ジェンダー問題は身近な課題であるとともに,現代社会を生きるうえで不可欠な諸問題と深くかかわりをもっている。ジェンダーを,生物学的性差との関連で位置づけ,歴史の変化や文化との関連について考察する。そして,性差別,性暴力,労働,家族,教育といった現代社会をめぐる諸問題を,ジェンダーという視点から考察する。「女らしさ」というジェンダーの縛りやそれが抱えてきた課題,また男性性の危機や男性学,男性運動などにも言及している。国際社会の動きを見据えつつ,日本社会におけるジェンダー政策の可能性を探る。
1.ジェンダーと社会学の視点 2.生物学的性差とジェンダー 3.文化の中のジェンダー 4.歴史の中のジェンダー 5.性差別とジェンダー 6.性暴力とジェンダー 7.「女らしさ」という課題 8.「男らしさ」のゆくえ 9.労働とジェンダー 10.家族の中のジェンダー 11.教育とジェンダー 12.スポーツとジェンダー 13.セクシュアリティとジェンダー 14.国際社会とジェンダー 15.ジェンダー政策のゆくえ
分析と証言の両面から新聞社の実態に迫るフェニミズムのフロンティア。
クレヨンが主人公の多様性を理解する絵本、中高生から出た疑問にQ&Aで答える本、LGBTの友だちを理解できるマンガの4冊セット。知識先行の学習ではなく、性の多様性や「らしさ」について考えるための入門シリーズです。
LGBTなんでも聞いてみよう 中・高生が知りたいホントのところ
レッド あかくてあおいクレヨンのはなし
知ってる?LGBTの友だち マンガ レインボーKids
知ってる?ジェンダー・セクシュアリティ マンガ カラフルKids
日本の軍事組織・自衛隊及び防衛大学校をめぐるジェンダー・イデオロギー研究。米軍における膨大な先行研究を取り込み、自衛隊のジェンダー政策と自衛官募集ポスターの表象の変遷を追い、自衛隊及び防衛大学校のフィールド・ワークを行うことで、自衛隊が、男性を範型とし、性別関与的に組織を構造化してきたプロセスを解明する。はたして、軍隊への男女共同参画は、究極の男女平等のゴールなのか?フェミニズム最大のタブーに挑戦する本格派社会学者の登場。
日本近世におけるジェンダーの特質とは何か。農村の「家」経営体に焦点をあて、家族労働をジェンダーの視点から分析。さらに女性と衣料生産や、百姓身分とジェンダーの関係性にも論及する。また、幕藩制国家の政治と権力の問題を、領主階級の女性たちの土地所有の変化や、一橋徳川家の「女中のゆくえ」にみる近世的ジェンダーの変容から探り出す。
第一部=日本近世農村の「家」経営体とジェンダー/第一章=日本近世農村の「家」経営体とジェンダー(ジェンダーに関する知をめぐって/水平的ジェンダーの存在/「家」経営体Aの変質とジェンダー/「家」経営体Bとジェンダー垂直化)以下細目略/第二章=日本近世農村の「家」経営体における労働とジェンダー/第三章=近世後期農村の「家」経営体におけるジェンダー分業/第四章=日本近世農村の「家」経営体における労働心性とジェンダー/第五章=日本近世の衣料生産とジェンダー言説/第六章=日本近世の百姓身分とジェンダー/第七章=近世村落とジェンダー・ヒエラルヒー/第二部=幕藩制国家システムとジェンダー/第一章=幕藩制成立期の家と女性知行/第二章=幕藩制国家の政治構造と女性/第三章=幕藩制国家崩壊と女中たち
政治代表における男女の不均衡を是正するため、候補者・議席の一定数を女性に割り当てる制度、ジェンダー・クオータ。いまや世界の趨勢となっているこの制度をヨーロッパ、アジア、南米の事例から検証し、日本で導入される政治的条件を探る、画期的な試み。
東南アジア諸国では、高等教育段階において女性が優位となるリバース・ジェンダー・ギャップ現象が進行している。「女性の高学歴化の光と影」「男子はどこへ問題」「ジェンダー二元論を懐疑し、超える」といったテーマを軸に、この新しい現象の現状やその背景要因の解明を試みる。
