岩井宜子専修大学名誉教授の傘寿と安部哲夫獨協大学名誉教授の古稀を祝賀し,2人の所属する女性犯罪研究会が中心となり企画した論文集。「女性犯罪研究」,「女性による殺人」,「矯正施設における処遇」,「ファミリー・バイオレンス」,「性犯罪・被害」といった同研究会がこれまで研究対象としてきたテーマに加え「最近の課題と刑事政策」を主題とする各論文のほか,女性犯罪の動向やこれに関連した研究成果を整理し,これからの女性犯罪研究の⽅向性について語りあう「座談会」を巻頭に収録。女性犯罪研究のマイルストーンとなり,かつ10年先を見据えて新たな布石を打つような意欲的な論文集。
【座談会】 21世紀の「女性と犯罪」を考える
司会:後藤弘子
参加者:安部哲夫・岩井宜子・小西聖子・名執雅子・宮園久栄・渡邉和美
〔女性犯罪研究〕
家父長的ジェンダー差別秩序と刑事法/後藤弘子
日本の女性犯罪史〈1980年代〜2010年代〉/伊比智=山梨光貴=柴田守
ドイツの女性犯罪研究レビュー〈1980年代〜2010年代〉/海老澤侑
〔女性による殺人〕
女性による殺人事例の特性の変化/柴田守
わが国における新生児殺・嬰児殺・「親子心中」について/田口寿子
〔矯正施設における処遇〕
矯正施設に収容された女性の処遇と社会復帰支援/名執雅子
受刑者を親にもつ子ども(拘禁者を親にもつ子ども)への刑務所の対応──ジェンダーの視点を加味して考える/矢野恵美
少年院におけるマインドフルネスの活用の実践報告/東本愛香
〔ファミリー・バイオレンス〕
今さらながら,今だからこその,DV防止法改正──DV制度見直しに向けて/宮園久栄
代理ミュンヒハウゼン症候群と「病気」概念──母性とジェンダー問題を考察する/南部さおり
【解説】虐待に関係する損傷の法医学的なみかた/藤田眞幸
フィンランドにおける児童虐待を予防する方策/齋藤実
〔性犯罪・被害〕
性犯罪の被害者には女性が多い──当たり前を学際的な視点で考察して分かること/大江由香
女性性犯罪者の特徴/渡邉和美
性暴力被害の実態──全国の婦人相談員への調査結果から/山梨光貴=柴田守=宮園久栄
〔最近の課題と刑事政策〕
COVID-19と刑法/井田良
大麻に対する刑事規制の在り方/太田達也
犯罪を行った精神障害者の処遇──精神保健福祉法の通報制度との関係で/柑本美和
現代中国のジェンダー構造は、伝統中国や社会主義中国から如何に変化し、経済格差はどのように性別と関連し、消費社会はセクシャリティのあり方にどのような変化をもたらしたのか。
特に1995年の北京国連女性会議以降の20年間に焦点を当て、中国のジェンダー研究の第一線で活躍する研究者による最新成果を紹介する。
序 小浜正子
第一部 現代中国におけるジェンダー・ポリティクスの新局面ーシンポジウムの記録
解 題 小浜正子
中国社会の変容と女性の経済参画ー北京会議から二〇年 金 一虹(朴紅蓮訳)
ジェンダーをめぐるフェミニスト・国家・男性の協働/不協働ー反DV法制定過程を例に
馮媛(遠山日出也・朴紅蓮訳)
現代中国のジェンダー言説と性の政治経済学 宋少鵬(及川淳子訳)
コメント1 阿古智子
コメント2 足立眞理子
コメント3 伊田久美子
リプライ
第二部 北京国連女性会議から二〇年間の中国女性学
解 題 秋山洋子
〈女性意識〉と〈社会性別意識〉-現代中国フェミニズム思想の一分析
王政(秋山洋子訳)
グローバル化のもとでの中国女性学と国際開発プロジェクトーあわせて本土の資源と「本土化」の問題を語る 李小江(秋山洋子訳)
現代中国における三種の女性話語 屈雅君(福島俊子・秋山洋子訳)
[紹介]フェミニスト行動派の運動とその特徴ー二〇一二年二月〜二〇一六年四月 遠山日出也
第三部 中国における日本軍性暴力問題にどう向き合うか
