秘密結社青〓(チンバン)の首領・麻薬王・共産党員虐殺の主犯・恒社(ホンシャー)理事長・国民党陸軍少将・中匯銀行設立者・上海市参事会議長・60社の大会社社長…。様々な顔をもつ杜月笙の生涯を軸に、激動期上海の血塗られた裏面を暴く史実小説!
よこに羽織袴姿の、恰幅のいい日本人が1人。背景はブロードウェイマンションだ。「1943年秋、上海電影常務でおられた時分だ。隣りは郷康弘。上海電影の二枚目俳優だった。上海娘にモテてね。2人ともブロードウェイマンションの18階の一室に部屋を借りていて、上海脱出のお別れパーティもその部屋でやった。黄〓は上海租界の興行権を一手におさえ、熊谷、郷両氏との結びつきもその縁からです。もう一つ、黒衣社という秘密結社もあって、守彦氏は、こっちの首領とも仲が良かった。我々にとっては、最大の抗争相手だったが」-終戦の騒乱の中で謀殺された魍魎が、いま甦って、魔界と下界は破天荒な大混戦!
粋と無頼が匂いたつ街、SHANGHAI。豪壮な西洋建築が屹立するウォーターフロント空間=外灘(ハンド)。瀟洒なアールデコが華開く領事館世界。租界を一歩外に出れば、中華古来の迷路空間=県城や、蘇州河川向こうの日本人街=虹口(ホンキュウ)。「魔都」を舞台に列強や民族がくり広げる、権力と独立への夢と矛盾。上海をくまなく歩き、河岸にたたずみ、アジアの近代化の意味を、もう一度問い直す。
マルクス主義の立場から書かれた、政治・法学説史。
歴史上、つねに要害の地となった南京、越王勾践と呉王夫差があい争った水の都・蘇州、中国近代史の中心・上海、古くから文明が栄えた杭州、「香鑢峰の雪」で名高い廬山と磁器の景徳鎮を擁する江西、中国の臍・洞庭湖をはさむ湖南・湖北、国際貿易港として栄えた福建、山水の町・桂林、中国の南の窓・広州。バラエティに富んだ文明が重層して独特の文化を築いた中国の全体像を描く、歴史と旅の長篇紀行。
船舶保険訴欺のプロ・岩内亮はひょんなことから米軍の極秘最新兵器を手に入れた。さて誰に売りつけようかと思案するうち、米国、ソ連、中国の秘密情報局員、さてはイスラエルのモサドまで現われての四ツ巴追跡劇が始まって五島列島はてんやわんや。冒険小説界の旗手が放つ奇想天外の長篇スパイ小説。
近代日本の中国政策と深くかかわっていた東亜同文書院大学。敗戦へと向かう厳しい状況のもと、沖縄出身の日本人学生として同文書院で学ぶ主人公と国籍の異なる学友たち-。「日中共存共栄」の架け橋であろうとした同文書院が歴史に果した役割は何であったのか…。矛盾と分裂のなかでせめぎあう自らの青春体験を投影しつつ、東亜同文書院の運命を追う、長篇大作。
本書は古代エジプト人が使っていた古代エジプト文字、すなわちヒエログリフ(聖刻文字)を知るための簡便な、そして魅力的な入門書である。
文化大革命の燃え上がる初期の1966年8月、熱狂的な、若い紅衛兵の一団が、五十一歳になる、元国民党政府外交官の未亡人、鄭念とその愛する娘、梅平の住む、洗練された居心地の良い上海の家に乱入し、破壊と略奪の限りを尽くす。数週間後、鄭念は逮捕され、第一拘置所におくられる。彼女は、そこでその後の六年以上を、独房の幽閉生活の迫害と耐えねばならなかった。この本は、彼女自身が、この痛ましい時代とその後を回想して記した、人間の真の強さを伝える、感動的な物語である。クリストファー賞受賞。
中国黒竜江省の省都・ハルビンから上海まで、3500キロの長大な距離を自転車で走り抜けた青年たちがいた。東北地方では冷たい雨に打たれ、南部では猛暑のなか連日200キロを超す厳しいサイクリングとなった。言葉の壁、習慣の違い戸惑い、悪路ではパンクの連続に悩まされた17日間の過酷なラン。「サイクリングを通じて日中友好」を合言葉に、広大な中国大陸に自転車を駆った彼らが求めたものはー。
文化大革命の燃え上がる初期の1966年8月、熱狂的な、若い紅衛兵の一団が、51歳になる、元国民党政府外交官の未亡人、鄭念とその愛する娘、梅平の住む、洗練され居心地の良い上海の家に乱入し、破壊と略奪の限りを尽くす。数週間後、鄭念は逮捕され、第一拘置所におくられる。彼女は、そこでその後の六年以上を、独房に幽閉生活の迫害と屈辱に耐えねばならなかった。この本は、彼女自身が、この痛ましい時代とその後を回想して記した、人間の真の強さを伝える、感動的な物語である。
吉永みち子の体当りインタビュー。各業界をリードするトップ24人がざっくばらんに人生を語る。
人間の知的活動の中心に、学習・記憶・問題解決という重要なテーマがある。人間は言葉、文字、動作などによって得られた情報を脳に蓄積し、その記憶に基づいて、与えられた問題を推論し、決定することができる。コンピュータに人間と同じような機能を持たせるには、これらのメカニズムを解明する必要がある。本書は、「人間はなぜ思い出すのか」つまり人間の記憶のメカニズムの認知科学的アプローチを試みた、斯界の第一線の研究者によるユニークな成書である。
租界時代の遺物のなかに現代の中国人が蠢いている奇怪な情景。足かけ20年にわたる著者の上海行は、都市の歴史を冷厳に捉える確かな時と抑制された映像とを保証した。あたかも記憶のヴェールが1枚ずつ剥されてゆくかのように、写し撮られた映像は変貌する都市の複雑な素顔を垣間見せる。都市が〈人民〉を〈大衆〉に変えている。
食、酒、美女、政治、雑踏…。推理作家、朝日新聞上海特派員の著者がノスタルジアの街、上海でおりなす「歴史との対話」の数々。初エッセイ集!
国際都市上海は、港、租界、ジャズ、謀報合戦、耽美、最新、ジャンクが紡ぎだしな華やかな万華鏡であった。そこにたゆたう日本人のさまざまな思いをつないだ、村松友視選セピア色のアンソロジー。