陶器や金物、野菜など日用品を素材とした一式造り物、物語や芝居の一場面を再現する人形造り物など、近世中期から現代までの多種多様な事例を紹介。自然の模倣として、都市空間の娯楽として造られる、その場限りの民衆芸術の諸相を探る。
トマス・アクィナスにの厳密さとルネ・デカルトの明晰さのはざまに生まれ落ちたジョルダーノ・ブルーノは、はたして近代科学の先駆か、それとも古代呪術の末裔か。ブルーノが開いた“近代”を生の多様性の発見として再評価し、たえず変化し続ける動的関係に充ち満ちた“無限宇宙”の哲学を読み解く。ジェイムズ・ジョイスの二篇のエッセイ「ブルーノ哲学」「ルネサンスの世界文学的影響」の新訳を附す。
摂食障害の治療には確立されたプロトコールは存在せず治療が行き詰まるケースも多い。本書では、摂食障害の治療経験の豊富な執筆陣が23の症例を提示。神経性やせ症や回避・制限性食物摂取症など、多様な摂食障害症例を通して、個々の特性に合わせた対処法を学べる。ベストの結果が得られた症例だけでなく、治療に難渋した症例を主に紹介した。マニュアル本では得られない対応策が詰まった摂食障害症例の集大成。
従来「量」として捉えられることが多かった脂質の「質」(クオリティ)に着目し,その違いが関与する生命現象や疾患の制御から最新の分析技術まで幅広く解説しました.
入門期の指導、単元構想、本時案、評価から、話し合い、ペア・グループ学習、板書、ノート指導など、教師なら誰でもしている毎日の授業づくり。
でも、「なぜかいつもうまくいかないんだよな・・・」という場面はありませんか?
そんなときに打った手立てがますます子供たちを混乱させ、意図と違う方向に流れてしまい・・・。
そんな授業の難所を解決するポイントは、ずばり「子供の立場、子供の視点、子供の思考から考える」なのです。
教師のセオリーではなく、子供理解に立った発想で組み立て直すことで、問題が改善されるばかりでなく、教師と子供、子供同士の信頼関係が深まり、学級自体がうまく回り出すのです。
授業づくりと学級経営の両輪から、教室を「人間性育成の場」とすることを目指す教師のための1冊。
日本における種子論議のオピニオンリーダーの一人である、龍谷大学経済学部教授・西川芳昭氏の編著書。1農家vs企業という単純な図式を超えた、種子をめぐる複雑な現実に光をあて、2日本だけでなくアジアの小農・家族農を対象に農家の生き方や言葉にならない感覚を重視し、3生物文化多様性の視点からタネとヒトとの持続的な関係を提言している。タネを播き育て次代に引き継いできた農家の現実・実感・思いから語る本書は、経済的、政治的な視点で語られがちな種子論議に一石を投じるものといえる。
【目次】
第1章 生物文化多様性の視点からタネとヒトとの関係の豊かさを研究するとは
第2章 タネを採るヒトはタネとどのような関係を築いているのか
第3章 地域品種の継承とその多様な意味ーー中山間集落の全農地通年調査から
第4章 農家の庭木果樹にみる民衆の生存・生活価値ーー無償労働にみる「いきいきと生きる」ことの意味
第5章 豊かな食は遺伝資源からーーワサビが教えてくれること
第6章 アジアの小農とタネとの関係1--ミャンマーの国民野菜CHINBAUNG(チンバオ)のタネをめぐる仕組み
第7章 アジアの小農とタネとの関係2--ネパールにおけるソバとカラシナの調査からみえてきたもの
第8章 東アジアの種子管理組織とそのメカニズムの特性とは何かーー日韓台の政府系ジーンバンクと非営利組織の活動から
