女性が劣位に置かれている状況を変えてきた女性のなかには、品行方正ではない者がいた。危険な思想に傾く者も、暴力に訴える者さえもいた。
たとえばキャロライン・ノートン。19世紀に困難な離婚裁判を戦い抜いて貴重な前例をつくった人物だが、「女性は生まれながらにして男性に劣る」と書き残した。たとえばサフラジェットたち。女性の参政権獲得に欠かせない存在だったが、放火や爆破などのテロ行為に及ぶこともあった。たとえばマリー・ストープス。避妊の普及に尽力し多産に悩む多くの女性を救った彼女は、優生思想への関心を隠さなかった。
しかしだからといって、その功績をなかったことにしてはいけない。逆に功績があるからといって、問題をなかったことにしてはいけない。歴史は、長所も短所もある一人ひとりの人間が、身近な不合理を少しずつ変えることでつくられてきた。
「むずかしい女性」たちがつくってきたこうした歴史の複雑さを、イギリス気鋭のジャーナリスト、ヘレン・ルイスが余すことなく本書のなかに描き出す。イギリス女性史と現代社会の出来事とを自在に往還してあぶり出される問題は、女性だけではなく社会全体の問題であることが見えてくる。社会の不合理や理不尽に立ち向かうための、あたらしいフェミニズム史。
序章 語られてこなかった歴史
第一章 離婚
第二章 参政権
第三章 セックス
第四章 スポーツ
第五章 仕事
第六章 安全
第七章 恋愛
第八章 教育
第九章 時間
第十章 中絶
第十一章 むずかしい女性でいる権利
エピローグ むずかしい女性のためのマニフェスト
謝辞
参考文献
索引
境界を越え出ていくこと、それこそが自由の実践としての教育だ。ブラック・フェミニストが自らの経験をもとに語る、新たな教育への提言。解説 坂下史子===肌の色、ジェンダー、階級といった差異を前にして、すべての人に開かれた「学びの共同体」をつくることはできるか。まず自分自身を批判的にみつめ、変えるための教育はいかにして可能か。ブラック・フェミニストの大学教師であるベル・フックスが自らの経験をもとに、学生と教師の双方に語りかける。教室での性差別や人種差別にどう対処するか、異なる経験をいかに語り合うか、学ぶことの歓びと不安……。フレイレの批判的教育学やフェミニズムの教育思想、黒人教師の教育実践を導きに語る本書は、様々な境界を越え出る「自由の実践としての教育」のためのヒントに満ちている。 ===教室をどう変える?肌の色、ジェンダー、階級の囲いを破るために。ベル・フックスが教師と学生に語った名著。===【目次】はじめに1 関与の教育2 価値観に革命をー多様な文化を尊重するために3 変化を恐れないー多様な文化のなかで教える4 パウロ・フレイレ5 解放の実践としての理論6 本質主義と経験7 姉妹の手をとってーフェミニストの連帯8 フェミニスト的に考えるーいま教室で9 フェミニストの学究生活ー黒人研究者として10 教えの共同体をめざしてーある対話11 言葉ー新しい世界と、そして新しい言葉を12 教室の内なる階段を見据える13 教育過程とエロス、エロティシズム14 エクスタシーーとめどなき教えと学び新版訳者あとがき解説 ベル・フックスを学び直すこと(坂下史子)
はじめに1 関与の教育2 価値観に革命をー多様な文化を尊重するために3 変化を恐れないー多様な文化のなかで教える4 パウロ・フレイレ5 解放の実践としての理論6 本質主義と経験7 姉妹の手をとってーフェミニストの連帯8 フェミニスト的に考えるーいま教室で9 フェミニストの学究生活ー黒人研究者として10 教えの共同体をめざしてーある対話11 言葉ー新しい世界と、そして新しい言葉を12 教室の内なる階段を見据える13 教育過程とエロス、エロティシズム14 エクスタシーーとめどなき教えと学び新版訳者あとがき解説 ベル・フックスを学び直すこと(坂下史子)
「女性ならではのリーダーシップ」……って、なんですか?
