国民学校は、1941年「皇国の道に則り」、学童を銃後の戦士として「錬成」する目的をもって生れた。敗戦後、その実態を知るべき書類の多くは焼却されたが、奇跡的に残された資料から、教育の内容と悲劇を追求する。
今や国民的行事と化した高校野球大会。全国を興奮のるつぼに引き込む汗と涙と感動のドラマ、その始まりには新聞社の社運を賭けた拡張競争があった。80年に及ぶその歴史をたどり、日本独特の野球観の形成を考える。
自然に対して生命を感じ、崇拝する信仰=アニミズム。本書は死霊崇拝を中心に、日本列島から東南アジアにかけてのアニミズムの実態を、豊富な事例をもとに明らかにし、人間の心の底に横たわる自然への思いを見つめなおす。
悪党は武装して歴史に登場した。派手な甲胄、光りきらめく太刀・長刀のいでたちは、綾羅錦繍に通じる反逆の表象でもあった。ゲリラ戦の楠木正成、バサラの佐々木道誉らをまじえ、内乱を生きた人間の意識と行動にせまる。
近代兵器が登場するまで、日本の武器の主流は刀だと誤信している人が多い。しかし中世の戦においては弓矢が主な武器で、鎧や兜はそれへの備えを第一に作られていた。豊富な実物調査をもとに源平合戦の具体像を読み解く。
蓮如は、本尊を中心とする宗派・教団をはじめてつくりあげた。助かる道でなく救われる道を説いた八十五年の生涯を、資史料を駆使して明らかにし、個人史に終わることなく教団史・仏教史・日本史上での意義を追究する。
江戸時代の日本は多数の餓死者を出した飢饉を六度経験した。冷害や風水害などの天災が発生した時、なぜ凶作に止まらず、飢饉にまで至ったのか。国家や社会との関係、実態・特質の解明を通して近世という時代を考える。
長い歴史をもち、今も独特の文化を世界に向けて発信しつづけている地・インド。インダス文明の興亡から今日の核問題、海外インド人の活動にいたるまで、様々な側面から、4000年の歴史をつづる最新のインド通史。
日本の近代化の中で、なぜ真宗門徒は苦しさに耐える倫理を持ちえたか、その信仰と生活の面から追究。正直・勤勉を旨とする熱心な真宗門徒の実態を歴史学・社会学・民俗学の方法で明らかにし、宗教社会史を提唱する。
文永・弘安の役として語られる蒙古襲来は、戦場や武家政権のみでなく、地域社会に広汎な傷跡を残した。パクス・モンゴリカの世界情勢のなかで、日本の国家と社会はいかに対応し変わっていったのか、その具体像を描く。
百万の人口を擁する江戸は、火事が頻発する災害都市でもあった。この江戸には無数の地下室=穴蔵が設けられていた。江戸の特色といえる穴蔵の万般について、都市の構造とそこに暮らす人びとの生活実態を通して迫る。
明治6年、キリシタン禁制の高札が撤去された。しかし、政府にキリスト教弾圧を断念させたのは、通説のような諸外国の圧力だったのか。明治初年の大弾圧ー浦上キリシタン流配事件を通して、政治と宗教の問題を考える。
御家人制研究会編『吾妻鏡人名索引』の第1部人名索引に立項されている人名について、生年・没年・父・母・初見・終見・通称官職名等の8項目に注釈を加えたもの。
犬公方・綱吉は名君か暗君か、それとも単なる偏執狂だったのか。在世中以来、綱吉は政策と個人の嗜好とが同一視されてきた。取締と処罰の厳しさで怖れられた生類憐みの令、側用人柳沢吉保の寵用、儒学尊重などは、徳川政権のどんな矛盾を打開しようとした結果だったのか。毀誉褒貶の雑説にまみれた、日本史上、最も評価の分れる将軍の生涯を描く。
室町幕府は、幕府・守護体制とよばれる権力機構を基本構造とした。軍事指揮権の視点より、軍忠状・着到状など関係文書の機能と役割を明らかにし、権力機構の特質を追究する。あわせ足利一門守護の軍事権限の実態を解明。