売られたケンカは買い、連帯は国境や世代を超えて呼びかけるー。上野千鶴子の発言は、折にふれ共感、時に物議をかもしてきたが、背景にあるのは、自身の率直な思いと、女が女であるがままの解放をめざすフェミニズム思想。四〇年間、その最前線を走りつづけてきたフェミニストの、迫力のリアルタイム発言を一挙公開。
就活・婚活、非正規雇用、貧困、ハラスメント、#MeToo…現在の社会が見ないようにしてきた問題を、さらには、それと闘うはずのフェミニズム理論や社会運動からすらこぼれ落ちてきたものを拾い集めて、つぶやき続けるー“私”が、そして“あなた”が「なかったこと」にされないために。「弱さ」と共にある、これからのフェミニズムのかたち。
私たちはみな、資本主義という恒常的な災害の被災者である。
パン(金)も、バラ(尊厳)も、両方よこせ!
蔓延する新型ウィルス、パンデミック下で強行される五輪、そして顕在化する不平等や分断。私たちが直面している危機は、COVID-19 によるというよりは元来グローバル資本主義ないしネオリベラリズムという災厄によるものであるー
女性の活躍、ケア労働、路上生活、再開発、生活保護...あらゆる格差、貧困、分断の問題を最新のフェミニズムの視点から読み解き、国内外の事例から日常的で具体的な抵抗の方法を探る。気鋭の社会学者、初の単著。
1 パンとバラのフェミニズム/私たちはみな、資本主義という恒常的な災害の被災者である
パンとバラのストライキーローレンスの移民女性労働者たちのストライキ
「活」という名の妖怪ーパンを食わせずバラ(のようなもの)を差し出すネオリベラリズム
魔女は禁欲しないーパンもバラもよこせ!
パンデミックにおけるケアインカムの要求
2 個人的なことは政治的なこと/路上、工場、周辺の場から
紙の味
現代の屑拾い
無菌化された労働力商品たちの夜
「声」をきくことの無理
3 ジェントリフィケーションと交差性/日常の抵抗運動
クレンジングされる街で
猫のように体をこすりつけろ
抵抗する庭
「開発」と家父長制
差別の交差性(インターセクショナリティ)
路上のホモソーシャル空間
夜を歩くために
SNSによって変わるフェミニズム、フェミニズムによって変わる社会
アメリカで活動する300のグループを調査した、現代フェミニズムの熱気を伝える最新の研究。
「Me too」運動に代表されるように、現代のフェミニズムはインターネット、特にSNSを舞台に盛んになっている。ネットの世界にとどまらず、現実社会をも動かす大きな力になっているそのムーブメントはいつ生まれ、何を訴え、いまどのようになっているのか。本書では、インターネットを使ったフェミニズム運動が盛んな現代アメリカで活動する300のグループを調査。「参加型政治」と「インターセクショナリティ」を理論軸にその活動を分析し、多様な運動の本質に迫る。
◎目次
謝辞
第一章 オンライン・フェミニズムーー背景とアプローチ
第一節 なぜオンライン・フェミニズムが重要なのか?
第二節 ポスト・フェミニズム時代のアメリカとオンライン・フェミニズム
第三節 方法論ーーインターセクショナリティと参加型政治
第二章 フェミニズムとインターネット
第一節 テクノロジーとの出会い
第二節 インターネットと参加型文化
第三節 ソーシャルメディアと第四波フェミニズム
第三章 ソーシャルメディアで広がるフェミニストの世界
第一節 フェミニスト・グループのオンライン使用概観
第二節 情報提供型グループとマイクロ・ポリティックス型グループ
第三節 視覚化するフェミニズム
第四章 ハッシュタグでつながるフェミニズム
第一節 ハッシュタグ・フェミニズムと参加型政治
第二節 フェミニスト・パフォーマンスと文化創造
第三節 ハッシュタグ・フェミニズムとインターセクショナリティ
第四節 ハッシュタグ・フェミニズムが広げる男性参加
第五章 ウィメンズ・マーチにおけるソーシャルメディアとクラフティヴィズム
第一節 ウィメンズ・マーチとソーシャルメディア
第二節 クラフティヴィズムとしてのプシーハット・プロジェクト
終章 フェミニズムの課題ーーそして未来へ
長いあとがきーーコロナ禍のフェミニズム
資料 本書で観察を行なったフェミニスト・グループ
参考文献
今、この人の話していること、聞かないとだめじゃないかな。
耳を傾けるだけじゃなくて。体ごと傾けて。
ーー斎藤真理子(翻訳者)推薦
ー - - - - - - - - -
あなたに死なないでほしい。
家父長制、資本主義、天皇制に抗して、あらゆる生存のためになにができるのか、なにが言えるのか。金子文子やデヴィッド・グレーバーを参照軸に、アナーカ・フェミニストの立場からこのくにの歪みを抉り出す、ライター高島鈴の初エッセイ集。脈打つ言葉は、きっと誰かの心臓と共鳴する。
