政治の世界では言葉という武器が大きな働きをする。とりわけ圧倒的な力で民衆を動員したナチ・ドイツにおいて用いられた言語とその語り口は、現代もなお世界のさまざまな局面で利用され、力を持ち続けている。ヒトラー演説やメディアの言語から、教育の言語、ジョークや人々の夢に現れる言葉までを検証し、そのレトリックと意味を考える。
巨匠・いしかわじゅんが描く、汗と涙と笑いのパソコン・エッセイ。『だってサルなんだもん』9巻目。
せつなく、可笑しく、おぞましくーそれぞれ異なる輝きを放つ4つの恐怖!ジェルソミーナ女王が暮らす森の中のお城で起きた惨劇『ふたり遊び』。消えた友人を捜すナオトとアカネが廃工場で遭遇する戦慄『闇の羽音』。高校生3人が夏の高原で出会った美少女の正体は?『ラベンダー・サマー』、「おうちの階段だけが、落ちて死ぬような気がするの…」姉妹にとって一階は死の国『階段』。鬼才たちによる書き下ろしホラー・アンソロジー。
“高度3万フィートの密室”飛行機でとんでもない乗客(ときには乗務員)が巻き起こす騒動とはいかに?登場するのは体臭ふんぷんたる夫婦、蛇や蛸を連れた輩、座席でSEXにはげむカップル、尿をまき散らすビジネスマン…さあ、現役フライトアテンダントがご案内する地獄の、じゃなかった、痛快無比な空の旅へようこそ。
ぼくは十三歳。小さな町の中学校に通っている。一昨年、母さんが死んだ。友達はいない。作る気もない。だけど、恋をしてしまった。三つ年上の、とびきりの美少女に。ぼくの周囲では、陰惨な事件が次々に起きる。まず自宅で親友が殺され、中学校の校内ではさらに奇怪な殺人事件が。そしてぼくは、自分が恋している相手が、神のような推理力をもつ名探偵であることを知ったのだった。でも…。緻密に練られた本格の野心作にして、鮮烈なる青春ミステリー。堂々の開幕。
日本から桜が消える!?もうすぐ、終戦直後に植えられた桜が、いっせいに寿命を迎えます。5日間の溺愛と、360日間の無視。サクラほど不憫な花はない。
いまわのVサインは何を意味するのか?財川財閥の御曹司が、新婚旅行先の伊豆で謎めいたダイイング・メッセージを遺して惨殺された。新妻の多津子は、発見者のチンピラ・水木が夫と瓜二つであることに驚嘆。そのとき、多津子の胸に奸計が浮かび上がった。水木の夫の替え玉に仕立て上げ、財閥の巨富を奪取しようというのだ。悪女と悪党の企みは、はたして正夢と出るか、逆夢に終わるのかー。
戦後の復興期に乗じて不動産業、観光業などの一大企業グループを築き上げ、いまだに絶大な権力を持つ五十嵐興産の会長・幸吉のもとに、ある日差出人不明の郵便物が届く。中身は驚くべきことに幸吉の後妻・妙子と長男の情交現場の写真だった。この事件を機に、五十嵐家を悪夢が襲う。身内を被写体にしたスキャンダラスな写真はその後も続き、さらに数週間後、本社ビルの金庫から十三億七千万円もの現金や手形が盗み出される。密かに調査を命じた幸吉は、一連の犯行が、己れ自身封印してきた過去の事件に原因があることを知る。
五月…ニューヨークでは、狂暴な暴力の発作を伴う新麻薬が蔓延していた。われらがヒーロー〈始末屋ジャック〉は、製薬会社の女性研究員から、謎のセルビア人ギャングのボス、ミロシュの調査を依頼される。ミロシュはこの新麻薬に絡んでいるらしい。一方製薬会社重役モネを尾行するジャックは奇妙な人体実験を目撃。荒れ狂う被験者のありさまは、新麻薬の発作と同じものだった!単なる脅迫と思えた事件は、奇怪な様相を見せていく。鬼才F・P・ウィルスンが放つ痛快アクションホラー巨編。