あなたを「解放への旅」に誘う、リーダーシップ開発のあたらしい教科書!
「女性らしい」思いやりや協調性への期待、多くの試練に直面する迷宮のようなキャリア……女性が歩むリーダーシップへの「旅」には、今なおさまざまな困難や偏見がつきまとう。
それらをもたらす抑圧的な社会構造とはどのようなものか。抑圧に抗い社会変革に向かうための「解放のサイクル」とは?
インターセクショナリティ、批判的意識、大学生の成長理論を基盤に、フェミニズムをはじめとする知見とリーダーシップ研究を接続し考察。多様なアイデンティティをもつ学生たちのナラティブを取り込みながら、あらゆる人にとってより公正で公平なリーダーシップを実現していく方法を、読者と一緒に考える。
例えば、女性の方が思いやりがある、世話好き、聴き上手……といった褒め言葉のようなもの。[…]その言葉の裏側を読んでみてください。そんなありがちな褒め言葉は、組織や集団において女性に無償の感情労働をさせているのです。またそれらは、ジェンダーとリーダーシップについて二元論的な考え方を補強するものです。女性は、思いやりがあり協調的、逆に男性は、もともとアサーティブで決断力があるからリーダーシップを発揮するために存在する、というように。本書の目的は、そういった前提を問い直していくことです。(第1章より)
●著者紹介
ジュリー・E・オーウェン(Julie E. Owen)
ジョージメイソン大学人文社会科学部統合的・実践的研究学環准教授。リーダーシップ・アイデンティティ発達と女性の成人発達、解放的リーダーシップ教育を実践、研究。女性とジェンダーや高等教育研究の教鞭も執り、公正なリーダーシップを実現しうる社会変革、アイデンティティと社会的権力が日常の実践に与える影響について声を上げ続ける。
●訳者紹介
和栗百恵
福岡女子大学国際文理学部・准教授。修士(教育学)。
スタンフォード大学大学院教育学研究科修了。国際開発協力の仕事を経て、大学で学生・社会人向けの体験的学習の実践と研究を重ね、リーダーシップ開発教育に出逢う。
泉谷道子
創価大学経営学部・准教授。愛媛大学留学生就職促進プログラム推進室・副室長。博士(心理学)。
河井 亨
立命館大学スポーツ健康科学部・准教授。博士(教育学)。
1990年代から2000年代初頭のバックラッシュから、安倍晋三政権以後の家族や女性、LGBTQ+をめぐる政策と右派・宗教との関係までを、具体的な政策や運動、テーマにフォーカスして解説し、フェミニズムの立場・視点から問題点を検証して論点を提起する。
フェミニズムの問いに向き合う哲学
近年盛り上がりを見せる「分析フェミニズム」の重要な論文を紹介。
分析フェミニズムは、英米系の分析哲学と呼ばれる潮流のなかでフェミニズムに関わるさまざまな問いに取り組む分野である。たとえば、「女性」概念をどう定義すべきか、性的なモノ扱いとはどういうことか 、マイノリティの声はどのように封じられるのか、トランスジェンダーの人々を抑圧するレトリックの根底にあるものは何か、といった問いが分析哲学の手法を用いて論じられている。
本書では、形而上学、認識論、倫理学の主要なトピックから、代表的な論文8本を選定。いずれも海外のフェミニズム哲学の授業で頻繁に購読されている必読論文である。
◆Part I ジェンダーとは何か?
