国民国家建設のなかで展開される「良妻賢母」論と女子教育論。また既存の性規範に抗う「新女性」の出現。日本・韓国・中国・台湾・「満洲国」におけるジェンダー秩序の形成過程を実証的に検討する。
女と男の分断を超え新しいパラダイムの構築へ。不安定就労の増大、所得格差の拡大、福祉の削減…。90年代アメリカで展開された議論が、日本の課題をあぶり出す。
平等のために必要な教育とは?形式的な男女共学の反省に立ち、教育におけるジェンダーの意味、ドイツにおけるその展開と課題を概説する。
調べたいテーマについての統計図表が、どの資料の、どこに、どんなタイトルで掲載されているかをキーワードから調べられる索引。2014〜2025年に国内で刊行された白書・年鑑・統計集448種から、女性・ジェンダー問題に関する表やグラフなどの形式の統計図表9,509点を収録。
この本は、伊田が行ったジェンダー論・ダイバーシティ論の講義録である。15回分の講義であるので全部で15冊となるもののうちの第3回の講義録である。
『主流秩序概念を使ったジェンダー論の実践ーーダイバーシティの理解と絡めて』と名付けたこの講義で語ったことと配付レジメの大枠を紹介するものである。
なお長くなったので第3回講義録は、紙媒体の場合(ペーパーバック、POD)、上巻と下巻の2つに分けて発行する。
第3回講義の内容
この回は、ジェンダー秩序やダイバーシティの理解を深めていく。ジェンダー秩序で交差性やマジョリティ/マイノリティを深く考えるという新しい提起を行う。またジェンダー秩序の各側面を概観したうえで、特に、ルッキズム・「美の秩序」について掘り下げて、ジェンダー秩序が身近にあることを実感していく。
具体的には、ダイエットなど外見に囚われる諸問題、ミスコンや女子アナなど美人が有利という問題、ブスと笑い問題、などを通じ、深く私たちの生活に食い込んでいる美の秩序にどう向かっていけばいいのかを考えていく。
他の回でもそうだが、今回の「美の秩序」については多くの学生が体験談を書いてくれている。それを読めば、いかに今の若者に「美の秩序」の圧力がかかっているかがわかるであろう。この講義録には、そういう「生の実態」を知ることができるという意義もある。学生もレジメに載っている他の学生の体験談を見ることで色々考えていける。
以上が第3巻の上巻の内容である。
次に、後半(第3回の下巻になる)では、ジェンダー秩序の理解を踏まえて、「弱者男性論」「「トランスジェンダーと女性の安全の対立」「ポリコレ、キャンセルカルチャーへの態度」「弱者の権利の乱用」「困難女性支援やフェミニズムへの攻撃の考察」などの「ジェンダーをめぐる諸論点の検討」から、生きづらさ問題を考え、ジェンダー秩序で考える意義をみていく。
第3回講義「ジェンダー秩序の理解を深めるーーーー「美の秩序」と「ジェンダーをめぐる諸論点の検討」を中心に」
目次(上巻)
3-1 ジェンダーの基本理解+ジェンダー秩序として理解する意義 補足
3-1-1 ジェンダーの基本理解 --作られる「らしさ」
3-1-2 ジェンダー秩序の理解と意義ーー「ジェンダー平等、多様性・マジョ
リティ/マイノリティ、交差性」の理解の深化
3-2 多くの人が「美の秩序」にすごくとらわれている
3-2-1 ジェンダー秩序の諸側面
3-2-2「美の秩序」「ルッキズム」「外見主義」への囚われ:ダイエットを中心に
3-2-3 SNSなど美の秩序を洗脳する様々な装置
3-2-4 「ブス」「ブサイク」とお笑い問題
3-2-5 美しさを序列化する社会ーーミスコンの検討
3-2-6 「美の秩序」を中心としたジェンダー秩序についてのまとめ
参考資料
この本は、伊田が行ったジェンダー論・ダイバーシティ論の講義録である。15回分の講義であるので全部で15冊となるもののうちの第4回の講義録(下巻)である。
なお長くなったので第4回講義録は、紙媒体の場合(ペーパーバック、POD)、上巻と下巻の2回に分けて発行する。
第4回講義は主流秩序の視点が生き方における4つの道を考えさせるものであること、主流秩序論の目指すものが何なのか、主流秩序からの離脱とは何か、などを学ぶ。
「下巻」部分(4-6以降)は、様々な資料から見る、ジェンダー、主流秩序の状況やそれと対抗する営みをみていく。学生が4つの道を考えたレポートの一部を紹介もする。これらを通じて、主流秩序で考えていく意義が分かってくるであろう。ファミニズムとはこういう魅力的なものですよとか、この講義の根底にある判断基準などにも言及している。
