油の供給の豊富なる国は光り栄え、油のなき国は自然に消滅すー。南方に徴用された石油技術者七千人、密林ふかく分け入り、石油を採掘精製して日本へ還送し、太平洋戦争を支えた石油戦士たちの知られざる戦い。石油獲得を企図として実施されたパレンバン落下傘部隊“空の神兵たち”の活躍とともに描く話題作。
ことばの意味というものは、話し手と聞き手の相互の関わりの中から生まれる。-会話での「含意」、間接的な言い回し、ポライトネスなど、語用論の基本概念を豊富な用例を用いて解説した格好の入門書。普段なにげなく使っていることばの不思議が見えてくる。
火と土が出会い、焼き物ができる。中国の陶工はその素朴な技術を何千年もかけて磨き上げ、傑出した作品を数多く産み出した。それらはまた中国の特産品として世界中に交易され、各地の港跡に散らばる破片は「海のシルクロード」を浮かび上がらせた。景徳鎮を中心に伝統の中国陶磁に秘められたドラマを描き、焼き物文化の世界史的意味を考える。
半年がかりで書き上げた長編が、やっと見本になった!推理作家・有栖川有栖は、この一瞬を味わう為にわざわざ大阪から東京へやってきたのだ。珀友社の会議室で見本を手に喜びに浸っていると、同業者の赤星学が大きなバックを肩に現れた。久しぶりの再会で雑談に花を咲かせた後、赤星は会議室を後にした。「行ってくる。『海のある奈良』へ」と言い残して…。翌日、福井の古都・小浜で赤星が死体で発見された。赤星と最後に話した関係者として、有栖は友人・火村英生と共に調査を開始するがー!?複雑に絡まった糸を、大胆にロジカルに解きほぐす本格推理。
敗戦後の福岡市民は、どう考えていたのか。アメリカ軍は、敗戦2カ月後に、福岡市民74人を呼び、戦時下の市民生活、空襲への対応、時の政府に対する反応、進駐軍の政策、さらに天皇制を含む、今後の日本の進路についての聴取を行なった。ここには、敗戦国の苦しみや、嘆きだけでなく、未来に向かう福岡市民の声があった。
『枕草子』や『源氏物語』など、王朝時代から日本人にこよなく愛されてきた漢詩は、一見とっつきにくいが、実はたいへん面白い。友情の詩、別離の詩、戦争の詩、大自然を歌った詩など、その「心」は今日なお新鮮で、私たちの心を深く揺さぶる。本書は歴代の代表的名作を紹介、かつ脚韻や平仄についての「Q&A」を付した。
「おれは金はもってないけれど、金はつくるよ」著者・藤沢武夫はこう言って本田宗一郎とコンビを組んだ。単に一企業の儲けを考えるのではなく、社会的責任を全うするという愚直な道を選び、なおかつ本田技研を二人三脚で世界的企業に育て上げた名経営者が、初めて明かす、自らの半生と経営理念。
音楽療法士養成のための必修科目をバランスよく取りあげ、現在の音楽療法界の指導的な医師・音楽療法士が執筆。従来の音楽療法書では不足しがちだった医学的な知識(医療一般・心身医学・精神医学・心理療法など)を、療法に理解と経験のある医師がわかりやすく解説。現場経験の豊富な音楽療法士が、欧米の最新の知見をふまえながら、対象と現場に即した実践的なテクニックを指導。