自国中心の狭い歴史・文化認識におちいらず、世界の多様性とどのように向き合うべきなのだろうか。これまでの枠組みにとらわれることなく、日本史・歴史学の最新の知と方法を多面的に紹介する。
神職・ジャーナリスト・学者と多面的な経歴を持つ著者が「多様性」と「寛容」をテーマに、複眼的に読み解く新たな『日本書紀』論。
農薬や肥料の使用に由来する汚染が、自然環境や生態系に広範で深刻な影響を及ぼしていることが、様々な科学的データから明らかにされつつある。これは温暖化に匹敵する地球レベルでの環境問題と言える。一方、日本の農業は、過疎化や後継者不足が進む。しかし今、各地で、生き物と共存する農業と、それを軸に生き生きとしたまちづくりを実現している地域や、それを支える企業などが現れ始めた。本書で紹介する先進的取り組み事例は、明るい未来と希望への処方箋となるに違いない。
水産資源の減少と利用規制が議論されるなか、ナマコをめぐるエコ・ポリティクスを追う。グローバルな生産・流通・消費の現場を歩き、資源利用者が育んできた固有の文化をいかに守り、地球主体の資源管理を展望できるのかを考えた。
保全生態学は生物多様性の保全と健全な生態系の持続を担う新しい生態学である。本書は都市の空き地や水田、里山など身近な自然を詳しく観察することをとおして、生態系の微妙な仕組みを最新の知見をふまえてわかりやすく解説し、ならびに「保全されるべき生物多様性はなにか」「生態系の健全性とはなにか」というそもそもの基本的な問題を開示した入門書である。環境保全にまつわる話題が多くの人々の耳目をあつめる大きな関心事となっている今、より科学的、より理知的な視点から自然を見る力を養うために好適な一冊であろう。
摂食障害の治療には確立されたプロトコールは存在せず治療が行き詰まるケースも多い。本書では、摂食障害の治療経験の豊富な執筆陣が23の症例を提示。神経性やせ症や回避・制限性食物摂取症など、多様な摂食障害症例を通して、個々の特性に合わせた対処法を学べる。ベストの結果が得られた症例だけでなく、治療に難渋した症例を主に紹介した。マニュアル本では得られない対応策が詰まった摂食障害症例の集大成。
かつては身近だった草花や昆虫たちが、いま絶滅しようとしています。彼らのすみかだった「さとやま」とは、ヒトの節度ある自然の利用や管理によってつくられた、水田やため池、茅場や雑木林などがパッチワークのような模様を生む、変化に富んだ半自然です。衰退の危機にあるさとやまの歴史や価値をさまざまな角度から描き、再生の道を考えます。
日本の「辺境」といってもよい亜熱帯島嶼域、奄美群島は、世界に誇るべき生物多様性を有する生物学者にとっての“約束の地”だ。「奄美・琉球」の名で世界自然遺産登録を目指すこの地から、最前線の自然史研究の成果を発信。
この社会の「閉塞感」を考える
鹿島茂 が6人 の論客を迎えて
“今読むべき”現代思想・哲学を簡略に捉えた異色の入門書
東 浩紀……デリダあるいは「考える」ために何が重要か
ブレイディみかこ……ジェームズ・C・スコットあるいは「利他と利己」
千葉雅也……ドゥルーズあるいは「時間的存在としての私」
石井洋二郎……ブルデューあるいは『ディスタンクシオン』と格差時代
宇野重規……トクヴィルあるいは「民主主義」
ドミニク・チェン……ベイトソンあるいは「情報」「つながる」
★書評サイト「ALL REVIEWS」限定公開対談を書籍化★
【本書より】
▼何か事件を起こすためにはどうしても時間が必要なんです。
それは「モノ」としての本が必要なのと同じことーー東 浩紀 (第1章)
▼アナキズム の核心には 「自主自立」 と並んで
「相互扶助」という感性があると思います。
それが日本では忘れられていた気がするんですーーブレイディみかこ (第2章)
▼常に自分をプロセスの途中にいる 時間的存在 としてとらえる。
すると一つの主義主張だけで閉じるのではなく、
いろんな他者に開かれた状態で考えていけるーー 千葉雅也 (第3章)
▼「選ぶ」というよりは 「選ばされて」いるのに、それが自分の意思だと思い込んでしまう 。
これがブルデューの「必要趣味」の本質ーー 石井洋二郎 (第4章)
▼個人主義になればなるほど多数者の意見に流されやすくなる
という逆説を主張したのは、
トクヴィルの慧眼 だったと思いますーー 宇野重規 (第5章)
▼ベイトソンは終始一貫して、情報もしくはコミュニケーションは
「差異を生む差異」であると考えていましたーー ドミニク・チェン (第6章)
