世界は未曽有の経済危機・食糧危機に見舞われている。日本語学習者も、就職難をはじめ、生きる上での困難に直面している。この世界で持続可能な生き方を追求・実践するために、言語教育は何ができるのか。
言語教育研究の理論と実践を包括。多様性の許容・均衡性の配慮・持続可能性の追求について考察し生態学的言語論の構築と実証を行う。
階層性と意図共有を言語進化の2つの柱として、言語学および脳科学・生物学など各関連分野から未来の言語進化学への提言を行う。本書は、文科省新学術領域研究『共創言語進化』を進める中で組織された「若手の会」メンバーにより企画され、若手による意欲的な論考12編と、領域計画班代表5名によるコメント論文、そして自由闊達な座談会からなる。2022年9月に金沢で開催の国際学会『言語進化合同会議』(JCoLE)開催記念出版。
人類は言語をどのように構造化してきたか?「格」をはじめ「語順」「アスペクトとテンス」「態」「他動詞と自動詞」「有生と無生」など、“認識と言語”の諸問題を俯瞰する画期的な新理論。
本書では、日本語の要求表現の諸形式の状況的使い分け、平叙文の文末形式の話し手・聞き手の関与度による使い分け(関与表現の使い分け)に関して、実験結果に基づいてその様相を検討する。これらを聞き手への配慮と関連づけて論じ、他のタイプの言語行動も含めて、状況的諸要因がバリエーションに与える影響にどのような特徴があるのかを考察した。
「言語文化学」という横断的な知の領域を明確にするとともに、言語文化に関する21人のパイオニアが言語と文化にかかわる多様な領域、多彩な研究の魅力を語る。
【執筆者】木村健治、里内克巳、小門典夫、金崎春幸、山田雄三、斎藤渉、伊勢芳夫、木原善彦、大村敬一、沖田知子、三牧陽子、山下仁、岡田伸夫、小口一郎、大谷晋也、林良彦、田畑智司、由本陽子、杉本孝司、大森文子、春木仁孝
1 言語文化比較交流論
第1章 映画の中野古代ギリシア・ローマー映画『トロイ』を中心に
第2章 トランスパシフィックの物語学ー「ユーラシアン」作家スイシンファーを中心に
第3章 中国少数民族の言語政策ー四川省涼山イ族自治州の言語政策を事例として
2 言語文化システム論
第1章 言語・文化・記号
第2章 システム化されない文化システムー感情を文化する
第3章 権力とメディアーコミュニケーション史的考察
3 現代超域文化論
第1章 超域文化の歴史的考察
第2章 宇宙と人間とロボットー宇宙探査をする主体は誰/何か?
第3章 STAND ALONE COMPLEX「文化」を越えるために
4 言語コミュニケーション
第1章 言葉によるコミュニケーション
第2章 談話を分析する
第3章 日本語の多様性と共生を生きる日本社会
5 言語文化教育論
第1章 学校英文法の内容と指導法の改善
第2章 定型文から論文へー形式からアプローチするアカデミックライティング
第3章 多言語・多文化化する日本とこれからの言語政策
6 言語情報科学
第1章 言語の意味・概念への計算科学からのアプローチ
第2章 コーパス言語学ーデータは何を語るか
第3章 語彙意味から見た文法
7 言語認知科学
第1章 認知意味論への誘い
第2章 メタファー研究の方法
第3章 構文文法の可能性
言語と文化のつながりの問題は、多くの人が着眼し、論じてきたテーマである。本書は「文法を文化で切る」という今までになかった新しい視点から、言語と文化の関わり合いを考察。基本的文法事項を引き合いに出しながら、具体例を豊富にあげて明快に解説。文法教育の新しい方向を示唆する。
人工知能(AI)の現状と未来を、脳科学・工学・言語学や将棋のエキスパート達が語る。AIが人間の知能を超える地点とされるシンギュラリティについても議論。
はじめに
第1章 脳とAI
脳から見た問題解決のメカニズムーー酒井邦嘉
数理工学の方法論ーー合原一幸
次の一手を決めるプロセスーー羽生善治
