21人のパイオニアが言語と文化にかかわる多様な領域、多彩な研究の魅力を語る。
言語と文化のつながりの問題は、多くの人が着眼し、論じてきたテーマである。本書は「文法を文化で切る」という今までになかった新しい視点から、言語と文化の関わり合いを考察。基本的文法事項を引き合いに出しながら、具体例を豊富にあげて明快に解説。文法教育の新しい方向を示唆する。
気鋭の言語学者が「ことばの達人」に出会ったらーー。思わず誰かに話したくなる、日本語の魅力とことばの楽しみ方が満載の対談集!
【本書の主な内容】
●「あかさたな」は美しすぎて怖い!
●SNSでことばの事故を起こさない方法
●すぐに始められる「韻の楽しみ方」
●「3人の学生が来た」と「学生が3人来た」はどう違う?
●RとLは聞き分けられなくていい
●発声で感情を伝えるテクニック
●日本語は「音の大食い」!?
●ことばは親があげられる最高のプレゼント
●声は一番手っ取り早い「遊び道具」
●文字に頼らないコミュニケーション術
【目次】
第1章 言語学から見える短歌の景色 俵万智
言語学者に作品を分析されるとは!?/頭韻の効果/連濁の不思議/句またがりという技法/日本語の美しさとは/視覚的になりすぎた日本語/制約は創造の母/子供たちのことばと心が空洞化している/言葉は親が与えられる最高のプレゼント ほか
第2章 日本語ラップと言葉の芸術 Mummy-D
言語学者とラッパーの出会い/日本語ラップにおける子音の役割/音節を使って母音を圧縮する技術/俵万智とMummy-Dの意外な共通点/アクセントとどう向き合うか/ラップのメッセージ性/ラップは言語芸術か/教育現場にも有効なラップ ほか
第3章 人間にとって「声」とは何か 山寺宏一
ドナルドダックから銭形警部まで/自分の声を好きになるために/エヴァンゲリオンでの「間」の取り方/声優の「ガンダム理論」/吹き替え映画のタイミングをどう合わせるか/声優からみた日本語と英語の違い/ドナルドダックの声にはどうやって辿り着いたか/AIは感情を表現できるか ほか
第4章 言語学の現在地 川添愛
言語学の分野はこんなにある/チョムスキーの「普遍文法」/言語学研究の面白さとは/外国語学習にも有用な音声学の知識/言葉の意味の多層性:論理的な意味と論理的でない意味/AIは人間の代わりになりうるのか/正しい日本語なんてない/知れば知るほどわからなくなる ほか
学研の漢字ナンクロ誌から、解き応えのある「大きいサイズ」だけを厳選したプレミアムなシリーズ第19弾! スタンダード・しりとり・ホワイト・仕掛け問題などなど…。多種多彩な問題をぎっしりと詰め込みました。巨大なジャンボ問題4問つきの全100問!
言語学は難しい、とっつきにくい。そんなイメージを持つ人は多いのでは? 「言語学」が研究対象とする様々な分野を紹介し、興味を引くコラムを多くもりこんだ言語学の教科書。はじめての人にもことばに興味を持たせる一冊。
刺激に満ちた大胆な仮説を、心理学・言語学・動物行動学などの豊富な研究事例をもとに、軽快な語り口で説く。
言語能力の発達とは、人のこころの発達にほかならない。人は「ことば」に支えられて自己の世界を築き上げ、開かれた世界を知り、他者とのかかわりのなかで自己を確立していく。そして、他者とのかかわりは人間の文化の根本であり、そこで生きようとしてはじめて、私たちは物事を理解し「学ぶ」ことができる──。
どうすれば日本人に英語が「身につく」のか。母語の豊かな使い手となり、第二言語として英語を学ぶことの真の価値とは何か。バイリテラシー・第二言語習得を専門とする言語学者であり、日本・アメリカ・カナダ・オーストラリアで数多くのリテラシー教育プログラム開発に携わってきた著者による著述・講義録を全3章に再編。本書を通して語られる「ことば」と「学び」の本質が、いま求められる教育のかたちを明らかにする。
本書の第1章では、人間が言語を習得するための条件が、「前言語コミュニケーション」や「本物性」といった概念をもとに整理されている。また、「実践」を行う「共同体」に参加し、そこで生きていこうとする意志が、人間の「学び」にとって重要な意味をもつことが語られる。そして明らかになるのは、「ことば」は外界と闘って「獲得する」ものではなく、人と人とが共通世界をつくる共同行為としての「ことばの前のことば」から「生まれる」ものである、ということだ。
