本格的なテレビ研究の誕生。私たちはテレビの歴史をまだ知らない。一九五〇年代〜六〇年代、放送草創期のテレビは無限の可能性に満ちた映像表現の実験場だった。演出家や知識人などさまざまな人材が、テレビはどうあるべきかをめぐり激論を交わした知的アリーナだった。その可能性は、いまだ燃え尽きてはいない。本書では、番組、産業、制度、放送学などあらゆる側面から、初期テレビが生んだ創造と知を、膨大な資料をもとに検証する。気鋭のメディア研究者が挑んだ意欲的大作。
人類に新しい精神の火をともした今世紀最大の作曲家バルトークの、民俗音楽探求の記録をはじめ、現代音楽論、論争など、代表的論考のすべてを収めたいまこそ必読の名著。
巨大コンピュータで宇宙をシミュレートしたとき、ビッグ・バンから始まって、星雲が生じ惑星ができ、ついには人間(ソフト人類)までが登場するだろう。そのソフト人間から世界がどう見えるかを考察するのが「ソフト宇宙論」である。ソフト宇宙とはわれわれの宇宙そのものではないのだろうか?そのとき“コンピュータの外の世界”とはいったい何なのか?コンピュータの内と外とのコミュニケーションとは?彼そのものが情報的実体であり、情報はコピー可能なので、彼そのものもコピー可能となるが、人間を記録し再生するとは、いったい何を意味するのか?結論には真に驚くべきものがある。物理学の宇宙像をまるごとソフトウェアですくいとったとき、情報科学的な宇宙像が生まれる。そこには科学主義をはるかに超えた、新しい世界観の展望がひらける。本書は物理学と情報科学のひとつの統合を果たしている。
なぜ、人間は白鳥をシンボル化したのか。古代ギリシア・中世・19世紀ヨーロッパの神話・芸術へ熱いエネルギーを照射し続けた、その姿態が放つ多様なメッセージを集積する。
本書は、近代に至る満州の地域史を記したものである。
これは鳥取地方山間部の焼物づくりをする家、牛戸窯(うしのとがま)に生まれ、若くして家業を引き継ぎ、陶工としてその生涯をそこで過ごしたひとりのお爺さんが話して下さった話を、聞いたことばそのままに記述しまとめた個人の生活史である。陶工職人の仕事と精神の軌跡。
地域独自の歴史と風土に迫る-。ツングース系の女真族の一少数部隊にすぎなかった建州女真が、長白山(白頭山)の北西から勃興して清朝の太祖となったヌルハチの登場から1912年にその幕を閉じるまでの268年にわたる満州の地域・経済史。