日本造血細胞移植学会編集による看護師向け公式テキストの改訂版.同種造血細胞移植をめぐる現状,移植後合併症の基礎知識,移植後の外来フォローアップにおいて必要な知識・技術を各分野のエキスパートが詳細かつわかりやすく解説.今改訂ではがん対策推進基本計画(第3期)への対応といった情報更新に加え,合併症重症例の写真を充実させた.
【はじめに】
1980年代の近代的移植の幕開けから、骨髄・さい帯血バンクの整備、移植法やその支持療法の目覚ましい進歩に支えられ、同種造血細胞移植は多くの難治性造血器疾患の根治療法として盛んに施行されてきた。そして、移植件数増加とともに多くの移植患者がより長期に生存するようになった。しかし、長期生存者が着実に増加する一方で、移植対象疾患の根治が得られても、社会復帰までには移植後後期合併症に伴う生活の質の低下、不妊、二次がん、復職・復学の問題など多くの課題が残されていることが明らかとなってきた。そして、移植後の治癒の可能性を拡大するだけでなく、その質をしっかりと担保するフォローアップ体制を構築することが不可欠であると広く認識されるようになった。
これを受けて2012年度の診療報酬の改定で、看護師を含むさまざまな職種の専門家による同種造血幹細胞移植患者の外来フォローアップ体制が「造血幹細胞移植後患者指導管理料」として算定されるようになった。この造血幹細胞移植後患者指導管理料の施設基準では、造血幹細胞移植に従事した経験を有し「移植医療にかかわる適切な研修」を修了した専任の常勤看護師の配置が求められ、日本造血細胞移植学会は、これまでの看護部会で行われた研修の質をさらに高めた「造血細胞移植後患者の外来におけるフォローアップにかかわる看護師」を対象とした研修会を開始した。この研修会は、単に施設要件を満たすための看護師研修ではなく、造血細胞移植後患者の外来でのフォローアップに継続的に加わり、そのさまざまな病態・問題に対して適切に指導・介入し、フォローアップの充実を図るとともに、医師の負担軽減にも貢献できる看護師を育成することを目的としたものである。
本書籍は、この研修会の教科書として、2014年3月に初版が発刊された。そして、2014年以降のわが国における移植後合併症、生活の質、社会復帰に関するエビデンスを盛り込み、その内容をより充実させたのがこの改訂版である。少子高齢化が進むわが国においては、完璧な社会復帰を目標とした移植医療体制を構築することが切に求められている。是非、各施設での移植後外来フォローアップの看護に本書を役立てていただければ幸いである。
2019年8月
岡本真一郎
高坂久美子
森文子
山花令子
新型コロナ対応に奮闘した島根県からの報告を緊急掲載!
●人口減少,高齢化,医師の地域偏在など,さまざまな課題が山積する地域医療
●自治医科大学学長・永井良三氏 編集のもと,地域医療の最前線に携わるエキスパートが解決に向けた取り組みを解説!
