医療費の自己負担率がどこまで上がると、軽い症状程度では病院に行くのをやめるのか。幼児と成年と老人では、対処法にちがいは出るのか。予防努力はどのようなときに意識されるかー。年々増え続ける医療費を誰がどう負担していくかを、ミクロデータを駆使して「患者の需要」の視点から実証分析し、今後の医療サービスのあり方に大きな示唆を与える意欲的研究。
明治以降、西洋倫理思想はいかに受容され展開されたか。福沢諭吉の「脱亜論」、近代国家と教育勅語、英米倫理学・バイオエシックス、リベラリズムなどを新たな視点から問い直す。
本書は、コンピュータエンターテインメントゲーム(「テレビゲーム」等とも呼ばれる娯楽用のコンピュータゲーム)が世界各国でどのように受け入れられているかに関する比較研究の書物である。
本論文集には、七編が収録されている。テキスト『明六雑誌』の研究そのものではない。むしろ、もう少し広く近代日本における西洋文化の受容について、思想と言語を柱として考察した。
本書は、広範囲にわたるマーケティング・リサーチ手法を学び、活用するための実務書、準専門書として、マーケティング・リサーチの考え方、各種サーベイ・リサーチ方法をはじめ需要予測や多変量解析、データ収集、質的分析などについて最新情報も含めて図解。
本書は、芥川中期の中国物、中国関連作品と大正十年における中国旅行を中心に、特に「蜜柑」「尾生の信」「杜子春」『支那游記』の作品から、その手法と原作との比較・検討を行ない、芥川文学の魅力や特色を詳述する。
1960年代後半に登場したプレートテクトニクスは、欧米では70年代初めには地球科学の支配的なパラダイムとなった。しかし、日本の地質学界ではその受容に10年以上の遅れが見られた。なぜこのような事態が生じたのか。
高橋由一の「螺旋展画閣」。その形象をなぞるようにして、「美術」概念の受容にまつわる思考が結晶化してゆく。制度ー施設史を主柱として、さまざまな次元にわたる明治期の史料がいっせいにざわめきたつライヴ感に充ちた歴史叙述。第12回サントリー学芸賞受賞作。
近代国家において展開・普及されてきた衛生制度や衛生規範、それは博愛という非政治的戦略を通して、住民全体をー時に生産者として時に兵士としてー国家に貢献しうる国民へと陶冶・管理する強力な政治技術でもあったー学校衛生をはじめ、近代日本における「衛生」の概念・制度・実践の歴史を詳細に検証・考察するとともに、多くの聞き取りによって、必ずしも政策意図とは合致しない住民側の受容の様相を浮き彫りにした、充実の歴史社会学研究。
複数の民族とエスニック集団が共存する台湾。国民国家という枠組みのなかでエスニック集団のための多文化的メディアを求めて苦闘してきた台湾のエスニック・メディアの成立過程を丹念にたどり、放送メディアにおけるエスニシティとナショナリズムの相克矛盾の究明を通じて、エスニック・メディアがマルチ・エスニック公共圏を維持するメディアとなるに必要な条件とは何か、を探る。
相互的な性質を持つ日本と中国の異言語語彙交流の史実がわかる。漢字による新語造出のメカニズムや、表意文字としての漢字語の異言語交流の流布・受容の過程を、言語接触という言語学的な観点から解明。漢字文化圏の新した漢字語には、アジアの近代の真実が潜んでいる。
3都市の成功体験から学ぶ、社会イノベーションのつくりかた。「地方消滅」と「地方創生」の狭間で揺れる地域社会。地域の持続性を高めるためには何が重要になるのか?市民・企業・自治体が連携して社会イノベーションの創出に成功した、長野県飯田市・静岡県掛川市・兵庫県豊岡市の経験を手がかりに、社会イノベーションのモデル化を試みる。