日本近世におけるジェンダーの特質とは何か。農村の「家」経営体に焦点をあて、家族労働をジェンダーの視点から分析。さらに女性と衣料生産や、百姓身分とジェンダーの関係性にも論及する。また、幕藩制国家の政治と権力の問題を、領主階級の女性たちの土地所有の変化や、一橋徳川家の「女中のゆくえ」にみる近世的ジェンダーの変容から探り出す。
第一部=日本近世農村の「家」経営体とジェンダー/第一章=日本近世農村の「家」経営体とジェンダー(ジェンダーに関する知をめぐって/水平的ジェンダーの存在/「家」経営体Aの変質とジェンダー/「家」経営体Bとジェンダー垂直化)以下細目略/第二章=日本近世農村の「家」経営体における労働とジェンダー/第三章=近世後期農村の「家」経営体におけるジェンダー分業/第四章=日本近世農村の「家」経営体における労働心性とジェンダー/第五章=日本近世の衣料生産とジェンダー言説/第六章=日本近世の百姓身分とジェンダー/第七章=近世村落とジェンダー・ヒエラルヒー/第二部=幕藩制国家システムとジェンダー/第一章=幕藩制成立期の家と女性知行/第二章=幕藩制国家の政治構造と女性/第三章=幕藩制国家崩壊と女中たち
変化の直中にあるアボリジニ社会。その歴史的背景や社会的実践のあり方を、しなやかで力強い生き方を見せる女性たちに着目して描き出す民族誌。男女の関係や平等のあり方は決してひとつではないことを示し、人類学的方法のオルターナティブを提案する。
短歌専門誌「短歌研究」2021年8月号で話題となった特集をさらにバージョンアップして書籍化。全54人の新作短歌、11人の寄稿、馬場あき子×水原紫苑・対談などに加え、大森静佳、川野里子、永井祐、東直子、水原紫苑、穂村弘(司会)による座談会を掲載。
作品 大森静佳/小島なお(百首)
寄稿 阿木津英/黒瀬珂瀾
対談 馬場あき子+水原紫苑(司会=村上湛)
作品 大滝和子(三十首)
寄稿 石川美南/川野芽生/今野寿美/瀬戸夏子/平岡直子/堀田季何/松平盟子/森山恵/米川千嘉子
作品 水原紫苑(五十首)
対談 田中優子( 前法政大学総長)+川野里子
作品 飯田彩乃/飯田有子/井辻朱美/井上法子/今橋愛/
梅内美華子/ 江戸雪/大口玲子/尾崎まゆみ/小原奈実/
帷子つ らね/川島結佳子/川谷ふじの/北山あさひ/小池純代/
佐伯紺/榊原紘/笹原玉子/佐藤モニ カ/佐藤弓生/
白川麒子/菅原百合絵/高木佳子/田口綾子/ 竹中優子/
立花開/田中槐/ 谷川由里子/田宮智美/塚田千束/
道券はな/戸田響子/富田睦子/ 鳥居/永田紅/
野口あや子/花山周子/初谷むい/早坂類/林あまり/
松村由利子/松本典子/睦月都/ 盛田志保子/柳澤美晴/
山木礼子/山崎聡子/雪舟えま/横山未来子 (十首)
作品 紀野恵(五十首)
座談会 大森静佳/川野里子/永井祐/ 東直子/水原紫苑/穂村弘(司会)
女性の社会進出が進む今日、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法など、男女が共に働く法環境の整備は進んできました。しかし、依然として、「男はこうあるべきだ」「女はこうあるべきだ」といったジェンダーによる役割分担意識は根強く、職場における男女の賃金格差、昇進差別、セクシュアル・ハラスメントなど、問題は山積している。また、ワークシェアリングやディーセント・ワークといった新たな論点も浮かび上がってきた。さらに、一見平等に見える労働法制においても、そのモデルとなるのは男性労働者であり、女性の視点が欠けているという指摘もなされている。本書はこれら「女性と労働」に関するあらゆる問題を専門家の立場から分かりやすく解説したものである。
ロールズの提案する政治的リベラリズム、生き方や世界観の多様性のもとでの公共的理性の社会構想を手がかりとし、特に性別に与えられる意味の多様性に注目しながら、お互いに市民として他者と対話することで生まれる〈自由な共生社会〉の姿を示すと共に、社会的協働を支える諸制度のビジョンを雇用、家族、政治の領域で探求する。
はしがき
序章 自由な共生を求めて
1 世界観の対立と共生
2 規範的社会理論の試み──手がかりとしてのロールズ
3 性別の意味
4 本書の課題と構成
第1部 公共的理性の理論
第一章 公共的理性の社会構想──ロールズの政治的リベラリズム
1 〈相互性〉の社会をめざして
2 公共的理性という理念
3 リベラルな協働
4 協働のビジョンはいかに支持されるか
5 理念理論という方法
