「政治と性/ジェンダー/セクシュアリティ」を統一テーマに開催された政治思想学会第31回研究大会の発表報告論文4本を中心に、公募論文10本と書評8本を収録。
親密なパートナーからの暴力、性的虐待、身体的・経済的・心理的虐待、テクノロジーを悪用した暴力、人身売買、女性器切除、強制的な児童婚など、女性や女児に対する暴力を撲滅するにはどうしたらよいか。OECD調査研究をもとに、この複雑な問題の根本的な解決に迫る。
序文
頭字語・略語
要旨
第1章 ジェンダーに基づく暴力の防止と対処が重要な理由
1.1 ジェンダーに基づく暴力は社会に蔓延している問題であり、政府にとって最優先すべき課題である
1.2 GBVの高いコスト
1.3 GBVに関してCOVID-19がもたらした特有の課題と機会
1.4 OECD GBVガバナンス・フレームワーク
1.5 本書の手法と構成
第2章 強固な法的枠組みの必要性とその構築
2.1 国際社会はGBVに関して基準となる重要な枠組みと指標を確立してきた
2.2 DVに関する国の法的枠組みの欠陥が女性をリスクにさらす
2.3 レイプに対し同意に基づく法的枠組みを採用することは、性的暴力に関する誤った考えを正そうとする国の意図の表れである
2.4 セクシャルハラスメントは公共の場、教育環境、職場での差別を永続させる
2.5 女性器切除と児童婚を禁止する法律は悪影響から女児を保護できる
2.6 政策提言
第3章 総合的かつ効果的な全政府的アプローチ
3.1 はじめに
3.2 GBV撲滅のための全政府的なシステムによるアプローチに向けて
3.3 政策提言
第4章 被害者/サバイバー中心のガバナンスとサービス文化
4.1 はじめに
4.2 OECD加盟国全体で被害者/サバイバー中心の文化を確立するために
4.3 危機下でも被害者/サバイバー中心の文化を維持するーーCOVID-19パンデミックから得た教訓
4.4 政策提言
第5章 親密なパートナーからの暴力への対応
5.1 IPVは統合的な対応を必要とする複雑な問題である
5.2 統合的政策はGBV撲滅のための全政府的枠組みの鍵である
5.3 統合的サービス提供とは?
5.4 統合的サービス提供はIPVへの対応でどのような役割を担うのか?
5.5 IPVに対処するためのサービス提供における機会と課題
5.6 政策提言
第6章 司法へのアクセスと説明責任
6.1 はじめに
6.2 被害者/サバイバー中心の司法へのアクセス経路に向けて
6.3 GBV事件の説明責任に対する解決手法とアプローチ
6.4 説明責任と評価はGBV対応の有効性向上に不可欠である
6.5 COVID-19パンデミック下でのGBVに対する司法の対応
6.6 政策提言
謝辞
荻野吟子は、明治時代、近代医師養成制度のもとで試験に合格して医師になった最初の女性です。さまざまな困難を乗りこえ、14年もかけてその道をきりひらきました。キリスト教とであって、社会活動にも力を注ぐようになりました。かたい信念のもと、苦しむ人びとに寄りそいつづけたその生涯を吟子自身が語ります。
1 わたしの少女時代 0歳〜17歳
2 結婚、そして…… 17歳〜19歳
3 女性医師をめざす 19歳〜22歳
4 学問にはげむ 22歳〜24歳
5 東京女子師範学校時代 24歳〜28歳
6 医学校入学、ついに医術開業試験に合格! 28歳〜34歳
7 キリスト教とのであい、そして社会運動へ 34歳〜38歳
8 理想社会建設の夢 38歳、39歳
9 愛のかたち・結婚 39歳〜45歳
10 一開拓民として生きる 45歳〜62歳
荻野吟子略年表
索引
グローバル金融危機以降の日系縫製企業による中国からバングラデシュへの国際的な移転をジェンダーの視点から分析することを通じて、日系縫製企業の国際移転の特徴と課題を明らかにする。
社会をデザインするジェンダー視点。男女の性別役割を見つめ直し、明日の日本のあり方を選び取る。
親密性のゆらぎー多様化する“生”と“性”。
「女らしさ」「男らしさ」にとらわれていませんか?ジェンダーの視点でみた、法律、言語、心理学、国際政治、マーケティング、高齢者問題、NGO、NPO。
西洋中世世界のジェンダー構造について、とりわけキリスト教における性の観念に注目し、男装と女装、レイプ・売春、マスキュリニティ(男性性)といった観点から、一般読者にもわかりやすい語り口で詳述する。現代のジェンダー問題への示唆にも富む一冊。
啓蒙期の科学は解剖学的な差異と精神性を関連させ、男女は身体的のみならず能力や性格においても本質的に異なるというジェンダー観を成立させた。このジェンダー観は、近代社会の形成にあたって規定的な力として作用し、人びとの居場所や役割、行動規範を定めるとともに、政治・経済・社会のさまざまな制度のなかに組み込まれていく。本書では、知の専門化、参政権運動、協会活動、母性福祉、社会保険、戦争という歴史事例をとりあげ、ジェンダーの構築と変容の過程、構造をつくりだす力としてのジェンダーの作用、そしてヨーロッパの女たち、男たちが近代のジェンダー化された社会をどう生きたのかを描きだす。ヨーロッパ諸国における女性史とジェンダー史をめぐる動向も合わせて考察。
結婚して21年目、3人の息子を育てた「婦婦」が「新しい家族の形」を国に問題提起した!
