変化の直中にあるアボリジニ社会。その歴史的背景や社会的実践のあり方を、しなやかで力強い生き方を見せる女性たちに着目して描き出す民族誌。男女の関係や平等のあり方は決してひとつではないことを示し、人類学的方法のオルターナティブを提案する。
〈女性作家たちの生涯から読み解く〉
少女だけでなく、大人の読者も魅了してやまない三人の少女小説作家──オルコット、バーネット、モンゴメリ。
栄光に包まれた彼女たちの道のりは、決して平坦なものではなかった。
彼女たちが闘ったジェンダーの壁を、その作品と生涯から読み解く。
■はじめに
■第1章 『若草物語』
反抗の叫び──ルイザ・メイ・オルコット
■第2章 『小公子』『小公女』から『秘密の花園』へ
野ブドウを摘んだ少女──フランシス・ホジソン・バーネット
■第3章 「アン」と「エミリー」
光と闇のはざまで──ルーシー・モード・モンゴメリ
■註
■おわりに
■作家たちが生きた時代
■略年表
■主な参考図書
女性の社会進出が進む今日、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法など、男女が共に働く法環境の整備は進んできました。しかし、依然として、「男はこうあるべきだ」「女はこうあるべきだ」といったジェンダーによる役割分担意識は根強く、職場における男女の賃金格差、昇進差別、セクシュアル・ハラスメントなど、問題は山積している。また、ワークシェアリングやディーセント・ワークといった新たな論点も浮かび上がってきた。さらに、一見平等に見える労働法制においても、そのモデルとなるのは男性労働者であり、女性の視点が欠けているという指摘もなされている。本書はこれら「女性と労働」に関するあらゆる問題を専門家の立場から分かりやすく解説したものである。
ロールズの提案する政治的リベラリズム、生き方や世界観の多様性のもとでの公共的理性の社会構想を手がかりとし、特に性別に与えられる意味の多様性に注目しながら、お互いに市民として他者と対話することで生まれる〈自由な共生社会〉の姿を示すと共に、社会的協働を支える諸制度のビジョンを雇用、家族、政治の領域で探求する。
はしがき
序章 自由な共生を求めて
1 世界観の対立と共生
2 規範的社会理論の試み──手がかりとしてのロールズ
3 性別の意味
4 本書の課題と構成
第1部 公共的理性の理論
第一章 公共的理性の社会構想──ロールズの政治的リベラリズム
1 〈相互性〉の社会をめざして
2 公共的理性という理念
3 リベラルな協働
4 協働のビジョンはいかに支持されるか
5 理念理論という方法
第二章 包括的世界観としてのフェミニズム──対話への呼びかけ
1 性別の意味の多様性
2 フェミニズムの性別秩序論
3 性別秩序の主観性と客観性
4 公共の性別秩序をめざして
第三章 公共世界と非公共世界──政治的リベラリズムの射程
1 フェミニズムによる公私分離批判
2 ロールズの家族論
3 オーキンによる批判とロールズからの応答
4 共生の深化
5 残された課題
第2部 原理と制度をめぐる公共的理性
第四章 公正な雇用機会とは何か──機会確保と反差別の複合原理
1 雇用機会の公正
2 ロールズの「機会原理」の批判的検討
3 市民の理念に基づく複合原理
4 統計的判断をめぐって
5 よりよい協働のための制度
第五章 婚姻制度は開かれうるか──人格的ケア関係と次世代育成の価値から
1 オルタナティブな婚姻形態
2 公共的理性の問い
3 人格的ケア関係
4 子どもという論点
5 公共的理性は開かれた制度を支持するか
第六章 代表は性別を纏うべきか──二元的代表による〈媒介の政治〉
1 女性の「過少代表」
2 実質的代表を求めて──集団代表の理念とその困難
