家裁調査官36年間の体験から、非行少年と親たちの心の奥底を理解し、処方箋を提起する。育てながら育てられるという著者の目線は、子育てや人間関係を考えるうえでも貴重なヒントとなる。
各ライフステージにおける生理的機能や栄養状態の特徴,スポーツ,特殊環境それぞれに応じた栄養ケア・マネジメント,ならびにその基礎となる食事摂取基準の考え方・科学的根拠を総合的にわかりやすく解説したテキスト.豊富な図表やコラム,脇組の基本用語解説,国家試験頻出キーワードなどの工夫により学習しやすい構成になっている.「管理栄養士国家試験出題基準(2019年改定)」,「日本人の食事摂取基準(2020年版)」に対応.
【主要目次】
第1章 栄養ケア・マネジメント
A 栄養ケア・マネジメントの概念
B 栄養アセスメント
C 栄養ケア計画の実施,モニタリング
D 栄養ケアの評価,フィードバック
第2章 食事摂取基準の基礎的理解
A 食事摂取基準の意義
B 食事摂取基準の基礎的理解
C 食事摂取基準活用の基礎理論
D エネルギー・栄養素別必要量
第3章 成長・発達,加齢/ライフサイクル
A 概念
B ライフサイクルチェーンの栄養とDOHaD
C 胎生期と出生後の成長・発達
D 加齢,老化とエンド・オブ・ライフ
E ライフステージにおける食生活の状況と健康・栄養の課題
第4章 妊娠期,授乳期
妊娠期
A 妊娠
B 産褥
C 栄養アセスメントと栄養ケア
D 栄養と病態・疾患
E 栄養ケアのあり方
授乳期
A 授乳女性の生理的特徴
B 栄養アセスメント
C 授乳期の栄養と病態・疾患
D 栄養ケアのあり方
第5章 新生児期,乳児期
A 新生児,乳児の生理的特徴
B 栄養アセスメントと栄養ケア
C 授乳期の栄養補給法
D 乳児期の食事摂取基準
第6章 幼児期
A 幼児の成長
B 幼児の発達
C 栄養状態の変化
D 栄養アセスメント
E 栄養と病態・疾患・生活習慣
F 栄養ケアのあり方
第7章 学童期,思春期
A 学童期,思春期の生理的特徴
B 成長期の栄養アセスメントと栄養ケア
C 学童期,思春期の食事摂取基準と学校給食
第8章 成人期
A 成人期の身体的および社会的特性
B 成人期の食事摂取基準の特徴
C 栄養と疾患,病態
D 栄養アセスメント
E 栄養およびその他の生活習慣のケアのあり方
第9章 高齢期
A 高齢期の特徴
B 高齢者の生理的特徴
C 高齢者の精神的変化
D 高齢期の栄養アセスメント
E 高齢者の疾患と栄養ケア
F 身体的特徴に配慮した栄養ケア
G 介護予防・合併症予防のための栄養ケア
第10章 運動・スポーツと栄養
A 運動時の生理的特徴とエネルギー代謝
B 運動と栄養ケア
第11章 環境と栄養
A 環境変化に対する生体の応答とホメオスタシス
B ストレス応答と栄養
C 特殊環境と栄養
参考資料
参考図書
練習問題回答
索引
まえがき
序 自閉症スペクトラム障害(ASD)とは
第1部 自閉症と発達障害
1 自閉症の診断
2 発達障害
3 ADHDと学習障害──重なりの問題
◆コラム1 「育て方が原因なのでしょうか?」
第2部 療育の基本
4 言葉を話せなくても療育がある
5 療育の考え方
6 さまざまな療育方法
7 診療の現状
◆コラム2 「ASDは増えているのですか?」
第3部 高機能自閉症への対応
8 社会生活のためのトレーニング
9 就園と就学
10 思春期から成人期まで
11 そのほかのヒントとまとめ
◆コラム3 「ASDの遺伝子は見つかっていますか?」
参考図書
自閉性障害およびアスペルガー障害の診断基準
あとがき
用 語
LINEを使った
いまどきのコミュニケーション読本
LINEでのやりとりが日常的になった今、
「LINEで会話が続かない」
「とっさにいい返事が思いつかない」
「既読スルーされると不安」といった
コミュニケーションの悩みを抱えている人は
数多くいます。
果たして、どんなトークをしたら、
相手は返事をしやすいのか。
好印象を持ってもらえるトークはどんなものか。
そこで本書では、LINEを使ったカウンセリングや
メンタルトレーニングを実践し、
全国SNSカウンセリング協議会の理事を務める
著者が、心理学に基づいたトークの技術を伝授。
ビジネスシーンをはじめ、親子、恋人との会話など
さまざまなシーンで使える内容になっています。
仕事も私生活もLINEが当たり前になった現代。
いまどきのコミュニケーション読本として
役立つ一冊です。
Chapter 1 LINE上手になるには?