第二章 包括的世界観としてのフェミニズム──対話への呼びかけ
1 性別の意味の多様性
2 フェミニズムの性別秩序論
3 性別秩序の主観性と客観性
4 公共の性別秩序をめざして
第三章 公共世界と非公共世界──政治的リベラリズムの射程
1 フェミニズムによる公私分離批判
2 ロールズの家族論
3 オーキンによる批判とロールズからの応答
4 共生の深化
5 残された課題
第2部 原理と制度をめぐる公共的理性
第四章 公正な雇用機会とは何か──機会確保と反差別の複合原理
1 雇用機会の公正
2 ロールズの「機会原理」の批判的検討
3 市民の理念に基づく複合原理
4 統計的判断をめぐって
5 よりよい協働のための制度
第五章 婚姻制度は開かれうるか──人格的ケア関係と次世代育成の価値から
1 オルタナティブな婚姻形態
2 公共的理性の問い
3 人格的ケア関係
4 子どもという論点
5 公共的理性は開かれた制度を支持するか
第六章 代表は性別を纏うべきか──二元的代表による〈媒介の政治〉
1 女性の「過少代表」
2 実質的代表を求めて──集団代表の理念とその困難
3 性別の意味の書き換えをめざして──パリテの論理とその困難
4 存在の政治から〈媒介の政治〉へ
5 二元的代表を支える公共的理性
終章 構想から未来へ
1 包摂の構想
2 ラディカル・フェミニズムとの対話から
3 超包括的世界観との対話から
4 理念理論と私たちの未来
あとがき
初出一覧
文献
索引
男女共同参画社会の実現のために。人権論からジェンダー問題を考える。その歴史と理論・政策。
「ジェンダーを考えることは、自分の生き方を考えること」。“スピリチュアル”なジェンダー論を提唱する著者の、入門テキスト第2弾。前著『はじめて学ぶジェンダー論』では扱えなかった、「性的解放」「性教育」「セックスワーク」「性の商品化」「ダイエット」「中絶」「性暴力(DV、レイプ、セクハラ)」などの諸問題を、自分の足元からリアルな視点で考える。女性解放論(ウーマンリブ)、フェミニズム、女性学、ゲイ・スタディーズ、セクシュアリティ研究など、これまでの思想的営みの成果を引き継ぎ、著者独自の“スピリチュアル・シングル主義”を展開。ジェンダーを乗り越えるために、“多様性”を肯定し、非暴力的なあり方を探る。
近代日本の隠された罠を解き明かし、未だ清算されない、そして現在ふたたび問われる“道徳”“教育”“女性”の深層に迫る。サントリー学芸賞受賞作『御一新とジェンダー』を経て、遂に舞台は明治・大正・昭和の時代へー。日本思想史を根底から覆す、壮大な物語。福沢ー井上ー和辻、そして丸山真男という知の系譜。
本書は、情報を提供し、政策経験とグッド・プラクティス(良い慣行)を共有し、政府が教育(Education)、雇用(Employment)、起業(Entrepreneurship)における男女平等を促進する一助となることを目的としている。3Eすべての問題についてジェンダーの視点から現状を検証し、格差が広がった経緯と原因、男女平等に向かうために克服すべき障壁について考察する。また、より公平に競える場を作り出せる措置について、政府に政策提言を提供する。そうした提言の大部分は、女性・女子が経験している問題を改善し、経済活動への対等な参加を阻む障害を取り除くことを目的としている。しかし、男女平等が意味するのは、女性のエンパワメントだけではない。今回の研究では、なぜ多くの国の一部の学科で女子の成績ほど男子の成績が向上しないのか、なぜ父親が家庭に優しい政策を最大限に利用するのは難しいのか、変化を引き起こすために何ができるのかについても考察する。
◆本号より、編者に二宮周平を加え、一層の充実を図る - 【ジェンダー法学】の専門誌◆
第5号は2つの特集「1 家族」に3論文(高田、佐藤、金)、「2 セクシュアリティ」に5論文(谷口、齋藤、立石、松村、矢野)、新シリーズ「ジェンダー視点の比較家族法」では二宮と金による2論文を収録。「研究ノート」は、浅倉・鈴木による大学のセクハラ判例総覧、「立法・司法の動向」は夫婦別姓訴訟(二宮)。最新テーマで迫る家族法特集。
はじめに
第一章 男女共学の実施
一 女子教育政策としての男女共学
二 ジェンダー観の継承
三 新制高等学校の発足
第二章 男女共学の見直し論議
一 男女共学の状況
二 風紀問題という視点
三 女子の特性教育という視点
第三章 短期大学の女子教育機関化
一 短期大学の誕生
二 二つの短期大学
三 中堅職業人の養成
