章立て:序章として明治・大正前半期をまとめる。1930年代以降、10年間を一区切りとし、第1章から第7章まで各ジャンルを論じ、各章の冒頭にその時代状況と芸術のかかわりについて解説。終章として2000年代にも触れる。「美術」を中心に幅広く芸術ジャンルを扱い、解説。ジャンルは、美術、版画、イラストレーション、写真、工芸、デザイン、ミュージアム建築、実験映像・アニメーション・マンガ、いけばな、パフォーミングアーツ、書の11項目。各章本文は作家を中心に名鑑的に扱い、作家紹介は略歴と掲載作品の解説を主とし、カラー図典として活用できるように構成。巻末に「資料編」として、年表、図版リスト、人名索引他を付す。
印象派の画家たちは、古典的な絵画の刷新を夢見ていました。そして、賭けに勝ちました!
戸外で自然を描くことと、現代の生活を描くことを好んだ画家たちの世界にようこそ。モリゾ、ピサロ、シスレー、ドガなど、印象派の中心人物を紹介。
2022年から23年にかけて、展覧会が全国を巡回し、死後25年を経てなお変わらぬ人気を証明した芸術家・岡本太郎(1911〜96)。その芸術家像は、作家自身や長年の秘書・岡本敏子から語られたものをもとに形づくられ、なにより停滞を突き破るエネルギッシュな言葉がその芸術同様多くの人々を引きつけてきた。そのような中、本書では太郎の創作活動について、とりわけ作品の図像と作家などによる言説の関係性に注目し実証的に考察するという、従来とは異なるアプローチをとる。このことで、数ある岡本太郎関連書とは異なる、新たな岡本太郎像の提示を目指す。川崎市岡本太郎美術館で学芸員を務めた著者の長年の研究成果をまとめた一冊。
江戸時代の談義本2作を、読み易い訳文とともに文庫化。いずれも、宮本武蔵『五輪書』とならぶ「剣術の秘伝書」であり「人生の書」でもある。「天狗芸術論」は、剣術者が深山で天狗に出会い、老荘や孔子・孟子、仏教思想をまじえて「芸術」すなわち「武芸」と「心術」の核心に触れる。「猫の妙術」では、どんな猫も敵わなかった大鼠を、一見のろまな古猫が簡単にやっつけてしまう。若い猫たちと家主の剣術家は、古猫に教えを乞う。
滑稽さの中に教訓と風刺をまじえて江戸時代中期に流行した「談義本」の祖とされる佚斎樗山が著した2作を、読み易い訳文と注を併載して文庫化。
いずれも、学術文庫のロングセラーである宮本武蔵『五輪書』とならぶ「剣術の秘伝書」として知られるが、剣術のみならず「人生の書」でもある。
「人は動物なり。善に動かざる時は必ず不善に動く。・・・種々に変転して止まざるものは人の心なり。」と始まる「天狗芸術論」は、奥義を極めたいと深山に入った剣術者が天狗たちに出会い、老荘思想や孔子・孟子、仏教思想をまじえて「芸術」すなわち「武芸」と「心術」の核心に触れる話。「学問剣術ともにただ己を知るをもって専務とす。」と言い残して、大天狗は去る。
「猫の妙術」では、勝軒という剣術家の屋敷に住みつき、どんな猫も歯が立たなかった大鼠を、一見のろまな古猫がなんなく銜えてやっつけてしまう。そこで、若く元気な猫たちと勝軒は、この古猫に教えを乞う。修業とは、また、教えを授かるとはどういうことなのかーー古猫は語る。
神戸女学院大学名誉教授で武道家の内田樹氏が巻末解説を執筆。
天狗芸術論
大意
巻之一
巻之二
巻之三
巻之四
猫の妙術
訳者あとがき
解説 内田樹
