経済学と障害学という、一見接点のなさそうな両分野の対話から生まれる新しい研究成果を世に示す。「障害」という課題を通じて、人々のものの見方と、社会のあり方を深く考えるための一冊。
世界中のキャリア女性が読んでいる「女性のためのお金学」集中講義。現代ほど女性が自分で財産管理をする能力が問われている時代はありません。経済的に自立し、パワフルで素敵な女性になるために。
1920年代から30年代にかけてこの国のマルクス派を二分して闘われた〈日本資本主義論争〉とは、政治の文体あるいは物語をめぐる衝突であった。再生産論、革命論、国家論、そして天皇制──中断され、閉じられた論争の鍵概念をいまいちど現代思想の方法論的雑踏のなかに差し戻し、資本の〈内部─外部〉を分析する諸論考のもとに新たな言説装置として再構築する試み。
はじめに──方法の問題と「論争」の始点
第一章 方法の問題──層序論的接近(長原 豊)
第二章 「論争」の始点──〈帝国〉-主義(長原 豊)
I 再領土化装置としての国家──再生産される「外部ー他者」
第一章 危機・恐慌と植民地主義──併合される外部(ケン・カワシマ[沖 公祐訳])
第二章 新たな歴史学(グローバル・ヒストリー)と「論争」の死角──抹消される外部(平野克弥)
第三章 被差別部落という装置と原国家──側置される外部(友常 勉)
第四章 「女性」の不在と「惨苦の茅屋」──嵌入する外部(榎 一江)
II 脱領土化装置としての資本──再生産する「内部ー自己」
第一章 「論争」の理論的地平──再生産論批判の観点から(沖 公祐)
第二章 「古来もの」と残滓──「論争」の「時政学」的再措定(ギャヴィン・ウォーカー[根岸海馬訳])
第三章 資本ー主義の〈鹵獲ー捕獲〉装置──資本と天皇ー制(長原 豊)
III 「論争」の予ー後(プログノーシス)──批評(クリティーク)と史料(アルシーヴ)
第一章 革命の代補──日本資本主義と「近代の超克」(位田将司+立尾真士+宮澤隆義)
第二章 〈歴史的なこと〉の寓喩(アレゴリー)──「論争」の国際的再措定のために(ギャヴィン・ウォーカー[中村勝己訳])
謝辞(長原 豊)
本書は、新しい学問領域として「移動する子ども」学を提案する。
「移動する子ども」とは、目の前の生きている子ども(実体概念)ではなく、幼少期より複数言語環境で成長したという経験と記憶を中心に持つ分析概念である。その分析概念には、「空間」「言語間」「言語教育カテゴリー間」の移動経験の貯蔵庫が3つあり、それらが相互に影響しつつ重なり、記憶が形成されていく。また、「今、ここ」の日常的移動の横軸と、「あの時そしてこれから」という過去と未来を繋ぐ個人史的移動の縦軸を持つ。幼少期から複数言語環境で成長する人の生を捉え、理解するには、このような分析概念としての「移動する子ども」が有効である。
「移動」と「ことば」というバイフォーカルな視点に立つ「移動する子ども」学は、必然的に、既存の学問領域の視点と研究方法と微妙にズレた視点を取ることなり、結果として、既存の学問領域を超えた学問領域を創出することになろう。それは、新たな子ども理解や、認識枠組み、成長と記憶、人の主観的な意味世界を探究することになり、21世紀に生きる人々の移動性、複文化性、複言語性のリアリティを明らかにすることになろう。(本書序より)
研究者の方にとっては今後の研究の道標として。一般読者の方にとっては、「移動する子ども」の経験や記憶をたどる、読みごたえのある読み物として是非手にとっていただきたい一冊です。
序 なぜ「移動する子ども」学なのか
第1章 「移動する子ども」という記憶と社会
第2章 「移動する子ども」というフィールド
第3章 ことばとアイデンティティー複数言語環境で成長する子どもたちの生を考える
第4章 名付けと名乗りの弁証法ーくくり方を解体する
第5章 「移動する子ども」学の研究主題とは何かー複数言語環境で成長する子どもと親の記憶と語りから
第6章 「ことばの力」と「ことばの教育」-子どもの日本語教育のあり方を問う
第7章 「移動とことば」を昇華するー温又柔を読む
第8章 モバイル・ライブズを生きるー岩城けいの物語世界を読む
第9章 海に浮かんでいる感じーモバイル・ライブズに生きる若者の語り
第10章 記憶と対話するーある女性の半生の「移動する子ども」という記憶
第11章 人生とことばの風景ー映画監督崔洋一のことばをめぐる語り
第12章 展望ー実践の学としての「移動する子ども」学
部下の育成・指導の悩みを解決する特効薬!
