伝統的な慣習や社会規範が色濃く残っていたヴィクトリア朝時代に「女性」というだけで社会で活躍する機会がないことに絶望していたナイチンゲールは、苦闘の末、男性に隷従しない女性のあり方を問い、自ら行動を起こして「看護」を専門職へと高めました。一方、彼女は当時イギリスで盛んだったフェミニズム運動とは距離をおき、批判さえしています。
ナイチンゲールは「フェミニスト」だったのでしょうか? 看護・医療、英文学、西洋史、人道研究などの専門家によるナイチンゲールのジェンダー論です。
ヴィクトリア朝時代のフェミニズム……河村貞枝
バーバラ・リー・スミス・ボディションとナイチンゲール……出島有紀子
ナイチンゲールの女性論:ラスキン、J.S.ミル、ガマーニコフとの比較から……岡田実
ナイチンゲールはフェミニストだったのか:作家ヴァージニア・ウルフの視点から……矢口朱美
女性の権利運動にナイチンゲールが果たした役割と、わが国における展開……佐々木秀美
[コラム]
ナイチンゲールをめぐる3人のオトコたち……喜多悦子
「英国派遣日赤救護隊記」から考察する日本のジェンダー平等意識……五十嵐清
ジェンダーの理解は実践のなかにある。実践に内在する合理性を描きだす…“自由意志”対“決定論”の躓きを超えて意味秩序をとらえる社会学的記述の全て。
中東ムスリム社会においてジェンダーの観念が形成される経緯を先行する社会や隣接社会および西欧による植民地支配との関連において歴史的に解明するアラブ女性史。
「ジェンダー」って、おもしろい!
大橋洋一、清水晶子から中堅・若手研究者による気鋭の論考!
『プリキュア』やレディー・ガガなど親しみやすい題材や新しいトピックスも
俎上に載せ、アート、社会を横断し、ジェンダー論の基礎から、クィア研究の
最前線まで網羅。
多様な切り口が展開するジェンダー研究の深く刺激的な世界!
★一橋大学連続講義「ジェンダーから世界を読む」を書籍化!
『ジェンダー表象の政治学』(彩流社、2011)の第二弾!★
はじめに
■第1部 ジェンダーの理論
第1章 フロイトのセクシュアリティ理論とジェンダー問題
(藤野 寛)
第2章 性的差異の二律背反(中山 徹)--
カント、フロイト、ラカン派精神分析
第3章 ポストフェミニズムと第三波フェミニズムの可能性
(三浦玲一)--『プリキュア』、『タイタニック』、AKB48
第4章 核家族の男たち(越智博美)
冷戦期アメリカにおけるリベラリズムと組織からの逃走
第5章 彼女はなぜ去っていったのか(中井亜佐子)--
コスモポリタニズムと移民女性
■第2部 リベラリズムとジェンダー
第6章 デモクラシー、メリトクラシー、女性の暮らし
(河野真太郎)--20 世紀イギリスのリベラリズムとジェンダー
第7章 主体化、ジェンダー化(井川ちとせ)--
家父長制資本主義体制下のイングランドとアイルランド
第8章 船乗りの物語を紡ぐ女性(吉野由利)--
ジェイン・オースティン『説得』再考
第9章 アメリカン・アダムと戦後(早坂 静)--
ティム・オブライエンのヴェトナム戦争記述における
リベラリズムとジェンダー
■第三部 クィア・スタディーズ
第10 章 男性性とセクシュアリティの教育(町田みどり)
──ヘンリー・ジェイムズ「巨匠の教え」
第11 章 エイズ・アートとセクシュアル・マイノリティの
政治(藤田淳志)--
『フィラデルフィア』、『レント』、『ザ・ノーマル・ハート』
第12 章 市民社会と表現の可能性(山田創平)--
dumb type による『S/N』
第13 章 Qの欲望(大橋洋一)--
現代の映画とクィア批評
第14 章 「ちゃんと正しい方向にむかってる」( 清水晶子)
ーークィア・ポリティクスの現在
男女平等を阻む「ガラスの天井」、そして蔓延するジェンダー・ステレオタイプにどう立ち向かうか。女性の教育、雇用、起業、政治参加、社会的・経済的成果に関する統計指標に基づいて男女格差の状況を精査し、男女平等に向けた取り組みを評価する。
