本書では、既に現実問題として中途転職者の増大、大量解雇の頻発といった終身雇用制度崩壊の現象が発生しながらも、ポスト終身雇用のマネジメントシステムをデザインできないでいる日本企業に新しい人事制度と組織運営体制を提起する。対処に困ったホワイトカラーの余剰人員の整理とか、団塊の世代に対するポスト配分という対症療法的な処方箋としてではなく、二十一世紀に向けて、日本企業が世の中に新しい価値を創造提供し、従業員が健全な形で積極的に労働に取り組めるようになるためのマネジメントの基軸転換を提唱するものである。
異性愛社会にNON。同性愛を差別せずにはいられない異性愛社会の病理-。同性愛を排除して「守ろう」としているものは何か。
酒を好み、骨董を愛し、鋭い味覚をもち、ときには包丁も握った作家の料理に関するエッセイをもとに、息子の料理人が四季とりどりに復元し、父の遺愛の器に盛る。料理と器を通した父との対話。
第二次大戦中、ドイツUボートを超える活躍をしながらも、今まで語られることのなかった新鋭潜水鑑の軌跡を、初めて再現。迫真の本格戦記。
「-に気をつけろ」森翁はガディルに忠告した。一方、バリオ紡織染縫協同組合では、組合主催のダンス・パーティを行うというので、どっと注文がきたり、ポスター作りをしたりで、何かと賑わっていた。そんなところへ、妖艶な女性が訪れ、懐から一束の糸を取り出し、マルーシュに試し織りを頼んだ。ところが、その糸を見たピーコックは、驚いた。それは人の意志を奪う『惑魅の糸』だった。
慶応四年(一八六八)七月二十五月、長岡藩総督河井継之助の采配のもと、長岡藩兵八百余名は、魔蛇が棲むという八町沖を徒渉、敵中に潜入して長岡城を奪い返した。夜行暁戦、故城へむかって各隊が疾駆突戦する。その作戦の見事さは、継之助の才腕によるものだった。奇謀の計によって、薩長の野望を砕こうとする継之助。大兵を擁し、維新の大望をふりかざす山県狂介(有朋)ら。北越の戦いは、天下分け目のいくさとなった。そのハイライトともいうべき、長岡城奪還戦の十六日間を克明に追う。そこには東軍陣営、とくに米沢藩と長岡藩の葛藤、薩摩・長州藩兵ら西軍諸藩兵の戦いの実態、焦土作戦による住民の悲哀、新潟陥落による長岡再落城の様子、そして、ふるさとを奪い返し、城下の土を踏んで涙する長岡藩士の様子が描かれている。戊辰戦史上、まれにみる激戦の実相に迫る。
私たちは、これまでどんな世界史を学んできたのだろうか。国ごとにランクづけされた世界史、日本史と切りはなされた世界史、自分と離れたところにある世界史…。けれども本当は、世界史のなかに日本史があり、日本史が世界史をつくっていて、その歴史のなかで、私たちは生きている。自分と日本と世界がつながる世界史が見えてきたとき、これまでとはちがう世界史の大切さ・面白さ・楽しさがわかってくる。
軟弱な海底に石を積み重ねることから始ったこの大プロジェクトは、長い歳月と一兆五千億円の巨費を要してついに開港にこぎつけたが、未完の工事、莫大な償却前赤字等難問は山積している。公害と地域経済、地方分権、民活プロジェクトの将来ーここには現代日本の政治経済問題のすべてが関わっているのである。本書は現代のピラミッド建設過程を、参加して技術者、財界人、政治家、官僚の証言を通して浮彫りにする試みである。
「虚偽で塗りこめられた圧政の体制」は、なぜ70余年も続いたか。生身の人間が作った、矛盾に満ちた国の当り前の現実。社会主義は否定的に、ソ連は肯定的に。