また、第2章では、日本人が想定すべき英語を使う能力に関しても、学校英語の変遷、「第二言語」の性質、言語を通して形成される知性、といった観点から光が当てられる。私たちは、母語を学ぶように「地球語としての英語」を学び、それを駆使することで、世界とコミュニケーションを行い、より深い意味の世界を生きてゆけるのである。そのためには、英語を通して「知を創造」する経験を、世界の人びとと共有しようと私たち自身が試みていかねばならない。
最終章では、「教養」が瓦解し、「知識」が体系性を失った現代社会において、「学び」が成立するために必要とされるものは何か、という問いが主題となる。すでに近代化型教育は終焉を迎え、子どもたちは大人の眼差しをかいくぐり、「他者」として歩みはじめているという指摘の重要性は、時を経ても失われるものではない。常に問い直されるべきは、教師や大人の抱く「モノローグ」的な教育観の閉鎖性と、私たち自身の価値観であろう。「学び」の成立する要件である、「出会い」と「対話(ダイヤローグ)」による学びの場と、共に追究し、学びあう関係の創出こそが、現代の教育に求められるものである。
本書は、グローバル教育研究会イーグルによる記念誌『新言語教育学』(2013年)を底本として制作された。刊行委員一同、本書が教育活動・社会活動に日々携わる諸氏の手元へと広く行き届き、その実践の一助となることを願ってやまない。
(『ことばが世界をひらく』刊行委員会)
言葉はなぜかわるのか。人間活動の所産であることはもちろんだが、巨視的にみれば、自然環境が重要である。なぜなら、気候の変動によって民族移動が起こり、それが言葉の変化をもたらし、ひいては現在の世界の言語分布にいたっているからだ。本書は、地理学の碩学が言語年代学の成果をふまえながら、気候と言語のダイナミックな関連性を一万年の人類史の中で実証するという野心的試みである。
例えば、日本語では「生」の意味として「黒」、韓国語では「青」が用いられる。日本=「目の黒いうち」/韓国=「目が真っ青に生きている」…近くて遠い、日本と韓国。物事の捉え方、生活・文化の違いをことばから探ってみる。
本書では、いかに人間が自由自在に世界を“カット&ペースト”しているか、また自由自在とはいいながら、背後にどれほどしっかりとした規則性があるかということを、人間の最も身近な身体から身の回りの空間、そしてその空間に位置するモノの切り分け方にしぼって、検証した。
小学校での英語教育導入や企業の英語公用語化の動きに代表されるように、国際語としての英語への関心や必要性はますます高まっている。本書は英語を中心とした外国語の学習と使用を題材に、言語心理学にまつわる概念や現象を解説し、二つの言語を使うこと、つまりバイリンガリズムについて考えながら、言語と認知の関係を解き明かす。
はじめに
序 章 バイリンガリズムと現代
1 国際化とバイリンガリズム
2 バイリンガルとは何か
3 本書の目的
第一章 日本と世界の二言語・多言語使用事情
1 多言語化する日本社会
2 二言語・多言語使用の国や地域
3 国際語としての英語
4 日本人の英語能力
第二章 バイリンガリズム、第二言語の認知的メカニズム
1 言語処理の仕組み
2 バイリンガルの言語処理プロセス
3 言語知識はどのように記憶されているのか──メンタル・レキシコンの話
4 バイリンガル・レキシコン・モデル
第三章 一つの言語を使っているとき、もう一つの言語プロセスは停止しているのか
1 バイリンガル・ストループ実験と視線計測実験
2 使っていない言語の制御
第四章 外国語副作用──認知資源の配分と外国語使用
1 認知システムとしての脳と記憶の仕組み
2 認知資源とは
3 L2言語処理と認知資源
4 第二言語の方が合理的な判断ができる?
第五章 脳機能から見たバイリンガルの言語処理
1 「脳の構造と機能」概論
2 脳機能から見る言語
3 FOXP2遺伝子
4 モノリンガルとバイリンガルの脳機能の違い
第六章 なぜ外国語を身につけるのは難しいのか──言語の臨界期と外国語習得
1 言語の臨界期
2 発音の臨界期と赤ちゃんの音声知覚能力の発達
3 母語と外国語の関係─対照分析仮説
第七章 外国語を話すと人が変わる?
1 虹の色は何色か──使う言語によってものの見方が変わる?
2 言語相対論とは──サピア=ウォーフ仮説
3 カテゴリー知覚
4 絶対方位感覚をもつ言語
5 文法的性(ジェンダー)
6 バイリンガルの場合
第八章 バイリンガルは頭がいい?
1 バイリンガルと知的能力
2 バイリンガルの優位性
3 バイリンガルに負の効果はないのか
4 小学校英語はプラスかマイナスか
おわりに
参考文献