世界が同時性をもって動き出した一九一〇〜三〇年代。モガ・モボが登場した日本では、国民の識字率の向上やマスコミの隆盛、映画やレコードの普及などを背景に、新奇な言葉と文化が奔流のようにあふれ出た。博覧強記で知られる歴史学者が、当時の流行語を軸に、人々の思想や風俗、世界とつながる日本社会の光と影を活写する。
シラケ、指示待ち世代、安定指向、マユ族…。若者を揶揄する言葉は多い。しかし、彼らは白けていなかった。指示も待たなかった。安定指向でも、マユ族でもなかった。92年夏、「東京工学院」の学生たちはひとつの講演会を成功させた。炎天下の52日間で、彼らを何を見つけたか。
著者は戦前、九州田舎の一少年が志を抱いて上京。しかし角帽の夢ははかなくも破れてしまう。だが、さらなる夢をつかむためジャワ島へ行き、財を成すが、大戦勃発のため、またしても総てを捨てざるを得なくなる。無一文から立直り、何とか平穏な生活にこぎつけるまでの話である。
住まいや食に関して、ライフワークとして日々研究している著者が、その真髄である呼吸技法の原理と意義を説いた異色の研究論文。
寂しさを抱えた中年男と若い女。偶然の出会いのはずが、互いの過去の恋愛が交錯しはじめる…。男と女の運命の不可思議と性愛を描く濃厚な恋愛小説。
「個人の自由」は、本当に人間の本質なのか?イラク問題、経済構造改革論議、酒鬼薔薇事件…現代社会の病理に迫る。
短歌や諺、古書から学ぶ人生訓。道徳心や現代人が忘れかけている心のありかたを問う珠玉の58編。
遠い日の故郷福井の想い出、奉公先での読書と夜学で出会った恩師、愚かしい戦争と「東洋」の消滅、数万片の甲骨資料のトレースと、ガリ版刷りの日々-自ら綴った生い立ちと、各界著名人との対談から、白川静の学問と人生が浮き彫りになる。九十歳を記念して刊行された魅力あふれる一冊。