日本を代表する碩学が日本の思想史を知る上で欠かせない夏目漱石、森鷗外、宮沢賢治、三浦梅園、西田幾多郎、太宰治を語る。その人物の思想史の中での位置とは何か。そして西欧思想との葛藤のなかで、いかに超克しようとしたのか。何より現代を生きるわれわれにとって、その思想はいかなる意味を持つのかを探る。未来を担う高校生に届ける教養講座。
はしがき
第1章 西洋の模倣を脱し、主体の確立をーー夏目漱石に学ぶ(佐伯啓思)
1 漱石の思想形成
2 漱石が抱いた課題意識
3 漱石の哲学
4 漱石から学ぶに当たって、その視座
第2章 日本の個人主義ーー森鷗外に学ぶ(高橋義人)
1 不可解な個人主義
2 利己的個人主義と利他的個人主義
3 空車(むなぐるま)の個人主義
4 「無」の領域へ降りていこう
5 晩年の鷗外
第3章 「本当の幸い」を問うことーー宮沢賢治に学ぶ(田島正樹)
1 賢治の家庭環境と創作活動の起源
2 賢治作品における形而上学的「鉄道」の旅
3 「本当の神様」は、何処に
4 賢治の信仰
5 信仰の「優劣」を論じること
第4章 日本と世界を救う自然哲学ーー三浦梅園に学ぶ(小川晴久)
1 天地の人・三浦梅園とその人物像
2 梅園の生涯とその業績
3 命題から見る梅園の思想
4 次代の人間像を探る「天人の合」の実践
5 補論『玄語図』
第5章 「無」と日本思想の連関ーー西田幾多郎に学ぶ(佐伯啓思)
1 西洋化の時代に生きた西田と漱石の生涯
2 「西田哲学」誕生の背後にあるもの
3 西洋哲学の不十分性に挑む西田
4 「純粋経験」の概念を編み出した西田
5 「西田哲学」から、日本のあり方を展望する
6 日本人のための「西田哲学」
7 グローバル競争の中で「西田哲学」を考える
第6章 友情と革命的暴力ーー太宰治と夏目漱石に学ぶ(田島正樹)
1 『走れメロス』における「友情」を論じる
2 『坊ちゃん』における「友情」を論じる
3 補論『斜陽』における「恋と革命」
人名・事項索引
私たちはいつまで誤った経済学を信じ続けるのか? いまだ収拾のつかないグローバル金融危機。これに対する各国の対応は、結局は対処療法に過ぎず、次のバブルを招来させるものでしかない。そして資本主義の危機を底で支えているのは、社会主義国の中国という喜劇的状況。なぜこのような状況に陥っているのか。筆者は経済学の根本、貨幣の根源にまで遡り、いまの過ちを論じる。(講談社現代新書)
今日のグローバル経済危機の根源には、私たちが現在「正しい」と思っている市場主義経済学の現実離れした理論があった。アダム・スミス、マックス・ウェーバー、そしてケインズといった賢人が、かつて語っていたことを丁寧に読み解き経済学と現実の関係を再び整理し直す。
さらにグローバル経済危機の中心になる金融市場が必然的に抱える問題を、貨幣の源流にまで根底にある貨幣の誕生にまで遡り明らかにする。
知的興奮とともに、今日の大問題への解決のヒントが見えてくる一冊!
第1章 失われた二〇年ー構造改革はなぜ失敗したのか
「構造改革」が長期的停滞の原因/市場化すべきでなかった「生産要素」/「社会的土台」を市場中心主義が破壊する etc.
第2章 グローバル資本主義の危機ーリーマン・ショックからEU危機へ
経済政策のトリレンマ/「国家」が市場に従属する etc.
第3章 変容する資本主義ーリスクを管理できない金融経済
金融市場の発展が「ブラック・スワン」を作り出す/世界経済を支えた生産と消費のインバランス/経済学の前提の誤り etc.
第4章 「経済学」の犯罪ーグローバル危機をもたらした市場中心主義
シカゴ学派の勝利/「科学としての経済学」の装いの成立/現実離れした理論が政策を動かした二〇年間 etc.
第5章 アダム・スミスを再考するー市場主義の源流にあるもの
アダム・スミスは「市場経済学の祖」なのか/なぜスミスは重商主義を批判したか/「大地」に根ざした経済を擁護/国富は戦略で決まる etc.
第6章 「国力」をめぐる経済学の争いー金融グローバリズムをめぐって
国力と経済学/「交換の経済」と「生活の経済」/ケインズの自由放任批判/「金融グローバリズム」と「ナショナル・エコノミー」の対立 etc.
