「半径数キロメートルの中で異文化が凝集し、交錯する過程から多様な混合やオルタナティブが生まれ、その只中で人々が自らの生き方を模索していた」(「あとがきにかえて」より)。不忍池を西湖に擬した漢文脈、お雇い外国人、そして留学生たちの「もう一つの上野」…。芸術の場所性をあらたに描く試み。
はじめに リビング・イン・上野
本書の目的/用語の定義・理論的背景/章構成
第一章 下谷文人ワールド
「勇敢たる新世界」へ/文人の巣窟/詩社を興す/「小西湖」で集う/当世を嘲弄/芸術関係商店の集積/弁天島でデビュー/下谷の地域効果/下谷文人の終焉
第二章 湖心亭ラプソディ
スキャンダルの場/根岸へ転居/医学との出会い/博覧会という「登竜門」/湖心亭で勉強会/大磯を経て京都へ/制度の「登竜門」と「地域効果」の両方を掴んで/下谷撤退と栄光時代の閉幕
第三章 高台異人ヤシキ
蓮の国を訪れて/「ライブ・マシン」として/上野外国人教師館/「加賀屋敷」に住まう/「五番様」/第一外国人教師館/美術界への入り口としての上野/居住地とキャリアとの相関関係
第四章 根岸マッピング
「ニュー・ハイ・シティ」へ/重なり合う根岸の文芸団体/界隈で界隈の地図を制作/郷土史を語り、鉄道に対抗/「根岸」によって自己を再創/「コミュニティ・マッピング」という実践
第五章 谷中リパブリック
「活気あふれる芸術の中心地」へ/芸術運動を推進/ソーシャル・ネットワークづくり/谷中八軒家/上昇する社会的軌跡/私立美術学校や商店の集積/上野という芸術戦場/一九三〇年代以降
第六章 隣国ソジャーン
同文唱和/「小西湖」のタブー化/博物館訪問/近距離で安価な留学先/シノファイルと交流/上野で生活・勉学/文芸団体を設立/文展を訪ねる/二種類のネットワーク
おわりに 流転する都市とともに生きる
芸術の場所性を再考/ビヨンド上野/芸術都市の現在地
あとがきにかえて 芸術都市の原(幻)風景
注/図版一覧
砂漠の風土と芸術創造の関連性を探究する──
映画を含む芸術を、和辻哲郎が論じた風土と環境から読み解く
芸術人類学の新たなる試み。
人類の文明は砂漠で成立した。古代エジプト、イスラームの美術、
唐草文様、オリエンタリズム、シュルレアリズム、ランドアート、
アメリカ写真史、ロードムービー、西部劇……
逆らいようのない苛酷な砂漠の環境は、宗教を成立させ、
芸術の創造にも数々の影響を及ぼしてきた。
砂漠のなかで生まれた芸術、砂漠へ挑んだ西洋画家たち、
砂漠を背景に描いた映画やランド・アート、
そして砂漠に影響を受けた日本人作家まで、
「砂漠」を軸に芸術を読み解く画期的研究。
帯文は伊藤俊治氏!
序章 砂漠の環境と芸術の関連性
第1章 砂漠始原の芸術
1 砂漠はどのような場所なのか
2 移動する民族
3 古代エジプト文明と美術
4 イスラーム教の文化と美術
5 砂漠から始まった宗教
6 砂漠の抽象
第2章 ヨーロッパの近代絵画とアメリカの現代美術
1 オリエンタリストが描いた中東
2 想像の風景画 シュルレアリスム
3 ヨーロッパ人と砂漠
4 ジョージア・オキーフの眼差し
5 ビル・ヴィオラの覚醒
6 ランド・アート
7 アメリカの写真芸術
8 砂漠の国のカウンター・カルチャー
第3章 西部劇と砂漠の映画史
1 西部劇とアメリカ
2 マカロニ・ウエスタン
3 荒野を移動する ロバからロケットへ
4 ローカルタウン
5 SF映画とデス・フューチャー
6 西部劇の惑星 スター・ウォーズ
7 砂漠を越えて成立した西部劇 ハリウッドの功績
第4章 砂漠の映画によって表象された人間
はじめに
1 ロードムービー
2 ニコラス・ローグ
3 大地と生命 土から生まれる魂と、砂漠からの生還
4 砂漠と戦争
5 人害の砂漠
6 大地に抵抗する人間の物語
第5章 日本と砂漠
1 極東の砂漠幻想
2 黒澤明と荒れ地
3 奇想の砂漠
4 淨土 照らされた大地
終章 砂漠と創造
1 砂漠芸術の現在
2 風土と思想
3 大陸を移動すること
あとがき この世界を砂漠の環境から思考する
付録
砂漠の所在
砂漠地帯の名称と分布地図
参考資料一覧
志望校攻略に欠かせない大学入試過去問題集「赤本」
近代資本主義下の科学と科学技術に支配された人間と時代の病弊を芸術と芸術家に論及し暴き出し、プラトン、ゲーテ、ユングらを援用しつつ、真の芸術と呼ぶ創造的営為および人間的回復への方途を探った記念碑的著作。
近代美術を退廃と決めつけた「美術あらし」は、ドイツ全国の美術品、支持者の美術館長、作者、ユダヤ系芸術家を吹き飛ばし、美術品焼却事件まで引き起こす。ナチ体制が、健全な美術としたものは何か。その退廃と健全を象徴する2つの大展覧会を中心にナチ前夜から戦後までの歴史を詳細に追いながら、笑うことのできない集団心理と、芸術とは何かを問う。
20世紀ー機械の時代、網目構造のメディアの時代ー。モダニズムからポストモダニズムまで、芸術・デザインの実践と思想の変遷を追う。
本書は、〈存在論的エートス論〉と〈世界述語論〉を構造契機とする〈存在論〉の枠組みにおける芸術的なるものの存在論的研究であり、プラトンにおける〈解釈〉の問題に手を染めて以来〈存在と意味〉という問題意識のもとに考察してきたものの一つの流れを芸術的なるものの存在論的位置づけを中心として綜合したものである。
本書は、著者それぞれの専門の立場から、「見ること」、「聞くこと」、あるいは「語ること」の「楽しみ」を語る、さらにまた長年の経験を通じて得た「芸術」についてのそれぞれの「楽しみ方」をお互いに披露し合おうというものです。
青少年が、自ら世界を発見し、自らを世界に開いていくような自己探究的な美術教育をどのようにして可能にしたか、そのプロセスを学説史的に解明する。
日常生活の場に忍び寄る、楽しくも危険な、現代の「場」の文化を象徴する現代芸術を、芸術文化論の視点から案内する。膨張する芸術空間の新考察。
貧困と圧制、そして戦火に苦しむ大衆の生々しい生活から創出され、再び生活に還元される、根底からの改革をもたらす芸術を-。陶行知の芸術教育とはあくまで、生活に密着した大衆教育の一環であった。デューイの民主主義教育思想と陽明学の「知行合一」の精神との結合を通じて、生活教育・民主教育の実践に邁進し、文化大革命時の教条的批判の後、いま蘇る巨人の全体像。中国人研究者による充実のモノグラフィー。
19-20世紀における「装飾」の意味をさまざまな芸術運動と社会的なコンテクストのなかでとらえなおす。