東京日本橋に本社をおく信濃製薬の役員会議で、取締役研究開発本部長・広瀬信彦は社長の笹島から思いがけぬ情報を告げられた。大阪のライバル会社・関西化薬が「K6」という商品暗号をもつ画期的な抗生物質を開発中だというのだ。関西化薬が国立予防医薬研究所の立花文吾と接触しているとの情報を得た広瀬は、早速、立花に近づくが…。新薬開発をめぐる野望と暗闘を鋭く抉る迫真の医学サスペンス巨篇。
本書は昭和54年に発行された、「CTスキャナ」(電子工学進歩シリーズ9、岩井喜典編)の内容を全面的に見直し、医用画像診断装置の現状と将来動向に焦点を当て、CTやMRIを中心に書き直したものである。今回の書き直しに際しては、図や表を多く用い、できるだけ平易な記述になるように心掛けた。
本書でとりあげたのは、1498年(明応)東海地震から1987年千葉県東方沖地震までの92個の地震で、1988年初頭までの時点で、少なくとも食い違い量や断層の長さ、幅などの静的断層パラメターが決められている日本周辺のM6以上の浅発地震については、調査研究されたものの全てが網羅されている。
本書は、入門書的に地震・地震断層・活断層・第4紀地殻変動の記述・紹介を試みようとしたものである。
極限の日々、透徹した目は「ソビエトの実態」と「人びとのありよう」を見つめつづける。念願のダモイ。津軽の一隅で経験は刻まれる。著者三年の後、死亡。遺された草稿はいま実弟によって甦り、「昨日の問い」は静かに深く我々に迫る。
啓蒙によって文明を獲得し、野蛮を克服してきたはずの人類は、しかし、啓蒙によって新しい野蛮状態へと落ちこんでいく。この啓蒙の自己崩壊を仮借なく批判できるのは、理性の自己批判能力以外にない。理性の否定と理性によるユートピアとを微妙に交錯させながら近代を考えぬいたこの20世紀の古典は、人類史を貫く文明化の過程に垂直にくさびを打ちこんでいる。
謎の失踪を遂げた友の遺志をついで、ベイルート難民キャンプ脱出用地下抗道作戦に挑む技師、高見祐介ー。太古から民族の悲歌の流れるパレスチナ、そこで友人たちの訃報に接し、新しい生命の誕生を目のあたりにしてきた筆者が20年にわたる取材をもとに、かつてない規模で謳いあげた壮大な長編ロマン。
人間誰しも能力において大差あるものではない。違いは、ほんの紙一重である。その紙一重を、人は魅力と呼んだり、優秀と呼んだりする。その紙一重を抜きん出た人が、それぞれの活動分野でスターとなる。人間誰しも努力とチャンスがあればその紙一重を身につけることができると考えられはしないか。
話をする。それは人間が人と人との関係をつくっていく上で、もっとも基本となることです。話にとっていちばん大切なのは、心が開いていることです。話すことが楽しい人と、なるべく話さないですませようとする人とでは、たった一度しかない人生の楽しみ方が、数十倍、数百倍、数千倍も違ってくることは容易にわかるでしょう。
思想の面では、ギリシア哲学から現代の実存主義哲学まで、広範に、文化の面では、日本の古典はもちろん、世界の文学・美術・演劇などを貪欲なまでに、宗教の面では、古今東西の聖哲の教えを、柔軟にとり入れ、信仰の面では、イエスをキリストと信じる信仰を貫きながら、一筋に、人間の真実の姿を求めて、限られた人生をまっすぐに歩く著者の、飾らない、生地のままの日常生活の中から、湧き上がった思いを折々の言葉に綴る。