女性は違ったやり方で科学をするか?科学は公正中立か?教育の機会はジェンダー・フリーか?家事と育児は誰がするのか?数学にジェンダー・バイアスはかからないか?科学のフィールドから女性が排除される社会的・文化的背景を徹底的に洗いだし、ジェンダーの視点から新しい科学の可能性をさぐる。
企業、会社、事業などの経営についてのエスノグラフィック(民族誌的)
な報告。これは経営学者と文化人類学者の両者に開かれたコラボレーショ
ン研究で、12の論文はいずれも国際人類学民族科学連合の大会ならびに中
間会議の企業人類学委員会において議論されてきた報告の記録。ビジネス
現場をフィールドとし、企業の経営システム、働き方、社会とのありよう
などを多角的に研究する。
序……八巻惠子
アジアにおける企業人類学/ビジネス人類学の意義……アン・ジョーダン
国際化する経営人類学……中牧弘允
第1部 ものづくりーーねうちづくり
第1章 グローバル社会での質実剛健な家族主義と信頼
--ブラザー工業株式会社の経営理念の継承と伝播……藤本昌代
第2章 経営理念は文化の壁を超えるのか
--パナソニックの初期インドネシア展開の事例から……住原則也
第3章 ブルガリアのヨーグルトをめぐる「聖」なる空間
--食ビジネスにおける価値形成……マリア・ヨトヴァ
第4章 会社の規範は社員に受け入れられるか
--京セラフィロソフィとアメーバリーダーの事例研究……寺本佳苗
第2部 働き方ーーふるまい方
第5章 東洋水産株式会社におけるMRSPARC(女性活躍促進戦略)と管理職意識
改革のエスノグラフィ……浜田とも子
第6章 雇用と自営の狭間にある働き方
--ヤクルトレディの働き方からみえるもの ……奥野明子
第3部 企業の社会的責任ーー世のため人のため
第7章 観光ビジネスにおける日本的サービスの受け取られ方
--中国広州市の日系・美高旅行社における異文化経営……田中孝枝
第8章 文化・芸術分野のフィランソロピー活動がもたらす社会経済的価値……高島知佐子
第9章 ホームホスピスの誕生ーーケアの経営人類学的研究 ……八巻 惠子
第10章 地域活性化におけるコミュニティ内企業の複数の役割
--美山ふるさと株式会社の事例より……堂下恵
第4部 フィールドワークのオルタナティヴ
第11章 パウダーメイカー問題
--またはビジネスエスノグラファーはなぜ業界紙誌を読むべき
なのか……ジョン・マクレリー
第12章 文化人類学の視覚と方法論を実務に活かす
--ビジネスエスノグラフィの可能性と課題……伊藤泰信
執筆者一覧
本書は、進歩の著しい泌尿器科診断学の最先端を、多忙な泌尿器科医が日常診療で応用できるよう編纂したものである。前立腺癌や膀胱癌などの泌尿器科癌、尿路結石、不妊症、ED、尿失禁など、よく遭遇する疾患の診断法の実際と、目覚ましい進歩の見られるCT・MRIによる画像診断、将来さらに重要となる遺伝学的診断などが横断的に取り上げられ、詳しく解説されている。
▼人口と家族のダイナミズムを理解する
少子高齢時代における日本とアジアの家族や男女の働き方を詳細なデータに基づいた実証分析によって透視する。
序章 人口変動と家族ーー日本と東アジア(津谷典子)
第1部 低出生力社会における家族・人口変動のダイナミズム
第1章 出生水準が長期的な人口動向に及ぼす影響について(石井 太)
第2章 歴史人口学から見る低出生力社会の養子慣行
ーー近世東北農村1716-1870 年を中心に(黒須 里美)
第3章 国内人口移動の現状と変動要因(直井 道生)
第2部 低出生力社会における就業パターンの変化と格差
第4章 就業寿命
ーー戦後わが国における長寿化、晩婚・未婚化と就業パターン(菅桂太)
第5章 女性博士のキャリア構築と家族形成(小林 淑恵)
第6章 家族の変化と就労収入の格差(四方 理人)
第3部 低出生力社会における夫婦の生活時間
第7章 日本の夫婦の生活時間と子ども(吉田 千鶴)
第8章 韓国における有配偶夫婦の時間配分(ソウ 成虎)
第4部 東アジアにおける超低出生力の特徴と少子化対策
第9章 東アジア先進諸国における少子化の特徴と背景要因(松田 茂樹)
第10章 台湾における育児休業制度の利用と女性の復職(可部 繁三郎)
第11章 子育て支援施策の変遷と地方と国の予算の推移(前田 正子)
津谷典子教授 履歴・研究業績