能動ー受動、主体ー客体という図式に収まらない体験のあり方を、中動態という別種の範疇を用いて、いわば別の枠組みで浮かび上がらせて考察。前著『芸術の中動態ーー受容/制作の基層ーー』で問題にした芸術体験は、受容であれ制作であれ、(事後的に見れば)作品との関わりであるが,本書では、残る問題として、芸術という領域において他者と関わる体験、そこからさらに芸術制度の社会的成り立ちについて分析。そこにおいても、中動態という範疇で捉えうる事態が基礎的場面に見出される。
1 二つの場面の中動態
第一章 「感じられる」の中動態
1 自己受容(固有)感覚、体性感覚
2 触覚の「両極性」
3 非措定的自己意識(サルトル)と作動志向性(メルロ=ポンティ)
4 外部知覚にはたらく体性感覚
第二章 相互状況の中動態と社会システム
1 相互状況reciprocal situationの中動態
2 各個を超えた別次元の出来事と中動態
3 ルーマンのコミュニケーション・システムと二重の偶有性
4 自他関係と「行為の意味の不定さ」
5 偶有性と不定性
2 作品を介する自他関係
第三章 共感と「構え」
1 共感という基層
2 身体の「構えprise」
3 姿勢と情動
4 自己受容ー自己塑型の中動態と共通感覚
5 体性感覚と「自分事」
第四章 「作品」との関わり、他者との関わり
1 意図的行為としての作品の制作と受容
2 作品評価と他者
3 三項関係の第三項としての作品
4 共在と芸術
第五章 二項関係の他者、三項関係の他者
1 二項関係の他者
2 三項関係の他者
3 第三項としての作品
第六章 作品の「実在」と他者
1 実在、パースペクティヴ性、他者
2 知覚の仕方と中動態
3 作品と知覚の仕方
4 作品の呈示と他者
3 客観的事物としての作品と社会
第七章 アーレントの「公共」と作品
1 三項関係と第三項
2 労働laborと制作work
3 制作と手段性、イデア説
4 物の独立と芸術作品
第八章 ルーマンの「芸術システム」と作品
1 コミュニケーション連鎖
2 相互依拠とシステム
3 知覚を用いるコミュニケーションとしての芸術
4 形式と観察
5 システムにとっての作品
第九章 ブルデューの「ディスタンクシオン」と作品
1 趣味と等級づけ
2 ハビトゥス
3 作品と卓越化
第十章 「見せる」ということ
1 共同注意と「見せる」
2 「同じ」と「違う」の間で
3 「見せる」の類型とさまざまな意図
第十一章 作品をめぐる相互行為と「枠」
1 ワースト・コンタクトと「共在の枠」
2 ハビトゥスの「だいたい」とリソース
3 見せる者(呈示者)、見せられるもの(作品)、共在の枠
猫の足跡のついた弥生土器が発見された。現存最古の猫自慢は宇多天皇の日記。平安時代は猫の鳴き声を「ねうねう」と書いた。妖怪「火車」の正体は猫? 鹿児島県には猫を祀った猫神神社がある。などなど、古今東西の猫を愛した人たちの話から、怖い猫のお話し、猫にまつわる神社のはなしまで。日本の歴史に詳しい日本宗教史研究家にして愛猫家の著者による、古代から現代までの猫にまつわるエピソード集。
「アクション・ペインティング」という概念を生み、サルトルやドゥルーズにも影響を与えた美術批評家による、戦後の現代美術の動向を追う、パフォーマティヴな「脱」芸術批評。
志望校攻略に欠かせない大学入試過去問題集「赤本」
絵画、彫刻、文学、建築などの作品においても、理論や批評の言説においても、多面的かつ国際的な拡がりをもつキュビスム。「幾何学」的表現の誕生・深化から、二度の世界大戦を経て、歴史的評価の確立へと至る曲折に満ちた展開を、美術と〈現実〉との関係を軸に描ききる。
序 章