四 女子教育機関としての純化
第四章 女子学生批判が意味したもの
一 四年制大学に通う女性たち
二 女子大学無用論
三 女子学生亡国論
第五章 「家庭づくり」をめぐる政策
一 家族への関心
二 「家庭づくり」
おわりに
参考文献
事項索引
人名索引
「山宣ひとり孤塁を守る……」は、戦争とファシズムに反対した山宣こと山本宣治=孤高の人というイメージを広げたが、しかし実際には彼の大衆的人柄は多くの人々に愛された。治安維持法改悪には170人の議員が反対し、生物学者・性科学者であり科学と政治のかかわりを実践的にとらえていた山宣の生き方は、今日の市民社会と政治のあり方に新たな視座を与えるだろう。
〈推薦のことば〉
衆議院議員・立憲民主党国会対策委員長 安住 淳
私は、山本宣治先生の主義主張を超えた人間のあるべき姿を見い出したのです。立場は違いますが、あのようにありたい。時代に流されずに、おもねらず、筋を通す。時代を超越した凄みを、私は感じました。
衆議院議員・日本共産党国会対策委員長 穀田 恵二
立憲野党は、戦争への道許さないという立場で闘っています。「だが私は淋しくない 背後には大衆が支持してゐるから」の文言を、現代に置き換え、「市民と野党の共闘」が厳然と存在するとしました。
〈推薦のことば〉
衆議院議員・立憲民主党国会対策委員長 安住 淳
衆議院議員・日本共産党国会対策委員長 穀田 恵二
はじめに〜今なぜ山本宣治が注目されるのか
〈略歴〉山本 宣治
第1章 生物学者・山本宣治と科学的社会主義
1 スペイン・インフルエンザと山本宣治
2 神戸中学を1年足らずで退学
3 進化論と社会主義を学んだカナダ時代
4 G.F.ニコライ『戦争の生物学』上下の翻訳
5 『無産者生物学』における科学と社会
6 ジェンダー平等をめざして〜山本宣治『恋愛革命』
7 科学と政治の在り方〜コロナ禍のなかで
第2章 野党と市民が共同する時代の到来と山本宣治
1 日本共産党大会での立憲民主党・安住淳氏のあいさつ
2 山宣暗殺翌日の川崎安之助議員(立憲民政党)の国会での追悼演説
3 「立憲主義の危機」〜「大阪朝日新聞」「大阪毎日新聞」
4 3月8日の仏教青年会館(東京)での山宣告別式
5 京都三条青年会館での山宣・渡政労農葬
6 治安維持法の改悪に反対した170人の議員たち
7 韓国語版『民衆ととともに歩んだ山本宣治』(宇治山宣会)の刊行
8 山本宣治への新たな光〜分断を乗り越えるために
9 新しい時代、山宣の生き方と理論に学び実践する
第3章 社会運動史研究と社会運動の実践
1 山宣のDNA〜立憲民主党国対委員会が第92回山宣墓前祭に寄せたメッセージ
2 山宣の「孤高イメージ」の形成と研究者の立ち位置
3 戦後の社会運動家たちと戦争孤児
4 花やしきに泊まった本多公栄
5 信田さよ子『家族と国家は共謀する』を読む
あとがき〜最後まで生物学者であろうとした山宣
深刻な紛争や「民族対立」、宗教や慣習法による女性たちの困難はどうして生まれるのか。アフリカの歴史や政治体制を知ることで、原因や解決方法を探り、日本社会が、偏見なくアフリカのひとびとと交流をしていくことの大切さを学ぶ。
都市と地方との格差が国を超えて問題化する今日、都市とは人間にとってどのような場なのか。
本書は、近世から近代初期の江戸東京に視点をおき、同時代の東アジアの諸都市と比較しながら、その特徴を探るとともに、あらためて人間にとっての都市という存在の意義を問い直す。中国文明の大きな影響のもとにあって、歴史的に一国の政治経済の中心として建設された点で江戸東京と共通する朝鮮の漢陽との比較をはじめとして、東アジアのさまざまな都市を視野に問題を考える。
全体を、第1部「都市生活を較べる」第2部「女性の描く都市・都市のなかの女性」第3部「日中韓の女性たち」にわける。各国の都市文化から立ち現れてくるものは何か。ジェンダー・性・身分・階層・職分にも目を配りながら編む。
付録として、漢陽の文人柳得恭の記した歳時記『京都雜志』をもとにした『朝鮮の雑誌ー18〜19世紀ソウル両班の趣向』から4編を掲載。
関連年表、東アジアの女性文芸を知るためのブックガイドも完備。
近代以降、今日まで続く、政治を含めた日本社会の問題を捉えることも視野に入れた、最新の比較都市文化論。
執筆は、市川寛明・岩田和子・大木 康・金谷匡高・金 美眞・呉 翠華・高 永爛・小林ふみ子・鄭 敬珍・仙石知子・染谷智幸・高村雅彦・福 寛美・藤木直実・田中優子・土田牧子・山田恭子。