学生の様々な「4つの道の検討」や「感想」をみてもらえば、学生の悩みや生きがたさ、様々な体験、その中で、生き方を考え始めている様子も分かるであろう。
第4回講義 主流秩序への3つ【4つ】のスタンス(下巻)
目次
4-6 様々な資料から見る、ジェンダー、主流秩序の状況やそれと対抗する営み
4-6-1 マイケル・サンデルさんから学ぶ
4-6-2 「見て見ぬふり」「いざというときに動けるか」問題
4-6-3 いざというときに不正に加担したり沈黙する人たち
4-6-4 政治の不正・安倍政権の不正問題
4-6-5 メディアと主流秩序
4-6-6 その他、諸問題と主流秩序
4-7 あなたはフェミニズムを知っているのか?--魅力あるフェミを知ってみよう
4-8 第4回の課題と学生さんの応答例、体験談
主流秩序に対する4つの道、学生の考察例や主流秩序の体験例
今回は、私のジェンダー論の大事な視点の一つ、シングル単位の理解を、社会民主主義の社会、北欧社会の実態と結び付けて理解する。また、北欧社会と対照的に、日本社会がどうなっているのか、家族単位での新自由主義的なシステムのまま、赤字国債でごまかす政治(経済運営)をしてきたという厳しい現実、不都合な真実(実態)に目を向けたい。日本社会をジェンダー平等、ダイバーシティ社会にするためには、この根本問題に蓋をしないで直視した上で、解決策を考えていかねばならないと提起する。これは病気があるときにはちゃんと検査をして診断し病名を確定し、治療するしかないという話である。
だが日本の政治家・リーダーたち・メディアの現実は、いまこの社会を持続可能でまともなものにしていくための政治的対抗軸(大事な骨太の対抗ビジョン)を示すことができず、「103万円の壁」という無税範囲を広げる方向に変えようとするなど、間違った方向で争うポピュリズム政治になってしまっている。群衆化した人々もそれに煽られて「財務省解体」など間違った要求をしている。重要な「どうすれば根本的な解決に至れるのか」という視点、「社会民主主義と結びついたなシングル単位の観点」が欠如しているのである。
なお、私は「こうしたら今からでも日本の諸問題は解決する」という現実的な案はないと思っている。その事実認識をもたずに、ポピュリズム政治を行い、さらに問題を先送りにしつつ状況をさらに悪化させている状況だと認識せざるを得ない。そういう話をこの回ではしている。
本書は、第6回講義録の上巻で、6-4までを収録している。6-5以降は下巻に収録されている。
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第6回講義 主流秩序からの離脱の展望としての個人単位型の社会民主主義社会ーー北欧と日本の対比
目次
6-1 家族(カップル)単位社会の問題ーー家族単位と個人単位の違い、及び社会民主主義
型の福祉国家
6-2 シングル単位とは? ジェンダー平等・ダイバーシティとの関係
6-2-1 シングル単位の基本理解
6-2-2 共同体主義とシングル単位論の関係の整理
6-3 北欧諸国から学ぶーーーシングル単位・ジェンダー平等・ダイバーシティ社会の具体像
6-3-1 北欧社会の実態からジェンダー平等社会のイメージを学ぶ
6-3-2 少子化問題
6-3-3 「103万円の壁」問題
6-4 外国、特に北欧社会との比較で日本社会を相対的にみる:諸問題が累積している日本
を知っておこう
参考資料・・・ 世界レベルで他国と比べて日本社会を知る資料など
教育現場における「ジェンダー」と「言葉」の教育について、大きく「教師力」「国語力」「国語教材」の視点から考察する。これまでの国語教科書の歴史的背景、近年の全国語教科書とジェンダーをまとめた一覧表・資料つき。
【この回の内容】
今回の第8回講義も、引き続き、脱・主流秩序の方途を考える材料を提供していく回です。
北欧諸国の例や学問的知見から、ジェンダー平等・ダイバーシティの具体像を知り、自分の生き方や日本の現状も考えます。具体的には、主流秩序論との関係で、スローの視点、アニマルライツ、自己肯定感、結婚、保育、学問の役割、“推し活”、ヘイトスピーチ等の検討を行います。ブルデユーやフーコーをはじめとして様々な学問的概念も参考にして、シングル単位論や主流秩序論を深く理解していきます。朝鮮人虐殺問題や朝鮮学校差別、「奇妙な果実」等を通じて日本のヘイト問題も深めます。
本書は第8回講義録をオンデマンド印刷用に上下に分割したうちの、上巻である。
第8回講義 北欧諸国の例や学問的知見から、ジェンダー平等・ダイバーシティの具体像を知り、日本との対比や自分の生き方を考える