モネは怪しげな“珍奇博覧会”なる見世物小屋にひんぱんに出入りしている。ジャックは、その見世物小屋に潜入した。そこで彼は驚愕すべきものを目撃する。それは、再びみることはないとおもわれた、魔界の使者ラコシの姿だった。かつて壮絶な死闘を繰りひろげ、死滅させたはずのラコシ!新麻薬とラコシを結ぶ見えない糸とは?ジャックは、かつて倒したはずの敵と再びまみえることに…!ついに映画化される傑作『マンハッタンの戦慄』につらなる好評アクションホラーシリーズ最新作。
17歳の少女フレックスを乗せ、深夜の森をいくブルー・トルネード号。その前に突然立ちはだかった赤毛の若者、ヤーコ。彼のもっていた手帳には「指輪物語」に出てくる妖精の暗号が綴られていた。そして語られる、拷問用具“ブラックボックス”の秘密。ほのかに芽生える恋心…ドイツで大人気のエンターテインメント作家がおくる傑作翻訳小説。
“別荘気分です!”に引かれて購入した建売住宅。最高の立地条件に、希望も新たに引っ越したその日から…タタカイの日々は始まった。どうしても理解し合えない隣人との確執に苦しむこと10年、はたして解決の日は来るのかー。
アジア人初のショパン・コンクール優勝者、ダン・タイ・ソン。少年時代のベトナム戦争に始まる波乱万丈の人生を経て、いま、静かに大成する。波瀾万丈の半生、世界初の書き下ろし。
1995年1月17日未明、神戸を未曽有の大震災が襲った。一瞬にして崩壊した街で、私立探偵の有希真一は多くの死を目の当たりにする。ようやく彼が救出した友人の占い師探偵・雪御所圭子も精神に異常を…。そんな最中、バラバラ死体の消失、磔殺人と、連続猟奇殺人事件が発生する!著者自らの体験も色濃い渾身の筆致で、ミステリー界が驚愕した鮎川賞受賞作。
目を覚ますと、そこは一九四五年、第二次世界大戦下の東京だったー日下良治は大学教授で、政府の教育改革審議会の委員も務めている。審議会で徴兵制に道を拓く新法の答申がまとめられた翌日の朝、良治を揺り起こしたもんぺ姿の妻は、息子に赤紙が来たことを告げた。自分は二十一世紀に生きていたはずなのに…。平和や正義への思いは荒廃していき、家族のこころは、いつしか遠く離れてしまった。巨匠・赤川次郎が四編の作品を通して鋭く描き出す、現代人の心の闇。珠玉にして異色の傑作集。
精神科医弥生原公彦の患者の元に送り届けられた「呪いのビデオ」。その中に予告された、「一九九四年七月二十八日午前十時、淡路島佐野海岸」で、防空頭巾を被った日本人形とともに首を絞められた女の子の死体が見つかった。これは、未曾有の「阪神サイコキラー連続殺人事件」の幕開けに過ぎなかったのだ…。名探偵弥生原が、「犬神信仰」が深く関与したこのおぞましき事件に挑む、本格長篇ミステリーの書き下ろし傑作。大好評シリーズ第七弾。
日本銀行はマネーを創出し配分する大きな権限をもつが、政府から独立し、説明責任をもたない。半分は民間所有であり総裁は首相が任命する。公務員でもなく選挙も経ない個人が、日本経済を左右する権力を手にするのだ。本書は、三十年前から総裁候補と名指されていたプリンス・福井氏が、バブルの責任も問われずに予定通り新総裁となった経緯をたどり、マネーの支配者が政財界とメディアに絶大なる影響力を及ぼしていることを明らかにする。そして、中央銀行の行きすぎた独立性がもたらす弊害を訴え、日銀には明確な目標と説明責任をもたせるべきだと説く。
心を病んだ人々の病理を追究しつつ、治療を考え実践していく精神医学。とかく難解で理解しづらいと思われがちだが、精神疾患の主要なエピソードからその症状と実際、そして「心をどのように捉えるか」をわかりやすく学ぶ。ミニテーマで関連事項を取り上げ、はじめて学ぶ人にも便利な精神医学入門。