「芸術とは生きること」と言った太郎の人生は、まさに波乱万丈。権威、常識そして自分自身と闘いぬいた男の物語。
舞台芸術は、演出家・指揮者・歌手・ダンサー・俳優・衣装係・照明係など多数の芸術実践者が集団で作り上げる芸術であり、オペラ・バレエ・ダンス・ミュージカル・演劇等がある。本書は近年日本において大いに成熟してきたオペラ・バレエに力点をおいてその魅力の根源を探り、さらにオペラ・バレエと深い関わりをもつダンス・ミュージカルについて考察する。また、演劇についても、日本や諸外国の古劇や現代演劇の魅力の根源を探る。現代日本において代表的な演出家だった方へインタヴューも行い、芸術創造の奥義の一端を明らかにしていく。
1.舞台芸術の魅力 -その原理的・歴史的根源ー 2.オペラの古典 -社会との深い関わりー 3.オペラの現在 -ヴァーグナーの現代性ー 4.バレエの古典 5.バレエの現在 6.ダンスの現在 -モダンダンスからコンテンポラリー・ダンスへー 7.ミュージカル -その社会性と人間性ー 8.世界の現代演劇 -演劇における「20世紀」の意味ー 9.日本の現代演劇 -<近代化>の彼方にー 10.日本の伝統芸能ー歌舞伎ー 11.日本の伝統芸能ー能ー 12.日本の伝統芸能ー人形浄るり文楽ー 13.世界の古典演劇ーシェイクスピアは、なぜ「古典」なのかー 14.世界の古典演劇ーフランス古典主義とディドロ演劇美学ー 15.世界の古典演劇ーギリシア悲劇とアリストテレス演劇美学ー
二〇世紀最大の思想家ベンヤミンはメディア論・芸術論においてもいまだに最も鮮烈にして核心的な震源であり、いまもその可能性は汲み尽くされていない。「シュルレアリスム」、「写真小史」、「技術的複製可能性の時代の芸術作品」(第二稿)、「生産者としての執筆者」、「叙事的演劇とは何か」、フックス論など重要なテクスト群を第一人者が精選して全面的に訳し下ろした決定版。
名画・美術品をめぐる意外な裁判ドラマ!
これはアートといえるのか? 絵画の誘拐事件!? ダ・ヴィンチ「美しきフェロニエーレ」は二枚あった?
アートをめぐる裁判、犯罪、贋作事件の真相とは。
アートマーケットが盛況のいま、比例して美術品に関する裁判事件も増加している。ダ・ヴィンチ、エゴン・シーレ作品といった著名な絵画の真贋や盗品に関する事件など数々の裁判事件を紹介する。
美術品にまつわる事件の「面白さ」に加え、アート法の世界を楽しむことのできる1冊。
※電子版には口絵が掲載されておりません。ご購入の際はご注意ください。
[収録事件]
●ホイッスラー「黒と金色のノクターン・落下する花火」事件/ ●ブランクーシ「空間の鳥」事件/ ●ビル・ヴィオラ、ダン・フレイヴィンのインスタレーション事件/ ●スターウォーズ、ストームトルーパー・ヘルメット事件/ ●フェルメール贋作事件/ ●ゴヤ「ウェリントン公爵」事件/ ●「アメンホテプ3世頭部像」事件/ ●エゴン・シーレ「ヴァリーの肖像」事件/ ●クロード・モネ「ヴェトゥイユの小麦畑」事件/ ●シャガール「家畜商人」事件/ ●エゴン・シーレ「トルソ」事件/ ●ウテワール「聖家族、聖エリザベスと聖ジョン」事件/ ●ダ・ヴィンチ「美しきフェロニエーレ」事件/ ●佐伯祐三未発表作品群事件/ ●エゴン・シーレ「父なる神の前に跪く若者」事件/ ●クストーディエフ「オダリスク」事件/ ●コンスタブル「ソールズベリー大聖堂」事件/ ●アングル「トルコ風呂のための習作」事件/ ●ガブリエレ・ミュンター作品事件/ ●ヴァン・ダイク「レノックス公ジェイムス・スチュアート」事件/ ●ギュスターヴ・モロー「ガニメデスの略奪」事件
「無意識の世界」へと向かった芸術家と科学者たちはこれまでに何を明らかにしてきたのか?
人はなぜ「美醜」や「感情」を感じるのか? そして知覚とは、創造性とは、人の心とは?