●写真・動画でリアル感と説得力をアップ
●感情を表す言葉は普段よりギアを一段UP!
●提案・お願いは選べると納得感が生まれる
●相手とのいい会話が続く究極の技術「共感」…他
Chapter 2 ビジネスでLINE上手
●プライドの高い人にお願いごとをするとき
プラスの言葉のシャワーで相手の心を開く
●取引先に自社を選んでもらいたいとき
相手を無理に説得せず「受容」と「示唆」で
味方に……他
Chapter 3 私生活でLINE上手
●親から思春期の子供への声がけ
「共感」「承認」で親子の距離を縮めよう
●気になる異性にアプローチするとき
デートに誘う鍵は「相手軸」「自己開示」と
「オンリーワン感」……他
幅広い「心の病気」をフォロー 本人も身近な人も持っておきたい決定版
うつ病・統合失調症・パーソナリティ障害など、現代人が抱える様々な心の病気について専門医が解説します。原因や症状のほか対処法やクリニックの選び方まで網羅。「社交不安症」や「広場恐怖症」といった新しい心の病気まで取り上げており、まさ決定版と言える書籍となっています。本人だけでなく、家族やパートナー、会社の同僚などすべての方に役立つ一冊です。
1章 心の病気って何?
2章 症状から調べる
3章 心の病気
4章 児童期・思春期の心の病気
5章 女性・男性特有の心の病気
6章 老年期の心の病気
7章 心の病気の治療
青年・成人期における発達障害支援の最前線。中学生、そして義務教育を終えてからの発達障害のある人たちの実状と具体的な実践について、家族支援、本人支援、高校・大学での支援、就労支援、余暇支援など、幅広く紹介する。
他人に認められないと、自分が愛せない!気鋭の精神科医が世相と精神医学を架橋する。
自身が30年以上の不安症を抱えてきたからこそ「不安専門カウンセラー」寄り添える。
それぞれの不安に対応したワークの解説した実践カウンセリング本。
著者独自のメソッドで「ワークをしたら心が軽くなった」、「孤独から解放された」など、カウンセリング体験者が不安を克服したという声が多数。
こんな人に読んでほしい。
・将来に不安を感じている方
・不安症の方
・繊細で真面目に頑張ってしまう方
・元気になりたい方
・自分を責めてしまう方
・・・など。
厳しくすべきか見守るべきか、
親がリードすべきか、子どものペースに合わせるべきかー。
成長にともない変化していく子育てのお悩みを
発達心理学、行動遺伝学、進化心理学という3つの視点で解決!
非認知能力、自己肯定感、自己効力感、子どものHSP、教育虐待、性教育、中学受験、反抗、思春期危機、レジリエンス、いじめ、不登校……etc.
子育ての気になる課題と対処がマンガでよくわかる!
マンガ、イラスト/松尾達
●目次より抜粋
1章【乳児期】0〜2歳
マンガ「三者三様の子育て」
・子どもが3歳になるまでママは一緒にいた方がいいの?
・自尊心や性格は家庭環境で左右される?
・過保護な子育てのリスクは? ……ほか
2章【幼児期】2〜6歳
マンガ「子育ては厳しく? それとも自由に?」
・英才教育を重んじることで逆に軽んじてしまうことは?
・認知能力と非認知能力って何が違うの?
・英才教育で親がハマる「罠」とは? ……ほか
3章【児童期】6〜12歳
マンガ「どうやって自立させればいいの?」
・どう褒める? どう叱る?
・よい子がハマる「罠」とは?
・中学受験はさせた方がいいの? ……ほか
4章【思春期】12〜18歳
マンガ「子どもの幸せって何?」
・なんで反抗するの?