変化の直中にあるアボリジニ社会。その歴史的背景や社会的実践のあり方を、しなやかで力強い生き方を見せる女性たちに着目して描き出す民族誌。男女の関係や平等のあり方は決してひとつではないことを示し、人類学的方法のオルターナティブを提案する。
アジアのセクシュアリティとジェンダーのあり方を鍵として,東アジアと南アジアを中心とする父系的社会と,東南アジアから日本・韓国までの双系的社会という2つの社会を区別し,それに文明化と近代化が重なって生み出された,アジアの重層的多様性を描き出す。
序論 アジアの重層的多様性(落合恵美子)
【第1部 セクシュアリティ──2つのアジアと1つの近代】
◇1-1 2つのアジア 1. カーマスートラを解読する/2. 朝鮮後期における妾と家族秩序/3. タイの性愛文化におけるヨバイの伝統/4. 百歳女性のライフヒストリー ◇1-2 性と愛の近代 5. 性と愛をめぐる論争/6.植民地朝鮮における新女性,セクシュアリティ,恋愛/7. 「爆弾」としての婚外性交渉 ◇1-3 セクシュアリティの現在 8. レイプ,懲罰,国家/9. 男性ピンナップ,GRO,マッチョ・ダンサー/10. 北京におけるゲイ・コミュニティの実態調査
【第2部 ジェンダー──葛藤と実践】
◇2-1 伝統の重層性 11. 仮面と素顔/12. 「男性の概念」とは何か/13. 女性・神学・暴力/14. 江戸時代は女性にとって暗黒の時代か ◇2-2 近代的性役割の成立と変容 15. 良妻賢母思想の成立/16. アメリカ植民地教育はフィリピン女性の地位をどう変えたか/17. 男性性を作り直す/18. 最後の伝統的な姑 ◇2-3 アジアのフェミニズム 19. 女にとって産むこと産まぬこと/20. 韓国家族法における男女平等 対「伝統」/21. 語られない秘密/22. 「被害者化」を超えて
女性の社会進出が進む今日、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法など、男女が共に働く法環境の整備は進んできました。しかし、依然として、「男はこうあるべきだ」「女はこうあるべきだ」といったジェンダーによる役割分担意識は根強く、職場における男女の賃金格差、昇進差別、セクシュアル・ハラスメントなど、問題は山積している。また、ワークシェアリングやディーセント・ワークといった新たな論点も浮かび上がってきた。さらに、一見平等に見える労働法制においても、そのモデルとなるのは男性労働者であり、女性の視点が欠けているという指摘もなされている。本書はこれら「女性と労働」に関するあらゆる問題を専門家の立場から分かりやすく解説したものである。
「山宣ひとり孤塁を守る……」は、戦争とファシズムに反対した山宣こと山本宣治=孤高の人というイメージを広げたが、しかし実際には彼の大衆的人柄は多くの人々に愛された。治安維持法改悪には170人の議員が反対し、生物学者・性科学者であり科学と政治のかかわりを実践的にとらえていた山宣の生き方は、今日の市民社会と政治のあり方に新たな視座を与えるだろう。
〈推薦のことば〉
衆議院議員・立憲民主党国会対策委員長 安住 淳
私は、山本宣治先生の主義主張を超えた人間のあるべき姿を見い出したのです。立場は違いますが、あのようにありたい。時代に流されずに、おもねらず、筋を通す。時代を超越した凄みを、私は感じました。
衆議院議員・日本共産党国会対策委員長 穀田 恵二
立憲野党は、戦争への道許さないという立場で闘っています。「だが私は淋しくない 背後には大衆が支持してゐるから」の文言を、現代に置き換え、「市民と野党の共闘」が厳然と存在するとしました。
〈推薦のことば〉
衆議院議員・立憲民主党国会対策委員長 安住 淳
衆議院議員・日本共産党国会対策委員長 穀田 恵二
はじめに〜今なぜ山本宣治が注目されるのか
