母性信仰や三歳児神話ーー「子育ては母親がするもの」という世間からの圧力を感じながら、保育所に子どもを預ける女性たち。彼女たちの意識はどのように変化していったのか? 母親、保育施設スタッフの両者の聞き取り調査を通して、フェミニズムの視点から捉える。
序 章 「母」というひどくつまらない存在
■第1部 フェミニズムの母性研究、再訪
第1章 データにみる、日本社会における「女性の母親業」
第2章 女性の母親業を水路づける二つの社会構造
第3章 フェミニズムによる母性主義イデオロギーの批判的研究
第4章 母親の実践への注目
■第2部 託児にふみきる
ーー認可外保育施設「子ども一時預かり施設 ばぁばサービスピノキオ」の実践から
第5章 調査の概要
第6章 「一時保育」をめぐる困難
第7章 親密圏の残骸を寄せあつめる
第8章 「移行期世代」の子育てから考えるピノキオの実践の近代性
第9章 託児にふみきる
■第3部 2000年代以降の変化をめぐって
第10章 「団塊ジュニア世代」と産み育ての個人化
第11章 母親の就労の増加と「専業主婦」をめぐる社会的認識の変化
■第4部 乳児をあずける
--認可保育所の「乳児保育」を利用する女性6名の語りから
第12章 調査の概要
第13章 「乳児保育」をめぐる困難
第14章 家族を運営する
第15章 「三歳児神話」を反復する、書き換える
終 章 ふたたび、「母」というひどくつまらない存在、
ならびにフェミニズムの主体としての母親の可能性をめぐって
社会理論としてのフェミニズムは,今まで何を成し遂げ,何が課題として残っているのか。グローバリゼーションと「第二の近代」という大きな社会変動に対応する方法とは。フレイザーの「第二波フェミニズム」批判への応答も必読。第一人者が描く次の一歩。
序 論
第1章 この50年,何が変わり,何が変わらなかったのか
第2章 フェミニズムを社会変動の中に置く
──第二波フェミニズムを生み出したのはどのような社会状況だったのか
第3章 グローバリゼーションは何をもたらしたか
第4章 グローバリゼーションと第二波フェミニズム
第5章 フェミニズム・ケア・福祉国家
第6章 追われる国の政治的分断とフェミニズム
第7章 これからのフェミニズムの方向を考える
1
〈やわらかいフェミニズム〉を考える
フェミニズムはどうなっているの? という問いかけがある。
フェミニズムの掲げた「反差別」「反性差別」「反暴力」「平等」「平和」を降ろすつもりはない。でも反教条的、反原理的、反強制的なフェミニズムを目指したい。
多くの段落を「?」にしたのは、正解はないと思うから。私の主張する〈やわらかいフェミニズム〉とはそういうもの。
自分との対話を始めてほしい。あなたのいるその場で何から始めようとやめようと自分の裁量で行ってください。
私たちは何が違っているのか、わからなければ話し合う。YES or NOでなく、想像力を働かせて支え合える関係を築きたい。時間は必要だろう。でも恐れずにそれを望みたい。
フェミニズムという言葉は知っているが、ちょっと距離を置いてきたとか、なんか厳しそうと、逡巡・疑問視している人にこそ手に取っていただきたい。
(はじめにより 河野貴代美)
はじめに(河野貴代美)
第1章 モザイク模様のフェミニズム(荒木菜穂)
第2章 差別する/差別されるという個人的体験
1 自分の物語から(河野和代)
2 在日朝鮮人三世という存在(高秀美)
3 差別について(河野貴代美)
第3章 次世代との交流におけるフェミニズム
1 インタビュー 子どもには自分の人生を生きてほしい(小川真知子)
2 インタビュー フェミニストも子育ては試行錯誤(加藤伊都子)
3 アメリカで起きていること(ゴードン美枝)
第4章 少女マンガに描かれたシスターフッド(小川真知子)
第5章 自由に、闊達に、謙虚に生きる
1 私が私になることと対男性との関係(河野和代)
2 女性たちはどのようにしてフェミニズムと出会うのか(加藤伊都子)
3 出会いを求めて(河野貴代美)
第6章 やわらかいフェミニズムの体験 執筆者座談会
終わりに(河野貴代美)
女性天皇で男女平等ってホント?!隠されていた天皇・天皇制の罪を「慰安婦」問題を問う視点から、いまここに炙り出す。
トラウマ的な出来事を経験した人びとにとって、文学や文化は生きのびるための表現となりうるのかーー
多和田葉子、李琴峰、古谷田奈月、森井良、林京子、大江健三郎、岩城けい、小野正嗣といった現代作家の作品を丁寧に読み解き、物語を受けとるという営みとは何か、小説と読者が出会うとはどういうことか、それにクィア・フェミニズム批評はどうかかわるのか、自身の経験とときに重ね合わせながら文学や文化の力を見出していく。気鋭の研究者による、トラウマという語ることがむずかしい経験を語るために物語があるのだということを、そして何より新たな対話の可能性を信じるすべての人におくる、画期的な文学論。
東京新聞望月衣塑子と様々な分野の4人の女性との白熱トーク!!
