認め合う居場所とつながりの実感をー思春期・青年期の自己形成と支援のあり方、臨床教育の視点から双方にとっての支援の意味を問う。
児童・思春期の子供にとって、もっとも身近な内的葛藤の表現方法の一つであり続けている「不登校」(登校拒否)。著者は児童・思春期精神医学の観点から、特有の精神発達上の軛を子どもたちにもたらす不登校という現象への包括的かつ多層的な視点の重要性を指摘する。不登校の概念史、発達過程との関連、心身相関など不登校の諸側面の考察から、「過剰適応型」「受動型」「衝動型」など下位分類に即した精神療法・入院治療を軸に展開される治療論、支援に見通しをもたらす長期経過(予後)の検討、そして反抗挑戦性障害・家庭内暴力・自殺・いじめなどの周辺領域までを総覧することにより、複雑でありながら共通の人間関係や生活環境の変化をもたらす不登校特有のダイナミクスを浮かび上がらせる。27年にわたり不登校の治療・支援に携わってきた児童精神科医による、臨床から治療技法と支援戦略の提案。
思春期、それは性や死の力に強くとらわれ、こころが解体と再生を体験する時期。娘の家庭内暴力に苦しむ母親の心理療法の実例と、「書くことは自己治療的な行為」と語る村上春樹の小説世界の両面から、知られざる「思春期」のありように迫る。
親にとって子どもの「思春期」は子育ての仕上げの時。この時期に起こりやすい不適応や問題行動にどう対処すればよいか。本書では、親の基本姿勢やかかわり方、思春期のさまざまな問題に事例を挙げて対処法を示す。問題解決へのヒントをわかりやすく提示。子育てのコツ満載。
“思春期子育て”の“栄養剤”!「家族再生」にも効き目あり。
月刊誌「教育と医学」に掲載された分かりやすい優れた論考を選りすぐり、新たに推敲・加筆したものを、ライフステージごとに、全5巻に構成。
かけがえのない自分、社会のなかのちっぽけな自分ーー第3巻の本書では、大きな自己像と現実の間で揺れ動く青少年の心に焦点をあて、自らの存在の誇りを打ち砕かれた人びとのために、教育、精神医学、心理学の第一人者がサポートします。
総論 思春期・青年期における心 久保千春
第1章 中高生の悩み
日本の中高生の悩みーアメリカとの比較を通して 千石 保
悩める男子中高生の二事例 米倉五郎
悩める女子中高生 菅佐和子
悩める高校生像 土岐圭子
中高生の悩みの背景 頼藤和寛
コメンタリー 松山敏剛
第2章 青少年の性と性教育
青少年の性と臨床病理 山田和夫
性の悩みとその対応 北村邦夫
少女売春は何を意味するのか 藤岡淳子
段階を踏まえた性教育、そしてエイズ教育 入江幸子
性・エイズ教育における養護教諭の役割 川島令子
コメンタリー 松山敏剛
第3章 青少年の問題行動
青少年に積極的な自己イメージの発達と自己実現を 河内徳子
青年期のストレス 馬場謙一
いじめと思春期 高垣忠一郎
家庭内暴力と「切れる」若者たち 野邑健二・本城秀次
青年の自殺 榎本博明
コメンタリー 久保千春
第4章 少年非行
少年非行の変遷 青木信人
非行少年にみる暴力性とその家族 萩原惠三
薬物非行が提起するもの 村松 励
生徒の非行とスクールカウンセラー 馬殿禮子
非行生徒に対するスクールカウンセリング 吉開正史
コメンタリー 望田研吾
第5章 思春期・青年期のカウンセリング
養護教諭の担うカウンセラー的役割 北村陽英
不登校へのカウンセリング 滝川一廣
養護教諭とスクールカウンセリング 末廣晃二
中高生の母親カウンセリング 一ノ瀬節子
大学教諭と学生相談 下山靖彦
コメンタリー 望田研吾
あとがき 久保千春
著者略歴
索引