■第1章 東 浩紀×鹿島 茂
「考える」ためには何が重要かーーデリダ、ルソー、ベンヤミンから
■第2章 ブレイディみかこ×鹿島 茂
多様性の時代の利他と利己ーー「他人の靴を履く」ために
■第3章 千葉雅也×鹿島 茂
私はプロセスの途中にいる時間的存在ーードゥルーズ「切断の哲学」
■第4章 石井洋二郎×鹿島 茂
自分が自分であることの意味ーー 格差時代に読むブルデュー『ディスタンクシオン』
■第5章 宇野重規×鹿島 茂
民主主義とは何かーートクヴィルの政治思想から
■第6章 ドミニク・チェン×鹿島 茂
わかりあえなさをつなぐということーーベイトソンと接続、情報、コモンズについて
自分と部下が成長していく、対話力と行動力。あるワインバーでの偶然の出会いによって、人間関係に悩む気弱な課長が部下育成と組織マネジメントに自信を持つようになったビジネスストーリー。
クロマグロの大量消費は何が問題なのか?人類を養う絶妙な生物ネットワークの破壊が進んでおり、生物多様性条約もその歯止めになっていない。今なすべきことは何なのか。世界で最も多様性に富み、脅威にさらされているホットスポットの現状と、保全のための新しい仕組みをレポートし、人間と自然との関係修復を訴える。
遺伝学を基礎から学べ,周産期・母性・小児・成人・がん…と様々な領域での看護実践にダイレクトにつながる,卒前・卒後教育用の教科書.遺伝医療/ゲノム医療の普及が進むこれからの時代の看護に必携の一冊.
1 ダイバーシティ・マネジメント
--経営者の関心の高まり
2 歴史と現状、ダイバーシティ・マネジメントのルーツ(1)
--差別、異文化マネジメント
3 歴史と現状、ダイバーシティ・マネジメントのルーツ(2)
--競争力の再構築
4 人材の登用と企業の業績
5 「同一財」をめぐるダイバーシティ・マネジメントと企業業績
6 統計的差別
7 「多数財」をめぐるダイバーシティ・マネジメントと企業業績
8 組織能力ーーまとめにかえて
参考文献
あとがき
索引〔人名/事項〕
自然界を彩る色素の中でカロテノイドが占める割合は非常に多く、多種多様である。植物の光合成や動物の視覚に必要不可欠であるほか、活性酸素を消去したり、がん(腫瘍)を抑制したり、免疫の働きを高めたりするなど、さまざまな機能が注目されており、現在まで、天然から750種類以上のカロテノイドが単離され、構造決定されている。
本書は、動物、植物、微生物等におけるカロテノイドのさまざまな機能と生理活性を中心に、基礎的な反応機構や天然での分布、分離・分析方法までをわかりやすく記述したカロテノイド全般にわたる入門書である。
本書に出てくるカロテノイドにはすべて統一番号を記載し、巻末にその名称と構造式を一覧にすることで、読者の便宜を図った。また、命名法やおもなカロテノイドの吸収スペクトル、参考書籍や関連ホームページの紹介、市販品の一覧、各種の索引など、付録も充実させた。
本書の姉妹書に『クロロフィル -構造・反応・機能ー』(三室 守 編集)がある。
1.カロテノイド
2.植物における機能と生理活性
3.動物における機能と生理活性
4.生合成経路とその遺伝子
5.分離・分析方法
脈々と連なる遺伝子の川を縦糸に、多様に枝分かれした生き物たちの関わり合いを横糸に、実験室とフィールドワークの出会いが織りなす知のタペストリー。動物学・植物学・生物物理学など、対象も手法も異なる多彩な研究の結びつきから浮かび上がってくる生物界の全体像を鮮やかに描き出す。
岩にくっついたり泥に潜ったり、水の底で生活している動植物がベントス。本書は多様性に富むこのベントスをおもな題材として動物生態学の基礎を解説。オールカラーの豊富な写真と図解、用語や基礎知識が理解できるBox、トピックや先進的な研究結果を紹介するコラム、生物たちの振る舞いとその意味を解説するマンガなど、工夫された構成で楽しく学べる。(日本ベントス学会創立30周年記念本)
写真をしのぐ迫力のイラスト。自然な環境写真により生息環境をリアルに表現した画期的図鑑。命の歴史からビオトープの試み、自然の保護、外来生物問題まで、小学生も大人も楽しみながら学べる。
異文化理解と国際理解に関して、多様な広い視点から具体例をもとに論じた誘いの書。特に文化人類学による異文化理解の視点と国際関係論を主とする国際理解の視点を軸に、自文化における身近な他者理解にも注目する。社会学や民俗学、地域研究、美術史などの視点も合わせて多角的・複眼的にわかりやすく紹介する。