1 ジェンダーと人種ーージェンダーと人種とは何か? 私たちはそれらが何であってほしいのか?(サリー・ハスランガー、木下頌子訳)
2 改良して包摂するーージェンダー・アイデンティティと女性という概念(キャスリン・ジェンキンズ、渡辺一暁訳)
◆Part II 性的モノ化
3 邪悪な詐欺師、それでいてものまね遊びーートランスフォビックな暴力、そして誤解の政治について(タリア・メイ・ベッチャー、渡辺一暁訳)
4 性的モノ化(ティモ・ユッテン、木下頌子訳)
5 イエロー・フィーバーはなぜ称賛ではないのかーー人種フェチに対する一つの批判(ロビン・ゼン、木下頌子訳)
◆Part III 社会的権力と知識
6 社会制度がもつ徳としての認識的正義(エリザベス・アンダーソン、飯塚理恵訳)
7 認識的暴力を突き止め、声を封殺する実践を突き止める(クリスティ・ドットソン、小草泰・木下頌子・飯塚理恵訳 )
8 なぜスタンドポイントが重要なのか(アリソン・ワイリー、飯塚理恵・小草泰訳)
編訳者解説(木下頌子)
出典一覧
人名索引
事項索引
〈やわらかいフェミニズム〉を考える
フェミニズムはどうなっているの? という問いかけがある。
フェミニズムの掲げた「反差別」「反性差別」「反暴力」「平等」「平和」を降ろすつもりはない。でも反教条的、反原理的、反強制的なフェミニズムを目指したい。
多くの段落を「?」にしたのは、正解はないと思うから。私の主張する〈やわらかいフェミニズム〉とはそういうもの。
自分との対話を始めてほしい。あなたのいるその場で何から始めようとやめようと自分の裁量で行ってください。
私たちは何が違っているのか、わからなければ話し合う。YES or NOでなく、想像力を働かせて支え合える関係を築きたい。時間は必要だろう。でも恐れずにそれを望みたい。
フェミニズムという言葉は知っているが、ちょっと距離を置いてきたとか、なんか厳しそうと、逡巡・疑問視している人にこそ手に取っていただきたい。
(はじめにより 河野貴代美)
はじめに(河野貴代美)
第1章 モザイク模様のフェミニズム(荒木菜穂)
第2章 差別する/差別されるという個人的体験
1 自分の物語から(河野和代)
2 在日朝鮮人三世という存在(高秀美)
3 差別について(河野貴代美)
第3章 次世代との交流におけるフェミニズム
1 インタビュー 子どもには自分の人生を生きてほしい(小川真知子)
2 インタビュー フェミニストも子育ては試行錯誤(加藤伊都子)
3 アメリカで起きていること(ゴードン美枝)
第4章 少女マンガに描かれたシスターフッド(小川真知子)
第5章 自由に、闊達に、謙虚に生きる
1 私が私になることと対男性との関係(河野和代)
2 女性たちはどのようにしてフェミニズムと出会うのか(加藤伊都子)
3 出会いを求めて(河野貴代美)
第6章 やわらかいフェミニズムの体験 執筆者座談会
終わりに(河野貴代美)
女性たちは何を願い、何と戦ってきたのか?廃娼運動、売春防止法、リプロ、レズビアン運動…その歴史の原点から、わかりやすく解説するガイドブック決定版!
職場のパンプス・ヒール強制にNO!
ミソジニークソリプにNO!
愚痴ツイートが世界の注目を集める署名キャンペーンに発展!
「私はいつか女性が仕事でヒールやパンプスを履かなきゃいけないという風習をなくしたいと思ってるの。なんで足怪我しながら仕事しなきゃいけないんだろう、男の人はぺたんこぐつなのに。」
1 #MeToo→#KuToo
1 #MeToo「私も。」
2 フェミニストであることをめんどくさがられたって
3 仕事でパンプスやヒールを強制されてしまう話 #KuToo
4 #KuTooに関わってくださったみなさんへ、感謝の気持ちを込めて
2 #KuTooバックラッシュ実録ーー140字の闘い
3 女の未来を変える#KuToo
インタビュー 内藤忍さん(労働政策研究・研修機構 副主任研究員)
長年フェミニスト・スタディーズを行ってきた著者が、孫娘に語るように綴ったカナダのケベック州における女性たちの歴史。
日本語版序文
序文
プロローグー1890年代頃の17歳の女の子たち
第1部 組織する女性たち 1893-1912
1.フェミニズムの誕生
2.全国カナダ女性評議会のモンレアルの女性たち
3.キリスト教フェミニズム
4.全国サン・ジャン=バティスト連盟
5.活動するフェミニストたち
第2部 選挙権を要求するフェミニストたち 1913-1940
6.モントリオール・サフラージュ協会と選挙権への反対
7.連邦議会選挙の選挙権
8.ケベックにおける初の試み
9.ローマ会議
10.新たな2つのフェミニスト団体
11.経済危機でも続く選挙権のための闘い
12.勝利のストラテジー
インターリュードー1940年代頃の17歳の少女たち
第3部 市民となった女性たちの参画への試み 1940-1969
13.第二次世界大戦の最中
14.女性のための政治的対立
15.1950年代にフェミニストはいるのか?