・なんで親友をつくることは必要なの?
・なんで不登校になるの?……ほか
こんなときどうする? Q&A 53例
Q 「抱っこ抱っこ」とせがまれたら?
Q ギャン泣きが止まらないときは?
Q 子どもから「なんで勉強しなきゃいけないの?」と聞かれたら?
Q 子どもが「大変になってきたから塾をやめたい」と言ってきたら?
Q 子どもが「ゲームをやり続けたい」と言って暴れたら?
Q 娘がパパ活していることがわかったら?
Q 息子から「自分は男じゃない気がする」と言われたら?……ほか
●著者について
杉野珠理(すぎの・じゅり)
臨床心理士、公認心理師、心理学講師。心療内科でのカウンセリングのほか、企業や自治体で親御さん向けの子育てセミナー講師、自治体で中高生向けの心理学講座の講師を務める。一男一女の母。
荒田智史(あらた・ともふみ)
精神科医、精神保健指定医、精神科専門医。東京都立梅ヶ丘病院(現・東京都立小児総合医療センター)、関東医療少年院などを経て、現在は医療機関の精神科・心療内科で診療をしている。また、定期的に自治体で就学前相談や思春期相談を受けている。一男一女の父。
思春期はいつもグレーゾーン。悩みか病気かあいまいな子どもと向き合うためにベテラン精神科医が明かすヒント。
精神科医として、小児科医として、また心理相談の場を通して考えてきた「子どもの心の問題を発生させないために幼小児期・学童期において何が大切なのか、また問題の萌芽に早く気づくポイント、早期治療と心の再編成のための方策」を、この本にまとめてみた。
●これまで摂食障害に関する著作に示されてきた治療の指針や方法の多くは,それに従って治療を進めていこうとしてもまったくうまくいかず,それどころか,翻弄されてすっかり消耗してしまったという治療者も少なくないと思われる。摂食障害の治療は患者にとっても治療者にとっても、極めてパーソナルな経験の部分が大きい。摂食障害を病む人が治療者に問いを向けてくるそのときをどのようにやりぬいていくか。それは治療の要であると同時に,摂食障害の治療者が成長する機会でもある。手荒い経験に生き残った臨床家にこそ認識でき表現できる臨床感覚を,若手あるいは手詰まりを感じている臨床家や医療スタッフに,熟達した治療者たちがいきいきとした臨場感をもって伝える鼎談。
●目次
プロローグ 鼎談を始めるにあたって 松木邦裕
I イントロダクション
何故にこの鼎談か
摂食障害の歴史
摂食障害は現代の病ではあるが「現代病」ではない/八○年代から摂食障害の病態が多様化しはじめた
臨床での問題点
見立て/治療/社会・文化
摂食障害との出会い
「丸腰で猛獣と格闘するような……」/摂食障害には病理はない?/困難であるからこそのチャレンジ/思春期葛藤を抱える人たち/「力道山精神療法」/頑なさの中の真剣さ/心療内科での経験ーー食欲亢進にワイン?/精神科開放病棟での経験/閉鎖病棟での経験/拒食を過食に変える/精神分析的な考え方の応用/生き方を間違った人たち/受容・共感と退行/真剣さと倒錯と
II 摂食障害とは何か
見立て
DSMとlCD/鑑別診断/摂食障害の三つの分類/「マイナスK」
病の本態
生物学的な問題か心理学的な問題か/ダイエットや食生活の問題の背景にあるもの/生物学的な変化は可逆的
III 摂食障害の病態と病理
病態
思春期の不安から拒食へ/過食・嘔吐と下剤濫用/チューイング、反芻
病理
禁欲に達成感がある/罪悪感/「認知のゆがみ」はあるか/こころの姿勢
IV 摂食障害の治療
こころの問題を回避させない
行動制限という枠組み/本来の問題への対応/問題行動への対応/看護師さんとの関係が大事/患者の「実力」に見合った目標を立てる
やせている体をとう手放すか
薬物の効果/他のスタッフとの協力/生命維持のためのぎりぎりの線を見きわめる/こころの問題を問い続ける/苦痛な状況から脱するために食べる」という発想についていけるか
「否認」の問題を明らかにすること
身体の回復と否認の解消が治療前半の目標/「ただ体重を増やせばいいと思っているのか?」/嘘や乙まかしはその場で取り上げる/治療者側の姿勢/治療者の仕事の意味と達成
V 摂食障害の予後と予防
治癒はあるのか
パーソナリティが全部変わることはありえない/治療者の内在化/「治った治らない」は治療のターゲットにもよる/経済原則を超えて/新しい人間の不幸
予防はできるのか
家庭のあり方、親子関係のあり方
VI 要望
治療者に伝えたいこと
治療者がこころに留めておいてほしいこと/摂食障害という疾患の特殊性/身体に対するアンビバレンスと母親に対するアンビバレンス
患者さんと家族に伝えたいこと
自分が本は何を求めているのか/こころを育てる過程の大切さ/悲劇は手放すべき