子どもの「理科離れ」が大きな問題になっている。理科が好きな女の子は特に少ない。「理科は女の子に向かない」「女の子に理科は無理」という声がいまだに聞こえてくるが、そんなことはない。女性にこそ理数系を選んでほしい。科学はワクワクするおもしろいものなのだ。科学を選んだ14人の女性ー研究者の道を踏み出した助教(助手)4名と、研究者の卵である大学院生10名ーが訴える。彼女たちの歩んできた道、抱いている希望、思い描いている未来…その生の声を聞いてほしい。本書は自分の進路をしっかり選ぼうとしている多くの女子中高生に「科学のマドンナ」プロジェクトがおくるメッセージである。
ジェンダー/セクシュアリティ/階級/文化を規定する〈自然〉概念を内破させるために
霊長類学、免疫学、生態学など、生物科学が情報科学と接合されるーー。高度資本主義と先端的科学知が構築しつづける〈無垢なる自然〉を解読=解体し、フェミニズムの囲い込みを突破する闘争マニフェスト。
I 健康心理学の基礎
第1章 健康心理学の役割
1.健康心理学の立場
2.プライマリケアと心理学
3.健康心理学の発展:ポジティブヘルスの実現に向けて
第2章 感情と健康のメカニズム
1.感情と健康との関連
2.感情と健康との関連のメカニズム
3.ポジティブ感情と生体機能との関連
4.感情と健康との関連のまとめ
第3章 認知と行動のメカニズム
1.認知と行動:健康との結びつき
2.「思考・認識としての認知」から行動へ
3.「情報処理としての認知」から行動へ
II 健康と感情
第4章 ストレス
1.ストレス研究の始まり
2.トランスアクショナル・モデルの提唱と発展
3.資源保護理論の提唱と発展
4.ストレス研究における近年のトピックスと今後の課題
第5章 怒り・攻撃性
1.怒り・攻撃性と健康
2.怒り・攻撃性への対処
3.その他の心理社会的要因と虚血性心疾患
第6章 うつ・不安
1.うつ・不安のもたらす健康リスク
2.エビデンスに基づくうつと不安の予防
3.認知行動療法を用いたうつ・不安の予防
第7章 社会的感情と健康行動
1.社会の中での感情の共有と健康
2.恥ずかしさと健康
3.社会的感情と健康増進
第8章 心的外傷体験と健康
1.心的外傷性ストレス
2.心的外傷体験後のアプローチ
3.心的外傷体験からの回復
III 健康を取り巻く諸要因
第9章 生活習慣と社会的行動:喫煙・飲酒・食行動
1.喫 煙
2.飲 酒
3.食 習 慣
第10章 睡眠と身体活動
1.睡眠とは何か
2.睡眠と健康
3.身体活動の現状と目標
4.身体活動の評価法
5.身体活動量増加の必要性
第11章 女性の健康
1.女性の健康問題
2.女性に多い精神疾患や心身の不調
3.女性の疾病予防と健康増進
4.女性の健康と心理社会的要因
第12章 健康と医療
1.はじめに
2.健康寿命の延長に向けた予防的取り組み
3.患者・家族:医療者コミュニケーションの改善に向けた取り組み
4.退院後における患者や家族の心のケアへの取り組み
第13章 健康と文化
1.健康における文化の重要性
2.精神的健康と文化の研究
3.生物的要因と社会的要因
4.異文化適応と健康
5.まとめ:精神的健康と文化についての今後の展望
IV 健康への予防的アプローチ
第14章 健康心理学の応用とその可能性:ポジティブ心理学
1.ポジティブ心理学の発展
2.ポジティブ心理学の3つの研究領域と日本の動向
3.ポジティブ心理学と健康心理学
4.ポジティブ心理学的介入
5.健康心理学の今後の可能性
第15章 ポジティブな特性と健康
1.健康と個人的特性
2.楽 観 性
3.ポジティブ・イリュージョン
4.首尾一貫感覚
5.ポジティブな特性と健康を考えるうえでの留意点
第16章 公衆衛生から見た健康づくりとポジティブヘルス
1.公衆衛生学と健康
2.ヘルスケアシステムの現状と健康心理学の役割
3.ポジティブヘルスを目指した健康づくりと健康心理学の発展
国境を越えるフィリピン人たちの日常と「戦術」をみる。国境を越えて広がるネットワークのなかで多様な背景をもつフィリピン人たちは、様々な問題にどのように向き合い日常を生きているのかー個人を中心とする民族誌の実践。
変化の直中にあるアボリジニ社会。その歴史的背景や社会的実践のあり方を、しなやかで力強い生き方を見せる女性たちに着目して描き出す民族誌。男女の関係や平等のあり方は決してひとつではないことを示し、人類学的方法のオルターナティブを提案する。
都合よく利用されるのではなく、自らが望むように学び働きたいと願う女性たちへ、95歳の先輩が送るエール。
