フィリップ・K・ディック研究読本。ヴォネガットと並ぶ現代文学の教祖ーP・K・ディックの世界を体験する試み。
クルマの免許取り立てでデパートに買物に出た中年女性歯科医が、緊張のあまりいつしか帰路を見失い、二昼夜東京近県を彷徨う「ちりぢごく」。肥大化したブルドッグに悩まされる飼い主の滑稽と悲惨「死者の鼾き」。住宅展示場でまんまと一杯食わされた一家の嘆き「しあわせ家族」。他に「俗物行進曲」「銀輪の檻」「物いわぬ海」等々、昭和最後の鬼才が放つ恐怖のお楽しみバラエティ十二夜。
アラフラ海に浮かぶリゾート・アイランド、パウイ。アメリカの鉱山会社ネクサスの最高幹部は、毎年恒例のバカンスに、夫人同伴でこの地を訪れた。が、政情不安なこの島にクーデターが発生、重役たちは射殺され、それを目撃した妻たち5人は、未開のジャングルに逃げ込んだー。上流階級の女たちは、未開のジャングルで生き残ることができるか?迫真の大型サバイバル・ストーリー。
死んだ父親が愛用していた航海用具の六分儀。それが息子のジョナサンの前に突然現われた。警察から渡された六分儀を見て、彼はわが目を疑った。貨物船の船長だった父は第二次大戦中Uボートの魚雷を受け、船もろとも嵐の海に沈んだ。そのとき六分儀も一諸に沈んだはずなのだ。乗組員は全員死亡している。では、なぜ?警察の話では、六分儀はスコットランドの村で盗まれたものだという。不可解な謎を解くため、ジョナサンは恋人と調査を始めたが…やがて明かされる父と乗組員の驚くべき運命とは?海洋冒険小説とミステリを結合させた力作。
香港に赴任している私は、ここでの生活に満足していた。食べ物も旨いし、なにより美貌の中国人秘書との情事にすっかり溺れていた。次第に妻の存在が疎ましくなってきたある日、秘書が案内してくれた秘密パーティで食した超美味な特別料理に魅せられてしまった。そしてその日から妻が行方不明に…。全編を奇妙な恐怖で包んだ異色ショートホラー&サスペンス集。
第1次大戦後1919年の混沌とした暗黒のプラハ。作家フランツ・カフカは、昼間は保険局の事務所で働き、夜は小説を書く生活を送っていた。ある日、親友が突然姿を消し、水死体となって川に浮んだ。事件調査を開始したカフカは、官僚社会の破壊を目的とするアナーキスト達に巻き込まれ、悪夢のような迷宮の世界へ入り込んでいく。そして不思議な石工に導かれ、官僚主義の本拠“謎の城”で見たものは…。ジェレミー・アイアンズ主演、『セックスと嘘とビデオテープ』のスティーブン・ソダーバーグ監督が挑んだ超話題作。
ボストン近郊の町で、若い女性が惨殺された。精神異常のホームレスが容疑者として浮かび上がり、麻薬中毒ながらも有能な精神科医フランクが、その男の精神鑑定を依頼される。が、警察の思惑とは裏腹に、男の有罪に疑問を抱いたフランクは、やがて血なまぐさい惨劇の渦中に巻き込まれていく…。ジョナサン・ケラーマン、ネルソン・デミルらが激賞するハードボイルド・サスペンスの力作。
今も衰えないケネディ人気。だが、その裏でケネディ家の男たちの負の面は隠されてきた。そもそも父ジョーは株価操作や密造酒などで不正な財を築いた。そして大統領への夢を息子たちに託すが、彼の傲慢さが息子たちを破滅へと導いてゆく。長男の非業の死、ジョンとロバートの暗殺、エドワードの交通事故等。同じく病的とも思える女性関係などケネディ家特有の資質は、第3世代に入った今でもレイプや刑事事件、それに麻薬中毒死となって引き継がれていく。本書は、ケネディ家3代の男たちの真実の姿を暴く衝撃の書である。
リンの顔にはまだ、元夫の暴力による醜い傷跡や痣が残っていた。最後に受けた暴力はとくにひどく、病院で目覚めたときには、記憶まで失っていた。男性への恐怖心はいまだに消えなかったが、リンは立ち直ろうと、友人の兄キャルの牧場で家政婦として働きはじめた。キャルは元夫とは違い、ことあるごとに彼女をいたわってくれる。いつしかリンは、たくましいキャルに恐怖を感じなくなり、抱いていた感謝の気持ちも、愛に変わっていった。だがそんなとき、元夫の死体が発見され、リンは殺害容疑をかけられてしまった。記憶も戻らず、自分が殺人者かもしれないという思いに彼女は悩む。キャルへの愛も空回りするばかりで…。
レディスコミックに投稿してきた18人の女達の手記。
ケイトは派遣会社からの紹介を受け、秘書として有名な建築デザイナーであるジャンルカのもとで働くことになる。初出勤の朝、ボスのデスクに座る男性を見て彼女は言葉を失った。数カ月前にミラノで出会い、夢のような一夜をともにしたルカ!あのとき私は、朝になって自分のしたことが恥ずかしくなり、ルカにさよならも告げずにこっそりとベッドを抜け出したのだ。その後、彼を捜す必要が生じたが、拒絶されるのが怖くて結局諦めた。今、目の前にいるルカは怒りに目をぎらぎらさせながら言い放った。「突然僕の前から姿を消したつぐないをしてもらおう」ケイトは震えた。まだルカに告げていないある事実が頭の中を巡った。
恐怖と戦慄、そして、諧謔とユーモア、夢のカレイドスコープ、物語の饗宴。日常の向う側、無意識の裡に潜む異界への招待状!稀代のストーリーテラーが織りなす夢のアラベスク。
エキセントリックなセレブや奇人が絶えることなく出現し、コミックのヒーローの死にすら政治状況が反映され、宗教が科学をも否定する…。そんな「新聞やテレビが報道しない」おかしなアメリカの実像がここに!広すぎ、深すぎ、奇妙すぎるこの超大国を、映画、TV、政治経済、音楽など様々な面から切り取った刺激的コラム集。