戦国末期、武田水軍の海将・向井正綱は、留守中に城が徳川軍の攻撃を受け、父と義兄を失う。彼は父の遺志を継ぎ、北条水軍との駿河湾決戦で奮戦、水軍の長として汚名を返上する。そんな正綱の元に父の仇、徳川軍への誘いが来た。家康からも一目置かれた海の侍の活躍を描く隆慶一郎、未完の海洋時代小説!
見知らぬ海へ
隆 慶一郎とフランス文学 羽生真名
「小説の神様」とも言われる志賀直哉の4篇の短編小説。一見現実批判とは縁遠いように思われる志賀作品だが、神話や民俗的伝承に根差した、根源的な社会批判を読みとることができる。そうした小説作法のエッセンスを味わう。
第1章 『小僧の神様』-神話や民俗的伝承に根差した、根源的な社会批判
第2章『城の崎にて』-神話から湧き上がる、原初の世界の死生観
第3章『焚火』-霊的存在や神が紡ぎ出す、自然と人間との神秘的融合
第4章『真鶴』-和歌と歴史を媒介にした、心境小説 /社会小説
安政七年、『桜田門外ノ変』。文久二年、『生麦事件』。幕末動乱の時代を開くことになる事変を追った二作品。
左膳が奔る 市が斬る
小説世界の盲人たちはただ強いだけじゃない。
優しくてあたたかい。そして、したたか、欲も張る。
そのえがかれ方に時代を探る異色の文芸評論集
私は本書をまとめるに当たって、自分の胸底にこびり付いていた時代・歴史小説やその人物像に対する先入観・固定観念のようなものをできるだけ剝ぎ取り、再度「ヒーロー群像」としての盲人たちから「市井に生きる」盲人たちまで幅広く、複眼的な視点で「盲人像」をとらえ直してみました。この作業を通して、多くの盲人たちが封建制社会のなかで常に不憫な存在であり、偏見や差別に満ちた重たい日常を背負わされてきた事実とともに、その一方で、したたかでたくましく、ユーモアたっぷりに楽しく暮らしてきた盲人たちにも出会うことができました。(「はじめに」より)
【取りあげた作品と盲人】
左膳 (林不忘「丹下左膳」)
市 (子母澤寛「座頭市物語」)
柚木敬之進 (五味康祐 「盲刃」)
秋月六郎太 (柴田錬三郎「運命峠」)
玉路 (中山義秀「塚原卜伝」)
前川孫兵衛 (菊池寛「ある敵打の話」)
堀内某 (池波正太郎「隠れ蓑」)
熊田十兵衛 (池波正太郎「熊田十兵衛の仇討ち」)
文絵 (山本周五郎「朝顔草紙」)
三村新之丞 (藤沢周平「盲目剣谺返し」)
明石覚一 (花田春兆「殿上の杖」)
玄城 (長谷川伸「夜もすがら検校」)
和一 (長谷川伸「杉山検校」)
石本検校 (菊池寛「石本検校」)
平蔵 (山田風太郎「からすがね検校」)
山本勘助 (井上靖「風林火山」)
山本勘助 (宮本昌孝「紅楓子の恋」)
政宗 (海音寺潮五郎「伊達政宗」)
政宗 (司馬遼太郎「馬上少年過ぐ」)
刑部 (吉川英治「大谷刑部」)
鑑真 (井上靖「天平の甍」)
鑑真 (永井路子「氷輪」)
保己一 (山手樹一郎「塙検校」)
秋成 (岡本かの子「上田秋成の晩年」)
馬琴 (杉本苑子「滝沢馬琴」)
豊ノ市 (池波正太郎「喧嘩あんま」)
多の市 (野村胡堂「九百九十両」)
町小路左門 (柴田錬三郎「岡っ引どぶ」)
徳の都 (平岩弓枝「白藤検校の娘」)
おあい (朝井まかて「阿蘭陀西鶴」)
越後を守護する上杉謙信は激高した。不可侵の約定を破り、甲州の宿敵・武田信玄が信越国境の割ケ嶽城に攻め込んできたからである。かくして北の軍神は出陣した。「このたびこそ、信玄の首を」-不退転の決意で信濃入りした上杉軍一万三千は、川中島南方の妻女山に布陣。一方の武田方も兵二万を率い、決戦場へ向かった。永禄四年八月、世にいう第四次川中島の戦いの幕開けである。甲州軍がとった作戦は、軍を二手に分け、別働隊が妻女山へ向かう啄木の戦法。が、謙信はこれを見破る。篝火焚かれる山上はすでにもぬけの殻だったのだ!一夜明け、信玄が目にした戦慄ーそれは眼前にはためく「毘」の軍旗であった!!国民的歴史作家が、史上に残る壮絶な合戦模様を克明に描く名著。
女優・高島礼子さん推薦!
