良寛の書はなぜ美しいのか。従来の宗教的良寛像を根底から見直し、純粋な芸術的営為のありようを照射。その造形的天分と詩的思想的資質の絶妙な融合を読み解く。
東洋文化の精華・綜合芸術である茶道の『感応の美』は、時代を超えて生き続ける。茶道実践者にして、はじめて可能な茶道と易思想の解明。
ヒトは二足で歩き走り、ことばをしゃべり、物語を作り、絵を描き、歌い踊る。火を使い、道具を作って使う。神や霊を畏れ敬い、儀式を行なう。同じ祖先から別れたチンパンジーと比べてみると、その奇妙さは歴然としている。この数々の奇妙さは、いつ、どのようにして生じたのか?進化心理学の成果をもとに、人間の本性の新たな見方を提示する一冊。
IT時代、神ならぬ紙になり人類は消えるか。到るべき感性の宇宙時代は「天才」量産の時代に。天才は宇宙人、そして、一番あたりまえの人。教育者、政治家、財界人、誰にも読んでもらいたい芸術論。
戦後に花開いた日本映画の担い手たちは、元をたどれば共通の歴史的・文化的体験を有している。東宝が映画を用いて行った戦時下の「文化工作」もその一つであり、あの手塚治虫もまた、それら先鋭的な映画理論やロシア・アヴァンギャルド運動を貪欲に吸収した人物であった。本書では、種々の新史料の発見を通じて、手塚をそれら戦時下のメディア理論の文脈から新たに捉え直すことで、彼の戦後の営みを再解釈せんとするものである。執筆にあたり助力を得た映画史家・牧野守氏の貴重なインタビューや、氏が執筆したTVアニメ『鉄腕アトム』幻の第一話脚本も収録。
ぼくじょうでえをかきはじめたぼくじょうぬし。ところが、めをはなしたすきに、ショーンたちがいたずらをはじめたから、さあたいへん!
松割木の薪を使って登窯や穴窯でしっかりと焼締められ、あるいはたっぷりと自然釉の掛かった作品を焼くことは、アマチュア陶芸家の憧れのまと。本書では、プロの陶芸家の窯の作り方や、実際に薪窯でどのように焼成するのかを指導。薪窯焼成に適した土や成形についても紹介した。
生まれついての聴き屋体質の大学生、柏木君が遭遇する四つの難事件。芸術学部祭の最中に作動したスプリンクラーと黒焦げ死体の謎を軽快に描いた表題作、結末のない戯曲の謎の解明を演劇部の主演女優から柏木君が強要される「からくりツィスカの余命」などを収録する。文芸サークル第三部“ザ・フール”の愉快な面々が謎を解き明かす快作、ユーモア・ミステリ界に注目の新鋭登場。
ル・コルビュジエは評論家、画家、建築家という3つの顔を持っている。これらは不可分で、相互に影響し合ってル・コルビュジエという1つの人格を形成している。本書では、彼の3つの顔を総合的に捉え直すことで、動的なル・コルビュジエ像を炙り出し、総合芸術家としてのル・コルビュジエ誕生のプロセスを明らかにしている。
芸術とは芸術家の自己表現であるなどという、近代主観主義の硬いカラを打ち破って、古典芸術が原理としていたものを知り、古典芸術の原理の奥深さを知る。あとは、おのずと、無理なく、自然に、古典芸術の素晴らしさが分かるようになる。世界からエネルギーをもらえ!感動が待っている驚異の西洋芸術入門書。
哲学とは何かーこの問いに対し、「学問」以上に「藝術」という答えを強調したショーペンハウアー。自らの哲学も藝術であろうとし、これによって人々に慰めを与えようとした。カント、フィヒテ、シェリングらをショーペンハウアーの先蹤者と捉えることによって、学問性を極端に強調されたドイツ観念論に新しい系譜を引く。
ダイヤモンドを創造する、という考えに取り憑かれ、すべてを投げうち実験に没頭するバルタザール。一家は破産し、科学によって母をも奪われた娘が考え出したある策とは…そして男の行きついた果てとは?バルザック独自の科学観を垣間みることができる表題作と「赤い宿屋」の2篇を収録。
芸術創造の長い歴史のうえで芸術の保護者たるパトロンの果たした役割は大きい。富と権力を誇るルネッサンスの王侯貴族や教会、新興の近代市民階級、コレクターや画商、現代の政府・企業。彼らは芸術のあり方にどんな影響を与えたのか?美術館や展覧会が登場した意味とは?社会的・経済的担い手とのかかわりに光をあてるユニークな美術史。
ドイツ最大の画家アルブレヒト・デューラーの作品には、ネーデルラント絵画とイタリア絵画という、相反する美的原理を調和させようとする絶え間ない戦いが読み取れる。本書では、デューラーの初期から後期の代表的作品を取り上げ、その芸術がいかに形成されたかを考察する。「比較と記述」によるユニークなデューラー論。