのか? 古典的男女観ともフェミニズムとも異なる視点の二人が、とかく男女の問題に世知辛い昨今の日本社会を喝破する!
もしも隣人が異星人だったら?
もしも並行世界を行き来できたら?
もしも私の好きなあの子が、未知のウイルスに侵されてしまったら……?
切なさと温かさ、不可思議と宇宙への憧れを詰め込んだ、韓国SF短編集全15編。
同性愛、フェミニズム、差別と情報統制ーーマイノリティからのまなざしを受け止めつつ、人々の挫けぬ心を繊細に描く、「いま」と未来の物語。
宇宙飛行士を志す「私」は、夜な夜な母と囲碁を打ちながら、そのための勉強と準備を着々とすすめていた。しかし試験から帰ったその日、交通事故に遭い……。(「宇宙流」)
馬山沖には、亡者の残滓が水面に浮き上がって見える場所がある。ある日台風のニュースで、行方不明者リストの中に昔好きだった女の子の名前を見つけたヒョナは……。(「馬山沖」)
スジョンの住む部屋の隣には、ガマガエルのような見た目の〈彼〉が住んでいる。 ある日ひょんなことから、その〈彼〉をお茶に招くことになり……。(「となりのヨンヒさん」)
【目次】
第一部 となりのヨンヒさん
デザート
宇宙流
アリスとのティータイム
養子縁組
馬山沖
帰宅
となりのヨンヒさん
最初ではないことを
雨上がり
開花
跳躍
第二部 カドゥケウスの物語
引っ越し
再会
一度の飛行
秋風
【著者について】
チョン・ソヨン
ソウル大学で社会福祉学と哲学を専攻。
大学在学中、ストーリーを担当したマンガ「宇宙流」が2005年の〈科学技術創作文芸〉公募で佳作を受賞し、作家としてのスタートを切った。
小説執筆と併行して英米のフェミニズムSF小説などの翻訳も手掛けている。
2017年には他の作家とともに〈韓国SF作家連帯〉を設立し、初代代表に就任した。
社会的弱者の人権を守る弁護士としても活動中。
【訳者について】
吉川凪(よしかわ・なぎ)
大阪市生まれ。新聞社勤務を経て韓国に留学し、仁荷大学国文科大学院で韓国近代文学を専攻。文学博士。
キム・ヨンハ『殺人者の記憶法』(クオン)の翻訳で、第4回日本翻訳大賞を受賞した。
著書に『京城のダダ、東京のダダーー高漢容と仲間たち』など、訳書にチョン・セラン『アンダー、サンダー、テンダー』、崔仁勲『広場』(以上クオン)など多数。
この世に男と女がいる限り、恋だの愛だの修羅場だのは永久に避けられないもの。そして、わが国ニッポンにおいては、なんだか独自の男女生態系がハッテン中。
愛しているのに腹立たしいとはこれいかに? 女は本能で体感できることが男は10回生まれ変わっても理解できないのはこれいかに? 時代が流れようと事件が起きようと、進化してるのか退化してるのかどうかも曖昧な現代男女の実態を気鋭の書き手が分析。
もはや「涼美節」ともいうべき、独特の視点と描写と文体が浮き彫りにする男と女の最新エンサイクロペディア。
【目次より抜粋】
1分類●恋愛類天敵目シュラバ科
処女信仰男~20歳の責任とるなら30代の責任とってほしい話
聞かない女~男への平和的質問の手法なんてある? の話
メンヘラ製造男~すこーし愛してながーく愛してはキツイ話
前向きな女〜下手な魔法は使わない方がいい話 ほか
2分類●セクシャル類ニッポン目依存科
自称「卒業した」男~おじさんのマウンティングが見苦しい話
夢と現実の高低差女~性格が良いと身体を売る話
ニッポンの不倫男~罪悪感がないにもほどがある権利主張の話
パパ活培養女~不倫と売春で勘違いブスができるまでの話 ほか
3分類●意識高い類ポリシー目共食い科
思春期積み残し男~今更覚えたてのタバコをふかされてもな話
あえての根性論男〜「漢だねぇ〜」と言われたら落ち込んでほしい話
フェミニーナな女~自己主張も自己犠牲もなく来ちゃったよね、って話
俺ぁこんな村嫌だ女 ~イタさを恐れない田舎モンは強いという話 ほか
4分類●無敵類ハッテン目ガラパゴス科
元「めちゃモテ」女~ぷっくり唇がここに来て大火傷を負ってる話
代理店系メンタリティ男~独特のカタカナが名刺を彩ってる話
長文の女~メンヘラの強靭なメンタルの話
堀江ワナビー男~いいからお前は会議に出ろの話 ほか
【プロフィール】
鈴木涼美(すずき・すずみ)●1983年東京都出身。慶應義塾大学環境情報学部卒業、東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。大学在学中からキャバクラ嬢などを経験。大学院卒業後は日本経済新聞社に入社し、都庁記者クラブや総務省記者クラブなどで5年半勤務後、退社し、著述家に。大学院での修士論文が2012年に『「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』として書籍化。他、著書は『愛と子宮に花束を ~夜のオネエサンの母娘論~』『おじさんメモリアル』『オンナの値段』『女がそんなことで喜ぶと思うなよ 愚男愚女愛憎世間今昔絵巻』など。