私たちの望むものは多様な生を保障する公正な社会。ベーシックインカムは、性別役割分業と家父長制に縛られ、制度によって選別される暮らし方・生き方からの解放をもたらすか。
男女の文化的・社会的性差は、マクロ的な政治社会のあり方にどのように関わっているのかー政治学研究にジェンダー的視点を導入し一石を投じるパイオニア的考察。
世界経済フォーラムが発表する「ジェンダー平等指数」の2023年版で、日本は146ヶ国中第125位と低位に沈みました。大きな政治部門のギャップが主要因です。本特集に寄せられた論文・報告のポイントは、第1に、地方議会に女性が進出するとどのような変化が起こるかという積極的な側面です。それは本来の代表民主制の姿から現実の議会を再定義する試みです。第2に、この流れは女性議員が比較的少なかった地方にも波及し、女性議員を増やし、議会に変化をもたらそうとする政治塾や政策勉強会も立ち上がってきています。第3に、従前の議会にはジェンダー平等を阻害する要素があったことです。数や比率より、実質的に決定に参画できるかが重要で、変わるべきは、議会や選挙、ケア負担の文化や制度であり、クオータ制も含めて今後議論が深められるべきでしょう。
◇直言 コロナ禍を経て考える、教育旅行の新たな方向性 ●田開寛太郎
◆特集 真の民主主義のためにー地方議会とジェンダー平等
特集にあたって ●柏原 誠 6
巻頭言 地方議会を「ジェンダーに配慮した議会」へ ●三浦まり
東京都・杉並区 女性が増えて議会が変わった? ●山名奏子
東京都・杉並区 連帯し、前に進む。〜新人議員の闘い〜 ●小池めぐみ
女性の議員活動を阻むもの─ハラスメント問題を自分ごととして考える ●ハラスメント問題を考える会 西谷知美・下村千恵・田平まゆみ
長野県 女性議員を増やして地方議会を変えよう ●寺島 渉
九州発 女性議員ネットワークの可能性 ●前田隆夫
福岡県女性議員ネットワーク30周年 ●平山ひとみ
FOCUS 第33次地制調における地方自治の姿 ●榊原秀訓
FOCUS 「ふるさと納税制度」の本質的問題を問う ●平岡和久
「GovTech東京」は東京都と区市町村に何をもたらすか ●稲葉多喜生
【連載】
人つながる32 自民でも維新でもない私たちの選択肢、女の架け橋フェミブリッジ! ●菱山南帆子
続・津久井やまゆり園事件を人権の視点から考える 優性思想と人権保障 第4回(最終回)優生思想に抗うために ●松原洋子
くらしと自治と憲法と 第26回 辺野古裁判・9月4日最高裁判決と地方自治 ●山田健吾
自著を語る 『医療・公衆衛生の法と権利保障』 ●伊藤周平
@NEWS 埼玉県 虐待禁止条例法案撤回 ●城下のりこ
ローカル・ネットワーク
Jつうしん 岩手地域総合研究所 ブックレット「岩手の再生」発行 ●小松勝治
自治の風ー京都から 第1回 住民がまちづくりに主体的に参加する東山 ●前田直人
編集後記
表紙写真 ●大坂 健
スケッチ ●芝田英昭
アジアにおけるジェンダーの実態を把握すると同時にアジアのなかの一国である日本のジェンダーに関する課題を詳解した上で北欧の施策も紹介、子育て支援を核にした社会保障と税の一体改革における女性支援策にもふれた第2版。成長著しいアジアの明日を有意義に生き抜くためのヒントを満載。
「ジェンダー秩序」とは、本書においては、「男らしさ」「女らしさ」という意味でのジェンダーと、男女間の権力関係である「性支配」を、同時に産出していく社会的実践のパターンを意味する。本書において呈示したいことは、まさにこの、ジェンダーと「性支配」が、ジェンダー秩序に沿った社会的実践の持続によって、同時的に、社会的に構築されるということにある。
『ジェンダーで学ぶ生活経済論』(2010年)の全面改定版。現在の新しい個人、家族、世帯のあり方を的確に捉え、現実の「暮らし」における重要テーマにジェンダーの視点から鋭く迫る。消費生活、労働環境、アンペイドワーク、家計、貧困や格差問題など、実生活に密接にかかわる諸課題に対し、主体的に考え、対応する知識と力を身につけることをめざす充実のテキスト。