解 題 秋山洋子
女性・平和・民族自省ー陝西師範大学で日本軍性暴力パネル展を開催して 屈雅君(秋山洋子訳)
苦難のうちに立ち止まってー日本軍性暴力パネル展の南京における挫折と内省 金一虹(大橋史恵訳)
メディアの中の「慰安婦」ディスコースー記号化された「慰安婦」と「慰安婦」叙述における記憶/忘却のメカニズム 宋少鵬(秋山洋子訳)
整形医学に長年かかわる著者が、歳をとっても自立した生活を送るための方法や、スポーツの効果とケガのリスクをわかりやすく伝える。長寿者の人口増加がもたらす食糧・水不足問題、社会保障問題などへの影響にも触れ、広い見地から「不老長寿」にまつわる想いを語る。
日本学術会議が公表した大学における経済学教育の指針(「参照基準」)を、学会・学派を超えて真摯に検討し、経済学と経済(学)教育の可能性を多面的に追究する。
「女性は自然の奇形である」としたアリストテレスに始まり、女性の性質に関する科学的な興味には長い歴史がある。しかし、ヴィクトリア時代(1837-1901)に興隆した性差の科学ほど、誤謬と偏見に満ちたものはなかった。当時の科学者や知識人たちは、解剖学、生理学、進化論的生物学、自然人類学、心理学、社会学など、最新の学問の成果を駆使して、女性は男性より劣っていることを必死になって証明しようと試みたのである。すなわち、「女性は未熟な男性」で、「一種の未開人」として位置づけられる…。本書はこうした性差の科学を豊富な事例とともに分析し、世紀末の科学思想、社会思想の背景にあった人間のヒエラルキーの虚妄をあぶりだした一書である。
日本は今、働き方改革や女性活躍、男性の育児参加など、多くの課題に挑戦している。焦点を当てる角度や呼称は様々でも、職業生活と個人や家庭生活の調和をめざす基礎となる枠組がワーク・ライフ・バランスである。本書は、その概念や分析視角を考察した上で、主要各国の施策の特徴を析出し、日本における実態を検証する。多方面から取り上げる視点と事例から、未来志向的な働きやすい職場環境とは何かを探る。
キミの青春のKey Wordが…キミの人生のKey Wordになる!
共用試験、臨床実習、医師国家試験に対応。卒後の臨床研修や研究現場でも使える、”携帯できる組織学” 登場!!組織像300点超。・300超のフルカラーの顕微鏡写真。・最新のモデルコアカリキュラムや医師国家試験出題基準の項目に対応。・類似例や用例などわかりやすく解説。・臨床の現場で、すぐに役立つ! オールカラー&コンパクト!いつでも使える!!〈〈 定評、リッピンコットの”Pocket Histology” 邦訳版です 〉〉 【対 象】・医学生、医師、看護師、検査技師など
1章組織学の基本原理2章上皮組織3章結合組織4章筋組織5章神経組織6章 循環器系7章 リンパ系8章 外皮系ー皮膚とその付属器9章 消化器系10章 呼吸器系11章 泌尿器系12章 内分泌系13章 男性生殖器系14章 女性生殖器系15章 特殊感覚器系
スコットランド啓蒙思想を背景とするアダム・スミスは、リベラル・デモクラシーの思想家トクヴィルの著作にどのような痕跡を残したのか。また、その思想は、古典的自由主義思想家の福澤諭吉の社会観にいかなる影響を与えたのか。本書は、トクヴィルの『アメリカのデモクラシー』を精査していくなかで英仏日の国際的思想伝播の過程を巡り「人間にとっての自由の意味」を今一度問い直す。
本書は、新しい学問領域として「移動する子ども」学を提案する。