「どうせ生まれてしまったんだから、他人のために、少しでもこの世をマシな方向に動かそう。自分のために殺意を使うな。首にかかった手を外して、ゆっくりと社会に向かって拳を握り直そうではないか。いろいろなものに追い詰められて、布団の上に横たわったまま動けずにいる身体は、あなたの意志ひとつで蜂起に参画できる。私はあなたと、そういう戦いをしたいのである」(本文より)
◎目次
序章
第1章 アナーカ・フェミニズムの革命
第2章 蜂起せよ、〈姉妹〉たち
第3章 ルッキズムを否定する
第4章 布団の中から蜂起せよーー新自由主義と通俗道徳
第5章 動けない夜のためにーーメンタルヘルスと優生学
第6章 秩序を穿つーーナショナリズム/天皇制に抗する
第7章 儀礼から遠く離れて
第8章 死者たちについて
終わりに
初出一覧
序章
第1章 アナーカ・フェミニズムの革命
第2章 蜂起せよ、〈姉妹〉たち
第3章 ルッキズムを否定する
第4章 布団の中から蜂起せよーー新自由主義と通俗道徳
第5章 動けない夜のためにーーメンタルヘルスと優生学
第6章 秩序を穿つーーナショナリズム/天皇制に抗する
第7章 儀礼から遠く離れて
第8章 死者たちについて
終わりに
初出一覧
Sarah Banet-Weiser, 2018, Empowered: Popular Feminism and Popular Misogyny, Duke University Pressの翻訳です。
カルチュラル・スタディーズとフェミニズムの出会い
ふたりの思想家がポール・ギルロイの仲介のもと1996年のロンドンで対話した。フェミニズムとカルチュラル・スタディーズそれぞれの隆盛を担い、世界的知識人となったベル・フックスとスチュアート・ホール。ともに黒人のアカデミシャンでありながら、来歴と経験を大きく異にし世代も違う男女は、深く共感しながらも時に鋭く言葉を交わす。ジェンダー、人種、家父長制、アイデンティティ・ポリティクスなど、20世紀後半の社会状況を踏まえた議論の数々と、それらに自らの人生を重ねた繊細な語りは、四半世紀の時を超えて新鮮な発見とアクチュアリティをもたらす。
「フェミニズムは政治についての女たちの考え方を変えた以上に、わたしの政治についての考え方を変えてしまった。」(ホール)
「場所を失うという感覚こそが、まさにフェミニズムに関して多くの男たちが恐れ続けていることなんですよ。ものの見方においてはっきりとした変化が求められているのは、性差別という観点から自身に染みついた考え方を解体するプロセスなのです。」(フックス)
序文 ポール・ギルロイ
はじめに ベル・フックス
一 フェミニズムとの出会い
二 家父長制と人種
三 戯れ、死、病
四 アイデンティティ・ポリティクス、あるいは自己を語ることの不可能性
五 男らしさと不安
六 フェミニズムと連帯の可能性
訳者あとがき
人名索引
本書は、フェミニズムが大衆化時代を迎える中で、性差別と性暴力問題を「まともな」日常の政治として持続させるために、「#Me Too以降の運動」を考えるものだ。
すなわち、フェミニズムの持続可能な運動にするために、これまで「どんな困難があったのか」「何が足りなかったのか」「何をもっと思慮すべきか」という課題の解決を目指すものである。
日本語版序文 被害者中心主義を批判する理由 クォンキム・ヒョンヨン
はじめに 私たちは被害者という役割を拒否する クォンキム・ヒョンヨン
第1章 性暴力の二次加害と被害者中心主義の問題 クォンキム・ヒョンヨン
第2章 文壇内性暴力、連帯を考え直す 『参考文献なし』準備チーム
第3章 マイノリティは被害者なのか
--カミングアウト、アウティング、カバーリング ハン・チェユン
第4章 被害者誘発論とゲイ/トランスパニック防御 ルイン
第5章 被害者アイデンティティの政治とフェミニズム チョン・ヒジン
解題 本書をいかに「使う」か 影本剛
解題 「被害者性」という新しい文化・政治 ハン・ディディ
訳者あとがき
ベストセラー『82年生まれ、キム・ジヨン』のチョ・ナムジュによる、夫と別れたママ友同士の愛と連帯を描いた「離婚の妖精」をはじめ、人気作家一二名の短編小説が勢揃い!「韓国・フェミニズム・日本」というお題の元に寄稿された、日本&韓国文学の最前線がわかる豪華アンソロジー。
育児のため新聞記者の夢を諦め、ライターとして働くステファニーは、果てしなく続く家事と育児と仕事に追われ、閉塞的な日々を過ごす。ある日、学生時代に読んだベティ・フリーダンの『新しい女性の創造』を再読し感銘を受けた彼女は、母校でフェミニズムを学びなおす決意をする。13冊の名著を授業形式でひも解き、現代の女たちが生き延びるすべを探すエッセイ。