【上巻】
目次
8-1 ここまでの学びとブルデユー理論
8-2 北欧諸国から学ぶ
8-3 スローに生きる視点・・ファストな主流秩序に抗する視点
8-3-1 ファスからスローへ
8-3-2 アニマルライツから見る主流秩序問題
8-4 自己肯定感をもつ
8-5 “結婚”“保育”というものをシングル単位観点から考えるーー近代家族の相対化の視点
8-5-1 “結婚”というものをシングル単位観点から考える
8-5-2 近代家族と子育てーーー保育のあり方を「家族単位/個人単位」の視点で考える
8-6 社会というものの見方ーー政治と経済と文化と学問などの関係
8-6-1 学問や文化には限界があるけれどーーー政治や経済の力の方が強い
8-6-2 承認欲求と推し活、ホスト問題
8-6-3 嘘をつく人々--「名古屋・バス運転手焼身自殺・いじめ事件」
8-6-4 関連の諸概念も学んでおこう
参考資料
家父長制度を当たり前として育ってきた団塊の世代の著者は、日本共産党での活動の中で出会った「ジェンダー問題」について、仲間とともに学ぶ機会を得た。
Fエンゲルスの著作『家族・私有財産・国家の起原』を軸に様々な文献にあたりながら、あらゆる角度からジェンダー平等について考える。
また第2章では最愛の亡き妻との想い出や、自身の生い立ちを通してジェンダー問題を論じている。
はじめに
「野川ありきさんを偲んで」
第1章 ジェンダー論
「起源」を導きの糸として
「起源」を導きにして(日本)
家父長制度について
教育におけるジェンダー問題
身体の歴史性社会主義革命との関連
ジェンダー平等の闘い
ジェンダー平等をめぐる闘い
アメリカフェミニズム
河野談話について
令和の米騒動
戦争は女の顔をしていない
第2章 私記
女の一生ー美津子の場合
美津子の学生時代
私の幼少期
愛染明王
『五番町夕霧楼』を読んで
「起源」の研究と妻との別れ
第3章 詩
おわりに
ジェンダーの視点で見ると,はじめて「社会」が見えてくる。基礎知識から最新動向まで,軽妙な講義調でバランスのとれた解説と,論理的思考が魅力の入門書。初版刊行後の動きに対応し,統計データ・法制度も更新してさらにパワーアップ。性差別・性暴力のない社会へ。
【この回の内容】
第9回講義は、講義前半(1〜9回)のまとめの回です。ガタロさん、坂本さん、豊島ミホさんの生き方、「これは水です」スピーチ、など、主流秩序的なものから離れて生きる人々から「脱・主流秩序」のヒントを学びます。また、メディアのゆがみやその中で抗う人の存在を諸事例から学びます。主権者教育の在り方も主流秩序都の亜関係で考えます。
更に今回力を入れているのは、社会の実態を知って、だまされない個人になるために、「主流秩序・ジェンダー秩序を見抜く目」を持つ学びをします。一例としては、メディア(SNS,AIなどにより偽情報)のゆがみを見抜く学びや戦争に動員するプロパガンダ・愛国主義・自衛権正当化論等に騙されない力を身に着けることなどです。それは集団(主流秩序と言う既存の強者)に自分を溶け込ませずに、個人として思考する自立人間になることでもあり、第7回の『群衆』にならない学びの続き、第5回のアドラーの「嫌われる勇気」を持つ人間の学びの続き、この講座の中心課題である“非暴力主義”の学びの展開でもあります。特に現在大問題となっているロシアのウクライナ侵略、イスラエルのパレスチナ虐殺的行為についてどう考えるべきかを提起します。
なお、第9回の講義録が長くなったので、4冊(「9-前半の上巻/下巻」「9-後半の上巻/下巻)に分けて印刷書籍発行する。つまり電子書籍版は2冊、印刷本は4冊になっている。
本書はその第2分冊(9-前半の下巻)である。
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第9回講義 ガタロさんの生き方から学ぶーー主流秩序から自由になるという希望 (講義前半まとめ)--【前半の下巻】
目次
9-6 煽動される群衆にならないためにーー戦争と非暴力主義、戦争へのプロパガンダ
9-6-3 プロパガンダへの注意ーー愛国心とナショナリズム
9-6-3-3 ナショナリズムの愚かさを考える様々な作品や出来事
9-6-3-4 思考停止/傍観でいいのかーー「内なる移住」「静かな生活」「ニュース
を見ない」
9-6-4 日本の状況ーー軍事費、北朝鮮、台湾有事
9-6-5 ロシアーウクライナ 戦争の評価との関係で
参考資料