第7章 ケインズ経済学の真の意味ー「貨幣の経済学」へ向けて
貨幣の発生は合理的には説明不可能/経済活動と不確定性/貨幣が過剰性を生み出す/ケインズが「予言」した資本主義の長期的停滞 etc.
第8章 「貨幣」という過剰なるものー「稀少性の経済」から「過剰性の経済」
ポトラッチに見る「原・交換」/交換を可能にする「過剰なもの」/「ゼロ・シンボル」としての貨幣/「過剰性」を浪費するための「普遍経済」/現代文明にも生きている「ポトラッチの原理」/「過剰性」がさらなる「過剰性」を生み出す金融市場 etc.
第9章 「脱成長主義」へ向けてー現代文明の転換の試み
市場が稀少性を生み出す/豊かだけれど幸せではない日本人/かつての「アメリカの事情」が今日の状況を生んだ etc.
巷で変人と噂されるほどロボット工学の才能に溢れた博士・伊吹静は、学生の頃からの同級生で、現在研究所の上司である越美密流に片想いをし続けている。決して叶わぬ恋と知りながらも諦めきれず、想いを拗らせた結果、静はこっそりと密流そっくりのアンドロイドを開発してしまう。誰にも知られることなく、立ち入り禁止の研究室を住居代わりにしてアンドロイドと共に過ごし始めたある日、外から複数の人影を見かけ不審に思った密流が彼らの部屋へと訪れて……!?
始まりは簡単だった だけど、終わり方がわからないんだ──。
「社会科は,子どもの目に映ったチンドン屋の仕事を,どのように教えているのでしょうか?」戦争の時代から戦後の急速な都市化へ,20世紀日本の近代化の中で大きく変貌する郷土の現実から,単なる資本ー労働の二項対立ではない,社会の生きたメカニズムを伝えようとした一教師の実践。現代の教育は彼から何を学べるか。
奇妙な城がたたずむ孤島に招かれた10人の男女。性別も年齢もばらばらだが、唯一共通しているのは「美術家の子どもたち」ということ。果たして見えない犯人による連続殺人の夜が始まる!? 果菜、黒彦の運命は!?
人間的魅力を養う。自らを鍛え、心を磨き、命を燃やすいまこそ、人間らしい生き方を学ぶ。
数学はできないと苦しみ困り進路を変えさせ、役立つ役立たないと議論される不思議な教科です。数学に困ったとき答えがどこかに見つかるように編集しました。本のタイトルをお題に、高校生に語るように答えてくださいと依頼しいろいろな立場の先生が書き下ろしています。とても考えさせられたそうです。数学の勉強に不安のある高校生も、数学好きな高校生、悩んでいた大人、興味のある大人も、ちょっと立ち止まって読んでみる?
まえがき
パート1 数学を学ぶってどういうこと?
1. 人生の道具箱に数学をーたかが数学、されど数学
2. 若者と受験と数学と……
3. 数学は嫌いになるものではありません
4. 数学との出会い
パート2 数学はどこへ広がっていくの?
5. 数字と文化をめぐる断想
6.「生命・宇宙・芸術」を理解するための数学
7. 生物の「時間知覚」は数学で説明できるのか?-学際分野での数学
8. あなたは何を描いてもいいのですー論理と感性を紡いでいきましょう
パート3 どうやって数学と向き合うの?
9. 数学の嫌いな文系学生が数理科学の論文を書くようになったのはなぜか?
10. 数学は誰のためにあるの?
11. 受験数学事始
執筆者一覧
あとがき
ソフトウェア会社に勤める平岡が通っているチャットルームに“インターネットの亡霊”と名乗る者が現れた。彼は、自分は既に殺されており、亡霊となって“不要なファイル”を削除していると語った。やがてその言葉通りに、凄惨な方法で次々とチャットメンバーが消されてゆく。平岡は、姿の見えない“亡霊”に、閉じ込めていた過去を思い出した…。実力派新鋭が放つネット世代の新感覚ホラー・ミステリー。
五年生で学習する漢字185文字を、「生き物や植物に関係する部首の漢字」など部首の種類別に分類しました。一つ一つの文字の象形文字から現在の形までの変化を示し、「どうしてこんな形しているんだろう?」に答えます。
キミの名は式部瞬。中学三年生。頭はよい。成績がいまいちなのは単に勉強をしないからである(と、本人は思っている)。小さいころから変にカンが鋭かったりしたことがあった。日本風(ジャパネスク)ゲームブック復刊。
20世紀末から世界を席巻したグローバリズム。本書は偉大な経済学者であり、文明評論家でもあったアダム・スミスの論議を基に、その内実に考察の錨をおろす。そして世界化現象のなかで、国家や地域アイデンティティに問いを提起する。本書を繙くことで、「グローバリズム問題」への見方は、清新な視点を獲得するであろう。