権力はいかに言説のかたちをとって身体・精神・欲望を形成するのか。女と男の弁別が身体の自然に根ざすとする本質論的前提を根底的にくつがえし、セクシュアリティ研究の方向を決定づけたフェミニズム/クィア理論の最重要書。
型にはめれば分かりやすい。でも、型にはめなければもっと深く分かる!
変えられない筋書きも、捉え直してみせる。アクション、ホラー、時代劇、アニメ……。フェミニズムが鋭く批判する家父長制の文脈だけでは語りきれない、女性キャラクターの自発性をどのように取り出せるのか。白雪姫もシンデレラも好きだったあなたへ送る、異色のフェミニズム批評。
カルチュラル・スタディーズとフェミニズムの出会い
ふたりの思想家がポール・ギルロイの仲介のもと1996年のロンドンで対話した。フェミニズムとカルチュラル・スタディーズそれぞれの隆盛を担い、世界的知識人となったベル・フックスとスチュアート・ホール。ともに黒人のアカデミシャンでありながら、来歴と経験を大きく異にし世代も違う男女は、深く共感しながらも時に鋭く言葉を交わす。ジェンダー、人種、家父長制、アイデンティティ・ポリティクスなど、20世紀後半の社会状況を踏まえた議論の数々と、それらに自らの人生を重ねた繊細な語りは、四半世紀の時を超えて新鮮な発見とアクチュアリティをもたらす。
「フェミニズムは政治についての女たちの考え方を変えた以上に、わたしの政治についての考え方を変えてしまった。」(ホール)
「場所を失うという感覚こそが、まさにフェミニズムに関して多くの男たちが恐れ続けていることなんですよ。ものの見方においてはっきりとした変化が求められているのは、性差別という観点から自身に染みついた考え方を解体するプロセスなのです。」(フックス)
序文 ポール・ギルロイ
はじめに ベル・フックス
一 フェミニズムとの出会い
二 家父長制と人種
三 戯れ、死、病
四 アイデンティティ・ポリティクス、あるいは自己を語ることの不可能性
五 男らしさと不安
六 フェミニズムと連帯の可能性
訳者あとがき
人名索引
職場のパンプス・ヒール強制にNO!
ミソジニークソリプにNO!
愚痴ツイートが世界の注目を集める署名キャンペーンに発展!
「私はいつか女性が仕事でヒールやパンプスを履かなきゃいけないという風習をなくしたいと思ってるの。なんで足怪我しながら仕事しなきゃいけないんだろう、男の人はぺたんこぐつなのに。」
1 #MeToo→#KuToo
1 #MeToo「私も。」
2 フェミニストであることをめんどくさがられたって
3 仕事でパンプスやヒールを強制されてしまう話 #KuToo
4 #KuTooに関わってくださったみなさんへ、感謝の気持ちを込めて
2 #KuTooバックラッシュ実録ーー140字の闘い
3 女の未来を変える#KuToo
インタビュー 内藤忍さん(労働政策研究・研修機構 副主任研究員)
明治維新後150年の日本のフェミニズムの歴史を,主要な人物や思想に焦点を当てながら,一貫した視点で書き下ろしたテキスト。1970代以降を扱う後半は,フェミニストとしての著者自身の足跡をまとめる構成となった。絶筆となった「断章──2021年夏」も収録。
プロローグ 世界のフェミニズムの流れと日本
Part1 日本のフェミニズム その1 1868〜1970
第1章 「イエ」制度に抗した第一波フェミニズム
第2章 日本国憲法による男女平等保障の下で
Part2 日本のフェミニズム その2 1970〜
断章──2021年夏
1 2人のフェミニスト──山川菊栄と田中寿美子
2 ウーマン・リブの思想と行動
3 私とフェミニズム──懇話会から女性学へ
年表
働き続けられる?家賃は払える?人生なんとかなる?女性議員ならこの不安を自分ごととして考えてくれるのでは?だからパリテ(男女同数議会)を20年続けてきた神奈川県・大磯町議会を訪ねたー『時給はいつも〜』の著者によるガチンコ政治エッセイ!
