古代から現代にわたる日本社会で、人びとはどのようなアイデンティティを形成してきたのか。また、社会の中心と周縁との間に存在する複雑な力関係とそれを媒介する存在とはいかなるものか。日仏両国の研究者たちが五年にわたって行なってきた学際的共同研究の成果をここに公刊する。ヨーロッパとの豊かな対話を切り開いた、新しい比較日本研究。
16〜17世紀、魔女の烙印を押され、迫害を受けた人びとがいた。その告発は民衆のなかから沸き起こり、大勢の無実の人びとが処刑された。魔女裁判はどのように行なわれたのか。ドイツ史のなかの魔術と民衆をみつめる。
徳川4代将軍家綱期の老中・大老。「下馬将軍」と称され、権勢をふるった専制政治家と評されるが、意外にもその素顔は、小柄で端正な顔立ちのよく笑う人物で、芸能を好み、また大変な早口で有名であったという。譜代の名門、酒井雅楽頭家に生まれ、政治的資質にも恵まれながら、なぜ後世に悪者として描かれたのか。その生涯と時代に迫る初の伝記。
日本独特のメディア・紙芝居は、戦前・戦後の子どもたちに絶大な人気を博した。やがて、テレビの登場で姿を消していくが、その伝統はアニメーションに受け継がれていく。紙芝居の歴史に、メディアの劇的な変遷を見る。
2-3世紀の日本の歴史を探る、第一級の史料『魏志倭人伝』。倭人伝を正確に読み理解するために、史記・後漢書・宋書・旧唐書などの史料を博捜し、注解と解釈を加える。上巻は邪馬台国への道と倭人社会を中心に収録。
2-3世紀の日本の歴史を探る、第一級の史料『魏志倭人伝』。倭人伝を正確に読み理解するために、史記・後漢書・宋書・旧唐書などの史料を博捜し、注解と解釈を加える。下巻は倭国内乱、女王卑弥呼・壱与の誕生を収録。
公爵家の血を引く若き天才浮世絵師・千秋遠文。その版元にして、情人でもある雨宮紫朗は、遠文に対してある疑いを抱いていた。遠文が無意識のうちに描いた絵が、いま巷を騒がせている華族連続殺人事件を予告するものとなったからだ。はたして遠文に事件とどんな関わりがあるのだろうか?そんな時、遠文のもとに藤堂男爵家の令嬢・香耶子をモデルに絵を描いてほしいとの依頼が舞い込み…。
われわれ人類はどうやって生まれたのか!?サルとヒトの違いはどこにあるのか!?生物学に今なお残された未解決の問題に鋭く迫る!世界的な数々の賞に輝く、アメリカ科学アカデミー正会員が、人類誕生の謎をめぐり独創的な進化論を華々しく展開。
苦労して宿願を遂げ、若くして散った曽我兄弟の物語は、人々の同情を集め、中世を通して語り継がれ、歌舞伎にも取り入れられた。日本人の魂を揺さぶってきたこの敵討ちの歴史的真実と、物語を生み出した背景に迫る。
“未開から文明へ”と日本の歴史が大きく転換したヤマト王権時代、どのような変化が起こったのか。東アジアの歴史と連動するそのダイナミックな転換の過程を記紀神話の分析を通して論証。新たな古代史像を提示する。
日本の代表的な童謡・唱歌は、明治時代の中期から昭和時代の初期にかけて大量に創作されましたが、戦意高揚のために作られた作品も少なくありません。本書では、次の世代に胸をはって歌い継いでいくことの出来る作品のみを厳選しました。
遊牧は、ヒツジを追って砂漠を放浪する気ままな旅ではない。それは、自給よりも国家権力や市場を志向する政治的な営みである。移動によって人間の生活はいかに組織されるのか。西南アジア遊牧民の知へのあくなき洞察。
邪馬台国とは何か。女王卑弥呼の鬼道とは何か。最新の考古学成果をもとに2〜3世紀の古代日本の実像を描く。各地の居館・祭殿・墳墓の比較や、土器・鏡・織物など出土遺物を通して、邪馬台国の位置と時代を検証する。
世界史上、初めて地球全体が戦場となった第二次大戦。その原因と経過、ジェノサイド(集団虐殺)、植民地と民族独立運動、女性の戦争動員など、多様な問題を持つ大戦の構造に迫る。世界戦争は人類に何をもたらしたのか。
“海の玄関口”伊豆と東海道の難所、箱根。黒潮と東海道、二つの道に育まれた独自の個性を探る。
己の生を言葉に残しているつもりが、実は言葉の中で生かされていた。数多くの美しい詞を歌い続けてきた著者の、十数年にわたる書き下ろしの詩を編んだ待望の詩集。