3 性別の意味の書き換えをめざして──パリテの論理とその困難
4 存在の政治から〈媒介の政治〉へ
5 二元的代表を支える公共的理性
終章 構想から未来へ
1 包摂の構想
2 ラディカル・フェミニズムとの対話から
3 超包括的世界観との対話から
4 理念理論と私たちの未来
あとがき
初出一覧
文献
索引
2017年に122ヵ国・地域の賛成で採択された核兵器禁止条約。核保有国の非難にもかかわらず、この条約はどんな役割を果たし展望を開いているのか。市民の世論と運動はなぜ国際社会を動かすことができたのか。戦争と平和の問題におけるジェンダー視点とは。日本共産党の貢献も含め詳しく解明した発見に満ちた一冊です。
アジアのセクシュアリティとジェンダーのあり方を鍵として,東アジアと南アジアを中心とする父系的社会と,東南アジアから日本・韓国までの双系的社会という2つの社会を区別し,それに文明化と近代化が重なって生み出された,アジアの重層的多様性を描き出す。
序論 アジアの重層的多様性(落合恵美子)
【第1部 セクシュアリティ──2つのアジアと1つの近代】
◇1-1 2つのアジア 1. カーマスートラを解読する/2. 朝鮮後期における妾と家族秩序/3. タイの性愛文化におけるヨバイの伝統/4. 百歳女性のライフヒストリー ◇1-2 性と愛の近代 5. 性と愛をめぐる論争/6.植民地朝鮮における新女性,セクシュアリティ,恋愛/7. 「爆弾」としての婚外性交渉 ◇1-3 セクシュアリティの現在 8. レイプ,懲罰,国家/9. 男性ピンナップ,GRO,マッチョ・ダンサー/10. 北京におけるゲイ・コミュニティの実態調査
【第2部 ジェンダー──葛藤と実践】
◇2-1 伝統の重層性 11. 仮面と素顔/12. 「男性の概念」とは何か/13. 女性・神学・暴力/14. 江戸時代は女性にとって暗黒の時代か ◇2-2 近代的性役割の成立と変容 15. 良妻賢母思想の成立/16. アメリカ植民地教育はフィリピン女性の地位をどう変えたか/17. 男性性を作り直す/18. 最後の伝統的な姑 ◇2-3 アジアのフェミニズム 19. 女にとって産むこと産まぬこと/20. 韓国家族法における男女平等 対「伝統」/21. 語られない秘密/22. 「被害者化」を超えて
「ジェンダーを考えることは、自分の生き方を考えること」。“スピリチュアル”なジェンダー論を提唱する著者の、入門テキスト第2弾。前著『はじめて学ぶジェンダー論』では扱えなかった、「性的解放」「性教育」「セックスワーク」「性の商品化」「ダイエット」「中絶」「性暴力(DV、レイプ、セクハラ)」などの諸問題を、自分の足元からリアルな視点で考える。女性解放論(ウーマンリブ)、フェミニズム、女性学、ゲイ・スタディーズ、セクシュアリティ研究など、これまでの思想的営みの成果を引き継ぎ、著者独自の“スピリチュアル・シングル主義”を展開。ジェンダーを乗り越えるために、“多様性”を肯定し、非暴力的なあり方を探る。
男女共同参画社会の実現のために。人権論からジェンダー問題を考える。その歴史と理論・政策。
東南アジア諸国では、高等教育段階において女性が優位となるリバース・ジェンダー・ギャップ現象が進行している。「女性の高学歴化の光と影」「男子はどこへ問題」「ジェンダー二元論を懐疑し、超える」といったテーマを軸に、この新しい現象の現状やその背景要因の解明を試みる。
近代日本の隠された罠を解き明かし、未だ清算されない、そして現在ふたたび問われる“道徳”“教育”“女性”の深層に迫る。サントリー学芸賞受賞作『御一新とジェンダー』を経て、遂に舞台は明治・大正・昭和の時代へー。日本思想史を根底から覆す、壮大な物語。福沢ー井上ー和辻、そして丸山真男という知の系譜。
