死に抗する思考としての〈変身〉の思想を追求する著者の半世紀にわたるアフォリズムの精粋。極限まで凝縮された言葉を駆使して権力=体系的思考の閉塞性を破り、みずからの思考に新たな照明を与えるとともに、未知なる世界の熱い息吹を伝える鮮烈なメッセージ。
東京・日本橋に本社を構える業界最大手の信濃製薬。その役員会議の席上、ワンマン社長笹島は、ライバル社の新薬開発に関する情報を入手したと発表した。K6なる商品番号の画期的抗生物質で、人間が罹る主要感染症の六つをカバーするという。情報収集も重要な職務である研究開発本部長の広瀬は、汚名返上を期しての暗躍を始めた。熾烈な新薬開発競争を抉る。
札文島の砂浜に漂着したウォッカの空瓶。そのなかには、遠く海を隔てた恋人に呼びかける一人の女の想いが封じ込められていた。「アリランコゲロ、ノモカンダ…」哀切な歌の調べにいざなわれ、土俗信仰の息づく韓国の山へと向かう少女と、人に言えぬ過去を持つ老人。二人の行く手には、日本軍の朝鮮支配にさかのぼる、暗い悪意が待っていた。そして、一人の在日韓国人が殺され、大戦が生んだ悲劇が現代によみがえる。時間と国境を越えるすさまじい愛の物語。
地震の顔が見えてきた。断層はどのように動くのか、地震予知は可能か、被害を食い止めるには、など様々な角度から迫る研究の最前線。
深い教養と該博な知識、鋭い洞察力、洗練された文体で、日本の近代文学に独自の世界を築いた幸田露伴。親子二代に渡って親しく薫陶をうけた著者が、愛惜の念を込めて記す文豪の知られざる素顔、その思い出…。
数学者たちのエッセイ集。
日本列島を切り裂く無数の断層。ひとたび動けば、どんな厄災をもたらすかは、阪神大震災が証明した。日本人は、断層の網の目から逃れるすべがないのだろうか。気鋭の地震学者が説く最先端学説と最新モデル。