〈略歴〉山本 宣治
第1章 生物学者・山本宣治と科学的社会主義
1 スペイン・インフルエンザと山本宣治
2 神戸中学を1年足らずで退学
3 進化論と社会主義を学んだカナダ時代
4 G.F.ニコライ『戦争の生物学』上下の翻訳
5 『無産者生物学』における科学と社会
6 ジェンダー平等をめざして〜山本宣治『恋愛革命』
7 科学と政治の在り方〜コロナ禍のなかで
第2章 野党と市民が共同する時代の到来と山本宣治
1 日本共産党大会での立憲民主党・安住淳氏のあいさつ
2 山宣暗殺翌日の川崎安之助議員(立憲民政党)の国会での追悼演説
3 「立憲主義の危機」〜「大阪朝日新聞」「大阪毎日新聞」
4 3月8日の仏教青年会館(東京)での山宣告別式
5 京都三条青年会館での山宣・渡政労農葬
6 治安維持法の改悪に反対した170人の議員たち
7 韓国語版『民衆ととともに歩んだ山本宣治』(宇治山宣会)の刊行
8 山本宣治への新たな光〜分断を乗り越えるために
9 新しい時代、山宣の生き方と理論に学び実践する
第3章 社会運動史研究と社会運動の実践
1 山宣のDNA〜立憲民主党国対委員会が第92回山宣墓前祭に寄せたメッセージ
2 山宣の「孤高イメージ」の形成と研究者の立ち位置
3 戦後の社会運動家たちと戦争孤児
4 花やしきに泊まった本多公栄
5 信田さよ子『家族と国家は共謀する』を読む
あとがき〜最後まで生物学者であろうとした山宣
小学校4〜5年生くらい(思春期)の子どもをもち、性教育についてどうしたらよいか悩んでいるママ・パパに向けて、「子どもの体の変化をポジティブにとらえる」、「自分の“ふつう”は本当にふつう?」、「子どもの性的関心にどう向き合うか」、「ジェンダーについて」など、「おうちで、こう話してみよう!」がわかる本です。小中学生を対象とした「いのちの授業」や性教育の講座などで広く活躍中の著者が、子育てで実際に直面するさまざまな悩みに寄り添い、マンガ多めで読みやすく解説しました。「思春期を迎えてからでは遅いのか?」「性教育には抵抗感がある」などと困っている方でも大丈夫!今からでも遅くありません。性、いのち、ジェンダー、防犯、人権について。これぜんぶ性教育です。あなたの子育てをアップデートしませんか?
ロールズの提案する政治的リベラリズム、生き方や世界観の多様性のもとでの公共的理性の社会構想を手がかりとし、特に性別に与えられる意味の多様性に注目しながら、お互いに市民として他者と対話することで生まれる〈自由な共生社会〉の姿を示すと共に、社会的協働を支える諸制度のビジョンを雇用、家族、政治の領域で探求する。
はしがき
序章 自由な共生を求めて
1 世界観の対立と共生
2 規範的社会理論の試み──手がかりとしてのロールズ
3 性別の意味
4 本書の課題と構成
第1部 公共的理性の理論
第一章 公共的理性の社会構想──ロールズの政治的リベラリズム
1 〈相互性〉の社会をめざして
2 公共的理性という理念
3 リベラルな協働
4 協働のビジョンはいかに支持されるか
5 理念理論という方法
第二章 包括的世界観としてのフェミニズム──対話への呼びかけ
1 性別の意味の多様性
2 フェミニズムの性別秩序論
3 性別秩序の主観性と客観性
4 公共の性別秩序をめざして
第三章 公共世界と非公共世界──政治的リベラリズムの射程
1 フェミニズムによる公私分離批判
2 ロールズの家族論
3 オーキンによる批判とロールズからの応答
4 共生の深化
5 残された課題
第2部 原理と制度をめぐる公共的理性
第四章 公正な雇用機会とは何か──機会確保と反差別の複合原理
1 雇用機会の公正
2 ロールズの「機会原理」の批判的検討
3 市民の理念に基づく複合原理
4 統計的判断をめぐって
5 よりよい協働のための制度
第五章 婚姻制度は開かれうるか──人格的ケア関係と次世代育成の価値から
1 オルタナティブな婚姻形態