第9章 「支配」の観点から捉えた大手種苗会社と農業者の関係性
第10章 “人類共通の遺産”としての種子に関する国際社会の努力と利害関係者の協力に向けて
第11章 種子を共的世界に取り戻すことは可能かーーコモン化(commoning)の視点から
第12章 ヒトとタネの多層的関係を基盤とした農の営みの持続を目指して
■編著者
西川芳昭 龍谷大学経済学部教授
■著者(執筆順)
宇根 豊 百姓・農と自然の研究所代表
小林邦彦 総合地球環境学研究所研究員
河合史子 総合地球環境学研究所研究員(非常勤)
広田 勲 岐阜大学応用生物科学部助教
大和田興 茨城県農業総合センター農業研究所研究員
山根京子 岐阜大学応用生物科学部准教授
長嶋麻美 東京農業大学博士課程修了(農学博士)
渡邉和男 筑波大学生命環境系教授
河瀬眞琴 東京農業大学農学部教授
Ohm Mar Saw 元農業・畜産・灌漑省(ミャンマー連邦共和国)農業研究局バイオテクノロジー・植物遺伝資源・植物保護部主席研究員
入江憲治 東京農業大学国際食料情報学部教授
冨吉満之 久留米大学経済学部准教授
Bimal Dulal NPO法人ラブグリーンジャパン・プログラムオフィサー
吉田雅之 農業・元ネパール派遣青年海外協力隊員
坂本清彦 龍谷大学社会学部准教授
岡田ちから 特許業務法人秀和特許事務所弁理士
田村典江 総合地球環境学研究所上級研究員
「困った子」といわれる子どもの大半は「困っている子」ともいえる。本書は、子どもにとって一番身近な存在であり、また「困っている」大人でもある親に対して、発達はそもそもどんな子どもであっても多様であることを優しく解説。そのなかで発達障害に凸凹のある子どもを理解し、支援する方法を、ペアレント・トレーニングを使って具体的に紹介。保護者と子が困り感を一人で抱え込まないためのスキルを紹介する。
はじめに
第1章 発達は多様である
1-1.「みんな違って みんないい」?
1-2.かけがえのない存在である「わたし」
1-3.社会に適応すること
1-4.うちの子,もんだい?
1-5.発達とそれをささえるもの
1-6.発達障害とは?
【コラム】 診断は何のために?
1-7.発達の多面性
1-8.発達をみていくための3つの軸
1-9.特性と脳の問題
1-10.障害か個性か
1-11.平等? 公平?
第2章 困っている子を支援するためのヒント
2-1.「困った子」ではなく「困っている子」
【コラム】 アセスメントとは?
2-2.私たちは同じものを見聞きしているのだろうか?
2-3.子どもの特性を理解する
【コラム】 前庭覚・固有覚
2-4.行動を観察する
2-5.行動の背後にある特性をつかもうーー氷山モデル
2-6.ペアレント・トレーニングって何だろう
【コラム】 氷山モデルとは
第3章 ペアレント・トレーニングで学ぶスキルを試してみよう 基礎編
3-1.行動を3つに分ける
3-2.ポジティブな注目をする
【コラム】 ほめることと文化
3-3.ポジティブな注目をしようーーほめ方のコツ
3-4.注目のつかい分けをする
3-5.「スペシャルタイム」というスペシャルな技
3-6.指示の工夫をする
「ほめる」をめぐるQ&A
これまでの復習
第4章 ペアレント・トレーニングで学ぶスキルを試してみよう 応用編
4-1.ペナルティの考え方
【コラム】 ルールのカテゴリー
【コラム】 機能分析をしよう
4-2.ペナルティの上手なつかい方
【コラム】 間違えること≠悪いこと
4-3.「行動チャート」を活用する
4-4.支援の目的は何か?