大学におけるキャリア支援は近年ますます重要性を増している。
本書は、キャリア支援の歴史分析とともに、16年間4度にわたる大学生の意識調査から、
学生のライフコース展望・意識を分析。
特に、女子学生の特徴をつかんだジェンダー分析は示唆に富み、
今後のキャリア支援へのジェンダー視点導入の重要性を説く。
学生のライフコース・キャリアをいかに支えていくか。大学運営に必読の書。
序 章 大学のキャリア支援に必要な視点とは何か
第1章 戦後日本の大学におけるキャリア支援の歴史的展開
第2章 女子学生に対するキャリア支援の歴史的展開
第3章 大学生調査:実証分析の方法と理論の検討
第4章 女子学生の「女性性」意識に関する実証的研究ーライフコース展望,
入学難易度との関連に注目して
第5章 伝統的なジェンダー観を支持する女子学生の特性
第6章 女子学生の家庭志向は高まっているのか
第7章 男子学生は将来のパートナーにどのような生き方を望んでいるのか
第8章 現代大学生のキャリアとジェンダーー女子学生と男子学生の意識の関係性の分析
終 章 有効なキャリア支援への示唆ージェンダーの視点の重要性
母性天皇論から女帝問題まで、フェミニズムからの天皇制論。
京都学派の思想家たちの思索において、「ジェンダー」の問題はあまり重要視されていない。西田幾多郎、田辺元、西谷啓治の著作には、「女性」や「女性的なるもの」の姿はほとんど現れず、一方で、彼らの私生活における女性との関わり方は、倫理的に問題があった場合も見受けられた。
そのため、京都学派の思想をジェンダーの観点から批判的に評価する必要があり、これは京都学派の思想から家父長制的な男性中心的な側面と、逆に、それらをを批判する新しい視点を提供しうる側面を区別することを意味する。本書では「方法としてのジェンダー」を提唱し、京都学派の概念的限界を批判的に分析しつつ、その思想の解放的可能性を明らかにすることを目指す論考集。
装画 まつしたゆうり
1920年代から1950年代に中国共産党によって土地法が制定され、中国の農村女性は土地所有権を獲得した。しかし、その後の中国の高度成長の過程で、農村の女性たちは土地の権利を次第に喪失していき、権利の侵害現象は「農稼女問題」と名付けられるようになった。
中国農村女性の農地をめぐる権利の侵害「農嫁女問題」はなぜ高度成長期に発生したのか。ジェンダー秩序の再編は資本蓄積の中でどんな役割を果たしたのか。本書は「農嫁女問題」の発生原因を歴史、政治経済の2つの側面から分析するとともに、農嫁女の抵抗運動についても実地調査をもとに紹介する。
序章 問題の所在と本書の目的
1 研究背景
2 本書の構成
3 先行研究
4 理論的枠組み
5 研究手法
第1部 農嫁女問題の歴史分析
第1章 平均主義、フェミニズム、土地権
1 概況
2 平均主義と土地権
3 フェミニズムと土地権
4 小結
第2章 近代中国女性の土地権の変遷
1 はじめに
2 井崗山土地革命期と中華ソビエト政権時期(1928〜1934年)
3 日中戦争期(1937〜1945年)
4 国共内戦期(1946〜1949年)
5 建国直後(1950〜1952年)
6 初級、高級農業生産合作社時期と人民公社期(1951〜1978年)
7 改革開放の初期(1978〜1983年)
8 小括
第2部 農嫁女問題の政治経済学的分析
第3章 改革開放以降の農村女性土地問題に関する報道ーー『中国婦女報』(1984〜2010年)を中心に
1 はじめに
2 農村女性土地問題をめぐるフレーム分析についての研究
3 研究の方法
4 『中国婦女報』における農村女性土地問題報道(1984〜1986年)
5 農家生産請負制における女性の合法的な権益擁護に関する連載(1999年)
6 「出嫁女」の土地権益に関する連載(2010年)
7 小括
第4章 女性への略奪を赦免された国家介入型資本主義ーー婦女聯の農嫁女問題に対する認識・対応
1 はじめに
2 婦女聯の創設と改革
3 婦女の合法的権益の擁護者(1978〜1992年)
4 婦女聯主導の「開発とジェンダー論」(1992〜1998年)
5 夫方居住婚の伝統づくりへ(1998〜2007年)
6 農村土地請負経営権登記の推進役(2008年〜)
7 小括
第5章「農嫁女問題」とはーー現代中国における進行中の本源的蓄積
1 はじめに
2 農嫁女問題の発端
3 農嫁女問題の全国化
4 農嫁女問題と一人っ子政策
5 小括
第3部 農嫁女たちの抵抗運動
第6章 現代中国土地開発における農嫁女と彼女らの抵抗運動ーー河北省A村を事例に
1 はじめに
2 A村
3 A村土地開発による農村女性の農地をめぐる権利の侵害
4 A村女性の抵抗運動の開始と展開
6 小括
第7章 社会主義法治への探索ーー民間法律援助組織と農嫁女の連帯を中心に
1 はじめに
2 民間女性法律組織と農嫁女との連帯に対する認識
3 北京衆沢女性法律相談サービスセンター
4 中山大学女性とジェンダー研究センター法律支援部
5 X民間法律組織
6 小括
第8章 終章
1 本書を振り返って
2 現代中国の継続的な本源蓄積
3 今後の課題
参考文献/資料/索引/あとがき
これからの「ジェンダー研究/教育」に向けて──
創立15周年を迎えた
早稲田大学ジェンダー研究所による
「ジェンダー研究/教育」の成果。
文学、表象・メディア、歴史、法・社会等、
各専門領域の「ジェンダー研究の展開」と、
教育実践をもとにした「ジェンダー教育のあり方」。
ジェンダーの視点に立つ専門領域による研究と、
教育実践の成果による計24編の論考を収載。
ジェンダーを学ぶ際の思考の展開を支え、
今後の「ジェンダー教育」に新たな視座を与える。