アーレントは、フェミニスト理論にとっていったいいかなる今日性/関連性を持ち得ているのだろうか。ホーニッグ、ディーツ、ピトキン、ベンハビブ、カプラン、ディッシュら気鋭のフェミニストが「フェミニズムにおけるアーレント問題」に焦点を当て、身体、セクシュアリティ、アイデンティティ、欲望、差異、そして政治そのものに必要な諸条件を再考しようとする、刺激的な論集。
目次
日本の読者のみなさんへ ボニー・ホーニッグ
日本語版序文 ボニー・ホーニッグ
第1章 フェミニストによるハンナ・アーレント理解
メアリー・G・ディーツ
ハンナ・アーレントのジェンダー化
男根中心的なアーレント
女性中心的なアーレント
ジェンダーの二項対立の図式を克服すること
アーレントの政治を(脱)ジェンダー化すること
実存的に語ること
第2章 画一主義(コンフォーミズム)、家政、そしてブラッブの襲撃
──ハンナ・アーレントにおける社会的なるものという概念の起源
ハンナ・フェニケル・ピトキン
『人間の条件』における社会的なるものの概念
『ラーエル・ファルンハーゲン』における『社会』
社会的なるものの伝記における起源
ニューヨーク論文における「社会」
結論:母であるブラッブ
第3章 パーリアと彼女の影
──ハンナ・アーレントによるラーエル・ファルンハーゲンの伝記
ィッシュ
本訳書について(岡野八代)
あとがきにかえて(志水紀代子)
人名索引
私たちはみな、資本主義という恒常的な災害の被災者である。
パン(金)も、バラ(尊厳)も、両方よこせ!
蔓延する新型ウィルス、パンデミック下で強行される五輪、そして顕在化する不平等や分断。私たちが直面している危機は、COVID-19 によるというよりは元来グローバル資本主義ないしネオリベラリズムという災厄によるものであるー
女性の活躍、ケア労働、路上生活、再開発、生活保護...あらゆる格差、貧困、分断の問題を最新のフェミニズムの視点から読み解き、国内外の事例から日常的で具体的な抵抗の方法を探る。気鋭の社会学者、初の単著。
1 パンとバラのフェミニズム/私たちはみな、資本主義という恒常的な災害の被災者である
パンとバラのストライキーローレンスの移民女性労働者たちのストライキ
「活」という名の妖怪ーパンを食わせずバラ(のようなもの)を差し出すネオリベラリズム
魔女は禁欲しないーパンもバラもよこせ!
パンデミックにおけるケアインカムの要求
2 個人的なことは政治的なこと/路上、工場、周辺の場から
紙の味
現代の屑拾い
無菌化された労働力商品たちの夜
「声」をきくことの無理
3 ジェントリフィケーションと交差性/日常の抵抗運動
クレンジングされる街で
猫のように体をこすりつけろ
抵抗する庭
「開発」と家父長制
差別の交差性(インターセクショナリティ)
路上のホモソーシャル空間
夜を歩くために
性差別を撤廃するための知は、他者とともに考え、展開する実践の中で生み出される。では、そのような実践はどうすれば創り出せるのか? カナダのケベック州において、フェミニズム運動の流れを受け継ぎ誕生した2つのコミュニティの記録からは、意識化、実践、ネットワーク、インターセクショナリティがキーワードとして浮かび上がる。差別構造を変革していく実践の学習構造を分析した一冊。
一夫一婦制度が確立した明治期から2010年代までの新聞・雑誌や文学を精読し、ときに「純粋な恋愛の遂行者」として知識人に称賛され、ときに「眉をひそめられる不道徳な存在」として排除された女性たちの存在に光を当てるフェミニズム研究の裏面史。
はじめに
第1章 明治の妾ーー一夫一婦の裏面の妾という存在
1 法制度からみる妾の位置づけ
2 妾の近代文化
3 文学に描かれた妾
第2章 戦前の愛人ーー恋愛をする人
1 近代日本フェミニズムの出発点ーー恋愛/一夫一婦/妾の否定
2 愛人の登場ーー一九一〇年代まで
3 一九二〇年代の愛人像ーー文学作品・婦人雑誌・新聞から
第3章 一九三〇年代の妻と妾ーー妻の嫉妬と閉塞感
1 「嫉妬する妻」の構築
2 一九三〇年代の「妻」「妾」の身の上相談
第4章 戦後の愛人ーー働く女性、性的存在、不道徳な存在
1 戦後愛人の原型ーー一九四〇年代後半から五〇年代
2 週刊誌のなかの愛人
初出一覧
おわりに
【お詫びと訂正】
本書の第1章の注番号に誤りがありました。
38ページの注番号(18)が抜けていました。校正時の確認不足で誠に申し訳ありません。