16.女性たちと「彼女たちの」静かな革命
17.ケベック女性連盟とAFÉNASの設立
18.バード委員会
第4部 沸き立つフェミニズム 1969-1980
19.新たなフェミニズムの出現
20.ラディカル・フェミニストたちの過激行動
21.ケベック女性連盟とその多様な現場
22.波を起こすフェミニズム
23.困難な状況にある女性たちの支援
24.フェミニスト意識を探究するアーティストたち
25.多様化し深化するフェミニズム
26.1980年州民選挙によって分断されるフェミニスト
第5部 世界を変えるための活動 1981年から今日まで
27.変化するフェミニズム
28.フェミニストの新たな目的
29.論調を変えるフェミニズムのメッセージ
30.アンチ・フェミニズムの台頭
31.エネルギーが活発化する選挙権獲得50周年
32.新たな行動の始まりの印、パンとバラのマーチ
33.2000年世界女性パレード
34.新たなフェミニズム論争
エピローグー2008年の17歳の少女たち
謝辞
訳者あとがき
引用元
参考文献
図版一覧
索引
キリスト教は女性をどのように眼差してきたのか。聖母マリア、ジャンヌ・ダルク、マザー・テレサ……、世界を動かした女性たちの差別と崇敬の歴史を読み解く。
2015年国際女性デー、中国で痴漢反対のステッカーを配布しようとし、逮捕された5人の女性がいた。なぜ独裁者は、武器を持たない彼女たちを恐れたのか?独裁者(習近平)が指導する家父長制的権威主義国家は、性暴力をゆるし、女性たちを「産む機械」に貶め、その自由を奪ってきた。逮捕、勾留、脅迫、検閲、暴力。政府による抑圧が強まるなか、フェミニストはどのように声をあげ、行動したのか。その声はやがて、政治的表明を避けていた女性たちをも動かしてゆき…。独裁者も恐れた、フェミニストたちの姿を追う。
社会理論としてのフェミニズムは,今まで何を成し遂げ,何が課題として残っているのか。グローバリゼーションと「第二の近代」という大きな社会変動に対応する方法とは。フレイザーの「第二波フェミニズム」批判への応答も必読。第一人者が描く次の一歩。
序 論
第1章 この50年,何が変わり,何が変わらなかったのか
第2章 フェミニズムを社会変動の中に置く
──第二波フェミニズムを生み出したのはどのような社会状況だったのか
第3章 グローバリゼーションは何をもたらしたか
第4章 グローバリゼーションと第二波フェミニズム
第5章 フェミニズム・ケア・福祉国家
第6章 追われる国の政治的分断とフェミニズム
第7章 これからのフェミニズムの方向を考える
私たちはみな、資本主義という恒常的な災害の被災者である。
パン(金)も、バラ(尊厳)も、両方よこせ!
蔓延する新型ウィルス、パンデミック下で強行される五輪、そして顕在化する不平等や分断。私たちが直面している危機は、COVID-19 によるというよりは元来グローバル資本主義ないしネオリベラリズムという災厄によるものであるー
女性の活躍、ケア労働、路上生活、再開発、生活保護...あらゆる格差、貧困、分断の問題を最新のフェミニズムの視点から読み解き、国内外の事例から日常的で具体的な抵抗の方法を探る。気鋭の社会学者、初の単著。
1 パンとバラのフェミニズム/私たちはみな、資本主義という恒常的な災害の被災者である
パンとバラのストライキーローレンスの移民女性労働者たちのストライキ
「活」という名の妖怪ーパンを食わせずバラ(のようなもの)を差し出すネオリベラリズム
魔女は禁欲しないーパンもバラもよこせ!