第1部 幾何学による解剖・解体と「概念の現実」の誕生
第1章 キュビスムをめぐる言説
-レアリスムとの関係からの考察ー
1 プロト・キュビスムから分析的キュビスムまで
2 幾何学をめぐる言説と「概念の現実」
3 キュビスム以前の「現実」への問い
第2章 現実の解剖、解体
-分析的キュビスムへの展開ー
1 美術解剖学における図式と抽象
2 ピカソと美術解剖学ーー解剖学から「概念の現実」へ
3 ピュトー・グループにおける様式的展開
4 キュビスム作品における女性身体像
第1部結論
第2部 キュビスムの文法と詩学
第3章 芸術と詩的アナロジー
-総合的キュビスムの文法ー
1 二次元と三次元の対話
2 形態的なアナロジーから詩的なアナロジーへ
3 「キュビスム文学」と挿絵本
第4章 機械の詩学
-身体のメカニズムの探求からメカニックな身体へー
1 レジェとグリスにおける生物と無生物のアナロジー
2 デュシャン兄弟、クプカ、ピカビアにおける身体表現
3 ヴォーティシズムにおける「現実」と機械のイメージ
第2部結論
第3部 キュビスムと第一次世界大戦
第5章 前衛と前線
-大戦の「現実」と視覚芸術ー
1 前線の風景と従軍画家たち
2 前線の身体とキュビスム
第6章 古典主義とナショナリズム
-第一次世界大戦前後の芸術理論と実践ー
1 キュビスム理論におけるナショナリズムと第一次世界大戦
2 第一次世界大戦前後のピカソの古典主義
第3部結論
第4部 新たなる「秩序」へ向けて
第7章 秩序への回帰
-大戦間期の美術史モデルとかたちの「生命」-
1 キュビスムの歴史化と見出された「原理」
2 キュビスムの理論的な批判と普遍的な理論の追求
3 キュビスム以降の芸術における新たなる「現実」
第8章 キュビスムの形態学
-近代のユートピアと前衛芸術ー
1 キュビスム以降の芸術家たちと近代都市
2 ユートピアの創出、あるいはユートピアへの回帰
第4部結論
第5部 第二次世界大戦前後の政治社会とキュビスム
第9章 大戦の影と文化的地勢図
-展示・論争におけるキュビスムの位置づけー
1 1930年代のフランスにおける現代美術史研究と美術展示
2 レアリスム論争の背景と展開
3 第二次世界大戦下のキュビスム
第10章 キュビスムの生と死
-戦後の社会とフランス文化の復興ー
1 フランス文化の再建
2 サロン・デ・レアリテ・ヌーヴェル
第5部結論
終 章
1 見ることと知ることーー認識メカニズムの表現としてのキュビスム
2 理論と歴史ーーキュビスムと価値システムの構築
3 言葉とイメージーー諸現実の地層の再配置
あとがき
初出一覧
注
図版一覧
事項索引
人名索引
仏文要旨
仏文目次
レンブラント、フェルメール、ウォーホル、フリーダ……実証主義を超え、真実らしさを求めた映像が挑んだ、新たな芸術家の詩的真実に迫るスリリングな映画論。
特集「〈劇場〉の現在形ー「拡張」と「拡散」の間で」に対して3つの視点から渡邊守章、きたまり、宮沢章夫、黒瀬陽平、蔭山陽太、三浦基らが発言。他にアジアにおける演劇教育(平井愛子)をはじめ論考多数を収載。
妖精クロリスと西風の神ゼピュロス、春の女神フローラと愛の女神ウェヌス、三女神を矢で狙うクピードー、学知の神メルクリウス。これらの人物は何を意味しているのか? 何のために描かれたのか? 秘密の鍵をにぎるのは一枚のタロット・カード《恋人》。愛と詩情あふれるルネサンスの「知のコスモス」を豊かに描きだす快著!
移動とアートの関係、模倣が創造に変わる節目とは?