38ページの6行目の文章に注番号(18)を追加し、13行目の引用文に付してある現在の(18)以降の注番号の数字をすべて1つずつ増やしたものが正しい注番号です。
38ページ:6行目の文章に注番号(18)を追加。
小山が「観念論」と指摘している(18)ように、近代日本の婚姻制度の基盤が固まる状況でどのような観念(ジェンダー意識)が立ち上がっていたのかを考察するのに適した素材であるからだ。【以下の注番号がずれる】
なお、88ページから始まる第1章末の注は番号・内容ともにすべて正しく、本文の注番号を修正するとすべて合致します。
著者と読者のみなさまにご迷惑をおかけしたことを、心からお詫びします。
なお、本書の電子書籍版は、正しい注番号に修正してあります。
青弓社編集部 2023年3月17日
キリスト教は女性をどのように眼差してきたのか。聖母マリア、ジャンヌ・ダルク、マザー・テレサ……、世界を動かした女性たちの差別と崇敬の歴史を読み解く。
持続する衝撃力、20世紀最大の知の革命。世界を席巻したラディカル・フェミニズム=ウーマン・リブの爆風から、最新のジェンダー分析の展開まで、フェミニズム理論があらゆる学問・思想にあたえた衝撃力の大きさ、認識の深さ、射程の広さ、想像力をかきたてつづける魅力の全貌に迫る。15の諸潮流・テーマで読むフェミニズム最前線。
<b>機能不全家族、貧困、精神疾患、自殺未遂など、</b>
<b>いくつもの困難を生き抜いてきた彼女が、</b>
<b>フェミニズムにたどり着くまで。</b>
殴る父と耐える母、ハラスメントの横行、エロ情報の氾濫、あからさまな賃金格差、性犯罪におびえなければならない日常……。かつて1ミリも疑ったことがなかった「男女平等」は、すべてまちがいだったのか? もう黙ることはしない。体当たりでつかんだフェミニズムの物語。
<b>小林エリコさんは団塊ジュニア世代。団塊世代の私たちが育てた子どもだ。女の子からここまで自尊心を奪い、男の子がここまで自己チューにふるまう社会を私たちは再生産してしまったのか。でも、これは高い授業料を払ったけれど、「もう黙らない」ことを学んだ女性の闘いの記録。</b>
<b>──上野千鶴子</b>
<b>俺たち男こそ耳を傾けるべきだ。ジェンダー格差と自己責任論が作り出した、この地獄に加担しないためにも。</b>
<b>──清田隆之</b>
「私は世の中が男女平等だと1ミリも疑っていなかった。しかし、それは全て間違いであり、それに気がつくのに私はとても時間がかかった。男女が平等でないと教えてくれたのはフェミニズムだった。フェミニズムを知った時の衝撃を例えるなら雷に打たれたような感覚とでも言えばいいだろうか。男女は平等でないというパラダイムシフトは私の中の壁を瓦解させた」(「はじめに」より)
<b>【目次】</b>
はじめに
第一部
1 父は王様、母は従順な家来
2 脂肪よりも筋肉が欲しい
3 母のようにはならない
4 この国の男たちは狂っているのかもしれない
5 平坦な地獄が待っているだけ
6 彼らはなにもしてくれない
7 男より弱いものになるということ
8 この理不尽な怒りをどうしたらいい
9 ノラのように
10 エロとパチスロのハイブリッドな漫画雑誌
11 母の幸せは私の幸せじゃない
12 自宅とデイケアを往復する日々
第二部
13 寂しいから一緒にいるだけ
14 最低で最悪のカップル
15 世界で一番情けない生き物
16 あなたは生活保護がいいと思う
17 ただ一人で暮らしているだけなのに
18 そこにはフェミニズムがあった
エピローグ
はじめに
第一部
1 父は王様、母は従順な家来
2 脂肪よりも筋肉が欲しい
3 母のようにはならない
4 この国の男たちは狂っているのかもしれない
5 平坦な地獄が待っているだけ
6 彼らはなにもしてくれない
7 男より弱いものになるということ
8 この理不尽な怒りをどうしたらいい
9 ノラのように
10 エロとパチスロのハイブリッドな漫画雑誌
11 母の幸せは私の幸せじゃない
12 自宅とデイケアを往復する日々
第二部
13 寂しいから一緒にいるだけ
14 最低で最悪のカップル
15 世界で一番情けない生き物
16 あなたは生活保護がいいと思う
17 ただ一人で暮らしているだけなのに
18 そこにはフェミニズムがあった
エピローグ