「移動する子ども」とは、目の前の生きている子ども(実体概念)ではなく、幼少期より複数言語環境で成長したという経験と記憶を中心に持つ分析概念である。その分析概念には、「空間」「言語間」「言語教育カテゴリー間」の移動経験の貯蔵庫が3つあり、それらが相互に影響しつつ重なり、記憶が形成されていく。また、「今、ここ」の日常的移動の横軸と、「あの時そしてこれから」という過去と未来を繋ぐ個人史的移動の縦軸を持つ。幼少期から複数言語環境で成長する人の生を捉え、理解するには、このような分析概念としての「移動する子ども」が有効である。
「移動」と「ことば」というバイフォーカルな視点に立つ「移動する子ども」学は、必然的に、既存の学問領域の視点と研究方法と微妙にズレた視点を取ることなり、結果として、既存の学問領域を超えた学問領域を創出することになろう。それは、新たな子ども理解や、認識枠組み、成長と記憶、人の主観的な意味世界を探究することになり、21世紀に生きる人々の移動性、複文化性、複言語性のリアリティを明らかにすることになろう。(本書序より)
研究者の方にとっては今後の研究の道標として。一般読者の方にとっては、「移動する子ども」の経験や記憶をたどる、読みごたえのある読み物として是非手にとっていただきたい一冊です。
序 なぜ「移動する子ども」学なのか
第1章 「移動する子ども」という記憶と社会
第2章 「移動する子ども」というフィールド
第3章 ことばとアイデンティティー複数言語環境で成長する子どもたちの生を考える
第4章 名付けと名乗りの弁証法ーくくり方を解体する
第5章 「移動する子ども」学の研究主題とは何かー複数言語環境で成長する子どもと親の記憶と語りから
第6章 「ことばの力」と「ことばの教育」-子どもの日本語教育のあり方を問う
第7章 「移動とことば」を昇華するー温又柔を読む
第8章 モバイル・ライブズを生きるー岩城けいの物語世界を読む
第9章 海に浮かんでいる感じーモバイル・ライブズに生きる若者の語り
第10章 記憶と対話するーある女性の半生の「移動する子ども」という記憶
第11章 人生とことばの風景ー映画監督崔洋一のことばをめぐる語り
第12章 展望ー実践の学としての「移動する子ども」学
ジェンダー/セクシュアリティ/階級/文化を規定する〈自然〉概念を内破させるために
霊長類学、免疫学、生態学など、生物科学が情報科学と接合されるーー。高度資本主義と先端的科学知が構築しつづける〈無垢なる自然〉を解読=解体し、フェミニズムの囲い込みを突破する闘争マニフェスト。
人間・生物・自然を破壊する「持続可能な開発」言説(=知のシステム)の本質を説き明かし、
「開発に対するオルタナティブ」を提起した開発学の現代の古典
あまたの開発本と本書との決定的な違いは現実の捉え方にある。著者エスコバルによれば、「現実」とされる現象は特定の政治的関心によって秩序化された言説・表象である。ある事柄が突然注目を集め関心事になることを「問題化」と呼ぶ。冷戦の最中、第三世界の後進性が問題化(言説化・表象化)され、開発介入の必要性が叫ばれた。だが、当地の人々の現実(暮らし)が以前と比べ大幅に悪化していたわけではなかった。
言説・表象としての開発「問題」を、著者はフーコーの生権力概念を大胆かつ明確に現実世界に投影させ、「開発の民族誌」を編んでいく。本書は南米コロンビアを実験地として、世界銀行調査団という「黒船」がこの国に入って以来(1949年)の、三つの生権力の物語を軸に展開される。
まず、「言説としての経済学」という物語。ここでは、現実の分析から理論を導き出すのではなく、理論によって単純化・カテゴリー化したものを「現実」として見なす「言説製造の仕組み」が語られ、いわゆる農学、栄養学等、第三世界に導入されたあらゆる近代諸科学に共通する本質が明らかにされる。次に、アメリカや世界銀行の援助を受けた農村開発や栄養改善のプログラムが一国の隅々にまで官僚組織制度を張り巡らせながら「開発言説効果」を浸透させていく物語、最後に、新たなターゲットとして農民が生産者、女性が追加労働者、自然が資源として切り取られ、開発に新たな意味づけがなされていく物語を通して、現代世界を今も覆い続ける「開発幻想」「『持続可能な開発』への夢」からの覚醒が呼びかけられる。