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以下、「第9回講義録後半」に続く
文化、経済、教育、宗教、言語、科学、健康、セクシュアリティ、メディアといった多様な視点からジェンダーの概念を読み解き、現在の社会の問題点を考え、意識と行動を変えていくことをめざす。東京大学の教養学部でおこなわれた分野横断的講義を書籍化。
目次
まえがきーー編者を代表して(伊藤たかね:東京大学副学長(ダイバーシティ教育、SOGI多様性)/東京大学多様性包摂共創センター長)
第1講 ジェンダーの基礎概念と日本における男女共同参画社会の課題(小川真理子:東京大学多様性包摂共創センター特任准教授/ジェンダー・エクイティ推進オフィス副オフィス長)
第2講 国際比較で見た日本のジェンダー(本田由紀:東京大学大学院教育学研究科教授)
第3講 労働市場のジェンダー・ギャップ(谷口智穂:東京大学大学院経済学研究科特任研究員、山口慎太郎:東京大学大学院経済学研究科教授)
第4講 言語とジェンダー(伊藤たかね)
第5講 学校教育におけるジェンダー(浅井幸子:東京大学大学院教育学研究科教授、日比健人:東京大学教育学部附属中等教育学校保健体育科教諭)
第6講 宗教とジェンダー(藤原聖子:東京大学大学院人文社会系研究科教授)
第7講 ジェンダーから見た不妊(小西祥子:東京大学大学院医学系研究科准教授)
第8講 スポーツとジェンダー(能瀬さやか:ハイパフォーマンススポーツセンター、国立スポーツ科学センタースポーツ医学研究部門産婦人科医)
第9講 誰もが暮らしやすい社会をつくるにはーーLGBTQ+に関する取り組みやムーブメントから学ぶ(松中 権:認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表/東京大学総長室アドバイザー)
第10講 科学史とジェンダー(隠岐さや香:東京大学大学院教育学研究科教授)
第11講 ポピュラーカルチャーを通じてジェンダー観を変えられるか(板津木綿子:東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授)
第12講 なぜ東大は男だらけなのか?(矢口祐人:東京大学大学院総合文化研究科教授/東京大学グローバル教育センター長)
第13講 ケアするのは誰か?--再生産費用の分配問題をめぐって(上野千鶴子:東京大学名誉教授/認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長)
あとがきーー未来のジェンダー平等社会をつくっていくみなさんへ(林 香里:東京大学理事・副学長(国際、ダイバーシティ&インクルージョン)/東京大学大学院情報学環教授)
本書は中央大学社会科学研究所の研究チーム「ジェンダーと政治、歴史、思想の交差点」の活動成果である。ジェンダー構造は何故に、変容しながらも維持されるのか。そして、格差解消の為に必要なものは何か。共通する問いはここにある。そして、分析の対象期はフランス革命期から現代に及び、地域も欧米各国、日本、フィリピンなど広範囲に達する。執筆者10名が個々の視点に立ち、縦横にジェンダー構造との関わりから分析・考察を試みる。各論考より導き出された結論の交差する先に、最終結論が展望できよう。
第1章 ヴァンデの反乱と女性の集団行動 -ルソー的視座からジャコバン独裁期におけるヴァンデの集団行動を捉え直すー
第2章 秘密法廷の小説とフランス革命 -ベネディクテ・ナウベルト『ウナのヘルマン』(1788)の1790年代における評判とその背景ー
第3章 南進する男女の「大東亜共栄圏」建設 -拓士のフィリピン経験と南進女性ー
第4章 日本における女子大学の発展可能性への期待 -アメリカの取り組みと成瀬仁蔵の思想から女子大学のリベラルなコア・バリューを考えるー
第5章 戦後中央大学の女子学生 -その学びと課外活動とー
第6章 女性蔑視の構造 -フェミニズム理論,ジェンダーの検証ー
第7章 アイスランドにおける女性ストライキの形成要因
第8章 自律と言論 -個人主義的自律から関係的自律へー
第9章 「子どもを持つ権利」はあるか -生殖のリベラリズム批判ー
第10章 フランスにおける人口妊娠中絶をめぐる動向
「科学vs.イデオロギー」──不毛なジェンダー論争に終止符を打つ。
気鋭の性科学ジャーナリストが、生物学、脳科学、進化心理学の知見をもとに、ジェンダーをめぐる通説を検証する、必読の科学ノンフィクション。
リチャード・ドーキンス、スティーブン・ピンカー、ダグラス・マレー推薦!