補遺 摂食障害の精神分析的な理解とアプローチ 松木邦裕
エピローグーー幕を閉じる前に
●対人関係療法(IPT)は、現在では、エビデンスに基づく精神療法として認知行動療法(CBT)と双璧をなす治療法として国際的に知られており、米国精神医学会の治療ガイドラインなどにおいても有効な治療法として位置づけられている。日本でも近年関心が急速に高まっているIPT の正式マニュアル。
●目次
序文/IPTの概観
大うつ病:現在の理解 理論的・実証的起源 IPTと他の精神療法との比較 IPTの特徴/IPT治療者の役割
第1部 うつ病の対人関係療法を実践する
1 IPTの概要
2 初期 初期のセッション:うつ病を扱う 初期のセッションで、うつと対人関係状況とを関連づける IPTの概念と治療契約を説明する 問題を説明する
治療契約を結ぶ 患者にIPTでの役割を教える 中期のセッションを始める 話題の焦点
3 悲哀(複雑化した死別反応) 正常な悲哀/異常な悲哀 異常な悲哀反応の診断 治療の目標と戦略
4 対人関係上の役割をめぐる不和 対人関係上の不和の診断 治療の目標と戦略
5 役割の変化 「役割の変化」の問題の診断/役割の変化の治療を計画する
6 対人関係の欠如 対人関係の欠如の診断 治療の目標と戦略
7 治療の終結 終結に伴う困難 長期治療の適応
8 具体的な技法 探索的技法 感情の励まし 明確化 コミュニケーション分析 治療関係の利用 行動変化技法 他
9 よくみられる問題 患者のうつ病を反映した問題 患者が慢性的にうつである/患者がうつ病は治らないと思っている/他
治療における問題 患者が精神療法家を友人や家族の代わりにする/患者が予約をすっぽかしたり遅刻したりする/他
患者がよく懸念すること 私は「生物学的な」うつ病なのでしょうか?/私の子どももうつ病になるのでしょうか?/他
10 大うつ病の急性期治療の効果データ ボストン - ニューヘイヴン研究 NIMH TDCRP研究 オランダの研究 神経画像
第2部 気分障害へのIPTの適用
11 反復性の大うつ病に対する維持IPT(IPT-M) 維持治療の概念/最初の研究/反復性うつ病に対する維持治療としてのIPT
12 気分変調性障害に対するIPT(IPT-D)
13 思春期うつ病に対するIPT(IPT-A) グループ精神療法/個人精神療法
IPT-Aの効果 思春期の母親うつ病患者 コメント ◇症例
14 高齢者のうつ病に対するIPT
15 夫婦間不和のあるうつ病患者に対する夫婦同席治療(IPT-CM)
16 双極性障害 双極性障害に対する特定の精神療法 心理教育/家族療法/行動的家族マネジメント Behavioral Family Management(BFM)/認知行動療法(CBT)/セルフヘルプ/IPT
17 プライマリケアと身体疾患の患者 プライマリケアに向けての修正 効果 コメント 対人関係カウンセリング((IPC)
18 うつ病のHIV陽性患者に対するIPT(IPT-HIV)
19 産前産後のうつ病患者
第3部 気分障害以外へのIPTの適用
20 物質使用障害
21 摂食障害:神経性大食症と神経性食欲症
22 不安障害 社会恐怖のグループ療法
23 開発中の適用 身体醜形障害/身体化障害/心筋梗塞後のうつ病/身体障害を持つうつ病患者/原発性不眠症/境界性パーソナリティ障害
第4部 IPTのリソース
24 IPTの新しいフォーマット:グループ、電話、患者ガイ ド;他の言語と文化における翻訳と活用
25 トレーニングと治療マニュアル IPTのトレーニング IPTの治療マニュアル
第5部 IPTの今後
IPTの今後 精神療法の衰退との闘い 精神療法の力 今後の精神療法家 資格とクオリティ・コントロール IPTの範囲
付録 統合的な症例 他のアプローチと比較したIPT 他のタイプの精神療法との境界/IPTと行動療法および認知療法の比較/他
技法 探索的技法/感情のコントロールと励まし/明確化/行動変化技法/コミュニケーション分析/治療関係の利用
孤独を恐れるな。ありのままの自分を大切にして欲しい。「人が人を傷つけたり、無視したりしていいわけがない。君は家族にとってかけがいのない命だから」ヤンキー先生こと義家弘介氏が子供達の悩みに熱く答えます。
●精神分析的診断面接をどのように進めるか、そして精神力動ケースフォーミュレーションをいかにまとめるか、について総合的に理解するための知識と技術についてまとめる。それは精神療法のみならず、一般精神科の診療場面、学校コンサルテーション、親ガイダンスなど、さまざまな臨床場面に応用できる。
●目次
まえがき
序章 診断面接と精神力動フォーミュレーションはなぜ必要か?