現代を代表するノーベル賞受賞神経科学者による、無意識を巡る探究の壮大な百年史。
フロイト、クリムト、ココシュカ、シーレから、リーグル、ゴンブリッチ、ゼキ、ラマチャンドラン、フリス・・・、登場する「無意識の探究」への貢献者は芸術家から多分野の科学者まで550人超。図版も多数掲載。
芸術と自然科学、そして人文科学融合の試み、待望の邦訳。
第1部 精神分析学と無意識の情動を描く芸術
第1章 内面への関心:ウィーン1900年
第2章 深部に隠れている真実の探求:科学に基づく医学の起源
第3章 ツッカーカンドルのサロン:ウィーンの芸術家や作家,科学者の交流
第4章 頭蓋骨内の脳の探究:科学的精神医学の起源
第5章 心と脳の探究:脳の働きに基づく心理学の発展
第6章 脳と切り離した心の探究:力動的心理学の起源
第7章 隠された真意を探る文学:シュニッツラー
第8章 近代女性の性の描写:クリムト
第9章 精神を描く絵画:ココシュカ
第10章 性愛と攻撃性,不安の融合:シーレ
第2部 視覚の認知心理学と絵画に対する情動的反応
第11章 鑑賞者の役割の発見:リーグル,クリス,ゴンブリッチ
第12章 観察による発明:創造的装置としての脳
第13章 20世紀絵画の出現:形と情動の脱構築
第3部 絵画に対する視覚反応の生物学
第14章 脳の画像処理:現実に応じた幻想の創造
第15章 視覚像の脱構築:形の知覚を構成する要素
第16章 見ている世界の再構築:情報処理で成り立つ視覚
第17章 高次の視覚:脳による顔と手,体の知覚
第18章 トップダウン型の情報処理:記憶を使った意味の発見
第19章 情動の脱構築:情動の基本要素の探究
第20章 情動の描写:顔や体,色の利用
第21章 無意識の情動と意識的な感情:身体への影響
第4部 絵画に対する情動反応の生物学
第22章 情動認知のトップダウン型制御:前頭前皮質と扁桃体
第23章 絵画の美醜に対する生物学的反応:進化過程で保存されてきた機能
第24章 鑑賞者の役割:他者の心の中の個人劇場への入場
第25章 鑑賞者の役割の生物学的な基盤:他者の心のモデル化
第26章 脳による情動と共感の制御:トップダウン型とボトムアップ型の調節システム
第5部 進化する芸術と科学の対話
第27章 芸術の普遍性とオーストリア表現主義者:生来的なストーリーテラー
第28章 創造的な脳:端緒についた創造性の研究
第29章 認知的無意識と創造的な脳:多数の並行処理と無意識の利用
第30章 創造性を生む脳回路:右半球の活動
第31章 才能と創造性,脳の発達:失語症とサヴァン,躁鬱病
第32章 自己の理解:芸術と科学の新たな対話
解剖学は、人体を把握し、描き出すための重要な鍵となる。本書のために撮り下ろした250点以上の写真と100点以上のデッサンを通じて、人体の内部を視覚的に解説するこの本は、あらゆるレベルの芸術家の画力を向上させるだろう。人体を描いた絵画を理解し、その現代的な鑑賞方法を学びたいと願うすべての人にとって、理想的な参考書である。
デジタル化とコモディティ化が進む現代,アートの「場」から得られる知見や着想,地域や文脈とのつながり,そして真正性は,企業にとって有益なものである。アートプレイスの構築から企業が得られるものとは何か。取材と分析から得られた知見をもとに伝えていく。
序 章 アートプレイスへの注目
第1部 メディアとしてのアートプレイス
第1章 企業と芸術とのかかわり 第2章 ビジネスにとってのアートプレイス
第2部 事例研究1 オウンド・アートプレイス
第3章 工藝作家が育つ場をつくり,「文化をたのしむ,くらし」を届ける:日本毛織株式会社「工房からの風」 第4章 芸術家との交流が「資生堂らしさ」を育み,企業文化が事業を駆動する:資生堂ギャラリー,資生堂アートハウス 第5章 「よく生きる」をともに考える地域社会の要:ベネッセアートサイト直島 第6章 創業の精神が宿る2つの場所を起点とした芸術支援:サントリー美術館とサントリーホール 第7章 地域に愛される存在をめざした関係づくり:トヨタコミュニティコンサート
第3部 事例研究2 ペイド・アートプレイス
第8章 美術を通じたステークホルダーの結節点:大原美術館 第9章 つながりをつくる社会包摂型の芸術劇場経営:可児市文化創造センターala(アーラ) 第10章 クリエイターとの協働によって企業のマインドセットを刷新する:ロフトワーク 終 章 アートプレイスの形態が生み出すコミュニケーション効果