第5章 社会のなかで育つ子どもーー「孤育て」にならないために
5-1.人と人の間で育つ子どもの心
5-2.「こころ」の在りようはそれぞれの関係のなかに
【コラム】 社会化の土台としての信頼感
5-3.育てにくい子どもを育てる親の困難さ
5-4.子育てに必要な3つのゆとり
5-5.孤立感の分析ーー保護者へのインタビューから
【コラム】 ライフスキルを身につけよう
5-6.多様性のなかで学ぶーー映画『みんなの学校』から
【コラム】 人に迷惑をかけてはいけない?
5-7.学校と家庭の連携
5-8.いろいろな人がいるのが普通の社会
参考文献
おわりに
「アクセスと利益配分」の問題とは? 何が問題で、世界中でどんな紛争が起こっているのか? 先進国の思惑と資源国の要求の調整は可能なのか? 争点の全体像を明らかにする。
自国中心の狭い歴史・文化認識におちいらず、世界の多様性とどのように向き合うべきなのだろうか。これまでの枠組みにとらわれることなく、日本史・歴史学の最新の知と方法を多面的に紹介する。
神職・ジャーナリスト・学者と多面的な経歴を持つ著者が「多様性」と「寛容」をテーマに、複眼的に読み解く新たな『日本書紀』論。
岩にくっついたり泥に潜ったり、水の底で生活している動植物がベントス。本書は多様性に富むこのベントスをおもな題材として動物生態学の基礎を解説。オールカラーの豊富な写真と図解、用語や基礎知識が理解できるBox、トピックや先進的な研究結果を紹介するコラム、生物たちの振る舞いとその意味を解説するマンガなど、工夫された構成で楽しく学べる。(日本ベントス学会創立30周年記念本)
共感覚の基本的特徴や神経機構を解説、また色字共感覚者へのインタビューを収録。「共感覚とは何か」を理解する上で必読の書。
本書は、代表的な現象である色字共感覚を中心に、共感覚とはどのような現象であって、また何ではないのかを示す心理学研究および脳科学研究の成果を詳解する。特に、多種多様な文字を使用するという点で特徴的な日本人の色字共感覚者は国際的にも注目されている。各共感覚者の日常生活とのかかわりなどの調査結果も合わせて掲載した。
はじめに
第1章 共感覚とは何か
1.1 共感覚の基本的特徴
1.2 共感覚の時間的安定性の測定
1.3 共感覚とは何ではないか
1.4 共感覚を持つのはどのような人か
1.5 共感覚を持つことの損得
1.6 共感覚を科学的に研究することの意義
第2章 色字共感覚
2.1 色字共感覚をめぐる研究領域
2.2 色字共感覚を持つようになる原因
2.3 文字の共感覚色を経験する際に生じる処理
2.4 誘因刺激と励起感覚の対応関係
2.5 色字共感覚と他の認知処理との関係
2.6 共感覚者と非共感覚者の関係
第3章 日本人の色字共感覚
3.1 日本人色字共感覚者に対する実験方法
3.2 日本人色字共感覚者18名の個別結果
3.3 日本人色字共感覚者の個別結果のまとめ
第4章 色字共感覚以外の共感覚
4.1 共感覚の種類と出現確率
4.2 空間系列共感覚
4.3 ミラータッチ共感覚
4.4 色聴共感覚
4.5 序数擬人化
4.6 多重共感覚
第5章 共感覚の神経機構
5.1 共感覚の神経機構に関する仮説
5.2 共感覚の神経機構:機能的側面
5.3 共感覚の神経機構:構造的側面
5.4 共感覚とは直接関係しない処理における共感覚者の神経科学的特性
5.5 共感覚者を「作る」試み
5.6 共感覚の「素質(disposition)」
第6章 感覚間協応と共感覚
6.1 感覚間協応とは
6.2 感覚間協応の研究例と研究手法
6.3 感覚間協応の分類
6.4 感覚間協応のメカニズムをめぐる議論
6.5 感覚間協応がもたらす効果
6.6 感覚間協応と共感覚の関係
おわりに
引用文献