1990年代以降、人口学教育において若手・中堅研究者を中心に利用されるようになったミクロデータについて、各種テーマに沿って利用可能な公開ミクロデータを用いる分析方法を丁寧に解説する。今後人口研究者を志す読者や、分析結果を解読する必要に迫られた人口研究者に情報を提供する一冊。
「生」をめぐる帝国の権力を可視化する
植民地朝鮮において産婆や胎教がいかに存在し機能したのか。
朝鮮社会の葛藤を、新聞・雑誌などの言説空間に注目して浮かび上がらせる。
日本統治下にあった20世紀前半の朝鮮における「出産の場」、とくに産婆や胎教がどのように機能していたか、言説分析を通して明らかにする。「出産」をめぐって日本人の役人、医師、朝鮮人産婆、優生学者などが、新聞・雑誌でさまざまな言説を展開した。「近代の知」が旧弊の「風習」とときに対立し、ときに協力関係を結ぶといった複雑なせめぎあいがあったことを実証的に論じ、出産する女性をとりまく様相を起点に「歴史叙述を女性へ取り戻す」ことを試る。
序章 「出産の場」の「生政治」
1 研究背景ーー産婆と胎教の位置づけ
2 研究方法ーーフーコーの「生政治」と「言説」、そして〈現実〉
3 研究史ーー「出産の場」を支える四つの柱
4 研究目的ーー植民地朝鮮の「出産の場」を解明する
5 本書の構成
6 本書における用語と記号の定義
第一部 出産風習と産婆制度
第一章 植民地朝鮮における出産風習と産婆養成政策
はじめに
1 近代日本の産婆制度と植民地への移植
2 朝鮮の出産風習
3 日本人衛生医療関係者の見た朝鮮の出産場景
4 植民地朝鮮における産婆養成
おわりに
第二章 朝鮮人産婆の労働環境と社会的位置づけーー1920年代の新聞・雑誌に見る産婆の物語
はじめにーー職業婦人としての産婆
1 植民地期女性の職業としての産婆
2 産婆が語る朝鮮の労働の〈現実〉
3 1920年代の産婆の経済的・社会的位置
おわりに
第三章 産婆と風習のせめぎ合い、そして出産医療の〈現実〉
はじめに
1 「旧慣」を駆逐し、産婆を利用せよ
2 伝存する出産風習と衛生との葛藤
3 産婆が語る朝鮮社会と「出産の場」の様子
4 京城の都市貧民を取り巻く、出産医療の〈現実〉
おわりに
第二部 胎教と「生政治」
第四章 出産風習としての胎教と「優生学」
はじめに
1 前近代の胎教と植民地朝鮮における伝存
2 1930年前半の優生学と胎教
3 1930年代後半の胎教を取り巻く論争
おわりに
第五章 韓半島にもたらされた「近代の知」と胎教ーー女性教育、民族改造、〈朝鮮学〉振興運動
はじめに
1 「女性教育論」と胎教言説
2 植民地期の「民族改造論」と胎教
3 女性医師・許英肅の民族改造論と胎教
4 1930年代後半の「〈朝鮮学〉振興運動」と『胎教新記』
おわりに
終 章 近代化する「出産の場」と女性
1 生き残った出産風習と植民地朝鮮の近代
2 「出産の場」を眺めるということ──本書のまとめ
註
初出一覧
引用・参考文献
あとがき
索引
かつて経験したことのないスピードで少子化・超高齢化・シングル化が進む日本の経済と社会はこれからどうなるのか。人口問題の専門家と経済学界の第一人者が一堂に会し、労働力や年金・医療問題を中心に議論する注目の書。
本書には、全部で六つの講演記録が収められています。内容は、(1)異国から日本へ来て、高齢者の介護をする女性たちとその日本における対応について、(2)出産という行為(場所)が自宅から施設へと変化することによって、当事者の主客逆転が起こっていることについて、(3)女性の稼ぎとその財産の管理の方法と、その変化のことについて、(4)産業化とそれが家族に与えた影響について、(5)戦後日本の農村生活改善事業の特徴と生活改良普及員の生き方について、そして、(6)教育社会学の立場から見て、日本における「しつけ」がどのように変化してきたのかについてなど、となっています。一般の読者の皆さんだけでなく、学問に従事する若い人たち、あるいは女性の暮らしや生活に関心を持っている若い人たちにとって、本書が新しい研究や調査の分野を切り開いていく一つのきっかけとなることを願っています。
第1回 東アジアの高齢化とケアの国際移動 安里 和晃
第2回 出産の近代化がもたらしたもの -日本とアジアとの比較からー 松岡 悦子
第3回 女性の稼ぎと家財管理、そしてその変化 波平恵美子
第4回 岐阜既製服産地における縫製業の盛衰と家族 前田 尚子
第5回 戦後日本の農村生活改善と「女性の人生」 小國 和子
第6回 一九五〇〜一九六〇年代の社会変動と子どもの生活 広田 照幸
あとがき