補 論 本書が依拠する概念と理論
補論1 アートプレイスの役割 補論2 企業と社会のあいだ 補論3 企業のコミュニケーションと文化芸術
人類は神とともに生きることを選んだ時、「創造する種」として歩み始めた。詩学、色彩、装飾、祝祭、美術の観点から芸術の根源を問い、新しい学問を眺望する。
文学・芸術・武道を中心として、原始から現代まで続く日本文化の独自性と今日的な意味を考える。日本列島の自然の中で自然に神的なものを見て崇拝し祖霊を尊重する精神が培われ、それは稲作文化が伝わって国家形成後も底流に流れている。古代に神話や歌の古典が成立し、平安期に王朝文学が開花、中世には貴族と武士の文化が融合した。近世には武芸の道や俳諧、浄瑠璃、歌舞伎、浮世絵なども生まれた。明治維新、戦後と、伝統文化は2度否定されたが、再編成され今日に至る。日本文化を見直し近代文明を超える可能性を探る。
1.日本文化の基層(縄文・弥生・古墳時代) 2.日本文化の基盤形成(飛鳥時代) 3.古代の古典の成立(奈良時代) 4.国風化への転換(平安前期) 5.王朝文化の展開(平安中期) 6.武士の台頭の中での王朝古典主義(院政期) 7.中世の始まりと『平家物語』(鎌倉時代) 8.連歌と能楽 -芸道論の成立(室町時代) 9.連歌師と茶の湯 -芸道の展開(戦国・統一期) 10.武芸鍛練の道 -近世の武道(江戸初期) 11.俳諧 -近世の文学(江戸中期) 12.浄瑠璃と歌舞伎 -近世の芸能(江戸中・後期) 13.伝統文化の熟成と幕府の終焉(江戸後期・幕末) 14.近代化と伝統の再編成 -文学・芸術・武道(明治・大正・昭和初期) 15.戦後改革からグローバル時代へ(昭和後期・現代)
「芸術」「美術」から、よりカジュアルに「アート」という言葉を用い始めて久しい。アートと社会は、それぞれが他方の一部となり「アートの社会化」「社会のアート化」が進む。本書はこうした状況を「社会とアートの共進化的動態」として捉えた。そこには地域、参加、多様性などの関連、さらに地域経済、市民社会論にまでかかわる「問題群」が浮上する。
著者はこれらの群を確認し、われわれがこの現実から何を学び得ることができるかを抽出、整理し、考察した。アートの社会的実装による社会課題の解決の契機や道筋を探る、野心的試みが結実した1冊。
第1章 アートプロジェクトの生成と展開
第1節 アートプロジェクトをめぐる状況
第2節 アートプロジェクトとは何か -「共創」と「サイト・スペシフィック」
第2章 「地域」とアートプロジェクトの模索
第1節 「ゼロダテ」の挑戦 -地域社会とコミュニティ・アートプロジェクトの展開
第2節 地域アートプロジェクトの設計と実装 -中村政人の実践
第3章 地域を超えるアート、地域をつなぐアート -地域とアートの関係再考
第1節 アートにとっての場所/場所にとってのアート
第2節 アートにとって「地域」とは何か -コミュニティとしての地域
第4章 コミュニティと向き合うアート -参加、協働、共創
第1節 コミュニティデザインとアートの可能性 -「参加」の社会実装
第2節 アートにおける参加の可能性と隘路 -ワークショップという手法
第5章 地域社会と文化資源のゆくえ -文化と経済の間
第1節 地域資源としての文化財 -秋田の円空仏をめぐって
第2節 地域社会と文化資源ーー文化の資源化と文化遺産
第6章 震災とアート -「3.11」から見えてくるもの
第1節 震災・復興・アート
第2節 「アートと社会」をめぐる問いーー震災の現場から考える
第7章 文化芸術の効用と社会実装 -地域で活きるアート
第1節 文化芸術と地域経済
第2節 アートの社会実装 -社会化するアート/アート化する社会
第8章 市民社会と文化芸術 -社会とアートをめぐる課題と展望
第1節 市民社会と文化芸術をめぐる課題
第2節 社会と文化芸術の共進化
明治以降、書壇とはちがった流れにおいて書に向き合った人物たち7名(松田正平・熊谷守一・柳宗悦・白井晟一・中川一政・高村光太郎・武者小路実篤)を取り上げて、代表的な書をビジュアルに見せながら、彼らの美学を論じる。
そして、各々が専門とする分野(絵画や彫刻、建築など)において生まれ出た美学が、自身の専門ではない「書」という分野においても生かされたことを示していく。造形美だけでない「書」の魅力を解き明かし、また、鑑賞する際の新たな視点を提示する一冊。
