いままさに“旬”を迎えた瞬間の音源だけに、テンポのよさ、とくに上下の切り返しの鮮やかさは絶品。「寝床」の旦那は八代目文楽や六代目園生に比べて乾いた演じ方だが、これは自身の年齢を考慮してのことだったのだろうか。そのぶん「刀屋」の徳三郎はハマッているのだが。
BCJのカンタータ全曲録音も15集を数える。ライプツィヒ・トーマス教会に就任した最初の年(1723年)のクリスマス前後に演奏されたフェスティヴな4作品。アルト(カウンターテノール)とテノールを中心に、一体感を増した合唱とオケのアンサンブルが魅力。
数多くの落語音源のなかから、厳選した31演題をジャンル別に分類し、10枚のCDにぎっしり詰め込んだ。全盛期である昭和30〜35年の、力強い語り口調を存分に楽しませてくれる作品。
コロムビアが所有する落語音源を集めた究極の落語ガイド集。入門的な落語から、コアな演題まで幅広く収録。各演目のミニガイド付で、落語初心者にもわかりやすく解説されている。
名作として知られる『寝床』は53年の収録。母親について子供時代から身についた義太夫の発声をおかしく聞かせるマクラをふって、旦那芸の義太夫“独演会”のてんやわんや。『唐茄子屋』は『唐茄子屋政談』の序にあたる茄子売りを独立させて滑稽話としたもの。
淡泊というか、派手さのない芸だが、これが江戸風だなと思わせる可楽。「反魂香」の芝居がかった高尾太夫との逢瀬とその後の展開の落差がいい。ちょいと口調が明解ではないひとだったが、病後の高座での「寝床」はゆったりしたテンポで妙に哀しげだ。