「パフォーマンス心理学」を徹底解説
相手の本音を言葉以外からしっかり読み取り、
その感情に響くようなメッセージを発信すれば、
部下が変わる、チームが変わる!
★ジャパネットたかた前社長・高田明氏推薦!
「あなたの上司力が必ず変わります。
リーダーのあるべき姿が的確に語られている最高の本です。さすが佐藤先生! 」
「ちょっと叱ると、すぐにへこんで無口になる」
「ぜんぜん相談に来ないから、できていると思っていたら何も進んでいなかった」
「言われたことの表面だけは何とかやるが、その先を自分で考える熱意が見えない」
ーーそんな“つかみどころのない"部下の指導に悩んでいませんか?
上司のリーダーシップがますます問われる時代、部下の育成・指導に
関する悩みも増えています。
いま求められているのは、「褒める」「叱る」以前に彼らが何を考えているかを
一瞬で読み取る力なのです。そして彼らの感情が動くようにメッセージを発信する
こと。そこで、ぜひ活用してほしいのが「パフォーマンス心理学」です。
人は誰しも何らかの「役割」を演じています。職場で言えば「上司」と「部下」。
その意味で仕事をしている人は皆「パフォーマー(役者)」であり、職場は
「パフォーミングステージ(舞台)」です。その観点から、職場の問題を捉えなおす
のが「パフォーマンス心理学」。
上司には、役割を演じる相手の本心を言葉以外からしっかり読み取り、適切な表現を
発信していく役目があります。本著では、パフォーマンス心理学の最新の知見から
3部構成で上司の悩みを解決していきます。
第1部......言葉に出ていない部下の心を見抜く技術
第2部......部下の感情にまで届くメッセージ発信の技術
第3部......どんなに苦労してもへこたれないリーダーのメンタル講座
第1部では、表情や動作、仕草などに隠された部下の本音と見分け方を紹介します。
第2部では、言葉と行動によって部下を動かす手法をお伝えします。
第1部と第2部で、部下のやる気に火をつける33の方法がわかります。
そして、第3部に「どんなに苦労してもへこたれないリーダーのメンタル講座」を加えました。
上司やリーダーになれば、経験したことのない悩みやプレッシャー、苦労を背負う
ことも多いでしょう。そんなとき、何が起きても乗り越えられるメンタル力があれば
鬼に金棒です。リーダーの強い心の育み方を、データを交えて紹介します。
グローバリゼーションが問題とされるいま、人の移動に関わる研究も根底から転換を迫られている。
症状と徴候ー時間に追われる日々の診療のために。テイラー先生流鑑別診断のコツ、教えます。
★第6回「書店員が選ぶ今年の本」選出(自己啓発・経営、経済、科学部門/韓国書店組合連合会発表)
★寄せられた賛辞
“女性の経験と共にあるさまざまな議論が複雑に入り混じった科学の話を読んでいるうちに、私自身も、科学と女性が出合うことで、目の前の壁を飛び越えられる日が来るかもしれないと夢見るようになった。”--キム・チョヨプ(韓国SFの俊英)
“我々が今まで男性の立場から科学をしてきたことに気づかされた。(…)女性が参加し、女性の観点で創造されるフェミニズムと科学技術の研究は人類の希望だ。”--チャン・ハソク(科学史・科学哲学者/ケンブリッジ大学教授)
★本書の内容
受精は、能動的な精子が受動的な卵子を捕獲する過程ではない。
卵子凍結はあるのに、男性のための精子凍結がないのはなぜ?
アシスタントロボットが「女型」である理由とは?