性差、性自認、性的指向、トランスジェンダー──
現代社会を揺るがすテーマを、科学の視点で鋭く読み解く。
〔本書が問い直す通説〕
・生物学的性別はスペクトラムなのか?
・ジェンダーは社会的構築物なのか?
・性別違和の子どもは性別移行すべきなのか?
・トランス女性と生来女性に違いは本当にないのか?
はじめに 生物学に対する戦い
第一章「生物学的性別はスペクトラムである」という神話
第二章「ジェンダーは社会的構築物である」という神話
第三章「ジェンダーは二つだけではない」という神話
第四章「性的指向と性自認は無関係だ」という神話
第五章「性別違和の子どもは性別移行すべき」という神話
第六章「トランス女性と生来女性に違いはない」という神話
第七章「女性はセックスや恋愛で男性のように振る舞うべき」という神話
第八章「ジェンダーニュートラルな子育ては有効だ」という神話
第九章「性科学と社会正義は相性がいい」という神話
おわりに 学問の自由の終焉
ジェンダー平等、性の多様性、フェミニズムなどの社会の変化を映し出すキーワードを学ぶことで、
自分の視点を広げ、未来を考える力が育まれる。
さまざまなテーマを通して、これからの生き方を考える中高生のためのブックガイド。
ジェンダーの〈鍵〉で文学のあらたな扉をひらく
不確実性が日常を覆う時代に、私たちは何を指針とし、どのように未来を切り開くべきか。この問いに挑むカギとなる視座「ジェンダー」。社会を形作る通念を鋭く問い直し、過去と現在、そして未来を結びつける新たな視点を提供する本書。文学を通じてジェンダーを考察することで、複雑な現代社会に新しい光を投げかける。
「ジェンダー」を縦糸に、「社会」「宗教」「身体」「芸術」を横糸に、文学の新たな問題系を浮き彫りにする。
文学×ジェンダー×〔1・2・3・4〕
1 社会:文学研究の方法や、社会への問題意識
2 宗教:宗教が持つジェンダーの両義性
3 身体:身体表象から問うジェンダー
4 芸術:芸術論・音楽・演劇・ゲーム文学とジェンダー
はじめに
1 文学×ジェンダー×社会
漱石研究とジェンダー 二宮智之
吉屋信子の行刑制度への抵抗と共感ー少女達の死と「外地」へ向かう男達ー 奥村尚大
〈いじめ〉の当事者になるということー干刈あがた「黄色い髪」論ー 秦 光平
『僕たちは世界を変えることができない。』論─二〇〇〇年代ボランティア・サークルとホモソーシャリティ─ 萬田慶太
2 文学×ジェンダー×宗教
宮沢賢治「〔残丘(モナドノック)の雪の上に〕」稿の生成/試論ー書簡下書群252abcの読みをとおしてー 島田隆輔
禅話としての『春琴抄』-隔絶と超越ー 倪 楽飛…
遠藤周作『聖書のなかの女性たち』論ー共苦する神と「母性」- 余 盼盼
〈エッセイ〉ジェンダー・南国・日本文学 レオン ユット モイ(LEONG YUT MOY)
3 文学×ジェンダー×身体
谷崎潤一郎「細雪」における妙子像の検討ー「純潔」規範の受容をめぐってー 熊尾紗耶
三島由紀夫「鍵のかかる部屋」論ーサディズムをめぐる男と女の攻防ー 中元さおり
三島由紀夫「宴のあと」にみる〈老エイジングい〉とジェンダー 九内悠水子
トランスジェンダーという交点ー寺山修司「毛皮のマリー」読解ー 矢吹文乃
村上春樹「眠り」とその漫画アダプテーションにおける女性の身体表象ー「不気味なもの」と性の越境を中心にー ダルミ・カタリン(DALMI Katalin)
4 文学×ジェンダー×芸術
花田清輝「かげろう紀行」試論 板倉大貴
失われた唄を求めてー村上春樹「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」論ー 阿部 翔太
戯曲の言葉とジェンダーー永井愛「萩家の三姉妹」論ー 有元伸子…
ジェンダーはゲーム文学をひらく鍵となりうるか?- 遠野遥「浮遊」試論ー 大西永昭
おわりに
執筆者紹介
女性教員の「声」を可視化する!