◆本号より、編者に二宮周平を加え、一層の充実を図る - 【ジェンダー法学】の専門誌◆
第5号は2つの特集「1 家族」に3論文(高田、佐藤、金)、「2 セクシュアリティ」に5論文(谷口、齋藤、立石、松村、矢野)、新シリーズ「ジェンダー視点の比較家族法」では二宮と金による2論文を収録。「研究ノート」は、浅倉・鈴木による大学のセクハラ判例総覧、「立法・司法の動向」は夫婦別姓訴訟(二宮)。最新テーマで迫る家族法特集。
本書は、情報を提供し、政策経験とグッド・プラクティス(良い慣行)を共有し、政府が教育(Education)、雇用(Employment)、起業(Entrepreneurship)における男女平等を促進する一助となることを目的としている。3Eすべての問題についてジェンダーの視点から現状を検証し、格差が広がった経緯と原因、男女平等に向かうために克服すべき障壁について考察する。また、より公平に競える場を作り出せる措置について、政府に政策提言を提供する。そうした提言の大部分は、女性・女子が経験している問題を改善し、経済活動への対等な参加を阻む障害を取り除くことを目的としている。しかし、男女平等が意味するのは、女性のエンパワメントだけではない。今回の研究では、なぜ多くの国の一部の学科で女子の成績ほど男子の成績が向上しないのか、なぜ父親が家庭に優しい政策を最大限に利用するのは難しいのか、変化を引き起こすために何ができるのかについても考察する。
短歌専門誌「短歌研究」2021年8月号で話題となった特集をさらにバージョンアップして書籍化。全54人の新作短歌、11人の寄稿、馬場あき子×水原紫苑・対談などに加え、大森静佳、川野里子、永井祐、東直子、水原紫苑、穂村弘(司会)による座談会を掲載。
作品 大森静佳/小島なお(百首)
寄稿 阿木津英/黒瀬珂瀾
対談 馬場あき子+水原紫苑(司会=村上湛)
作品 大滝和子(三十首)
寄稿 石川美南/川野芽生/今野寿美/瀬戸夏子/平岡直子/堀田季何/松平盟子/森山恵/米川千嘉子
作品 水原紫苑(五十首)
対談 田中優子( 前法政大学総長)+川野里子
作品 飯田彩乃/飯田有子/井辻朱美/井上法子/今橋愛/
梅内美華子/ 江戸雪/大口玲子/尾崎まゆみ/小原奈実/
帷子つ らね/川島結佳子/川谷ふじの/北山あさひ/小池純代/
佐伯紺/榊原紘/笹原玉子/佐藤モニ カ/佐藤弓生/
白川麒子/菅原百合絵/高木佳子/田口綾子/ 竹中優子/
立花開/田中槐/ 谷川由里子/田宮智美/塚田千束/
道券はな/戸田響子/富田睦子/ 鳥居/永田紅/
野口あや子/花山周子/初谷むい/早坂類/林あまり/
松村由利子/松本典子/睦月都/ 盛田志保子/柳澤美晴/
山木礼子/山崎聡子/雪舟えま/横山未来子 (十首)
作品 紀野恵(五十首)
座談会 大森静佳/川野里子/永井祐/ 東直子/水原紫苑/穂村弘(司会)
深刻な紛争や「民族対立」、宗教や慣習法による女性たちの困難はどうして生まれるのか。アフリカの歴史や政治体制を知ることで、原因や解決方法を探り、日本社会が、偏見なくアフリカのひとびとと交流をしていくことの大切さを学ぶ。
はじめに
第一章 男女共学の実施
一 女子教育政策としての男女共学
二 ジェンダー観の継承
三 新制高等学校の発足
第二章 男女共学の見直し論議
一 男女共学の状況
二 風紀問題という視点
三 女子の特性教育という視点
第三章 短期大学の女子教育機関化
一 短期大学の誕生
二 二つの短期大学
三 中堅職業人の養成
四 女子教育機関としての純化
第四章 女子学生批判が意味したもの
一 四年制大学に通う女性たち
二 女子大学無用論
三 女子学生亡国論
第五章 「家庭づくり」をめぐる政策
一 家族への関心
二 「家庭づくり」
おわりに
参考文献
事項索引
人名索引