索引
この社会の「閉塞感」を考える
鹿島茂 が6人 の論客を迎えて
“今読むべき”現代思想・哲学を簡略に捉えた異色の入門書
東 浩紀……デリダあるいは「考える」ために何が重要か
ブレイディみかこ……ジェームズ・C・スコットあるいは「利他と利己」
千葉雅也……ドゥルーズあるいは「時間的存在としての私」
石井洋二郎……ブルデューあるいは『ディスタンクシオン』と格差時代
宇野重規……トクヴィルあるいは「民主主義」
ドミニク・チェン……ベイトソンあるいは「情報」「つながる」
★書評サイト「ALL REVIEWS」限定公開対談を書籍化★
【本書より】
▼何か事件を起こすためにはどうしても時間が必要なんです。
それは「モノ」としての本が必要なのと同じことーー東 浩紀 (第1章)
▼アナキズム の核心には 「自主自立」 と並んで
「相互扶助」という感性があると思います。
それが日本では忘れられていた気がするんですーーブレイディみかこ (第2章)
▼常に自分をプロセスの途中にいる 時間的存在 としてとらえる。
すると一つの主義主張だけで閉じるのではなく、
いろんな他者に開かれた状態で考えていけるーー 千葉雅也 (第3章)
▼「選ぶ」というよりは 「選ばされて」いるのに、それが自分の意思だと思い込んでしまう 。
これがブルデューの「必要趣味」の本質ーー 石井洋二郎 (第4章)
▼個人主義になればなるほど多数者の意見に流されやすくなる
という逆説を主張したのは、
トクヴィルの慧眼 だったと思いますーー 宇野重規 (第5章)
▼ベイトソンは終始一貫して、情報もしくはコミュニケーションは
「差異を生む差異」であると考えていましたーー ドミニク・チェン (第6章)
■第1章 東 浩紀×鹿島 茂
「考える」ためには何が重要かーーデリダ、ルソー、ベンヤミンから
■第2章 ブレイディみかこ×鹿島 茂
多様性の時代の利他と利己ーー「他人の靴を履く」ために
■第3章 千葉雅也×鹿島 茂
私はプロセスの途中にいる時間的存在ーードゥルーズ「切断の哲学」
■第4章 石井洋二郎×鹿島 茂
自分が自分であることの意味ーー 格差時代に読むブルデュー『ディスタンクシオン』
■第5章 宇野重規×鹿島 茂
民主主義とは何かーートクヴィルの政治思想から
■第6章 ドミニク・チェン×鹿島 茂
わかりあえなさをつなぐということーーベイトソンと接続、情報、コモンズについて
農薬や肥料の使用に由来する汚染が、自然環境や生態系に広範で深刻な影響を及ぼしていることが、様々な科学的データから明らかにされつつある。これは温暖化に匹敵する地球レベルでの環境問題と言える。一方、日本の農業は、過疎化や後継者不足が進む。しかし今、各地で、生き物と共存する農業と、それを軸に生き生きとしたまちづくりを実現している地域や、それを支える企業などが現れ始めた。本書で紹介する先進的取り組み事例は、明るい未来と希望への処方箋となるに違いない。
水産資源の減少と利用規制が議論されるなか、ナマコをめぐるエコ・ポリティクスを追う。グローバルな生産・流通・消費の現場を歩き、資源利用者が育んできた固有の文化をいかに守り、地球主体の資源管理を展望できるのかを考えた。
保全生態学は生物多様性の保全と健全な生態系の持続を担う新しい生態学である。本書は都市の空き地や水田、里山など身近な自然を詳しく観察することをとおして、生態系の微妙な仕組みを最新の知見をふまえてわかりやすく解説し、ならびに「保全されるべき生物多様性はなにか」「生態系の健全性とはなにか」というそもそもの基本的な問題を開示した入門書である。環境保全にまつわる話題が多くの人々の耳目をあつめる大きな関心事となっている今、より科学的、より理知的な視点から自然を見る力を養うために好適な一冊であろう。