第 I 部 理論編
第1章 神経症とは? 第2章 発達プロファイル 第3章 精神分析的発達理論と見立て:タイソンの発達理論 第4章 精神力動フォーミュレーションに関連した実証研究
第 II 部 実際編
第5章 精神分析的診断面接の進めかた 第6章 境界性パーソナリティ障害と自己愛性パーソナリティ障害の見立て 第7章 思春期患者における親面接と見立て 第8章 精神力動フォーミュレーションのまとめかた 第9章 精神分析的診断面接の進めかたの実際:症例から
付録 精神力動フォーミュレーションのまとめ
文献/あとがき/人名索引/事項索引
『解説』
本書は、精神分析的診断面接をどのように進めるか、そしてそこから得られた情報から精神力動フォーミュレーションをいかにまとめるか、といった点について総合的に理解するための知識と技術についてまとめたものである。
精神神経科の臨床場面、心理オフィス、学生相談室など、臨床場面がどこであれ、治療・相談や精神療法を受けようと訪れる患者、クライエントの多くは、自分の問題がどのようなものであるかについてあまりよくわからないままで来訪することが多い。診断面接の第一の目的は、患者自身が、自分の問題がどのようなもので、どのような治療を受けたらよいのかについて、理解できるよう援助することにある。また、精神分析的診断面接で身につけた技術は、長期の精神分析的精神療法を進めるためにはもちろん役立つが、一般精神科の診療場面、他の医療場面や学校などでのコンサルテーション、思春期・子どもの患者の親ガイダンスなど、さまざまな臨床場面に応用できる。
精神分析的精神療法は、現在の患者の心的生活や対人関係などの問題のなかで、主に子ども時代の感情や家族との問題に起源をもち、現在の問題に影響を与え続けている無意識の葛藤を明らかにし、解決してゆくことを目指す方法である。それゆえ、そのためのフォーミュレーションの内容は、個々の患者の問題ごとに大きく異なったものになる。この点が、規範性の強い認知行動療法の見立てなどとは大きく異なる点である。たとえて言うならば、後者があらかじめサイズが決まった既製服であるのに対して、精神分析的な見立ては、個々人のサイズを測って作るオーダーメイドのものといえるかもしれない。(「序章」より)
一連の研究によっても統合失調症の発病やその後の経過には、明らかに多くの環境要因が影響している。この本では、統合失調症の発生や重症度を軽減する新しい方法を確立するために、環境要因に関する考えを紹介した。著者は、個人や家庭、地域でどのような環境要因が働いているかを吟味し、着手可能な問題を提案した。
●カウンセリングの実習や実践を始めて間もない人から臨床経験10年くらいまでの人を対象に,カウンセリングの心得や勘どころ,そして実践上の工夫などを論じる。
学生相談という臨床フィールド,またフォーカシングという視点に特徴づけられつつも,著者は可能な限りそうした立ち位置に留まらず,カウンセリングを学び始めた人たちに共通して身につけてもらいたいこと,念頭に置いてもらいたいことを論じる。カウンセリングを実践する専門職者になっていくための「土台」に相当する部分を丁寧に,かつしっかりと固めることが,後になってぶれない,臨床家としての基盤になると考えるからである。
●目次
まえがき
第1部 実践の前に考えておくべきこと
第1章 カウンセラーとしての基本姿勢ーー心理臨床を学ぶ人へ