はじめに
松田正平「書と原点」
熊谷守一「書と心象」
柳宗悦「書と用」
白井晟一「書と常」
中川一政「書と遅筆」
高村光太郎「書と造型」
武者小路実篤「書とことば」
おわりに
2016年「障害者差別解消法」の施行により、文化施設全般に障害のある人への合理的配慮の提供が義務付けられたが、多くの施設では未だ対応がすすんでいない。2020年のオリンピック・パラリンピック開催により、現場の問題意識は高まっているものの具体的な規定や指針の不在が課題となっている。本書は、この現状に応えるべく、舞台鑑賞のバリアフリー化に先駆的に取り組んできた著者が、基本的な考え方から障害ごとのスタッフの対応の詳細まで、必須知識をコンパクトにまとめた初めての入門書である。障害者への「配慮」を考えることを通じて空間・サービスの意味を問い直す奥行きある内容となっている。
本書は美術を学ぶ学生の方はもちろん,アートや歴史に関心のある一般の方にも最適な芸術史の入門書です。何千年にもわたり芸術がどのように発展してきたかを,各時代の背景にある主要なテーマとともにわかりやすく解説しています。
170 点以上もの著名な芸術作品や図解を多数掲載しているため,芸術理論の発展と様式の重要な変化を視覚的に学ぶことができます。旧石器時代の人類最古の芸術形態を起点に,イタリア・ルネサンスの影響,17世紀のオランダ美術の社会的地位,さらには20世紀のモダンアート運動から生まれた多彩かつ急進的な様式の変化を紐解いていきます。
はじめに
第1章 「ものの見方」 アートへの視覚的分析の導入
第2章 氷河時代のヨーロッパにみる芸術の起源
第3章 イタリアのルネサンスー1260〜1490 年のトスカーナ美術
第4章 アートを通じて考えるー美術史を理解するのに理論が必要な理由
第5章 17 世紀のオランダ美術と文化を紐解く
第6章 17 世紀ースペイン美術の黄金時代
第7章 芸術理論ー現代芸術論の原理
第8章 ロココから革命へー啓蒙時代のヨーロッパ美術
第9章 19 世紀美術ー1765〜1840 年のロマン主義
第10 章 1848〜1904 年のフランス美術
第11 章 モダニズムー1906〜1936 年のフランス美術
用語集
「今日の芸術は、うまくあってはいけない。きれいであってはならない。ここちよくあってはならない。」-斬新な画風と発言で大衆を魅了し続けた岡本太郎。一九五四年の底本刊行当時、本書は人々に大きな衝撃を与え、ベストセラーとなった。彼が伝えようとしたこととは何なのか?「伝説」の名著は、時を超え、いつの時代にも新鮮な感動を呼び起こす。
美術・音楽・演劇・舞踊…各芸術分野の教育を包括する観点から、芸術教育の
理念、内容、方法を探究する。
社会、教育、生活などに芸術の諸機能を働かせて、
それらの人間的な転換を求める広義の芸術教育の考え方に立ち、
美術教育、音楽教育、演劇教育、舞踊教育……各芸術分野の教育を包括する
多様な視点から芸術教育の課題を考えるポリフォニーとしての芸術教育論。
第I章 芸術教育の射程
1 学校教育におけるアートの可能性
2 芸術教育の視点を見直す
3 人間の文化的主体性の形成と芸術・芸術教育の役割
─障害児者の芸術文化活動に寄せて─
第II章 芸術教育の社会的展開
1 平和のための教育としての芸術教育の性格
2 地域社会における芸術文化活動の視点と展開
3 コロナ禍に向き合う芸術文化の取り組みと芸術教育の展望
第III章 学校改革と芸術教育
─「芸術の教育」から広義の「芸術による教育」へ─
1 学校改革運動としての芸術教育─学力向上論と芸術教育との関係に寄せて─
2 総合学習に芸術教育の視点を活かす
3 学校文化活動の性格と役割をめぐって
─「芸術の教育」か「生活指導」かを超えて─
4 学校における芸術教育の性格をめぐって
─山住正己の芸術教s育論の歴史的意義と課題─
第IV章 美術教育論の探求
1 子ども自身から生まれる真の表現の探求
2 発達論を基礎にした美術教育論の探求すべき課題
3 造形表現能力の発達の視点を軸にした美術教育論の探求
第V章 芸術教育論の基礎概念の再考
1 「表現」と「模倣」の原理に見られる芸術の真理性の根拠と性格
2 「共通感覚論」再考の視座─中村雄二郎『共通感覚論』を批判的に読む─
3 芸術教育学の「学」としての固有性と可能性