「私」はアパートの一室でモツを串に刺し続けた。向いの部屋に住む女の背中一面には、迦陵頻伽の刺青があった。ある日、女は私の部屋の戸を開けた。「うちを連れて逃げてッ」-。圧倒的な小説作りの巧みさと見事な文章で、底辺に住む人々の情念を描き切る。直木賞受賞で文壇を騒然とさせた話題作。
日本陸軍唯一の水冷エンジン搭載戦闘機キ61飛燕を駆って、10対1の劣勢の中、持てる能力のすべてをふりしぼって戦いつづけた若きパイロットが描く空戦記。連合軍反攻の真っ只中のニューギニアの空に敵機を迎え撃ち、また、その間隙をぬって進攻作戦に飛び立ち、生命のある限り戦い抜いた幾多の青春群像を綴る。
『レ・ミゼラブル』が法律と人間の戦いであり、『ノートル=ダム・ド・パリ』が教義と人間の戦いであるのと同じく、『海に働く人びと』は自然の力と人間の戦いである。人間の内面の劇に眼をこらした雄篇。
本書では、今日なお美しい景観を伝える湖と神秘的な池や沼を中心に収録した。
入滅720年、新たな日蓮像を示す。武士階級の勃興、飢饉、地震、蒙古襲来など天変地異が続く時代を背景に、『法華経』を高く掲げ、既成宗教を刷新せんとした生涯をたどり、「法華経の行者」日蓮の思想と実践を検証する。
いまなお鋭く告発しつづけ、21世紀へと読み継がれた古典。待望の新装版。
悪女もいれば、善女もいる。自堕落な日々を送る若い女もいれば、地味な市民生活を営む中年女性もいる。純真、嫉妬、打算、情念、狂気、魔力…女性の内に渦巻くさまざまな心理の綾ー。小池真理子、恩田陸、永井するみ、夏樹静子、宮部みゆき、唯川恵、小泉喜美子、栗本薫、篠田節子によって描かれる、平凡な日常に待ち受けている陥穽の数々。女流独自の視点でとらえた珠玉のミステリー全9篇。
ぼくだんごむし。こわがりだからびっくりするとクルリってまんまるになっちゃうんだ。でもね、うみにはぼくのなかまがいっぱいいるんだって。ゆうきをだしてなかまさがしのぼうけんにでかけるぞ。
「男の中に女がひとり」は、テレビやアニメで非常に見慣れた光景である。その数少ない座を射止めた「紅一点」のヒロイン像とは。「魔法少女は父親にとっての理想の娘である」「(紅一点の)紅の戦士は“職場の花”である」「結婚しないセクシーな大人の女は悪の女王である」など見事なフレーズでメディアにあふれる紅一点のヒロインとそれを取り巻く世界を看破する評論。
パールハーバーからたった70日で執筆・出版され、大ベストセラーとなったニューヨークタイムズ記者の日本論。天皇制・政治経済・軍隊から日本人の心理まで、アメリカは日本人以上に日本を知っていた…。
中央アジア奥深く、不毛の砂漠地帯に存在するロプ・ノール。古代の史書に既に現れるこの湖は、幾度もその位置を変えてきたという。この謎を解明するべく、ヘディンとその一行は湖に向かった。大探検家、最後の旅行記。
「これだけは知っておきたい」700種を精選。1200点以上のカラーイラストで細部までわかる。