ノーベル文学賞受賞者カズオ・イシグロ、V・S・ナイポールの作品世界に投錨し創造の航路をつぶさに描き出す。
創造と模倣の関係を幅広く問う論考。
アートは移動する。アーティストも移動する。
鑑賞者も移動する。
異文化の窓としての港、文学。
長崎でカズオ・イシグロ作品の記憶の残像に出会う。
作中人物たち、先行研究者たち、先行読者たちの記憶の残像。
空隙とためらい。
模倣とはまねること。あらゆる生活の場面に模倣はある。
模型、ミニチュア、根付、オブジェや絵画。
拡大、縮小、反復、翻案、転用、転換による創造。
オリジナルと複製芸術。パスティシュと「まがい物」。
イデアとミメーシス。ポストモダンと模倣社会。
画家・作家・音楽家を巡る映画から創造と模倣を見る。
レンブラント | フェルメール | ゴヤ | ターナー
マネとモリゾ | ルノワール | ゾラとセザンヌ | ロートレック
ジェイン・オースティン | ヴァージニア・ウルフ
パガニーニ | シーレとクリムト | ダリ
フリーダ・カーロとディエゴ・リヴェラ | 「THE FORGER」
ジャクソン・ポロック | カーウァイ三作。
V・S・ナイポール『模倣者たち』。
旧植民地の模倣と建国の創造、中心の発見。
弟シヴァ・ナイポールの模倣と創造。
イシグロ作品の成立の過程、そして創造。
第一章 アートと移動
第二章 イシグロのトポス
大阪から長崎へ、
そしてポストコロニアルへの旅
第三章 模倣から創造へ
第四章 創造への転換
画家・小説家・音楽家を巡る
映画を糸口に
第五章 創造と信頼
カズオ・イシグロの世界の成立
「労働可能であること」を福祉提供のメルクマールとしたドイツ社会国家において、女性や子どもはどのように位置づけられたのか。ドイツ社会国家の展開過程を近代家族の視点から読み解く。
オペラ『ラ・ボエーム』やミュージカル『レント』に登場する、自由を求め放浪する芸術集団。彼らの実態を19?20世紀の小説、詩、日記から辿り、その心性と美学を解明する。
美術・音楽・演劇・舞踊…各芸術分野の教育を包括する観点から、芸術教育の
理念、内容、方法を探究する。
社会、教育、生活などに芸術の諸機能を働かせて、
それらの人間的な転換を求める広義の芸術教育の考え方に立ち、
美術教育、音楽教育、演劇教育、舞踊教育……各芸術分野の教育を包括する
多様な視点から芸術教育の課題を考えるポリフォニーとしての芸術教育論。
第I章 芸術教育の射程
1 学校教育におけるアートの可能性
2 芸術教育の視点を見直す
3 人間の文化的主体性の形成と芸術・芸術教育の役割
─障害児者の芸術文化活動に寄せて─
第II章 芸術教育の社会的展開
1 平和のための教育としての芸術教育の性格
2 地域社会における芸術文化活動の視点と展開
3 コロナ禍に向き合う芸術文化の取り組みと芸術教育の展望
第III章 学校改革と芸術教育
─「芸術の教育」から広義の「芸術による教育」へ─
1 学校改革運動としての芸術教育─学力向上論と芸術教育との関係に寄せて─
2 総合学習に芸術教育の視点を活かす
3 学校文化活動の性格と役割をめぐって
─「芸術の教育」か「生活指導」かを超えて─
4 学校における芸術教育の性格をめぐって
─山住正己の芸術教s育論の歴史的意義と課題─
第IV章 美術教育論の探求
1 子ども自身から生まれる真の表現の探求
2 発達論を基礎にした美術教育論の探求すべき課題
3 造形表現能力の発達の視点を軸にした美術教育論の探求
第V章 芸術教育論の基礎概念の再考
1 「表現」と「模倣」の原理に見られる芸術の真理性の根拠と性格
2 「共通感覚論」再考の視座─中村雄二郎『共通感覚論』を批判的に読む─
3 芸術教育学の「学」としての固有性と可能性