2 公共的理性の問い
3 人格的ケア関係
4 子どもという論点
5 公共的理性は開かれた制度を支持するか
第六章 代表は性別を纏うべきか──二元的代表による〈媒介の政治〉
1 女性の「過少代表」
2 実質的代表を求めて──集団代表の理念とその困難
3 性別の意味の書き換えをめざして──パリテの論理とその困難
4 存在の政治から〈媒介の政治〉へ
5 二元的代表を支える公共的理性
終章 構想から未来へ
1 包摂の構想
2 ラディカル・フェミニズムとの対話から
3 超包括的世界観との対話から
4 理念理論と私たちの未来
あとがき
初出一覧
文献
索引
身近な例から性別による抑圧や問題性をつき、売買春、子育て、主婦優遇策などの難問をわかりやすくときほぐす。
「よりよい性の商品化を」「フェミニズムは女のものか」など、挑発的・根源的な発言で注目されている著者が、ジェンダー、セクシュアリティ、男性差別、子育て、主婦優遇政策について、楽しくわかりやすく縦横無尽に語りおろす。チビとダイエット、バストとハゲ、男女のおごりの力学、不倫・性道徳など身近なはっとする例をひいて性別による抑圧や問題性を突く。とくに、性の商品化については、この難問をタブー視せずに自由に議論しようと提唱。ポルノ、売買春、性労働、性犯罪にかかわる課題を一つ一つ明らかにしていく。単に禁止したり規制するだけでなく、多様な性の規範の共有を許すルールづくりを提言。
はしがき
1 お笑いジェンダー論
1 ジェンダーとはーー「男はこうだ、女はこうだ」
2 主婦はいつ生まれたのか
3 家事の男女比較と日本の地域差
4 ひどい「男性差別」--男女共同参画社会は男にとっても楽な社会だ
5 主婦という制度は曲がり角ーー配偶者控除は必要か
2 ジェンダー随笑録
1 メッセージ 男から
2 世間のからくり
3 子育ては愉快だ
4 男女共同参画社会時代のフェミニズム
3 セックスワーク論ーー売春は禁止できない
1 何を何のために論じるのか
2 非公然性の原則
3 性=人格
4 性差別批判
5 資本主義批判
6 近代社会の構造として
7 現場の問題・性犯罪
8 道徳主義的アプローチをこえて
9 自己決定を妨げるものーー強制と抵抗
10 自己決定が成立する条件
11 性の意味づけの変化
12 性的弱者
13 自己決定にもとづく棲み分けーー性規範による規制から手続きへ
14 われわれにできること
4 主婦保護撤廃論
脱・専業主婦時代の家族政策ーー家族の戦後体制を越えて
はじめにーー新しい政策のセットへ
1 家族の戦後体制と専業主婦保護
2 専業主婦の階層的位置
3 保護撤廃の方向性
4 高齢社会と新たなライフスタイル
主婦の階層的位置
1 比較における主婦の位置
2 日本における主婦の位置
3 主婦の保護をはずす方向へ
あとがき
文 献
初出一覧
2017年に122ヵ国・地域の賛成で採択された核兵器禁止条約。核保有国の非難にもかかわらず、この条約はどんな役割を果たし展望を開いているのか。市民の世論と運動はなぜ国際社会を動かすことができたのか。戦争と平和の問題におけるジェンダー視点とは。日本共産党の貢献も含め詳しく解明した発見に満ちた一冊です。
「ジェンダーを考えることは、自分の生き方を考えること」。“スピリチュアル”なジェンダー論を提唱する著者の、入門テキスト第2弾。前著『はじめて学ぶジェンダー論』では扱えなかった、「性的解放」「性教育」「セックスワーク」「性の商品化」「ダイエット」「中絶」「性暴力(DV、レイプ、セクハラ)」などの諸問題を、自分の足元からリアルな視点で考える。女性解放論(ウーマンリブ)、フェミニズム、女性学、ゲイ・スタディーズ、セクシュアリティ研究など、これまでの思想的営みの成果を引き継ぎ、著者独自の“スピリチュアル・シングル主義”を展開。ジェンダーを乗り越えるために、“多様性”を肯定し、非暴力的なあり方を探る。