大日本帝国「臣民」/日本国憲法下の「国民」概念及び植民地教育に現れた民族・階級・ジェンダーの関係性、また「慰安婦」制度・公娼制度に現れた女性の身体とその言説に現れた民族・階級・ジェンダーの関係性、さらに1990年代の「慰安婦」問題解決運動を取りまく日本社会や韓国社会に現れた継続する植民地主義とジェンダーの関係性を分析したものである。
多様な属性をもった文化的・社会的存在として男女をとらえ、男女の心理学的事象にかかわる真実をジェンダーの視点から客観的、多面的、体系的に明らかにすることをめざした書。ジェンダー研究は、個人としての男性と女性のあり方および両者の関係のメカニズムについて幅広く学際的に研究する科学であり、心理学だけではなく、多くの分野に新しい視座を提供している。本書は、斯学の絶好の解説書といえる。
身近にあるけれど気づきにくい“ジェンダー”。おもちゃ、物語、エイジング、精神疾患、デートDV、母娘関係、キャリア・デザイン、家事、結婚…様々なトピックスについて実習をとおして学ぶ。
多様性を承認する寛容な社会。はたしてそれは本当に実現したのか。(ネオ)リベラリズムとフェミニズムはどのような関係を切り結ぶのか。21世紀の現在から、ジェンダーの自由とジェンダーの規範を再考する。
ジェンダーの理解は実践のなかにある。実践に内在する合理性を描きだす…“自由意志”対“決定論”の躓きを超えて意味秩序をとらえる社会学的記述の全て。
共生のための想像力
尊厳を踏みにじられた他者をケアして連帯する一方、感情の激発や煽動が危惧されもする昨今、「共感」は時代を理解するキーワードとなった。しかし、この感性は現代に始まったのではなく、18世紀の「感受性」文化にその萌芽を宿していたーーロマン主義文学、道徳哲学、ジェンダーをめぐる言説を通して、「共感」の可能性から、その矛盾と限界までを探る!
序論 21世紀から感受性文化と感情史を辿る 小川公代
第1部 感情史と現代
第1章 他者への共感ーー惑星的見地から感受性文学を考える 小川公代
第2章 怒りは道徳的に正しいか?--ヌスバウムと感情の現代哲学 河野哲也
第3章 歴史学と文学のはざま?--感受性文学を手がかりに感情史を考える 森田直子
第2部 感受性の思想と文化
第4章 市民社会と宗教ーーヒュームの『自然宗教をめぐる対話』 大河内昌
第5章 ヒュームの共感論・再訪ーー共感とは受動的で主観的な感情伝染か 犬塚元
第6章 ポウプ、コラルドー、そしてルソーーー『新エロイーズ』における感受性の諸相 井上櫻子
第7章 愛情の偽装ーー『娘たちへの父親の遺産』とウルストンクラフト 川津雅江
第8章 感受性の居場所ーーオースティンの初期作品から『分別と多感』へ 土井良子
第3部 感受性の誤認と帝国
第9章 恐怖の感染、恐怖の消費ーー超常現象と公共圏形成 原田範行
第10章 感受性の洗練と誤認ーーエッジワースとオースティンの描く「共感」の帝国 吉野由利
第11章 「共感」の矛盾と限界ーー『ジェイン・エア』における感情の問題 大石和欣
あとがき 吉野由利
誰が介護を引き受ける?男は愛情から、女は義務から?19人の介護者への面接調査を通して、その生きざま、苦悩、悲しみ、希望を鮮やかに描き出す。
男女平等を阻む「ガラスの天井」、そして蔓延するジェンダー・ステレオタイプにどう立ち向かうか。女性の教育、雇用、起業、政治参加、社会的・経済的成果に関する統計指標に基づいて男女格差の状況を精査し、男女平等に向けた取り組みを評価する。
中東ムスリム社会においてジェンダーの観念が形成される経緯を、先行する社会や隣接社会、および西欧による植民地支配との関連において歴史的に解明する。ヴェールに包まれたイスラーム社会の女性の歴史を、アラブ人自身が平易に語る。
私たちの望むものは多様な生を保障する公正な社会。ベーシックインカムは、性別役割分業と家父長制に縛られ、制度によって選別される暮らし方・生き方からの解放をもたらすか。