本書は、かつて科学者になる夢をあきらめた著者が、フェミニズムと科学技術社会論に出合い、憎んでいた科学と「和解」し、女性の観点から科学を見つめ、科学の観点から女性の体と経験を理解しようとした思索の軌跡をまとめたものだ。
“私は、科学と分かり合えなかった経験のある人たち、そのせいで科学の本にはなかなか手が伸びないという読者を思い浮かべながら本書を執筆した。ほかでもない、私がそういう人間だったからだ。”(「はじめに」より)
本書の探究は、「子どものような純粋無垢な好奇心」からばかり出発するわけではない。その出発点は、卵子凍結について悩むことかもしれないし、高校を卒業してすぐに受けた二重手術かもしれない。うつ病になること、摂食障害になること、妊娠とキャリアについて考えること、無責任な父親について考えること、かもしれない。さまざまな要素が混ざり合う、複雑な個人の暮らしから、本書は話を始めていく。
客観的で普遍的で価値中立的であることを装いつつ、じつのところ女性について無知だった科学にかけられた「呪い」を解き、「よき友」として付き合っていくためのエッセイ集だ。同時に、理系への進学を検討している学生や、その子らを見守る大人たちにもおすすめしたい。
“科学が本当の意味で変化するためには、賢い女子学生ではなく、平凡な女子学生こそもっと必要なのだ。(…)科学者や工学者になりたいという女の子や青少年が周囲にいたら、めいっぱい励ましてあげてほしい。(…)「実力さえあれば女でもなんだってできる」といった言葉の代わりに、「今までそこそこしか勉強してない男子学生だって科学者になれたし、科学界の80%に所属できているんだよ」と付け加えてあげてほしい。”(「おわりに」より)
欧米先進諸国に比べ、日本の女性学長の割合は約13%と極めて低い。近年、ジェンダー平等やダイバーシティの取り組みの普及などにより増加傾向にあるものの、その進捗は周回遅れである。本書第1部では、女性の学長就任を阻む構造的要因や女性リーダーシップの特徴を明らかにし、第2部では、様々な経歴を持つ女性学長らが登壇した連続シンポジウムの講演録を纏める。日本の大学界の根深いジェンダーギャップの問題に一石を投じた挑戦的プロジェクト!
21名の女性研究者が語る海の魅力。海を学び、海で働く。楽しく生き生きと海に挑戦してほしいとの思いを込めた一冊。
大学・大学院など高等教育機関における理系分野の女性学生の割合は、OECD諸国で日本が最下位。女子生徒の理科・数学の成績は世界でもトップクラスなのに、なぜ理系を選択しないのか。そこには本人の意志以外の、何かほかの要因が働いているのではないかーー緻密なデータ分析から明らかになったのは、「男女平等意識」の低さや「女性は知的でないほうがいい」という社会風土が「見えない壁」となって、女性の理系選択を阻んでいるという現実だった。日本の男女格差の一側面を浮彫りにして一石を投じる、注目の研究報告。
ヴァギナは、女性の快楽の住処であり、男性たちを魅惑してきた神秘の泉であり、世界の創造の起源である。しかしながら、長い歴史の中で、その名を呼ぶことさえ憚られ、神秘のベールに包まれてきた。本書は、世界的なセクソロジー学者によって、解剖学的な知見から、女性の快楽やオルガスムの神秘、世界のさまざまな文化における不可思議な風習まで、古今東西の「女性の秘密」をめぐる驚くべき歴史を、医学史・文化人類学・最先端医学など広大な視野から探究した、世界でも初めての図説・文化史である。
1986年の初版刊行以来、泌尿器科学書の定本として版を重ねてきた『ベッドサイド泌尿器科学』待望の全面改訂版。わが国を代表する第一人者が総力を結集。前版の2分冊(診断・治療編/手術編)を統合し、基礎から臨床の最前線まで泌尿器科学の精髄をこの1冊に凝縮。最新の診療ガイドラインに対応。日々泌尿器科学の研鑽を積む専門医、泌尿器科を目指す研修医の必携書。
歴史的な研究成果、評伝、インタビューなど選りすぐりの記事で
グレートサイエンティストの実像に迫る