パンデミックにおけるケアインカムの要求
2 個人的なことは政治的なこと/路上、工場、周辺の場から
紙の味
現代の屑拾い
無菌化された労働力商品たちの夜
「声」をきくことの無理
3 ジェントリフィケーションと交差性/日常の抵抗運動
クレンジングされる街で
猫のように体をこすりつけろ
抵抗する庭
「開発」と家父長制
差別の交差性(インターセクショナリティ)
路上のホモソーシャル空間
夜を歩くために
今、この人の話していること、聞かないとだめじゃないかな。
耳を傾けるだけじゃなくて。体ごと傾けて。
ーー斎藤真理子(翻訳者)推薦
ー - - - - - - - - -
あなたに死なないでほしい。
家父長制、資本主義、天皇制に抗して、あらゆる生存のためになにができるのか、なにが言えるのか。金子文子やデヴィッド・グレーバーを参照軸に、アナーカ・フェミニストの立場からこのくにの歪みを抉り出す、ライター高島鈴の初エッセイ集。脈打つ言葉は、きっと誰かの心臓と共鳴する。
「どうせ生まれてしまったんだから、他人のために、少しでもこの世をマシな方向に動かそう。自分のために殺意を使うな。首にかかった手を外して、ゆっくりと社会に向かって拳を握り直そうではないか。いろいろなものに追い詰められて、布団の上に横たわったまま動けずにいる身体は、あなたの意志ひとつで蜂起に参画できる。私はあなたと、そういう戦いをしたいのである」(本文より)
◎目次
序章
第1章 アナーカ・フェミニズムの革命
第2章 蜂起せよ、〈姉妹〉たち
第3章 ルッキズムを否定する
第4章 布団の中から蜂起せよーー新自由主義と通俗道徳
第5章 動けない夜のためにーーメンタルヘルスと優生学
第6章 秩序を穿つーーナショナリズム/天皇制に抗する
第7章 儀礼から遠く離れて
第8章 死者たちについて
終わりに
初出一覧
序章
第1章 アナーカ・フェミニズムの革命
第2章 蜂起せよ、〈姉妹〉たち
第3章 ルッキズムを否定する
第4章 布団の中から蜂起せよーー新自由主義と通俗道徳
第5章 動けない夜のためにーーメンタルヘルスと優生学
第6章 秩序を穿つーーナショナリズム/天皇制に抗する
第7章 儀礼から遠く離れて
第8章 死者たちについて
終わりに
初出一覧
権力はいかに言説のかたちをとって
身体・精神・欲望を形成するのか。
女と男の弁別が身体の自然に根ざすとする本質論的前提をくつがえし、
セクシュアリティ研究の方向を決定づけたフェミニズム/クィア理論の最重要書。
哲学、人類学、文学理論、精神分析の
テクストに折り重なる言説を縦横に扱いつつ、
ジュディス・バトラーは、ジェンダー化と本質論/ジェンダー化における
本質論の問題を鋭く見すえる。
ーーガヤトリ・C・スピヴァク
バトラーの才気喚発な議論は、
まさに可能性に満ちたトラブルを巻き起こし、
それによって、ジェンダーの階層秩序や強制的異性愛をささえる規範的虚構が、
文字通り信用するに値しないものであることをあばいていく。
ーーダナ・ハラウェイ
私は「男になりたかった」のではない。「女ではない」身体が欲しかっただけだ。フェミニズムとの共闘へ、クィアコミュニティの深部から放つ爽快なジェンダー論。
「文藝」86年ぶり3刷の2019年秋季号特集小説がパワーアップ!日韓最前線、12人の作家たちが響きあう。ベストセラー『82年生まれ、キム・ジヨン』のチョ・ナムジュが贈る、夫と別れたママ友同士の愛と連帯を描いた「離婚の妖精」をはじめ、覆面SF作家デュナ、松田青子による初邦訳作&書き下ろしを収録した決定版。
【2025/3/22 朝日新聞(著者に会いたい)田中東子氏インタビュー掲載!!】
わたしたちの消費は「正しい」のだろうか
金銭と時間の投資、心身の過剰な労働、性的消費との葛藤…、わたしたちと「推している」対象のあいだにはさまざまな問題が浮かびあがってくる。しかし、その活動に喜びが見出されることは間違いない。喜びと苦しさとが入り混じるその実践をすくい取りながら、「推し活」社会の現在地を描きだす。「推し活」論の決定版!
