なぜ夢はかくも知識人たちの心をとらえたのか?そして、精神医学にとって夢とは何か?20世紀フランス精神医学界の碩学が厖大な文献にあたった重要論文。
人間ははたして男と女の二つに区分できるのか。身体は男、心は女の人。身体は女、心は男の人をどう考えるべきか。精神科医から性同一性障害と認定された食品販売会社勤務の中堅社員と、その妻と子ども二人がたどった魂の遍歴。文明の狭間を突く純文学作品の感動の物語。男と女の次元でなく、それを越えた存在として生きたい…。
第一部は、“大震災と原発事故”を背景にした上嶋守と79歳で念願を果して女性になった矢矧章子の記録。第二部では医学・法律・子どもの世界・欧米の動向等「性同一性障害」の直面している課題に迫る。男・女を取り戻すドキュメント。
性同一性障害者の願いで戸籍上の性を変更することを認める特例法が、2004年から施行された。これにより性別変更ができた人がいる反面、未成年の子どもがいないこと、性別適合手術の有無など、同法の定める性別変更の要件を満たせず、未だ苦しんでいる人もいる。
本書は、精神科医や弁護士などの専門家と当事者が「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」をやさしく解説、具体的な戸籍の性別変更手続き、戸籍変更後の問題、そして同法の問題点などをQ&Aで答える。 増補改訂版では、2008年、2013年の特例法改正を踏まえ内容を刷新し、最新情報も加えた。(2013.02)
スーパードクターなんか、いない。医者だって迷う。医者だって悩む。怒ることもあるし、泣きたくなるときもあった。絶望しかけたことだってある。それでも走ってきた。仲間がいたから、走り続けてこられた。十年間走り続けて、周囲の景色はまだ変わらない。それでも、また走りだす。
自分の性別に違和感を抱く子どもに親と先生ができることとは?大切な未来をよりよく考える!
発達障害の概念は、精神医学のパラダイムを覆すほどの影響をもたらし、発達障害や、特に自閉症スペクトラム障害(ASD)に関する研究は、精神病理学の中でも大きな柱をなす重要な領域となっている。
発達障害の概念が精神医学に与えた大きな影響を目の当たりにした精神科医や児童精神科医や心理学者など総勢18人が、2018年3月、相互討論ワークショップを行った。
本書には、そこでの徹底した議論を踏まえ書き下ろされた9編の論考が収められている。単にひとつの疾患概念の出現ということを超え,精神医学のパラダイムに深甚な影響をもたらした「発達障害」の精神世界を探究する。
虐待等による複雑性PTSDへの簡易処理技法であるTSプロトコール。具体的な症例をもとにその臨床を余すところなく紹介する。
序 章 TSプロトコールの実践……………………………………………7
1 TSプロトコールの概要 7
2 簡易型処理を行う時のコツ 11
3 TS処方の工夫 18
第1部 TSプロトコールの臨床
第1章 トラウマ処理初期対応の工夫……………………………………24
1 TSプロトコールの弱点 24
2 脱落例の検討 26
3 最初から入院治療を行った症例 27
4 3回目までを乗りきる工夫 29
第2章 複雑性PTSDの治療経過をめぐって………………………………34
1 症例 34
2 複雑性PTSDの治療過程 43
3 TSプロトコールのもう1つの役割 45
第3章 自我状態療法の留意点……………………………………………48
--部分人格は主人格を著しく損なうことがあるのか
1 表者と裏者 48
2 表者を著しく損なう裏者の症例 51
3 表者を傷つける裏者に和解をうながす 59
4 DIDアルゴリズムの修正 61
第4章 TSプロトコールを受けてーー当事者からのメッセージ………62
1 独身時代 62
2 結婚・出産・育児 64
3 TSプロトコールとの出会い 66
4 TS処理とTS自我状態療法 66
5 治療者の先生へ 73
第2部 発達障害へのTSプロトコール
第5章 TSプロトコールの応用ーー小トラウマ症例への治療…………76
1 症例 79
2 症例の背景にある「トラウマ」 89
3 近年の子どもたちの臨床像の変化 91
第6章 自閉スペクトラム症と解離性同一性障害の併存例1…………93
--大きなトラウマをもたない症例の検討
1 症例ーー深刻なトラウマ体験がない青年期・児童青年期患者 94
2 深刻なトラウマ体験がないにもかかわらず 98
ASDはなぜDIDを生じうるのか
3 ASDに認められるDIDへの治療的対応 103
第7章 自閉スペクトラム症と解離性同一性障害の併存例2…………106
--大きなトラウマ体験をもつ症例:STP解離
1 症例 107
2 STP解離生成の病理 111
3 STP解離への治療 112
第8章 トラウマ体験の言語化に困難をもつPTSD………………………114
--身体感覚に焦点化したTSプロトコールの試み
1 症例 116
2 治療の経過 118
3 考察 121
第9章 知的発達症および自閉スペクトラム症の性被害………………124
1 症例 124
2 発達障害に大きなトラウマが掛け算になった症例への治療 130
3 オンラインでのトラウマ治療 131
文 献 133
あとがき 137
誰かに救われたり裏切られたりしながら、
世界への信頼を少しずつ取り戻していく。
幸福と絶望を行き来する
解離性同一性障害者の「普通の日常」。
「凄かった。読み終えると世界が澄みわたって見えた。生き延びて、なおかつ伝えることを諦めずにいてくれる碧月さんに心の底から感謝する。」
ーー村山由佳さん(作家)推薦!
