海にまつわる問題点を各方面の専門家たちが俯瞰的に考え、解決への道筋を提言する当シリーズ。
第6巻は現在の日本で大きな問題になっており、SDGs5でも開発目標とされているジェンダー平等がテーマ。
世界経済フォーラムが発表するジェンダーギャップ指数では常にランキング下位争いとなっている日本。例にもれず、海に関する仕事・研究に携わる女性の数も少しずつ増えてきているとはいえ、まだまだ平等には程遠いのが現状です。
生物における性の変化、現場最前線での取り組み、国内外の現状、それらを踏まえて海のジェンダー平等を目指すにはどうするべきか。
様々な角度から17人の女性識者が論じます。
【目次】
はじめに
窪川かおる 海洋でのジェンダー平等を実現することはなぜ大切か
秋道智彌 海から探るジェンダー論
第1章 ジェンダー論の地平
長谷川真理子 性の起源ー性とは何か?
岩⽥恵理 性転換する海洋生物ー性という戦略
窪田幸子 アボリジニにおける両性具有ードリーミングの虹蛇
明星つきこ 男と女をつなぐ船ー南スラウェシにおける船づくりに見るジェンダー観
桑原牧⼦ ポリネシアにおける多様な性の共⽣ーマフとラエラエ
第2章 海洋保護の最前線で
阿部朱音 タイのジュゴン保護区と漁民ーアンダマン海の事例
木村里子 スナメリを音響で追いかける
高橋そよ サンゴ礁漁撈文化の知恵と物語を紡いで
小島あずさ 誰もが海ごみ問題の当事者
清野聡子 対馬における海洋保護区
第3章 海のジェンダー平等へ
関いずみ 漁村女性のネットワークの展開と今後
原田順子 男性中心から男女共同参画へ
古谷千佳子 海女たちの世界
宮澤京子 ミクロネシアから考えるジェンダー平等
窪川かおる 女性たちをエンパワーするために
徳永佳奈恵 水産経済学と女性のキャリア
北田桃子 流れを変えるー海のジェンダー平等へ
おわりに
阪口秀 母が遺した言葉
用語集
近年、ジェンダー・フリーという言葉をめぐり、はなはだしい曲解や誇張をもとに、男女平等に関わる教育実践や性教育へのバッシングが起こっている。さらに、ジェンダーという言葉そのものやジェンダー学/研究にまで攻撃の対象が広がってきた。しかし、言葉を換え、使わなければ問題は解決するのか。そうではないだろう。なぜなら、いま問われているのは、まさに「男女平等」の意味だからだ。本書では、9名の執筆者がそれぞれの専門分野からバッシングの社会的背景を分析し、その対象となっている「ジェンダー・フリー教育/男女平等の観点からの教育」「家庭科」「性教育」などの議論や実践を整理しつつ、現状の困難を打ち破る方法を探る。
グローバル化と研究の細分化の中で、いまや大きな転換期を迎えつつあるジェンダー人類学-その膨大な蓄積を整理し、問題点と可能性を探る。本書は、今後のすべての議論の出発点である。
〈女性作家たちの生涯から読み解く〉
少女だけでなく、大人の読者も魅了してやまない三人の少女小説作家──オルコット、バーネット、モンゴメリ。
栄光に包まれた彼女たちの道のりは、決して平坦なものではなかった。
彼女たちが闘ったジェンダーの壁を、その作品と生涯から読み解く。
■はじめに
■第1章 『若草物語』
反抗の叫び──ルイザ・メイ・オルコット
■第2章 『小公子』『小公女』から『秘密の花園』へ
野ブドウを摘んだ少女──フランシス・ホジソン・バーネット
■第3章 「アン」と「エミリー」
光と闇のはざまで──ルーシー・モード・モンゴメリ
■註
■おわりに
■作家たちが生きた時代
■略年表
■主な参考図書
本書は日韓の女性たちが初めて、ともにつくった近現代史書です。日本と韓国は海を挟んでむかいあい、長い交流の歴史があります。しかし、近代の日韓の関係は日本の植民地支配にはじまり、韓国の人びとを戦争にまきこみ、癒しがたい傷を残しました。この本がめざしたのは、ジェンダーの視点から過去をとらえなおし、歴史的体験を共有することです。そして、どのようにして戦争のない未来をつくっていくか、若い世代とともに考えたいのです。
現代社会で育まれた先鋭な視点を通して第二波フェミニズムの諸テーマを再検討し、フェミニズムの新たなステージを切り開く。現代の生・性・思想に貫通するカラクリを探き出す挑戦的16編。
“ことばを使う行為”を通して、私たちはどのような女/男であろうとしているのか。“ことば…”はジェンダーの権力関係にどう左右されるのか/どう変革しているのか。ジェンダーに関するイメージ・規範・カテゴリーは“ことば…”によってどのように作り上げられ正当化され普及しているのか?研究史と最新の成果。
骨折りや苦心が適度に分担され、同僚や家族に認められ、順当に報われること、そして労働の場と生活の糧が保障されること。人間が生きていくうえで欠くことのできないこれらの課題を、社会科学の観点から追究し、学問と暮らしが接する面を広げ、ジェンダー・バイアスのない新たな承認と包摂のあり方をめざす、経済学、社会政策、労働法学、社会学、政治学の試み。