平和だった村が、ある日突然戦場になってしまうーー。
戦国時代の物語なのに、いま世界で起きている戦争とオーバーラップしました。
いまこそ多くの人に読んでほしい作品です。
戦の裏側で生きた、名もなき諸人の物語。
東播磨の大名、別所家の本城である三木城。当主の長治は信長に反旗を翻すも、織田勢を率いる秀吉に攻められ、村人を巻き込んだ過酷な籠城戦が始まる。飢えに苦しむ彼らは、究極の選択を迫られ……。家族を守るため、戦場へ向かう村娘。「死に損ない」と罵られ、次こそ死のうと敵を斬り続ける武士。女らしさの呪縛に悩みながら、女の身で陣頭に立つ別所家の妻。戦の裏側にある、名もなき生の物語。
【著者略歴】
天野純希(あまの・すみき)
1979年愛知県生まれ。愛知大学文学部史学科卒業。2007年、『桃山ビート・トライブ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。13年に『破天の剣』で中山義秀文学賞、19年に『雑賀のいくさ姫』で日本歴史時代作家協会賞作品賞、23年『猛き朝日』で野村胡堂文学賞受賞。他の著作に、『青嵐の譜』『南海の翼 長宗我部元親正伝』『信長 暁の魔王』『剣風の結衣』『吉野朝残党伝』など多数。
歴史を大観し、使命に任じる。大津事件、日露講和交渉、脚気による軍隊壊滅の危機。国の試練に際して、近代国家日本の理性を体現した人々。
愛と憎しみ、嫉妬、野望……将軍を中心として、女たちのさまざまな思いや情念が渦巻く江戸城・大奥。寵愛、世継ぎ、派閥争いーーそれは、権力をめぐり激しく火花”を散らす女の合戦”。乳母将軍・春日局の権勢から桂昌院、絵島生島の悲劇まで、その真実の姿を清張史観で描ききった異色時代小説のロングセラー。
乳母将軍
矢島局の計算
京から来た女
予言僧
献妻
女と僧正と犬
元禄女合戦
転変
絵島・生島
ある寺社奉行の死
米の値段
天保の初もの
イラストでわかる戦国合戦の主役・雑兵足軽(ぞうひょうあしがる)の活躍!