【本書の内容】
虐待サバイバーで解離性同一性障害者。そんな過去や属性を聞いたとき、どう思うだろうか。怖い、可哀想、つらい過去を乗り越えた強い人、下手に関わらないほうがいい相手。あるいは、かつて「多重人格」とも呼ばれたこの病に、好奇の目を向けるだろうか。この社会では、正常とされる枠からはみ出た瞬間、一方的に判断され、傷つけられることが日常茶飯事である。
本書は、虐待サバイバーである自身の原体験をもとに、マイノリティの現状や課題について発信してきたライターが、主人格含む7つの人格と共に、パートナーにも支えられながら生きる「普通の日常」を綴った一冊だ。
“私は自分の言葉で、自分の日常を書きたいと思いました。幸福だった瞬間も、絶望した瞬間も。私という「人間」がこの社会で、あなたと同じように生きていることを伝えるために。読み終えたあとに、清廉潔白ではない、死に物狂いで生きている私の(私たちの)日常を、少しでもみなさんの心に残せたとしたら、この上ない喜びです。”
ーーはじめに 私の人間宣言
「交代人格」と共に、そばにいるパートナーと共に、この理不尽な社会に抗う様を記録した、気高きデビューエッセイ集。
はじめにーー私の人間宣言
交代人格
「はるさんはゴレンジャー」
眠るのが下手な母と、長男の憂鬱
虫を素手で触る母は、時々、大の虫嫌いになる
「もう子どもだもん!」
精神疾患と親権
つながる海
「どうしてみんな意地悪するの?」
ありふれたトリガー
約束のオムライス
「帰りたい」場所
飲めないレモンスカッシュ
いつかみんなでごはんを
“怒り”の瞬発力を養う
食べることは生きること
桜の庭
二度目のはじめまして
パートナーが適応障害と診断された日
支える者は「つらい」と言えない
もし、二度目の人生があったなら
おわりにーー幸福と絶望は行き来する
リアルな「わたしの性」を晴ればれと生きていきたい!-TS(性転換)当事者が語るこころ・からだ・性の軌跡。
ICD-10,DSM-IVに準拠、臨床・研究での実用性を極めた必携の基準書。
脳の発達に伴ったヒトの性の特殊性を考えるには、多くの学問領域からのアプローチが必要である。性はいうなれば人間科学領域における大きなテーマといえよう。そのようなことで、早稲田大学人間総合研究センターに、生命科学医科学を中心とした「性と生殖」研究プロジェクトを1993年に発足した。本書は、性機能とその性分化が脳とホルモンによりどのように制御されているか、プロジェクト研究員の所属している大学・研究所で行われている生命医学研究結果を中心として、それぞれの研究者が解説したものである。
性転換をめぐる法的諸相を解明。最新の動向を分析する論説を収録。ほかに国際会議での報告の紹介、わが国および諸外国の裁判例の紹介、諸外国の立法例を紹介する。また、当事者からの質問に答えるQ&Aを掲載した、論文集と資料集の両方の性格を併せもつユニークな書!性同一性障害(性転換)の法律問題をまとめた我が国で最初にして唯一の本。