エンターテインメントをめぐるモヤモヤを考えるための補助線となる書。
[目次]
はじめに
1 「推し活」社会と私たち
第1章 「推し活」社会の現在地
「推し活」現象はどこからきたのか
メディア化される「推し活」現象
拡大される「推し活」論議
第2章 推し活と労働
エンターテインメントと労働
推される人たちの労働
カツアゲされる情熱とやりがい
やりがいある仕事?
ケアワークとしての推し活
推す側の労働
第3章 オタク消費を考える
盛り上がる「推し活」経済
企業によるオタク消費の捉え方
過度な消費文化
リクレイム・ザ・推し活
2 アイドルたちがみせるもの
第4章 アイドルたちは何を開示しているのか?
第5章 多様化する男性アイドルーー若手俳優・ボーイズグループ・王子たち
二〇一〇年代の2・5次元ミュージカルの現場から
「アイドル」として語られる若手俳優
「アーティスト性」と「アイドル性」は対立しない?
実力派の「アイドル」という新機軸
「○○王子」は「アイドル」を製造するパワーワード
第6章 ジャニーズ問題と私たちーー性加害とファン文化の不幸な関係
鈍かったメディアの反応
性加害に加担したメディアの黙認
温存される事務所内の権力構造
ファン文化による不幸な愛着
3 オタク文化とフェミニズム
第7章 〈スペクタクル〉な社会を生きる女性たちの両義性
消費主体/消費客体の転覆とその波及
バラエティ豊かな「イケメン男性」の増殖
イケメン男性の消費・商品化が示す両義性
第8章 娯楽と恥辱とルッキズム
ルッキズムとジェンダー
ルッキズムの定義と歴史
娯楽と恥辱とルッキズム
第9章 自由と抑圧のはざまで「かわいさ」を身にまとうーー「男の娘」を考える
バンコクでのフィールドワーク
日本での現状
「男の娘」の定義
再現度の上昇
なぜ、「かわいく」なりたいのか?
第10章 のがれること・つくること・つながること
あとがき
本書は、フェミニズムが大衆化時代を迎える中で、性差別と性暴力問題を「まともな」日常の政治として持続させるために、「#Me Too以降の運動」を考えるものだ。
すなわち、フェミニズムの持続可能な運動にするために、これまで「どんな困難があったのか」「何が足りなかったのか」「何をもっと思慮すべきか」という課題の解決を目指すものである。
日本語版序文 被害者中心主義を批判する理由 クォンキム・ヒョンヨン
はじめに 私たちは被害者という役割を拒否する クォンキム・ヒョンヨン
第1章 性暴力の二次加害と被害者中心主義の問題 クォンキム・ヒョンヨン
第2章 文壇内性暴力、連帯を考え直す 『参考文献なし』準備チーム
第3章 マイノリティは被害者なのか
--カミングアウト、アウティング、カバーリング ハン・チェユン
第4章 被害者誘発論とゲイ/トランスパニック防御 ルイン
第5章 被害者アイデンティティの政治とフェミニズム チョン・ヒジン
解題 本書をいかに「使う」か 影本剛
解題 「被害者性」という新しい文化・政治 ハン・ディディ
訳者あとがき
意識を失ってる女性にキスするなんて、ぞっとする。お金持ちになる方法は、王子との結婚だけじゃない。米国女性コメディ作家が語り直した、陽気で爽やかな現代のおとぎ話。【本書で再話される物語】人魚姫/眠り姫/白雪姫/シンデレラ/赤ずきん/ラプンツェル/ピーターパン/美女と野獣/親指姫ほか