鼎 談ーー酒井邦嘉/合原一幸/羽生善治
人間とAIの棲み分けと融合
「詰み」とレーサーの感覚の共通点
AIは大局観を持てるか
文脈と共感
機能の理解が課題
解 説ーー自然と人間ーー酒井邦嘉
第2章 AIは人間の脳を超えられるか
座談ー酒井邦嘉/辻子美保子/鶴岡慶雅/福井直樹
これまでのAIブーム
自己組織化する脳とコンピュータの進歩
生成文法とAI
第二次AIブームと言語学
AIと言語学の乖離
人間が持つ生得的能力
脳のプリプログラム
自然言語処理研究の現状
学習するゲームソフト
AIのクリエイティビティ
シンギュラリティのその先
タAIを人間が手放さないこと
解説ーー想像力と創造力(酒井邦嘉)
第3章 チョムスキーと脳科学
対 談ーー福井直樹/酒井邦嘉
神経科学と言語学の接点
チョムスキーの生い立ちと人となり
チョムスキーと物理学
生成文法理論の誕生前夜
構造主義との決別
『統辞構造論』の思想的背景
反戦運動と生成意味論の時代
生成音韻論と理論物理学
「規則系としての文法」から原理とパラメータのアプローチへ
次の科学革命
解説ーー言語と思考(酒井邦嘉)
おわりに
「させていただく」は正しい敬語? 意識調査とコーパス調査で違和感の正体が明らかに。現代人は相手を敬うためでなく、自分を丁寧に見せるために使っていた。明治期、戦後、SNS時代、社会環境が変わるときには新しい敬語表現が生まれる。言語学者が身近な例でわかりやすく解説!
「させていただく」の研究書で異例のヒットを記録した言語学者が、身近な例でわかりやすく解説
相手への敬意より自分のために敬語を使っていた
・使われるうちに敬意がすり減る「敬意漸減の法則」
・敬意のインフレーション」で敬語がてんこ盛りに
・「上下関係」よりも「距離感」を重視している
「させていただく」の〈使用拡大〉と〈慇懃無礼な印象〉という矛盾した両面の謎を語用論のアプローチで解き明かす。
【目次】
第一章 新しい敬語表現ーー街中の言語学的観察
ー「免除させていただきます」
ー愛されるタメ語キャラと毒舌キャラ
ーサザエさんは「させていただい」てない
第二章 ブームの到来ーー「させていただく」の勢力図
ー新しい敬語のお仕事
ー敬意漸減の法則
ー遅れてきた「させていただく」
第三章 違和感の正体ーー七〇〇人の意識調査
ー敬語の「乱れ」は変化の兆し
ー違和感を左右する三つの要素
ー最大の要因は「聞き手の存在」
第四章 拡がる守備範囲ーー新旧コーパス比較調査
ー距離感が二極化している
ー政治家は「させていただく」をよく使うのか
ー合理化か貧困化か
第五章 日本語コミュニケーションのゆくえーー自己愛的な敬語
ー「させていただく」は関西発祥なのか
ー「表敬」から「品行」へ
ーそして他者はいらなくなった
おわりに
ー「させていただく」はコミュニケーションの変化を示す指標 ほか
はじめに
SMAPとV6の解散劇
第一章 新しい敬語表現ーー街中の言語学的観察
用例を採集する
「免除させていただきます」
愛されるタメ語キャラと毒舌キャラ
サザエさんは「させていただい」てない
第二章 ブームの到来ーー「させていただく」の勢力図
「語用論」のアプローチ
新しい敬語のお仕事
敬意漸減の法則
遅れてきた「させていただく」
第三章 違和感の正体ーー七〇〇人の意識調査
敬語の「乱れ」は変化の兆し
違和感を左右する三つの要素
最大の要因は「聞き手の存在」
話し手が持つ違和感
第四章 拡がる守備範囲ーー新旧コーパス比較調査
距離感が二極化している
政治家は「させていただく」をよく使うのか
関わるようで直接の関わりは避ける
合理化か貧困化か
第五章 日本語コミュニケーションのゆくえーー自己愛的な敬語
「させていただく」は関西発祥なのか
「表敬」から「品行」へ
敬語のナルシシズム
そして他者はいらなくなった
おわりに
「させていただく」はコミュニケーションの変化を示す指標
ほか