ホーキング,アインシュタイン,南部陽一郎,オッペンハイマー,グドール,牧野富太郎……栄光あり,苦難ありの波瀾万丈な人生を通して,豊かな発想の原点をたどります。科学者自身による執筆,一流ライターによる取材記事など多彩なスタイルの構成で,読みものとしての楽しさも充実。
●1 物理学者の足跡
スティーブン・W・ホーキング…ホーキングの遺産
アルベルト・アインシュタイン…一般化された重力理論について
スティーブン・ワインバーグ…「統一理論の父」語る
南部陽一郎/西島和彦…南部さん、西島さんとの60年
南部陽一郎…素粒子物理学の予言者
●2 政治に翻弄された科学者
J・ロバート・オッペンハイマー…オッペンハイマー その知られざる素顔
アンドレイ・サハロフ…平和主義への“転向”
●3 世界を変えた女性科学者
フローレンス・ナイチンゲール…データを駆使したクリミアの天使
ウー・チェンシュン…量子もつれ実験の知られざる源流
ジェーン・グドール…チンパンジーと歩んだ50年
●4 大発見の裏側
ガリレオ・ガリレイ…ペスト禍を生き抜いたガリレオ
ユルバン・ルベリエ…盗まれた名声 海王星発見秘話
ジェームズ・ワトソン…DNAの50年
ガートルード・ベル・エリオン…革新的な手法で次々と新薬を開発
●5 科学のパイオニア
スコット南極探検隊…科学調査の輝き
牧野富太郎…ドラマ「らんまん」で知る植物学今昔
編者あとがき 著訳者/初出掲載誌
聖職者に代わって偉くなったのは医者だった? 医療が神聖なものになった? フランス近代医療を宗教と世俗の歴史のなかに位置づける。
西洋近代において世俗化された二大領域──教育と医療。本書はこのうち医療について、宗教から世俗へと政治の実権や人びとの価値観が移っていくなかで近代医療が「神聖化」された過去、そうして覇権を握った近代医療が相対化の渦に巻き込まれ「脱神聖化」に晒されている現在を、主にフランスの文脈において物語る。
環境問題・化学物質のリスク評価を切り拓いてきた著者が、外部被ばくの誤解をあばき、福島帰還への目標値を提言する。飯田泰之氏(経済学)との対談、丹羽太貫氏(放射線生物学)、半澤隆宏氏(福島県伊達市職員)へのインタビューを収録。
「声」を担ってきたアナウンサーたちは、「アナウンサーらしさとはなにか」、「なぜ女はアシスタントなのか」、「メディアの送り手は何をなすべきか」などの問題とどう向き合ってきたか。アナウンサーを生きる、彼女(彼)らのライフストーリーやインタビュー調査を通じて、更には、元フリーアナウンサーである著者が長年アシスタントをつとめたラジオ番組の事例から考える。
地域にはさまざまな役職があるが、みずから進んでやりたいという人はまれであって、多くは回り番であったり、あて職であったりすることがほとんどだ。そのような「普通の地域」「普通の人」の地域事例というものはあまり取り上げられることがない。本書は全国8事例から「やる気」と動機と活動の関係から分析。誰もが、地域づくりに参加し、活動の支え手になれる方法を探究したユニークな地域づくり論である。
第1章 地域づくりの「やる気学」の必要性 山浦陽一
第1部 事例編
第2章 ため池管理の「やらされ感」を自己調整する「意義づけ」 柴崎浩平
第3章 地域福祉活動への参加を持続させる「ごちゃまぜ」動機 山浦陽一
第4章 草刈り隊への参加動機の「複線化」 木原奈穂子
第5章 農泊受け入れ家庭のやる気と「心からの交流」 須藤珠里・筒井一伸
第6章 学びの場でそよ風のような地域づくりを育む場を育む「まじりあう時間」 中川秀一
第7章 地域おこし協力隊の活動を円滑にする「他者志向」 高田 晋史
第8章 想定外の役割を前向きに受け入れる「お役目」思考 安部梨杏
第9章 集落営農法人の先代の心理的葛藤を緩和する「出番と目線」 高田晋史
第2部 考察編
第10章 「やる気学」の2つの枠組みと「活動クラフティング」 山浦陽一
第11章 若いみんなの「自分起点」参加と欲求理論 中塚雅也
第12章 「関係系」動機によるやる気の持続モデル 内平隆之
第13章 リーダーの4つの役割と地域学の未来 山浦陽一
派遣切り、ワーキングプア、就職氷河期…すべてを「小泉改革」のせいにしていいのか?“人事・雇用のカリスマ”が定説、俗説を斬る。