映画は「女性を描けない」のか?型にはめれば分かりやすい。でも、型にはめなければもっと深く分かる!変えられない筋書きも、捉え直してみせる。アクション、ホラー、時代劇、アニメ…。フェミニズムが鋭く批判する家父長制の文脈だけでは語りきれない、女性キャラクターの自発性をどのように取り出せるのか。白雪姫もシンデレラも好きだったあなたへ送る、異色のフェミニズム批評。
これからのジェンダー平等。社会理論としてのフェミニズムは、今まで何を成し遂げ、何が課題として残っているのか。第一人者が描く次の一歩。
権力はいかに言説のかたちをとって身体・精神・欲望を形成するのか。女と男の弁別が身体の自然に根ざすとする本質論的前提を根底的にくつがえし、セクシュアリティ研究の方向を決定づけたフェミニズム/クィア理論の最重要書。
物語の力を信じる画期的文学論。
社会構築主義のインパクト、多様性の承認。バックラッシュと新自由主義、「女性の貧困化」。社会理論がその方向性を見定めがたく彷徨する間に、ひとびとの身体・生命はグローバルな取引の激流に投げ出された。フェミニズムは近代リベラリズムの何を乗り越えるのか。ジェンダーの壁を越えた承認と再分配の理論構築へ、丹念に積み重ねられた論考を紹介。
<b>機能不全家族、貧困、精神疾患、自殺未遂など、</b>
<b>いくつもの困難を生き抜いてきた彼女が、</b>
<b>フェミニズムにたどり着くまで。</b>
殴る父と耐える母、ハラスメントの横行、エロ情報の氾濫、あからさまな賃金格差、性犯罪におびえなければならない日常……。かつて1ミリも疑ったことがなかった「男女平等」は、すべてまちがいだったのか? もう黙ることはしない。体当たりでつかんだフェミニズムの物語。
<b>小林エリコさんは団塊ジュニア世代。団塊世代の私たちが育てた子どもだ。女の子からここまで自尊心を奪い、男の子がここまで自己チューにふるまう社会を私たちは再生産してしまったのか。でも、これは高い授業料を払ったけれど、「もう黙らない」ことを学んだ女性の闘いの記録。</b>
<b>──上野千鶴子</b>
<b>俺たち男こそ耳を傾けるべきだ。ジェンダー格差と自己責任論が作り出した、この地獄に加担しないためにも。</b>
<b>──清田隆之</b>
「私は世の中が男女平等だと1ミリも疑っていなかった。しかし、それは全て間違いであり、それに気がつくのに私はとても時間がかかった。男女が平等でないと教えてくれたのはフェミニズムだった。フェミニズムを知った時の衝撃を例えるなら雷に打たれたような感覚とでも言えばいいだろうか。男女は平等でないというパラダイムシフトは私の中の壁を瓦解させた」(「はじめに」より)
<b>【目次】</b>
はじめに
第一部
1 父は王様、母は従順な家来
2 脂肪よりも筋肉が欲しい
3 母のようにはならない
4 この国の男たちは狂っているのかもしれない
5 平坦な地獄が待っているだけ
6 彼らはなにもしてくれない
7 男より弱いものになるということ
8 この理不尽な怒りをどうしたらいい
9 ノラのように
10 エロとパチスロのハイブリッドな漫画雑誌
11 母の幸せは私の幸せじゃない
12 自宅とデイケアを往復する日々
第二部
13 寂しいから一緒にいるだけ
14 最低で最悪のカップル
15 世界で一番情けない生き物
16 あなたは生活保護がいいと思う
17 ただ一人で暮らしているだけなのに
18 そこにはフェミニズムがあった
エピローグ
はじめに
第一部
1 父は王様、母は従順な家来
2 脂肪よりも筋肉が欲しい
3 母のようにはならない
4 この国の男たちは狂っているのかもしれない
5 平坦な地獄が待っているだけ
6 彼らはなにもしてくれない
7 男より弱いものになるということ
8 この理不尽な怒りをどうしたらいい
9 ノラのように
10 エロとパチスロのハイブリッドな漫画雑誌
11 母の幸せは私の幸せじゃない
12 自宅とデイケアを往復する日々
第二部
13 寂しいから一緒にいるだけ
14 最低で最悪のカップル
15 世界で一番情けない生き物
16 あなたは生活保護がいいと思う
17 ただ一人で暮らしているだけなのに
18 そこにはフェミニズムがあった
エピローグ
キリスト教は女性をどのように眼差してきたのか。ミートゥー運動に象徴される、現代の「男女同権」を目指すフェミニズムとは異なり、ヨーロッパにはカトリックを起源とする「もう一つのフェミニズム」の水脈があった。聖母マリア、マグダラのマリアに始まり、中世修道院の女性たち、異端として処刑されたジャンヌ・ダルク、国と宗教を超え崇敬される現代の聖女マザー・テレサまで、キリスト教における女性への差別と崇敬の歴史を明らかにする。