不平等な学校組織や慣習に対して、女性教員と女性管理職が連帯し、
変革をめざして闘ってきた主体としての教員の姿を描き、
学校現場の女性教員にエールを送る書。
1990年代以降の学校女性管理職比率の推移の中で、女性教員はいかに管理職志向を高め、また低下させてきたのだろうか。そして、〈教育改革〉との関わりはあるのだろうか。
調査から得られたデータをもとに、この30年間の学校現場の変化、〈教育改革〉に葛藤する女性教員・女性校長や男性校長の姿も浮き彫りにし、女性管理職の存在意義と学校教育の現在を問い直す。
はじめに
序 章 小中学校女性管理職をめぐる課題
第1節 学校管理職におけるジェンダー不均衡─何が問題か─
第2節 女性管理職の過少性をめぐる問題─なぜ問題なのか─
第3節 本書における3つの視点
第1章 女性教員・女性管理職へのまなざしの推移
─先行研究の検討─
第1節 女性教員研究
第2節 女性管理職研究
第3節 〈教育改革〉と女性教員─日本とイギリスの場合─
第4節 一般企業の女性管理職研究
第2章 研究・調査について
第1節 研究の全体像
第2節 研究の方法─「女性教員の声を聴く」─
第3節 調査について
第4節 本書の構成と用語・表記
第3章 〈教育改革〉期における女性教員の教職生活の変化
─〈教育改革〉導入前と導入後における比較─
第1節 教育政策と社会的動向の推移
第2節 調査について
第3節 2001年世代と2018年世代の比較
第4節 変化の全体
第4章 なぜ女性管理職比率は上昇したのか:1990年代〜2000年代前半
─〈教育改革〉導入前の女性教員たち─
第1節 時代背景
第2節 「女性教員支援団体」の活動
第3節 調査について
第4節 管理職を志向した女性教員たち
第5節 女性教員たちの努力・連帯・抵抗
第5章 なぜ女性管理職比率は停滞・低下したのか:2000年代後半〜2010年代
─〈教育改革〉導入後の女性教員たち─
第1節 時代の変化
第2節 調査について
第3節 管理職志向を躊躇する女性教員たち─女性教員のライフヒストリー─
第4節 〈教育改革〉下の管理職志向
第6章 〈教育改革〉に取り組む小中学校長の受容と葛藤
第1節 改革の担い手としての校長
第2節 調査について
第3節 〈教育改革〉施策への対応
第4節 施策対応に見られるジェンダー差
第5節 校長が直面する諸課題
第7章 〈教育改革〉下における女性校長の学校経営─困難とやりがい、リーダーシップ
第1節 〈教育改革〉と女性校長
第2節 調査について
第3節 学校経営の困難とリーダーシップ─女性校長のライフヒストリー─
第4節 ジェンダー平等と女性管理職の展望
終 章 連帯の回復へ
第1節 女性教員・女性校長にとっての〈教育改革〉期
第2節 〈教育改革〉と「ジェンダーをめぐる社会的動向」─「バックラッシュ」の地方における展開─
第3節 女性管理職の存在意義と女性管理職を増やすための方向性─女性教員の連帯を求めて─
おわりに
特集1「『結婚の自由をすべての人に』訴訟を考える」は、原告当事者を含む6本(国見・たかし、中谷、中川、西山、二宮、鈴木)、特集2「ハラスメントのセカンドステージ」は5本(三浦、三成、浅倉、中野、菅野)。家族やジェンダーの動向として2本(田中、ヨ)、「立法・司法の動向」は、夫婦別姓訴訟のその後(寺原)、アメリカの中絶の権利裁判についての翻訳(マッケナ/立石〔訳〕)を掲載。