開発の時代の幕開けから70余年。9・11、福島、新型コロナを経て、今私たちは「持続可能な開発」言説の下にある規律統治権力の最新バージョンに直面している。「開発のためのオルタナティブ」ではなく「開発に対するオルタナティブ」を提示する本書(1995年初版、2012年増補版)は、現代文明と政治社会の根幹部について熟考を迫る「現代の古典」ともいうべき開発学の必読書であり、コロンビアと同様アメリカの実験国家である日本に住む私たちに、現在進行中の状況を考える至高の分析視角を提供する。(きたの・しゅう 獨協大学外国語学部交流文化学科教授)
1990年代、バブルが崩壊し、金融機関がつぶれ、金融の不祥事が噴出したとき、「そもそも金融機関の役割は何だったんだろう」と考えた。考えてみれば、自分たちが預けたお金が、何に使われているのか報告されたことはなかった。気付けば、自分たちが反対している事業は銀行から投融資を受け、皮肉にも、その銀行に自分たちが預金することによって支援している。これを断ち切りたい、そして、自分たちが納得できる先に融資する銀行が欲しいと思うようになった。
一方、1980年頃から、女性たちがお金を持ち寄り、地域を暮らしやすくしたいと、協同組合型の働き方による市民事業を起こし始めていた。しかし、立ち上げの資金を銀行に申し込んでも、女性だから、法人格が無いからと断られていた。自分たちを信用してお金を貸してくれる銀行が欲しいというのが、女性たちの切実な思いだった…。
この記録集は、無かったら作ればいい、と立ち上がった女性たちの物語。周囲に呼びかけ出資金を集め、応援したい事業に融資する非営利・協同の、透明性の高い金融機関「女性・市民コミュニティバンク(略:WCA)」を設立、四半世紀という長きにわたる活動を経て幕を閉じるまでの奮闘記である。
■目次
1 私たちは市民金融を作った お金を持ち寄り、市民事業を支援した1000人の奇跡
女性・市民コミュニティバンクの概要/設立の背景
設立の経緯/現代版の無尽ー信用組合作りをめざす/どうすれば信用組合を作れるのか
神奈川県金融課と折衝を開始
信用組合設立の活動(賛同者・出資金の募集)を開始
心強い助っ人ー銀行勤務経験者の参加
出資金の募集ー次々賛同者が現れる/信用組合を設立する活動を開始/
全国の小規模の信用組合を訪ねる/いろいろな分野の方たちからのエール
信用組合設立活動と壁、さまざまな模索/
信用組合でなくても融資が可能な金融ー「貸金業」の検討/貸金業という世界に飛び込む
「信用組合作り」と「貸金業登録」
融資先ーそれぞれに物語がある/個人への融資を始める/融資相談への対応と融資しなかった例
外部からの融資のためのお金の借入れ
…ほか
2 寄稿ー女性・市民コミュニティバンクにかかわった方々からのメッセージ
「協同組合の原点」をしんくみ業界に思い起こさせてくれた女性・市民信用組合設立運動
(大阪公立大学教授 由里宗之)
出資者からの声
融資先からの声
3 資料編
女性・市民バンク設立趣意書
女性・市民コミュニティバンク定款
出資金・借入金と融資残高の推移
分野別融資金額/分野別融資件数
女性・市民コミュニティバンク 年表
女性は違ったやり方で科学をするか?科学は公正中立か?教育の機会はジェンダー・フリーか?家事と育児は誰がするのか?数学にジェンダー・バイアスはかからないか?科学のフィールドから女性が排除される社会的・文化的背景を徹底的に洗いだし、ジェンダーの視点から新しい科学の可能性をさぐる。