暴力・国家・ジェンダーのいくつかにフックをかけ、ルソー、アダム・スミス、J.S.ミル、ケインズというイギリス政治経済学の泰斗、19世紀ロシアのチェルヌイシェフスキー、バークとモーゲンソー、アガンベンを読み解く。暴力のコントロールや平和構築、生のあり方に迫る思想史・現代思想研究を核にして、神奈川県相模原市における女性の公民館活動を追った現代日本政治史研究、現代フランス政治に執政制度論から接近し、ポピュリズムの制度的背景を探る比較政治研究を加えた論稿集。グローバル化が進み、暴力への恐れが市民社会とデモクラシーに打撃を与え、不寛容がおおう世界を考え、生き抜くために立ち返るべき思想と実践に迫る。
第1章 ルソー的視座から見た1792年8月10日の革命 -国王の拒否権と民衆の直接行動をめぐってー
第2章 チェルヌィシェフスキーと小説『何をなすべきか』 -「革命的民主主義者」の女性論ー
第3章 アダム・スミス,J.S.ミル,J.M.ケインズにおける人間の幸福論と国家論 -イギリスの政治経済学説と国家ー
第4章 エドマンド・バークを読むモーゲンソー
第5章 アガンベンにおける国家
第6章 選挙の同期化による「コアビタシオン」回避と第五共和制 -半大統領制とデモクラシーー
第7章 相模原市県立高校設置促進運動にみる一断面 -婦人学習グループと河津市政の連携ー
二元的なジェンダー制度をもつ主流文化に対抗するクィア芸術家ボーンスタインの精神と肉体の履歴。
身近な例から性別による抑圧や問題性をつき、売買春、子育て、主婦優遇策などの難問をわかりやすくときほぐす。
「よりよい性の商品化を」「フェミニズムは女のものか」など、挑発的・根源的な発言で注目されている著者が、ジェンダー、セクシュアリティ、男性差別、子育て、主婦優遇政策について、楽しくわかりやすく縦横無尽に語りおろす。チビとダイエット、バストとハゲ、男女のおごりの力学、不倫・性道徳など身近なはっとする例をひいて性別による抑圧や問題性を突く。とくに、性の商品化については、この難問をタブー視せずに自由に議論しようと提唱。ポルノ、売買春、性労働、性犯罪にかかわる課題を一つ一つ明らかにしていく。単に禁止したり規制するだけでなく、多様な性の規範の共有を許すルールづくりを提言。
はしがき
1 お笑いジェンダー論
1 ジェンダーとはーー「男はこうだ、女はこうだ」
2 主婦はいつ生まれたのか
3 家事の男女比較と日本の地域差
4 ひどい「男性差別」--男女共同参画社会は男にとっても楽な社会だ
5 主婦という制度は曲がり角ーー配偶者控除は必要か
2 ジェンダー随笑録
1 メッセージ 男から
2 世間のからくり
3 子育ては愉快だ
4 男女共同参画社会時代のフェミニズム
3 セックスワーク論ーー売春は禁止できない
1 何を何のために論じるのか
2 非公然性の原則
3 性=人格
4 性差別批判
5 資本主義批判
6 近代社会の構造として
7 現場の問題・性犯罪
8 道徳主義的アプローチをこえて
9 自己決定を妨げるものーー強制と抵抗
10 自己決定が成立する条件
11 性の意味づけの変化
12 性的弱者
13 自己決定にもとづく棲み分けーー性規範による規制から手続きへ
14 われわれにできること
4 主婦保護撤廃論
脱・専業主婦時代の家族政策ーー家族の戦後体制を越えて
はじめにーー新しい政策のセットへ
1 家族の戦後体制と専業主婦保護
2 専業主婦の階層的位置
3 保護撤廃の方向性
4 高齢社会と新たなライフスタイル
主婦の階層的位置
1 比較における主婦の位置
2 日本における主婦の位置
3 主婦の保護をはずす方向へ
あとがき
文 献
初出一覧
女性は古来、その身体性、また、身分や階層などに由来する多元的な差別の対象とされ、社会進出を阻まれてきた。歴史的に構築された強固な「壁」は、今日もなおあらゆる分野に屹立し、男女共同参画社会の形成を阻害している。その「壁」の本質を法学、政治学、経済学、社会学、行政学などの視点から検証し、「壁」を超えてジェンダー平等を実現するための課題と処方箋を示す。
ジェンダー二元論の規範の中で、“女”や“男”の身体はどのように生き、抵抗してきただろうか。生物学的宿命論もバトラー流の幻想論も拒否して“女”の身体にこだわる。
拡張的変革を続けるジェンダー・スタディーズ!フェミニズムと女性学をふくむ多領域の学を、50のキーコンセプトで読み解く。
本書では、トラウマとジェンダーが重なる問題として、対人的なトラウマ、それも親密な関係における長期反復的なトラウマであるドメスティック・バイオレンスや性暴力、児童虐待の事例を数多く取り上げ、議論しているが、これらは社会的にも対応に危急を要するテーマでもある。臨床にすぐ役立つ、ジェンダー・センシティブなアプローチの要点を提示し、さらに、臨床現場にトラウマとジェンダーの視点をとり入れることで、具体的にクライエントの何を見、どのような働きかけをし、どんなことに気を配るかを事例検討で明らかにしている。