本書は近世和歌、すなわち、江戸時代の和歌、に関心をもつ人々のために、その案内書となるように編んだものである。大学・短期大学、また、一般の古典講座などのテキスト・参考書として利用されることをも予想している。本書は近世和歌を狭く短歌の作品のみに範囲を限定しないで、その他の形式の、長歌・旋頭歌・片歌、また、狂歌・教訓歌・もの覚え歌・歌合・歌集序文の類をも、併せて収載し、更に、歌論・歌学から注釈に及び、歌人伝や詠歌の見える紀行まで範囲を拡げて、一書に編んだ。
本書は文化庁所蔵の冷泉為相筆本(日本古典文学館複製)を用い、ほぼその本文に従ったが、読みやすくするため、表記はかなり改めてある。