とこ・シャン城の殿さまは「とうなす、かぼちゃのかみ」であります。殿さまはこの国一番の忍者、とこトンにこの「めいろ妖怪」をたいじせよと命令したのであります。6-9歳向。
魯迅は、いまさら言うまでもなく、アジアを代表する世界的な文学者の一人です。たとえば、一九二七年、ノーベル賞選考委員会は上海へ特使を送ってきました。その年の文学賞を受けてくれるかどうか、魯迅の胸中を打診しにきたのです。ところが魯迅は、それから十年とは生きておりませんでした。そしてここに不思議は、彼の臨終に立ち会ったのが、彼の妻と弟のほかは、みんな日本人だったという事実です。日本を心底憎みながら日本人を心から愛した魯迅。それはこの魯迅とその妻と、彼の臨終に立ち会った四人の日本人の滑稽な、しかしなかなか感動的な物語です。
巨大な氷盤に載って北極海に浮かぶ観測基地-漂流ステーション。今、ソ連漂流ステーションSP032では、氷海探査に出たまま行方不明となった国連気象調査団員=三村孝の捜索が行われていた。だが捜索隊の引き上げた氷塊から現れたのは三村にはあらず、シベリア少数民族ネネツ人の遺体であった。一方、はるか彼方の村ラパスでオリガと名乗る女性に救われた三村は、ひょんなことから自分の代わりに発見されたネネツ人の男とその正体を知る。彼は35年前、ノバヤゼムリャ島の水爆実験後に行方不明となったネネツ人画家=タキ・マカオその人であったのだ。そしてタキは今、血を吸う恐るべき魔物として、長い眠りから覚めようとしていたのだ-。
「あたし中条由香。大学に合格したばかりの夢いっぱいの18歳。でも、恋のゴタゴタにまきこまれちゃったみたいで…。ねえ乱雲。なんとかしてよ!」「ンだなぁ。だども由香よ、おめえそったらことよりてめえのムネのしんぺぇしたほうがええだぞ。ほーら、こんなにはれてるだによ」「何すんのよ!エッチ!」バシッ!「痛てぇ!仙人候補のオラを何で欧るだべか!」
パリ、ローマ、フィレンツェ、ロンドン、東京-。失われた名前を求めて世界を飛びまわるミニチュア蒐集家と女たちとの官能的な世界。鬼才が放つアルカイックな幻想小説。
精緻な金細工や宝石で飾られた人工骨格〈黄金のジプシー〉。宇宙にただ一台しかないこの夢の機械を装着した時から、少女メガンの人生は一変した。四肢麻痺患者として孤独な生活を送ってきた彼女が、自由に跳ねまわれるようになったばかりか、一躍世界的な人気スターとなったのだ。だが、その代償は、とびきり苦いものだった…表題作をはじめ、世界のSF各賞に輝いた名品6篇を収録する人気作家ヴァーリイの傑作短篇集。
聖女と悪女のはざまを妖しく揺れ動く女たち-。匂い立つエロス、危険な芳香、謎めいた微笑…。様々に変わる女たちの貌(かお)を艶やかに描き出す10の物語。