●Withコロナ時代の地域医療と医師育成を展望する一冊
【目次】
【書き下ろし】新型コロナウイルス感染症と地域医療─地域における広域連携と急性期病院の役割
1.地域医療政策の動向─地域医療構想,医師偏在対策,医師の働き方改革を中心に
2.地域連携の諸展開
3.特定行為研修修了看護師がこれからの地域医療にもたらすもの
4.最近の地域人口の動向─続く大都市部への人口集中
5.地域医療構想
6.行政とへき地・地域医療体制─これまで,そして今後に向けて
7.住民参加の地域医療
8.ソーシャルキャピタルと地域医療
9.地域医療にかかわる医師育成─Withコロナ時代の多様なニーズにも対応できる柔軟な医師育成
10.地域枠制度
11.地域医療とワークライフバランス
12.地域医療と災害医療─その考え方と接点
13.地域医療と文化人類学
14.ビッグデータから眺める地域医療
15.公共哲学としての地域医療
16.地域医療における総合診療医の自己完結性
小児の救命救急・ICU領域における標準的な治療、最新の知見・エビデンスに基づく治療の選択肢を提示するシリーズ第4弾。多くの小児患者に関与し内容が多岐にわたる感染症の中でも、敗血症を併発する重症感染症病態を中心に、1)感染症診療の基本、2)疾患別、3)微生物別、4)場面別に分類、重要項目をピックアップし解説。小児科医、集中治療医をはじめ、感染症科医にも役立つ管理のコツを提供する。
日本社会における喫緊の課題である多文化共生をめぐり、ナラティブ分析というミクロアプローチから、言語教育政策や公共政策への提言といったマクロアプローチまで、分野を超えて多層的に考察する。ポストコロナの日本社会において、何を変えるべきなのか、誰が変わるべきなのか、越境者との共存や多様性をあらためて問い直す。
執筆者:岩田一成、大石尚子、岡本能里子、片岡邦好、木村護郎クリストフ、Astha TULADHAR、村田和代、山口征孝、吉田悦子、Julian CHAPPLE、Magda BOLZONI
はじめに
第1章 ネパール人が選ぶ留学先としての日本ー渡日前後の質問紙調査から探る
吉田悦子・Astha TULADHAR
第2章 移動する子どもの「語り」から見る受け入れ側の課題ー多文化に拓かれた「選ばれる国ニッポン」を目指して
岡本能里子
第3章 長期在留カナダ人から見た日本社会ー高度人材移民とのインタビューからの考察
山口征孝
第4章 マルチチュードとしての多文化共生社会ーイタリアに暮らす日本人女性たちのライフストーリーを通じて
大石尚子
第5章 職場談話研究から人材育成への貢献ーニュージーランドにおける実践紹介
村田和代
第6章 教育現場における「やさしい日本語」の可能性ー子どもたちにとって難しい科目は何か
岩田一成
第7章 日本社会を開く妨げとしての英語偏重
木村護郎クリストフ
第8章 共生と「スケール」-新型コロナ感染症と「ばい菌」言説
片岡邦好
第9章 日本語概要 境界を越える、別々に暮らす?-日本の都市における多様性と多文化主義
マグダ・ボルゾーニ
Chapter 9 Crossing the Border, Living Apart?: Diversity and Multiculturalism in Japanese Cities
Magda BOLZONI
第10章 日本語概要 多様性とインクルージョンか、多様性の排除かー日本が進むべき方向とは
ジュリアン・チャプル
Chapter 10 Diversity and Inclusion or Excluding Diversity: Which Way Forward for Japan?
Julian CHAPPLE
索引
執筆者紹介
臍帯血移植20日後の造血幹細胞移植レシピエントが発熱して突然痙攣。あなたならどう診る?「造血幹細胞移植後の患者さんの感染症診療」に自信がつく、珠玉の23レクチャー。
本書は、ウイルス感染症の動向をコンパクトに収集したものである。内容は「感染症」を中心に記述され、各項目はその分野のエキスパートに分担して執筆いただいており、基本的なことはもちろん、各ウイルス疾患の特徴および現時点での問題点までも取り上げ、確実な情報を記述し、解説している。臨床医を対象に書かれた実用書。
小児科診療において、感染症は相変わらず主な位置を占める。O-157や致死的インフルエンザ、新興・再興感染症、さらに耐性菌の出現や発熱機序の解明に伴う抗菌薬、アスピリン投与の是非など、新旧の問題が凝縮された領域でもある。本書は特に転帰が早く、迅速な診断・治療がその予後に大きく影響する小児の感染症について、現在のゴールド・スタンダードをまとめた必携書。種々の修飾因子による非典型例についても、カラー口絵やコラムで紹介している。
本書は、高齢者の外来診療に携わるすべての医師・看護婦を対象に、失敗をおかさないための基本的な事柄を21の戒めとしてまとめたものである。
最新の診断・治療の概要を簡潔かつ具体的に解説。第2版では、プライマリーケアを少し越えたレベルの診断と治療、疾患の解説に特に力を入れた。また、迅速診断、治療薬などを充実させ、感染症法の改訂にも対応した。
本書は『医学生が小児科の総合試験、そして国家試験に合格するためのノウハウを勉強できる』というコンセプトで作成された参考書です。