戦国時代の合戦で活躍した雑兵足軽たち。勝敗を決する部隊の主役でありながら、武将の陰で注目されてこなかった彼らの戦いの実像を、正確な考証とリアルなイラストで再現。足軽のルーツ、合戦への動員のされ方、給料の額、集団戦法と武器の使用法など満載の、ビジュアル歴史読みもの第2弾!〈文庫書下ろし〉
序
雑兵足軽像の実際
下級兵士の発生
源平から鎌倉へ
弓兵となる雑兵
対モンゴル戦と倭寇
南北朝と武装民(悪党と野伏)
雑兵弓の威力
雑兵の新兵器
応仁の乱と足軽
村々の雑兵
下剋上の先兵たち
一領具足──兵農未分離の人々
『雑兵物語』の世界
長柄槍
陣中の心得(1)食
陣中の心得(2)排泄
陣中の心得(3)医療
陣中の心得(4)博打
陣中の心得(5)盗み
陣中の心得(6)略奪
陣中の心得(7)女と商売人
鉄砲足軽・弓足軽
旗差・戦陣に備える兵
江戸期以後の足軽
坂本竜馬、土方歳三、西郷隆盛、そして歴史に名を残すことなく果てた無名の人々。幕末の激動期を駆けぬけた彼らに、司馬遼太郎は何故に惹きつけられたのか?歴史を俯瞰する冷徹な視点と、ひとの心のひだにそっと分け入る温かな眼差し。雄大かつ繊細な司馬史観の原点を伝え、『竜馬がゆく』『燃えよ剣』など初期傑作の創作過程が垣間見られる充実のエッセイ集が読みやすい大きな字で新登場。
お拾(後の秀頼)が生まれ、秀吉は甥の秀次が邪魔になる。秀吉の変心に危機感を抱く秀次の側近は、天下を騒がす大盗賊・石川五右衛門に秀吉暗殺を依頼する。請け負った五右衛門が目指すは秀吉が居を構える伏見城。迎え撃つのは奉行・石田三成と京都所司代・前田玄以。知力と武力が激突する死闘を制するのは…。正史にはない歴史の裏側が、密室トリックや鮮やかな結末で光彩を放つ。日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作にして「おすすめ文庫王国・時代小説部門」第1位に輝く歴史時代ミステリーの傑作。
織田信長の天下布武の構想を実現し、自らの人生をも切り拓かんとする黒田官兵衛は、羽柴秀吉と共に天下獲りに乗り出し、その知謀の限りを傾ける。毛利攻めから、中国大返し、山崎の合戦を経て、賎ヶ岳へ。荒木村重、柴田勝家など、戦国乱世を壮絶に生きた群雄たちの姿を活写し、まったく新しい視点で、これまでにない「官兵衛像」を確立した決定版がここに!
敗れ去るもの、落ちゆくもの、幕末維新時、抗わざるを得ず戦った人々の運命をたどる三作品。滅びゆくものを囲む歴史の趨勢を直視する。
安吾の「本当の凄さ」は歴史小説にあるー。2018年8月から12月にかけて、全3巻刊行予定!(解説・七北数人)
■第一巻収録作品
・梟雄・織田信長・二流の人〔九州書房版〕・我鬼・直江山城守・小西行長・家康・狂人遺書・鉄砲・エライ狂人の話・イノチガケ
■第二巻『信長』18年10月頃刊行予定
■第三巻『真書太閤記』18年12月頃刊行予定
そうか、歴史小説から人生を学んでいたのか。主人公の人生と作家の人生が時を越えて重なり、互いの道を見据え、また別れて行く。
父祖伝来、五百年の歴史を護ってきた佐竹義重。
今は子・佐竹義宣に実権を譲り隠居した身だ。
そんななか、天下統一を成した豊臣秀吉より命が下る。
「常陸を平定せよ」
佐竹家の誰もがなし得なかった夢を我がなし得る。
年老いた身でありながら早速攻略に取りかかる義重だったが……。
父祖伝来の重み、老いへの恐怖、次世代へと委ねるもの。
歴史小説の麒麟児が佐竹義重を活写する!
「海洋もの」の歴史時代小説は、戦後の低迷期を経て、昭和30年頃から再び書き始められた。本書は各文学賞を受賞した大家から、気鋭の新人まで、300名以上の作家が精魂込めて書き上げた「海洋もの」の歴史時代小説700冊をキーワード別に紹介したものである。
伊達勢大軍による味方討ちで、神保隊三百余名は哀れ全滅する。伊達の権勢に遠慮した家康側は、この事件を闇にほうむろうとした。真相を知り、娘婿神保長三郎の無念を思いやる老女お勝は、ひそかに一計を案じて洛中の街頭に立ったが……。表題作ほか計7編、すべて大坂夏の陣を題材に、豊臣・徳川の交替劇を鮮烈多彩に描いた歴史小説集。
花のようなる秀頼さまを
大野修理の娘
粟田口の狂女
燃えなかった蝋燭
坂崎乱心
孫よ、悪人になれ
国松斬られ