1.でこぼこの地面の上に家を建てる 2.自分の個人的課題とのつきあい方 3.援助・被援助の相互性の原理 4.責任を負うことの捉え方 5.訓練によって守秘を身につけることの意味 6.からだの正面で受けとめる 7.理論や技法とのつきあい方 8.実践にもとづいた学びの道筋
第2部 カウンセリングヘの導入
第2章 カウンセリングの始め方
1.主訴を丁寧に聞く 2.主訴を聞くことで原苦慮やそれに対する態度を感じ取る 3.主訴に近い背景を聞く 4.主訴からやや遠い背景を聞く 5.主訴の背景にある問題を見立てる 6.専門職としての判断を伝え進め方を提案する
第3章 カウンセリングを始める時期の留意点
1.聞かれている理由がクライエントにわかるようにする 2.聞くことは関係づくりである 3.仮説を立てて検証するように聞く 4.時間の制限のなかで重要なことから進めていく 5.「聞く」と「聴く」のバランスをとる 6.複数の人が相談に訪れた場合の対応
第3部 カウンセリングの継続と展開
第4章 傾聴を基盤にした関係づくり
1.同じ方向を向いて協働する関係づくりとそのモニタリング 2.聴くこと(傾聴)の意義 3.体験的応答の原則 4.傾聴について注意が必要な様相 5.二者関係の話題の取り扱い
第5章 体験内容への働きかけと支え
1.体験内容への働きかけ 2.「聴く」と「訊く」 3.問題の焦点の明確化と意味の提示 4.注意の仕方の2種とその間の往復 5.体験的軌道に沿った働きかけ 6.支えの機能
第6章 言葉による表現とノンバーバルな表出
1.ノンバーバルな表出の重要性 2.言葉と表出の関係 3.ノンバーバルな表出の相反する2つの特徴ーー言葉との対比 4.クライエントからの表出と言葉を重ねて読む 5.カウンセラーの表出と言葉での表現 6.カウンセラーの表出がクライエントに変化をもたらす側面
第7章 内面への向き合い方の諸相と体験様式への働きかけ
1.体験および体験様式ーー内面への向き合い方 2.体験様式の諸相(1)--内面への接近困難の様相 3.体験様式の諸相(2)--内面の情動に圧倒される様相 4.体験的距離の観点ーーフォーカシングからの示唆 5.体験的距離が遠すぎる場合の働きかけ 6.体験的距離が近すぎる場合の働きかけ 7.傾聴と体験的距離 8.カウンセラーによる働きかけの2つの相ーー体験内容と体験様式
第8章 カウンセリングの目標と進行過程
1.主体感覚 2.「感じ」を味わうフェルトセンス 3.クライエントのなかに傾聴の機能を育てる 4.カウンセリングの目指す目標 5.カウンセリングの進行過程と体験の変化
第9章 体験的距離の調整学生相談のーー事例からの示唆
1.本事例を理解する視点ーー解離性障害について 2.カウンセリング面接の経過 3.カウンセリングの進行過程 4.体験の距離感に関するカウンセラーの工夫
第4部 カウンセラー自身の内面へのまなざし
第10章 カウンセラー自身の「感じ」の整理と活用
1.カウンセラー自身の「感じ」に目を向ける 2.追体験によって生じる「感じ」 3.追体験のしにくさから生じる「感じ」 4.カウンセラーに「情動」が生じる場合 5.内側からの声を聴くことの大切さ 6.セラピスト・フォーカシングの方法 7.セラピスト・フォーカシングの意義
第11章 導き手としての暗在的「感じ」--ある物語の考察
1.ラフカディオ・ハーンによる物語 『常識』 の紹介 2. 僧の欲望について 3.僧の内面の暗在的「感じ」 4.暗在的な「感じ」が明示的になるプロセス 5.カウンセラー自身の「感じ」の意義 6.「感じ」をフェルトセンスとして捉えること 7.素人であることの大切さ
ほか