教育改革の特徴と行方。大国主義的・新自由主義的教育改革は、日本の教育に何をもたらすか。その社会的・政治的背景と経済的基礎を分析・批判したうえで、国民のための教育改革を展望するために、「私事」の組織化、教育の公共性の再建を提言する。
一 教育委員会とは何かーーそのしくみと組織
1 問われる教育委員会制度
2 教育委員会設置の意味
3 教育委員会のしくみと組織ーー「地教行法」を読む
(1) 「教育委員会法」(旧法)との関係
(2) 地教行法の内容と問題
二 教育委員会改廃論議と教育行財政システムの改革
1 教育委員会制度の改廃論議
(1) 教育委員会制度の長所と短所
(2) 教育委員会制度の廃止論
2 教育行財政システムの特徴と問題
(1) 市区町村教育委員会に対する制約
(2) 2000年地方分権改革と残された課題
三 自治体発信による教育改革の胎動
1 市区町村長は教育委員会制度をどう見ているかーー市区町村長アンケート調査結果から
2 自治体の先進的な取り組み事例ーー教育政策革新を可能にしている要因は何か
(1) 首長のリーダーシップと教育委員会との連携による主体性「回復」の取り組み
(1) 愛知県犬山市の事例
(2) 埼玉県志木市の事例
(2) 首長,教育長・事務局,委員会の役割と連携・協力のあり方
(3) ボトムアップ重視の参加型改革ーー埼玉県鶴ヶ島市における「対話と合意」の教育(行政)改革
(4) 専門性と現場重視のトップダウンとボトムアップ並行型改革ーー京都市の事例
四 アメリカ教育委員会制度の実情と改革動向ーー日本への示唆
1 アメリカ教育委員会制度の実情
(1) 教育委員の選出,地位・身分,属性
(2) 教育庁長官(州),教育長(学区)の選出
2 教育委員会の活動
(1) 教育委員会会議の実際と教育委員の活動
(2) 教育長と教育委員会の役割分担と法的関係
3 市長の関与強化(mayoral take-over)の動向と改革論議
(1) 市長の教育委員会関与強化の動向
(2) 市長の関与強化をめぐる論議
五 地域教育改革の課題と市区町村教育委員会の可能性
1 市区町村教育委員会による改革を可能にする条件とは
(1) 義務教育費国庫負担金削減の影響
(2) 県費負担教職員制度の捻れの増大と改革課題
2 市区町村教育委員会「再生」の処方箋
(1) 役割区分を明確にする法制整備と見直し
(2) 教育委員会の組織運営の弾力化
(3) 教育行政「専門」職員の育成と人事システムの構築
(4) 自治体における「政治の復権」に対応した透明で開かれたルールづく
おわりに
初出
参考文献
11億の人口を持ち、22の言語を話し、さまざまな宗教と民族で構成されている国・インド。近年、インド式計算法やソフトウエアの優れたエンジニアを輩出する国として知られるようになった。もともと、ゼロも十進法もこの国から生まれた。彼らは小さい時から徹底して九九や2行詩を暗記させられる。語学も最低3カ国語は暗記させられ、そのまま覚えることの重要性を身につける。日本人は「人と同じ」であるかどうかを気にするが、インドでは「人と違う」ことが重んじられるのだ。インド人の特徴のひとつに「多彩性」があげられるが、いま日本人に求められるのがこれなのだ、と著者はいう。キヤノンの外国人社員第1号だった著者によるユニークな社会文化論。
『「移動する子どもたち」と日本語教育ー日本語を母語としない子どもへのことばの教育を考える』の続編。基本となるテーマは「考える力」とリテラシー、そして主体性。年少者日本語教育は、単に「日本語」を教えれば終わりという教育ではない。「読み書き能力」を超える「ことばの力」=リテラシーと、「ことばの力」を使って考えること、そして子どもの主体を育成するという人間教育の一翼を担う教育領域である。そのことを、子どもへの日本語支援を通じて探究した実践研究が収められている。
新しい「道」をつくり歩むこと。それは、「道」を黙示する人に「追随」し「馴致」されることではない。ましてや、「服従」し「支配」されることではけっしてない。規律化を論難するばかりとの教育学でのフーコー評価に抗う。
特殊教育そして特別支援教育に携わった、21年に及ぶ情熱と功績の軌跡をたどる。
日本語・国語・外国語の教育をどのように連携・再生させればよいのか。ことばの学習の社会的・文化的意味を問いなおす。
企業は生物多様性や環境問題に無関係ではいられません。それは、企業イメージの向上だけでなく、ビジネスチャンスの拡大、企業の活性化、金融市場での高評価にもつながります。環境問題を考えるときに重要になるのが環境教育です。
本書では、企業やNGOの活動、環境教育の内容を豊富な事例とともに具体的に紹介しました。また、生物多様性の意味、環境教育の論理的な裏づけをわかりやすく解説していますので、環境教育に着手したい企業、レベルアップをはかりたい企業に、新たな分野開拓に一歩を踏み出す勇気を与えてくれます。企業の環境・CSR担当者、NGO等に実際に役立つ環境教育の手引き書です。
《おもな内容》
1実践編:
生物多様性についての環境教育実践例[いであ、キッコーマン、三機工業、サンデン、日本通運、森ビル、リコーなど19社]/経団連の企業環境教育研修/企業とNGOのコラボレーション事例
2基礎編:
生物多様性の恵みと喪失の危機[生態系の多様性が意味するもの/キーワードは「主流化と社会化」]/生物多様性に対する環境教育の役割
3企業編:
企業にとっての生物多様性/環境教育の社会化に向けて
社会科教育において、思想・宗教・法規範、文化的慣習などを扱う価値学習は、民主主義社会の形成者として求められる知的作法をどの程度保障しうるのか。近年の米国のカリキュラムを比較・分析し、総合的に検討する。
明治5年(1872年)に頒布された学制により設けられた小学校では、教育内容が当時の民衆の生活に直接的に役立つものではなかっただけでなく、受益者負担が原則であった。そのため、民衆は地租や徴兵だけでなく小学校に対しても激しい不満を抱き、学校焼き討ち事件が起こった。なかでも、日本最大級の事件が「筑前竹槍一揆」などと呼ばれる一大騒擾であった。それはどんな事件だったのか、その事件からわれわれは何を考えるべきなのかを本書で読み解いていく。